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平成30年1月17日局長記者会見

記者会見内容

局長
平成30年1月17日局長記者会見の内容 
  1. 北海道命名150年を記念した北海道開発局の取組について
  2. 平成28年夏の大雨災害に係る復旧状況について
  3. 民族共生象徴空間の整備状況について

会見日時・場所

日時: 平成30年1月17日(水曜日) 15時01分~15時54分
場所: 札幌市北区北8条西2丁目札幌第1合同庁舎17階 北海道開発記者クラブ
会見実施者: 北海道開発局長 和泉 晶裕

配布資料

話題1

北海道命名150年を記念した北海道開発局の取組について

 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今日、私からは3点、北海道命名150年に関する事業のこと、台風災害のその後の進捗状況、白老に整備中の象徴空間の整備状況についてお話したいと思います。

 まず1点目でございます。北海道命名150年を記念した北海道開発局の取組についてですが、ご存じのとおり今年は、松浦武史郎が「北加伊道」という名前を提案し、最終的に「北海道」と命名されてから150年という年でございます。
 北海道開拓の中で、インフラが果たした役割は非常に大きいところがございます。我々もそのインフラの整備を担う一機関ではあり、田園開発や鉄道等も含め、北海道の開拓の中で役割を果たしてきたインフラについて、今まではインフラツーリズムのような見学ツアーを開催してきたところではありますが、これらにもう少しストーリー性をもって、歴史の中でどういう役割を果たしてきたか、それが今の北海道にとってどういうところに効果が現れているのかという事を発信していきたいと思っています。
 資料の2枚目3枚目に一例として載せていますけれども、昔は蛇行していた石狩川の流域は、泥炭地が広がっていたところで耕作が非常に難しい土地でしたが、河川改修工事で直線化するとともに、農業の事業を平行して展開し、泥炭地を広大な水田地帯に変えていきました。それが今や「ゆめぴりか」や「ななつぼし」という大人気のお米が穫れるようになったということも含め、一般の方にそのような整備の状況をお話するとともに、「ゆめぴりか」を食べていただくようなツアーの開催に取り組んでいきたいと思います。

3枚目は小樽港についてです。1880年に手宮-幌内間が全国3番目の鉄道として開通しました。そこから幌内で採掘された石炭を小樽港から搬出する。小樽港は廣井勇博士が整備した北防波堤などに代表されますように、商業都市小樽を支えるインフラ整備が行われてきました。北のウォール街と呼ばれるようになった小樽も、そういうインフラ整備と相まって発展してきたと考えております。

今年8月下旬には土木学会の全国大会が札幌で開催されることになりました。8年に一度北海道開催がありまして、その年に今年が当たっております。土木学会に向けての盛り上がりと全国から土木技術者、学者も含め集まりますので、このような事例を多く積み重ね、そういうところで北海道のインフラの大切さをPRしていきたいと思っているところでございます。

また、見学ツアー以外にも、各機関と連携しまして、パネル展や講演会などを開催したいと思っていますし、経済界の、道経連様や道商連様とも連携して、経済的な背景も取りまとめていきたいと思います。

1点目は以上でございます。

話題2

平成28年夏の大雨災害に係る復旧状況について

 2点目でございます。2点目は平成28年夏の大雨災害の今の復旧状況についてお話したいと思います。
 まず、河川については、「北海道緊急治水対策プロジェクト」に基づき、国が管理する河川・ダム(全108箇所)において、堤防の損傷や護岸の流出、ダム貯水池に流入した流木の撤去等の災害復旧事業を実施してきたところです。
 堤防の決壊や一部が流出した重大な被災箇所を優先的に完了させ、その他の被災箇所についても早期復旧に向けて取り組んで参りました。
 平成29年12月末までに「北海道緊急治水対策プロジェクト」に位置付けられた災害復旧事業及び災害関連事業は全ての箇所(106箇所)の目的を達成しています。
 また、十勝川と常呂川において大規模な河道掘削を実施しているところであり、2箇所については、予定どおり平成31年度の完了を目指して整備をしているところです。
 また、農地の表土が河川に流された事象が発生しました。このことから、「北海道緊急治水対策プロジェクト」に基づき、河川事業で発生した掘削土を、被災した農地に運搬・提供しているところでございます。
 平成28年11月から昨年10月までに約47万m3の土砂を運搬・提供しています。また、十勝川では昨年12月から取組を再開しており、2月下旬頃までに約13万4千m3の土砂を運搬・提供する予定です。引き続き、農地の復旧に向けて、関係者と連携して参ります。
 農業につきましては、3地区4施設の頭首工等が被災をしておりまして、平成29年3月までに営農に必要な用水を確保し、本格的な復旧工事を平成29年度から実施しているところです。平成30年度中の完全復旧を目指しています。
 道路については、前回の記者会見でも申しましたとおり、平成29年10月28日の274号日勝峠の通行止め解除をもって、全区間の通行止めが解除となりました。 
 延べで28路線、54区間の通行止めが解除になっています。一方で仮橋として整備しているところもありますので、引き続き、新橋設置工事等を現在進めているところで、早期の完成を目指している状況でございます。

