常呂川流域懇談会からの提言(平成15年4月23日)
ページ内目次
常呂川流域懇談会からの提言
太陽と緑の大地—さわやか常呂川
~ふるさとの川を後世に伝えよう~
常呂川は、道東屈指の大河川で北海道の屋根と称せられる大雪山系の一つ、三国山に源を発し、無加川をはじめ多くの支川を合してオホーツク海に注ぐ河川である。
常呂川流域では、縄文、擦文、オホーツク文化の遺跡に見られるように、古代から独自の一大文化圏を築いてきた。また、明治の開拓期でも常呂川の恵みが入植した人々の生活の支えであったし、昭和の初期には、世界市場の7割を占めるハッカの生産で、世界に名を馳せてきた。
現在でも、広大な森林、肥沃な大地、ホタテやサケ・マスに代表される水産資源に恵まれ、ソーラーカーレース等のイベントやさわやかな気候を活かしたスポーツ合宿などが盛んで、オホーツク海側地域の産業、経済、文化の中心地帯を形成している。
このような歴史や風土を有する常呂川の特性や将来のあるべき姿について、以下のような流域像が考えられる。
「太陽」 常呂川は住民のくらしの中心的な存在であり、日照率の高さが
国内有数であることから、この地域の象徴となっている。
国内有数であることから、この地域の象徴となっている。
「緑」 自然環境の保全・創造、良好な水環境及び生態系の保全による
安全・安心・清潔な川が求められており、ハッカやハーブなども
イメージできる。
安全・安心・清潔な川が求められており、ハッカやハーブなども
イメージできる。
「大地」 常呂川の流域全体が一体となることが大事であり、古代から一大
文化圏を築いてきた肥沃な土地をイメージできる。
文化圏を築いてきた肥沃な土地をイメージできる。
「さわやか」 人々が憩い安らげる河川空間や美しい自然景観が求められており、
スポーツ合宿などもイメージできる。
スポーツ合宿などもイメージできる。
「ふるさと」 流域住民の一人一人が常呂川に思いを馳せ、行動することが必要
である。
である。
「後世に伝える」 以上の流域像を具体化し、地域の営みを支える常呂川の恵みを
子孫へ残し伝えることが何よりも大事である。
子孫へ残し伝えることが何よりも大事である。
このような流域像を将来の流域の目標とし、常呂川流域懇談会では、以下の4つの事項について討議しました。
1. 洪水による災害発生の防止について
2. 水利用について
2. 水利用について
3. 河川環境の整備と保全について
4. 流域の人々と連携した川づくりについて
4. 流域の人々と連携した川づくりについて
今後、これらの治水・利水・環境・連携が相互に調和し、「ふるさとの川 常呂川」が、太陽が燦々と輝く緑の大地にふさわしい、自然豊かで、潤いと触れ合いにあふれたさわやかな川となって後世に引き継がれるように、流域に住む一人一人が努力していくことが求められています。
1.洪水による災害発生の防止について
明治30年から31年にかけて屯田兵が北見及び端野に入植して以来、明治31年、大正8年及び大正11年と度重なる大洪水に見舞われ、多くの生命・財産が失われた。また、常呂川の治水事業は大正7年に治水計画が立案され、大正10年に築堤工事に着手したことに始まり、築堤及び河道の掘削工事等が進められた。
近年においては、昭和43年に常呂川水系工事実施基本計画が策定され、築堤、河道の掘削、護岸等が実施されるとともに、洪水の軽減、農業用水及び水道用水の確保等を目的として、昭和58年度に鹿ノ子ダムが完成した。
しかし、下流部・中流部では流下能力が不足しており、平成4年9月、平成10年9月及び平成13年9月洪水等、近年頻発する洪水により、家屋被害、農業被害、土木被害、水産被害等が発生し、平成4年9月洪水の被害総額は約47億円にも及んでいる。また、平成13年9月洪水では、河口域へ流出した土砂により、ホタテの稚貝に大きな被害が発生したのは記憶に新しい。
近年においては、昭和43年に常呂川水系工事実施基本計画が策定され、築堤、河道の掘削、護岸等が実施されるとともに、洪水の軽減、農業用水及び水道用水の確保等を目的として、昭和58年度に鹿ノ子ダムが完成した。
しかし、下流部・中流部では流下能力が不足しており、平成4年9月、平成10年9月及び平成13年9月洪水等、近年頻発する洪水により、家屋被害、農業被害、土木被害、水産被害等が発生し、平成4年9月洪水の被害総額は約47億円にも及んでいる。また、平成13年9月洪水では、河口域へ流出した土砂により、ホタテの稚貝に大きな被害が発生したのは記憶に新しい。
(1)総合的な治水対策について
常呂川流域では近年の都市化や流域の開発による流出形態の変化や規模の大きな降雨が頻発しており、洪水災害を早期に解消し、流域住民の生命、財産及び地域の社会・経済活動を守るために、従来から行われている河川対策と合わせ、保水機能の保全及び流出抑制対策等の流域対策、光ファイバー整備及びハザードマップの整備等のソフト対策を三本柱とする総合的な治水対策を緊急的かつ重点的に行う必要がある。
1)河川対策について
常呂川において、堤防等の河道整備の必要な箇所や河岸浸食の著しい箇所等、洪水に対する安全が確保されていない箇所では、堤防・掘削・護岸等の河川整備を実施し、安全性の向上を図る必要がある。その際には、河川の直線化やコンクリート護岸のみに頼ることなく、蛇行状況を考慮した河川改修についても検討する必要がある。
2)流域対策について
常呂川流域では都市化や流域内の開発等により、雨水の地中への浸透や滞留といった機能が減少し、短期間に洪水が集中することが考えられる。そのため、流域の保有している保水機能 を保全する必要があり、様々な流域対策を行うことにより、雨水を一時的に貯留し、河川へ徐々に流すことで、下流の負担を軽減することが肝要である。
その一つとして森林の保全がある。常呂川流域の森林面積は昭和51年から平成4年にかけて減少し、その後、横這い傾向となっている。森林には、洪水を緩和する等、多面的な機能がある ことから、森林の保全が必要であり、その際には在来種を主体とした育成と再生を行うものとする。
その一つとして森林の保全がある。常呂川流域の森林面積は昭和51年から平成4年にかけて減少し、その後、横這い傾向となっている。森林には、洪水を緩和する等、多面的な機能がある ことから、森林の保全が必要であり、その際には在来種を主体とした育成と再生を行うものとする。
また、宅地造成等の開発行為が行われる場合に整備する「防災調整池」等の流出抑制対策を実施する必要がある。
3)ソフト対策について
今後、流域の都市化が進行した場合、洪水の流出時間が短くなるものと考えられることから、洪水に対して迅速かつ効率的に対処できる防災体制づくりが必要である。そのためには、現在、 開発局や各自治体で推進している光ファイバー整備を常呂川流域においてネットワーク化し、平常時からの河川情報及び災害時における防災情報の共有化を図るとともに、各市町においては 洪水ハザードマップの整備を図る必要がある。
(2)鹿ノ子ダムの運用について
鹿ノ子ダムは、昭和59年度から運用を開始しているが、全国的に最も多く採用され、中小洪水に対しても効果を発揮できる「一定率一定量方式」により洪水調節を行っている。
平成13年9月洪水における洪水調節量は、過去最大の434万m3(東京ドームの3.5杯分)となり、洪水の低減期において、下流の常呂町における内水排除の状況に配慮した洪水調節方法により水位低減効果を得た。今後は下流の洪水状況・被害状況等に配慮した洪水調節方法、降雨規模に応じた洪水調節方法等の可能性について検討する必要がある。
平成13年9月洪水における洪水調節量は、過去最大の434万m3(東京ドームの3.5杯分)となり、洪水の低減期において、下流の常呂町における内水排除の状況に配慮した洪水調節方法により水位低減効果を得た。今後は下流の洪水状況・被害状況等に配慮した洪水調節方法、降雨規模に応じた洪水調節方法等の可能性について検討する必要がある。
2.水利用について
常呂川の本格的な水利用は大正期に水田のかんがい用水として始まり、水道水の利用は昭和27年に北見市で始まり、現在流域の1市5町に給水されている。また、流域開発等に伴う水需要の増加に対処するため、昭和58年に多目的ダムとして「鹿ノ子ダム」が完成し、かんがい用水や水道用水等と維持流量(流水の清潔の保持・人と川との豊かな触れ合い・動植物の生息・生育等に必要な流量)の補給を行っている。現在の利水状況はかんがい用水が91.6%とその大部分を占め、その他に水道用水、鉱工業用水等に利用され、常呂川の水は流域の生産活動と密接な関係にある。