話題3

民族共生象徴空間の整備状況について

 続きまして、国立民族共生公園についてです。今の整備状況ですが、資料の写真は1月の整備状況で、たまたま雪が融けた時の写真で、全面的に工事に入っているところです。
 平成32年、2020年4月24日のオープンを目指し、年間100万人が訪れる象徴空間がここに誕生する運びになっています。
 象徴空間につきましては、「国立アイヌ民族博物館」、「国立民族共生公園」、「慰霊施設」の3種類の施設を整備することになっています。
 平成30年1月15日に落札業者が決定しまして、東北以北で初の国立博物館である国立アイヌ民族博物館の建設工事に着手することとなりました。これは、文部科学省から支出委任を受けて、北海道開発局にて整備することとなっています。また、国立民族共生公園及び慰霊施設については、現在、関係者から意見を聞きながら施設の設計等を進めるとともに、土地造成工事等を進めているところです。平成30年度には、慰霊施設及び公園施設を含め、全面的に工事を展開していきます。

質疑応答

(記者)北海道150年の事業の件で、インフラ整備の歴史を辿るツアーを実施されるということですが、これはツアー2つを例示されていますが、いくつのツアーを企画されていて、いつから実施するといった詳細は決まっているのでしょうか。
(局長)詳細については、これから決めます。今、インフラツーリズムといって、例えば、白鳥大橋ですとか、当局が保有している施設を見学するツアーを実施しておりまして、それは、こういう施設を見ることができますよということを旅行会社に公募をかけて、旅行会社を決めて実施しているという流れになっています。北海道命名150年事業を記念した事業として、どういうツアーを企画し、旅行会社にご提供できるかというところをこれから詰めて、公募をかけたいと思います。やはり、冬の間は少し厳しいかと思いますので、季節が良くなり始める春頃から展開していきたいと思っています。 
  
(記者)象徴空間について教えてください。慰霊施設ですけれども、どれくらいの大きさ、何体くらいのお遺骨を納めるという想定で進んでいるのでしょうか。
(局長)全国の大学で保管している遺骨について、身元が判明したものなど一部返還を実施中であり、その他、地域への返還は内閣官房で検討していると聞いています。どの程度の遺骨が納められるのかは、これからの返還状況によるので、決まっていません。
(記者)全部の遺骨が集約されたとしても、納められるということですか。
(局長)その規模を想定して整備しています。
(記者)遺骨を白老に持ってきて、そこで手厚く弔ってもらえるならば歓迎するという方もいらっしゃいますし、訴訟などで白老に集約しないでコタンに返してくれと言う方々もいらっしゃるようですが、このことについてはどのような認識でしょうか。
(局長)地域への返還については内閣官房の方で検討しているところであり、我々がそこに関与するということはないので、コメントを控えさせていただきます。
(記者)白老に遺骨を持って行くということについては、アイヌの方々には、そもそも遺骨のあるところに手を合わせに行くという風習がないので、和人はこれでよかろうということで施設を作っているかもしれないが、アイヌの皆さんにとっては、それは和人の考えであって、我々が望むものではないということをおっしゃる方もいます。これについてはどのような認識でしょうか。
(局長)慰霊施設を作るということは、政府のアイヌ政策推進会議において、アイヌの方々も入って検討した結果そういう意思決定がされていると聞いています。いろいろな意見があるかも知れませんが、そういう手続を踏んだ上で決まっているものだと考えています。
(記者)これも内閣官房かもしれませんが、当初、集めた遺骨を研究しても良いというような話だったようですけれども、それが昨年の6月に研究しないようにと方針が変わったのはどうしてでしょうか。
(局長)昨年6月の閣議決定において、管理する遺骨を用いた研究を行わないものとすると明記されたことは承知していますが、詳細については、我々は関与しておりません。
 
(記者)一部報道機関において設計変更に関する報道がされていて、落札後の工事費増のうち内規の30%を超える設計変更が1割ですとか、入札が形骸化しているのではないかというような報道がされていますが、そのことに関するご認識を伺います。
(局長)一部報道機関でそのような報道がされていることは知っておりまして、読まさせていただいています。当局の設計変更の内容につきましては、ホームページ等で詳細に変更内容、金額等も含めて公開しております。その公開情報を活用し報道されているかと思っています。そこにつきましては、我々が公開している主旨に鑑みて、報道が適切に行われていれば良いと思いますが、一部、読まれる方に誤解を与える表現が見られますので、そこについては、適正化をお願いしたいと思います。例えば、設計変更30%超えの工事の約4割が調査基準価格に対して落札率が1%以内の工事であるという表現や「密室の増額」という表現がありましたが、工事全体の約4割が調査基準価格1%以内ですので、30%超えの工事が特出して多く調査基準価格近くで落札しているということはございません。次に「密室の増額」についてですが、契約書の中に設計変更については受注者と発注者が協議を行うこととなっておりまして、受注者さんと我々はそもそもコンプライアンス上、密室で打合せをすることもありません。適切に契約に基づいた協議を行っているにも関わらず誤解を受ける表現がされています。
 記者の皆さんの中には、「設計変更」とはどういうものかご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、経緯も含め簡単にご説明いたします。
 過去に、発注者がこうやってほしいと指示をしながら、発注者がその変更分の請負代金を支払わないという事案が多数ありました。当局内にもあったと思いますし、他の発注機関にも見受けられたと思います。そういう状況の中で、業界から変更の指示があったものについては、その費用を見てほしいという声が上がり、国交省としても良質な社会資本を国民に提供するという立場から、受注者さんに負担をさせて整備を行うということは品質の確保上も良くないという機運が盛り上がり、平成26年6月に改正品確法が施行、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」という法律ですけれど、この中で発注者の責務として設計変更に適切に対応すると明記されました。これは、変更を指示したものについては、適切に請負代金額や工期の変更を行うという規定です。また、同年9月には同法に基づく基本的な方針が閣議決定され、ここにおいても変更を指示したものについては適切に支払うという表現が入っております。我々は、この改正品確法の理念を踏まえて、設計変更については一体施工の必要性から分離発注できないもの等は、増額が落札価格の30%の超過の有無によらず、適切に実施しているところでございます。
 次に設計変更というのはそもそもどういうものかと言いますと、事前の調査、例えば現地の測量や地質ボーリング調査などをやりながら、現地の条件を決めていって、それに基づいてコンサルタントが設計を行い工事図面を作り、これに基づいて発注するのですが、特に日本の地質は非常に複雑ですので、時間や費用の面から我々は仮定の土質条件を前提に予定価格を積算し、入札参加者はこの条件を基に積算し入札します。
 私の若い頃の経験ですが、想定していた地盤線と実際に現地の地盤線とが違うということがありました。このように、基本的に現地に入ってから違いが出てくることに対して柔軟に対応するために、設計変更というシステムがあります。安全、良質な社会資本を提供するためにも、適切に現場条件に合わせたものを整備するということが設計変更の仕組みとなっています。3割が良いか悪いかという指摘がありますけれども、想定以上に違う部分ですとか、あるいは地下水位が高いですとか、工法が変わるですとか、そういうものに対して、目的物を作るためにはどうしても設計変更せざるを得ないことがあります。全体工事の1割ぐらいが3割を超えているという報道をされています。これは正しい数字でございますが、安全で良質な社会資本を提供するということが我々の最大の役割だと考えております。
 当然当初設計をいかに精度を上げるかということについても現在努めておりますし、例えば地質条件が一番大きい要因かも知れませんが、地質条件等につきましては、地質リスクマネジメントのような取組を行いながら、いかに地質の変更というリスクを軽減するかという取組も現在行っているところでございます。ただ、今この報道を見て、一番心配しているのは、当局の職員が新聞記事を読んで、設計変更に対して躊躇するというようなことが起きてはならないと思っているところでございます。そういう意味では、これから設計変更の手続きが多くなる時期でもありますから、改めて受注者に不適切な負担を強いていないかどうかも含めて、適切に対応して参りたいと考えているところです。
 