また、常呂川流域はオホーツク海型気候に属し、年間降水量は700mm~800mm程度と日本で最も少ない地域であり、森林の保全等による水資源の確保、有効利用及び適正な管理が求められる河川である。
また、常呂川流域はオホーツク海型気候に属し、年間降水量は700mm~800mm程度と日本で最も少ない地域であり、森林の保全等による水資源の確保、有効利用及び適正な管理が求められる河川である。
(1)適正な水利用について
河川水の利用が進んでいる中で、取水においては安定的・合理的な運用を図るために、平成14年6月に河川管理者及び利水者を構成メンバーとする「常呂川水系流域水利用協議会」が設立されたところであるが、適正な取水を行い、流水の清潔の保持・人と川との豊かな触れ合い・動植物の生息・生育等に必要な流量を確保することが肝要である。
北見市、端野町の水道水源でもある常呂川の水質汚濁が顕在化しており、安全かつ良質な水道水を安定的に供給するために、引き続き努力すべきである。
また、渇水時においても節水等の円滑な渇水対策の実施が可能となり、適正な水利用を図ることができるように、常日頃から流域の住民や上記協議会に河川・利水情報を提供し、情報を共有化することが必要である。
北見市、端野町の水道水源でもある常呂川の水質汚濁が顕在化しており、安全かつ良質な水道水を安定的に供給するために、引き続き努力すべきである。
また、渇水時においても節水等の円滑な渇水対策の実施が可能となり、適正な水利用を図ることができるように、常日頃から流域の住民や上記協議会に河川・利水情報を提供し、情報を共有化することが必要である。
3.河川環境の整備と保全について
近年、豊かでゆとりのある質の高い生活や良好な環境を求める地域住民のニーズが高まっており、河川は単に治水、利水の機能を持つだけではなく、その多様な自然環境や水辺空間が生活環境の舞台としての役割を果たすものと期待されるようになり、水質の改善等、水環境への関心も高まっている。このような背景の中、平成9年に河川法が改正され、治水、利水に加え、「河川環境の整備と保全」が位置づけられた。
常呂川における動植物の状況は、平成4年から開発局で実施している「河川水辺の国勢調査」によれば、代表的な河岸植物は、自然植生の木本植物群落であるヤナギ類で、左右岸に広範囲に大群落を形成し、河川敷の植物層は湿地性~乾地性の草本植物が主体となっている。鳥類はこれまで10科103種が確認され、下流域ではカモメ類、中流域ではキツツキ類、上流域ではヒタキ類等が多く確認されており、国の天然記念物に指定されているオジロワシ、オオワシ、クマゲラが下流域で確認されている。魚類はこれまで8科23種が確認され、降海型イトヨ、フクドジョウ、エゾウグイ、カワヤツメの一種、サケ等が多く確認されるなど優れた自然環境に恵まれている。
常呂川の水質の状況は、北見市より上流においては、概ね環境基準値を満足し清浄である。また、北見市においては、下水道普及率は96%であるが、工場排水や都市排水等の影響により、北見市から下流では水質が悪化している。
常呂川の水質は横這いの状態が続いているが、環境基準地点の忠志橋(端野町)では、水質の代表的な指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)75%値は平成10年、11年に環境基準値(3.0ミリグラム/l)を超過し、大腸菌群数も殆どの地点で環境基準値を超過しており、北海道内の他河川と比較しても汚れた河川となっている。なお、水質調査については、法律で定める調査以外についても必要に応じて調査を行うものとする。
常呂川における動植物の状況は、平成4年から開発局で実施している「河川水辺の国勢調査」によれば、代表的な河岸植物は、自然植生の木本植物群落であるヤナギ類で、左右岸に広範囲に大群落を形成し、河川敷の植物層は湿地性~乾地性の草本植物が主体となっている。鳥類はこれまで10科103種が確認され、下流域ではカモメ類、中流域ではキツツキ類、上流域ではヒタキ類等が多く確認されており、国の天然記念物に指定されているオジロワシ、オオワシ、クマゲラが下流域で確認されている。魚類はこれまで8科23種が確認され、降海型イトヨ、フクドジョウ、エゾウグイ、カワヤツメの一種、サケ等が多く確認されるなど優れた自然環境に恵まれている。