(記者)一連の設計変更に関する報道の関連ですが、この一連の報道を受けて、無理に3割以内に納めようとするのではないかという懸念の声もあると思うのですが、その辺りの対応について改めて伺います。
(局長)むやみに増工していることはありません。繰り返しになりますが、目的物の完成に必要な設計変更については適切に行って参りますし、3割超えに拘って、設計変更に対して職員が躊躇するというようなことが起きてはならないと思っています。
 
(記者)3割超えについて、2016年度の1億円以上の一般土木工事110件で、3割を超えた部分の総額が94億なのですが、そのような規模になるということについては、どのようにお考えでしょうか。
(局長)適切に工事目的物を完成させた結果であり、金額の多寡というよりは、適切に工事が行われているかという方に我々は重きを置いているというところです。
(記者)94億円というのは多大な額ですけども、それは構わないということでしょうか。
(局長)良質な社会資本を提供する主旨からすると、適切に目的物が作られているのであれば、適切に行われたものと解釈します。
(記者)内規で3割を超えたら原則分離発注するというのは、何のためにあるものでしょうか。
(局長)施工中の工事と分離して施工することが困難な一体不可分なものや、災害等の理由により緊急に施工するもの等については例外として定め、適切に運用することを規定しているものであって、当初の入札に対して別の工事が加わるようなことがあってはならないという主旨だと思います。
(記者)無制限の増額を防ぐという意味でもあるんですよね。3割というのは。
(局長)3割以内であっても分離発注できるものについては適切に行うということであって、目的物に必要な設計変更については、3割に拘って分離発注を考えている訳ではありません。また、事業を進めていく中で、工事計画を立てる時にはどういう風に組み立てるか、例えば、この工事とこの工事は分けた方が良いというような計画にして、できるだけ3割超えにならないように努力はしています。結果として、分離発注できないものが1割程度あったということです。
(記者)3割を超えて、分離発注したことはあるのでしょうか。
(局長)一体不可分ではないものについて次年度に行うなど、判断したものもあるかと思います。
(記者)分離発注は殆どやられていないとお聞きしていますが。
(局長)3割を超えるときに分離発注にするかどうかは、その工事の諸条件によって判断しています。例えば、道路の場合では供用年次が決まっていて、分離発注をしてしまうと供用が間に合わなくなってしまうような場合には、多少超えても整備は行うという判断になります。
(記者)そうすると分離発注というのは、事実上難しいのではないでしょうか。
(局長)ある目的物を施工途中で分離し、続きを他の施工業者が行うことは土木の世界では難しいケースが多いと思います。例えば、単に延長や施工面積の調整で分離が可能な場合であれば、次年度に施工するやり方がありますが、土木の場合は一体不可分性が高いものが多いので、なかなかそういう事例がないということです。
(記者)そういう事例がない難しいものを原則分離発注すると言っているのは、守れない原則を内規に書いているような気がするのですが。
(局長)我々はそういう意識は全くありません。一体不可分のものを基本的に作っていることが多いということです。
(記者)設計変更は密室ではないとおっしゃいましたが、入札のように多数の業者が入札し、こういう条件でと、透明なやり方で工事の契約額を決める訳ではなく、開発局の職員と受注者が話し合って決めているので、競争原理はないですよね。
(局長)設計変更は、発注者と受注者とが協議して定めることが契約書に書かれています。一般的な契約においても契約の当事者間で行われるものと思いますので、密室との指摘には当たりません。
(記者)国の公共工事は、法律で原則一般競争入札になっているので、基本的には入札というやり方が望ましいわけですよね。そうであれば、入札の後の設計変更で94億円、私は多いと思います。毎年100億円近くが随意契約で工事が行われているということで、少なくとも私はおかしいと思います。入札の段階で、随意契約の設計変更が行われないようにするのが、他の業者の契約機会という面や透明性という面で望ましいのではないでしょうか。
(局長)設計変更がないようにという、ご意見ですね。我々もその点については努力をしていますし、できるだけ事前の調査で変更が少ないように努めていますが、そもそも土木の現場というのは、調査をしきれない地質条件や様々な要因として、地元の設計協議で変わる可能性や地権者対応をして変わることも多々あります。そういう変更リスクというのは、避けられないところがあると思います。もっと事前調査に予算をかけて行えばという言い方もありますが、それでも避けられないものが多々あると思います。