常呂川の水質の状況は、北見市より上流においては、概ね環境基準値を満足し清浄である。また、北見市においては、下水道普及率は96%であるが、工場排水や都市排水等の影響により、北見市から下流では水質が悪化している。
常呂川の水質は横這いの状態が続いているが、環境基準地点の忠志橋(端野町)では、水質の代表的な指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)75%値は平成10年、11年に環境基準値(3.0ミリグラム/l)を超過し、大腸菌群数も殆どの地点で環境基準値を超過しており、北海道内の他河川と比較しても汚れた河川となっている。なお、水質調査については、法律で定める調査以外についても必要に応じて調査を行うものとする。
(1)自然環境の保全と創造について
平成2年より旧建設省の施策として、生物の良好な生育環境に配慮し、美しい自然景観を保全、創出する「多自然型川づくり」が全国的に進められている。
常呂川においても、自然豊かな蛇行特性を活かし、動植物の生息環境を保全し、創造する川づくりが必要である。そのためには、ワンドや瀬と淵の再生、河川生態系の維持に重要な役割を果たす河畔林(在来種)を極力保全し、創造することが肝要である。なお、河川改修を行う場合には、生物の生息環境等を勘案した工法の検討が必要であり、また、河岸保護の方法についても安全性を確保しつつ、極力環境面へ配慮する必要がある。
常呂川においても、自然豊かな蛇行特性を活かし、動植物の生息環境を保全し、創造する川づくりが必要である。そのためには、ワンドや瀬と淵の再生、河川生態系の維持に重要な役割を果たす河畔林(在来種)を極力保全し、創造することが肝要である。なお、河川改修を行う場合には、生物の生息環境等を勘案した工法の検討が必要であり、また、河岸保護の方法についても安全性を確保しつつ、極力環境面へ配慮する必要がある。
(2)水質改善対策について
水質改善に係わる流域の取組として、平成4年6月に常呂川水系環境保全対策協議会(北見市、置戸町、訓子府町、留辺蘂町、端野町、常呂町)が発足し、北見工業大学地域共同研究センターとの共同で調査・研究が進められ、畜産排水が水質汚濁の大きな要因とされた。そのため、畜産農家に対して啓発活動を実施するとともに、「常呂川ウォッチング」の開催、環境マップや機関誌等を配布し、地域住民へ環境保全の啓蒙活動を行っている。
そのような活動にもかかわらず、北見市、端野町の水道水源でもある常呂川の水質汚濁が顕在化し、平成11年11月には、流域自治体が一体となった取組を一層推進し、全道の水道水源保全の模範とするべく、常呂川の北見市広郷浄水場取水地点(訓子府町日の出)より上流域が「北海道の水道水源保全に関する基本方針」に基づく重点対策流域に指定されている。
また、平成11年11月「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」の施行に伴い、各市町において「家畜排せつ物利用促進計画」が策定され、常呂川流域においても、汚濁負荷の低減を図るために、平成16年10月末までに堆肥舎、液肥化施設、尿溜めなどの整備を早急に実施する必要がある。
平成14年7月には、BODが数年に一度、大腸菌群数が頻繁に環境基準値を超過するといった水質汚濁が見られること、水質改善に対する地域の要望が高いこと等から、河川事業、下水道事業、地域の取組が一体となって、緊急的かつ重点的に、水環境改善に取り組む「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」の第2次計画対象河川として常呂川が選定された。
常呂川の水質改善については、上記取組を行っている関係機関が有機的に連携し、水質調査を密に行い、家畜ふん尿対策をはじめとする汚濁発生源対策、常呂川へ流入する河川等において自然浄化能力の向上を含む水質浄化対策、下水道対策等の各種施策を効率的に実施することが肝要であり、その施策の内容や効果等は広く地域の住民に周知する必要がある。
さらに、我々一人一人の水質浄化への意識を向上させるよう家庭から出る生活雑排水の負荷削減対策、河川へのゴミ投げ捨てを防止する対策等を推進する必要がある。
そのような活動にもかかわらず、北見市、端野町の水道水源でもある常呂川の水質汚濁が顕在化し、平成11年11月には、流域自治体が一体となった取組を一層推進し、全道の水道水源保全の模範とするべく、常呂川の北見市広郷浄水場取水地点(訓子府町日の出)より上流域が「北海道の水道水源保全に関する基本方針」に基づく重点対策流域に指定されている。
また、平成11年11月「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」の施行に伴い、各市町において「家畜排せつ物利用促進計画」が策定され、常呂川流域においても、汚濁負荷の低減を図るために、平成16年10月末までに堆肥舎、液肥化施設、尿溜めなどの整備を早急に実施する必要がある。
平成14年7月には、BODが数年に一度、大腸菌群数が頻繁に環境基準値を超過するといった水質汚濁が見られること、水質改善に対する地域の要望が高いこと等から、河川事業、下水道事業、地域の取組が一体となって、緊急的かつ重点的に、水環境改善に取り組む「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」の第2次計画対象河川として常呂川が選定された。
常呂川の水質改善については、上記取組を行っている関係機関が有機的に連携し、水質調査を密に行い、家畜ふん尿対策をはじめとする汚濁発生源対策、常呂川へ流入する河川等において自然浄化能力の向上を含む水質浄化対策、下水道対策等の各種施策を効率的に実施することが肝要であり、その施策の内容や効果等は広く地域の住民に周知する必要がある。
さらに、我々一人一人の水質浄化への意識を向上させるよう家庭から出る生活雑排水の負荷削減対策、河川へのゴミ投げ捨てを防止する対策等を推進する必要がある。
(3)土砂流出対策について
平成13年9月の秋雨前線と台風15号による大洪水では上川沿水位観測所(常呂町)で既往最大の流量を観測したが、この洪水では、大量の土砂(細粒分を含んだ濁水)が海域に流出し、農業・漁業に大きな被害をもたらしたが、土砂の発生源としては流域の山地や畑、堤外にある畑や裸地、河岸浸食等と推測される。また、常呂川の高水敷は様々な目的で利用されているが、下流部の常呂町及び端野町において、畑地利用が多くなっている。
一方、河川水が流入する沿岸域は栄養塩類に富み、水産生物の繁殖場や稚魚の保育場として大きな役割を果たし、豊かな生態系を育む場であることから、河川全体の流域環境を保全することは大変重要である。
土砂流出対策を実施するにあたっては、流域における環境保全対策、高水敷利用の適正化、河岸の保護、堤外民地の買収、ビオトープ、ワンドの設置等、流域全体に亘る総合的な取組が必要であり、様々な課題に対する広い知識と、関係する行政・関係機関の密接な連携が不可欠であり、土砂流出対策を協議する場を設ける必要がある。
一方、河川水が流入する沿岸域は栄養塩類に富み、水産生物の繁殖場や稚魚の保育場として大きな役割を果たし、豊かな生態系を育む場であることから、河川全体の流域環境を保全することは大変重要である。
土砂流出対策を実施するにあたっては、流域における環境保全対策、高水敷利用の適正化、河岸の保護、堤外民地の買収、ビオトープ、ワンドの設置等、流域全体に亘る総合的な取組が必要であり、様々な課題に対する広い知識と、関係する行政・関係機関の密接な連携が不可欠であり、土砂流出対策を協議する場を設ける必要がある。
(4)河川空間の利活用について
河川の有する水辺空間は、地域住民に貴重な自然環境、憩いと安らぎ、スポーツ・レクリェーション及び交流の場を提供している。これらの水辺空間は、流域市町のまちづくりを進めていく上で重要な空間であり、北見市の高水敷ではハーブ公園、パークゴルフ場、スポーツ広場などの整備が行われ、様々なイベントも開催され、多くの市民に利用されている。また、低水路等では、自然観察、河川の簡易な水質調査、水遊び、魚釣りなどに広く利用されている。
今後も、常呂川流域において、治水及び利水計画との整合を図りながら、流域の恵まれた自然環境を生かし、地域住民が安心して利用できる河川環境の整備と保全を進めていく必要がある。