(記者)そこなのですが、例えば変更されそうな部分があるのであれば、その部分を予定価格に見込むことは難しいのですか。
(局長)公示用の設計書の中に作らないものを想定して積算することは適切を欠くと思います。工事における予定価格というのは、ある仮定の下において積算をしていますが、その予定価格を積算するための図面や数量等を公示しなければ入札参加者は見積りをすることができません。
 その時の公示内容は、決して推定線を安めに見積もっている訳ではなく、事前調査の地質ボーリングで得た点と点を結ぶラインの中で想定して出していますが、施工現場に入ると現地条件が随分変わるというのは、土木のオーダーメイド型のシステムでいうと避けられない部分は多々あります。
 例えば、私が経験した杭の打設工事で地盤線が違っていたケースがありました。杭を岩着させるため掘り進めると、杭の長さが相当伸びてしまったことがありました。このような場合に工事を途中で止めて別発注ということになると、杭打ち機械を全部引き上げて改めて入札をすることになり、時間と経費を考えると、設計変更で掘り続けた方が合理的だと我々は思います。これは一事例ですが、各現場ごとにその妥当性は適切に判断しています。
(記者)その合理性というのは私も理解できますが、ならば、原則3割超えたら分離発注というできそうにないことをなぜ原則に書いてあるのですか。
(局長)平成26年の改正品確法は、設計変更に伴って必要と認められる請負代金の額や工期の変更を行わないことはあってはならないということが謳われていて、支払うものは支払うという姿勢に変わってきたのは間違いないと思います。このことは内規というよりも、法律と閣議決定文にきちんと書かれてありますので、我々はそれに従って対応するのが妥当だと思っております。
(記者)その流れは、よく知っております。その流れのもとで必要な工事を支払わないことがあってはならないと、それは当然だと思います。であるならば、今の開発局で決めている「3割超えたら分離発注する」とできないことを書いてある内規のおかしさというのは変えなくていいのですか。
(局長)平成13年にできた内規に品確法が上書きされた形になっているので、我々は法律、閣議決定文に従うまでです。
(記者)3割超えが年に94億円ぐらいあることは、特に問題はないと考えているのですか。
(局長)94億円は事実としてそうですし、適切に工事目的物が完成して、国民に良質な社会資本として提供できているのであれば問題はないと思います。
(記者)であれば、随意契約のような形によって、そのくらいの契約金額になっていることは特に問題ないと。
(局長)いわゆる随意契約ではなく、当初契約後の所定の変更手続きによるものです。設計変更の増額分に対する予定価格には、当初の落札率がかかってくるので、低く落札するとそのまま変更金額に対しても低い率がかかってきます。受注者にとっては非常につらいと思います。
(記者)落札率をかけるにしても、随意契約というのは相手を決めてお互いの協議で契約額を決めるのが随意契約なので、随意契約のような形で、94億円くらいの契約額があるということではないですか。
(局長)随意契約でないものは、随意契約ではありません。「随意契約のような形」という表現がよろしくないと思います。随意契約という行為と普通の一般競争入札での契約方式は、全く次元の違う話です。
(記者)設計変更による契約は、競争入札方式と同じようなものであると。
(局長)一般競争入札での受注者と契約に基づく現地条件の変化で協議をして決めているもので、あくまで一般競争入札で公募した入札参加者であるということに変わりはないということです。
(記者)両者で価格を決めて、競争原理を働かせて契約を結ぶものではないということですね。
(局長)そもそも、設計変更に伴う契約変更は、契約の当事者である発注者と受注者が協議して定めることが契約書に記載されています。契約変更の手続きは、受注者と見積合わせを行い、提示された金額が予定価格を下回った段階で契約金額となりますので、公正な手続きだと思います。
(記者)設計変更によって1.3倍を超えて増額されているのが110件、1割くらいあって、94億円くらいになるというのは、特段の問題はないということでよろしいでしょうか。
(局長)先ほども言ったとおり、当初設計の精度を高めるというのはこれからも続けなければならないですし、3割超えがひとつの目安としてあるのであれば超えない努力をするのも必要ですが、だからと言って3割を超えたから、その工事目的物が完成しないで終わらせたり、一体不可分なのに作らないことはない。その時の結果が110本で94億円であれば、それは適切に目的物を作る必要な価格だと我々は理解しています。
(記者)過去5年分もそちらでまとめていると思いますが、これも1割くらいになっているのですが、それも適切にやった結果であると。
(局長)そうです。
(記者)内規が形骸化している訳でもないということですか。
(局長)そうです。
 
(記者)設計変更の件ですが、基本的に現状に問題がないという認識でよろしいですか。
(局長)はい。
(記者)今後、何か新たな対策を取るとか、何かを変えるという考えはないということでしょうか。
(局長)反省点として、あのような記事を書かれるというところは、もう少し丁寧に説明をすることが必要なのかと思っています。
(記者)具体的には、どういうものでしょうか。
(局長)我々の説明不足というものがあって誤解を招くところについては、表現ぶりなど、考えなければと思います。
(記者)情報公開の仕方の中で、より分かりやすい説明をという主旨ですか。
(局長)そうしていくしかないと思います。
(記者)取材させていただいていて、やむを得ない事情、一体不可分という部分がどうも読み取れないことが多くて、個別の工事で取材させていただいたりしたのですが、少し分かりずらいなということと、取材の中でどうしてもやむを得ないもの以外にも、ある程度予算があるので、その予算分を使うような設計変更も行われているという話も聞いていたのですが。
(局長)個別の事案を想定できないので、コメントは控えさせていただきます。
(記者)あくまでも設計変更というのは、先ほどの説明のように、やむを得ない地質条件等の場合に限り行っていて、それについては、きちんとした情報開示と説明をした上で、これはやむを得ず3割を超えて、しかも分離発注ができないものなんだと分かるような公開をしていきたいということですね。
(局長)これからも、誤解を招くことのないように説明はしていきたいと思います。
(記者)現状は問題なく行っていて、結果としてそうなっているだけという主旨ということでよろしいですか。
(局長)はい。
 
(記者)私どものところに建設業者の方からも様々な声が寄せられています。やはり一番傷ついているというか意気消沈しているのが、事実に基づくあるいは正確な知識に基づく批判であればそれは受け入れるし、あるいは反省もしなければならないという話を聞くのですが、例えば、今回調査基準価格と同額、あるいは極めて近い額で、増額を見込んで入札したものだという主旨の報道では、一覧表で10件ほど出されましたが、その中に先ほどから内規と言われている中に明確に記載されている災害復旧、先ほど局長も言われましたけども、一昨年の豪雨災害で、業者の方は24時間体制で必死になって復旧して日勝峠も開通しました。そういった災害復旧も含めて、いかにも密室の増額とした形で報道されているのを見ると、建設業者の方が非常に傷つくというか、意気消沈しモチベーションも下がり、我々のやっていること、地道にやっていることが伝わらないんだなという思いが非常に強まっています。もっと気にするのが、こうした報道がされることで、建設業と公共事業というのが非常にイメージダウンしてしまう。それは開発局が中心となって進めている公共事業もそうなのですが、今までのやりとりを聞いていて、あくまでそれぞれの見方があると思うのですが、イメージダウンしている、あるいは誤解をもとに伝えられていることに対して、傷ついている建設業者、ダメージを受けている建設業者に対して一言メッセージをいただければと思います。
(局長)先ほどもお話したとおり、我々はできるだけ透明性を持って情報も公開して、設計変更の内容も含めて情報公開をしているところでございます。ただ、まだまだ説明不足のところもありますし、あのような報道になるということは遺憾に思っています。建設業者さんは、今、冬季で除雪もありますし、夜間にも出動したり、災害の時にも昼夜問わず、道なき道を整備、工事をやっていただいたりしています。そういう地元の建設業者がいる中で、通常の手続きが悪のように思われているというのは、我々の説明不足のところもあるのかと思っているところです。そういう意味では、当局の職員も萎縮しないように、必要な目的物、我々は本当に良質な社会資本をどう提供するかということが最大の使命ですので、そこを作るための手続きを丁寧に行いながら、建設業者にも過度な負担を与えることがないようにしていきたいと考えていますし、これからも透明性を確保しながら対応していきたいと思っているところです。
 

以上
 
※この文章については、読みやすいよう、重複した質疑内容や言葉づかい、明かな言い直しなどを整理した上、作成しています。(文責 開発監理部広報室)

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