今後も、常呂川流域において、治水及び利水計画との整合を図りながら、流域の恵まれた自然環境を生かし、地域住民が安心して利用できる河川環境の整備と保全を進めていく必要がある。
4.流域の人々と連携した川づくりについて
常呂川は流域の市町の歴史の発祥地であり、かつては住民の心の故郷であった。そして、それぞれの地域の産業と密接に関わり合い、地域に多くの恩恵をもたらしたが、その反面、川に対する考え方は地域で異なることとなり、様々な課題が生じている。
今後、常呂川が抱える多くの課題はその地域のものだけではなく、流域全体の共通の課題という認識のもと、流域の人々の連携により解決を図る必要がある。
さらに、常呂川流域の住民は、よりよい常呂川を後世に残していくために、川への理解と河川愛護の精神を育みながら流域の将来像を見据え、河川整備や河川環境の保全等、流域の特色を生かした川づくりを自ら考えていくことが必要である。
今後、常呂川が抱える多くの課題はその地域のものだけではなく、流域全体の共通の課題という認識のもと、流域の人々の連携により解決を図る必要がある。
さらに、常呂川流域の住民は、よりよい常呂川を後世に残していくために、川への理解と河川愛護の精神を育みながら流域の将来像を見据え、河川整備や河川環境の保全等、流域の特色を生かした川づくりを自ら考えていくことが必要である。
(1)流域の人々との情報交換について
適正な河川管理・川づくりを行うためには、河川管理者・地元自治体・地域住民が相互に情報交換や意見交換し、住民の理解を得るように努める必要がある。
自治体と一般市民及び市民団体との情報交換、河川管理者と一般市民及び市民団体との情報交換は、様々な機会をとらえて行う必要があり、ホームページ・広報誌等を利用した情報提供や意見の募集、各種イベントにおけるアンケート調査、河川に関する市民講座、学校関係への出張講義、シンポジウム、意見交換会の開催等が考えられる。
自治体と一般市民及び市民団体との情報交換、河川管理者と一般市民及び市民団体との情報交換は、様々な機会をとらえて行う必要があり、ホームページ・広報誌等を利用した情報提供や意見の募集、各種イベントにおけるアンケート調査、河川に関する市民講座、学校関係への出張講義、シンポジウム、意見交換会の開催等が考えられる。
また、開発局で整備中の光ファイバー網を流域自治体等を含めてネットワーク化し、情報交換、インターネットによる河川映像の配信等、利活用の可能性について検討することが肝要である。
(2)流域の人々との連携について
流域住民による河川管理等への参加が地域と密着した川づくりに寄与すると考えられることから、流域住民との情報交換・意見交換と併せ、住民が河川管理等に参加できる仕組みを検討することが必要である。そのためには、河川清掃はその一環であるが、一歩進めて、植生浄化施設等の維持管理を市民団体が行い、河川管理者や自治体がそれを支援するような仕組みを模索する必要がある。
(3)河川を利用した流域住民の交流について
流域住民が常呂川に対する共通認識を持ち、川への理解や河川愛護の精神を育むために、流域一体となった継続性のある河川清掃等のボランティア活動、各自治体・市民団体・NPO等が連携協力した地域ぐるみの「常呂川まつり(仮称)」などのイベント、記念的な事業(植樹など)等、河川を利用して上下流の住民が交流できる機会が必要である。
(4)自然環境学習について
近年、川への関心が薄れてきたと言われて久しいが、生活スタイルが変化したこと、川を利用した様々な遊びを伝授する人が少ないこと、川と生活との係わりなどを知る機会が少ないこと等も人を川から遠ざけていると推察される。
特に、未来を担う子供達が川について学べる機会の創出が望まれるが、学校教育への常呂川での野外学習の導入、夏休みを利用した常呂川体験ツアー、川に関する自由研究のコンテストなどの実施、親子で参加できる簡単な水質調査など、各地域単位での取組みを推進することが必要である。
特に、未来を担う子供達が川について学べる機会の創出が望まれるが、学校教育への常呂川での野外学習の導入、夏休みを利用した常呂川体験ツアー、川に関する自由研究のコンテストなどの実施、親子で参加できる簡単な水質調査など、各地域単位での取組みを推進することが必要である。