2.日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の発生予測及び被害想定(3)
2.日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の発生予測及び被害想定(3)
参考文献;「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」(平成18年1月25日)
2-3.被害想定及び被害の様相
1)被害想定
日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の防災対策を検討するにあたり、8タイプの地震それぞれについて、冬5時(阪神・淡路大震災と同じ発生時間帯)、夏12時(関東大震災と同じ時間帯)、冬18時(火気器具の利用がもっとも多い時間帯)、風速は、3m/s(阪神淡路大震災)と15m/s(関東大震災)で被害想定を行った。
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」(平成18年1月25日)(P17)より
2)被害の特徴
日本海溝・千島海溝周辺で発生する地震による被害の特徴は、以下のように整理することができる。
被害の特徴
(1) 津波による被害が揺れによる被害よりも甚大である。
(2) 想定している地震の震源域は陸地から遠く、津波が到達するまで比較的猶予があるため、迅速かつ的確な避難行動の実現により被害を大きく軽減できる。
(3) 積雪寒冷地の場合、以下の特徴がある。
・ 避難路の凍結により避難が困難となり、被害が拡大する。
・ 積雪による屋根荷重により建物被害が拡大する。
・ 火気使用量が多くなることから、出火危険性が高く火災被害の拡大が予想される。
(4) 比較的中小規模の都市が多く、被害集落が広域的に散在する。
(5) 広域的な連携による応急活動が的確に行われた場合、被害規模の軽減や早期復旧が期待できる。
被害の特徴
(1) 津波による被害が揺れによる被害よりも甚大である。
(2) 想定している地震の震源域は陸地から遠く、津波が到達するまで比較的猶予があるため、迅速かつ的確な避難行動の実現により被害を大きく軽減できる。
(3) 積雪寒冷地の場合、以下の特徴がある。
・ 避難路の凍結により避難が困難となり、被害が拡大する。
・ 積雪による屋根荷重により建物被害が拡大する。
・ 火気使用量が多くなることから、出火危険性が高く火災被害の拡大が予想される。
(4) 比較的中小規模の都市が多く、被害集落が広域的に散在する。
(5) 広域的な連携による応急活動が的確に行われた場合、被害規模の軽減や早期復旧が期待できる。
(i)人的・物的被害
人的・物的被害については、「津波による人的被害が多い」、「冬期には火災による建物被害が多い」傾向が見られる。
人的・物的被害については、「津波による人的被害が多い」、「冬期には火災による建物被害が多い」傾向が見られる。
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定について」(中央防災会議事務局)(平成18年1月25日)(P12)より
(ii)意識の違いによる人的被害の違い
日本海溝・千島海溝周辺で発生する地震は、震源が陸域より比較的遠く、津波の到達まで猶予時間があることが特徴的である。このことは、避難行動が迅速的確にとられれば被害軽減効果が大きく、逆に、適切な行動をとらなければ、人的被害が増加する可能性があり、適切な避難行動の重要性が指摘できる。
日本海溝・千島海溝周辺で発生する地震は、震源が陸域より比較的遠く、津波の到達まで猶予時間があることが特徴的である。このことは、避難行動が迅速的確にとられれば被害軽減効果が大きく、逆に、適切な行動をとらなければ、人的被害が増加する可能性があり、適切な避難行動の重要性が指摘できる。
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」(平成18年1月25日)(P23)より
(iii)冬期における被災
冬期には、積雪により避難が困難となるため、津波による死者は増大する。冬期に積雪量の多い北海道には大きな被害をもたらす500年間隔地震では、「夏12時に発生した場合」に比べ「冬12時」では、表のように増大する。
冬期には、積雪により避難が困難となるため、津波による死者は増大する。冬期に積雪量の多い北海道には大きな被害をもたらす500年間隔地震では、「夏12時に発生した場合」に比べ「冬12時」では、表のように増大する。
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定について」(中央防災会議事務局)(平成18年1月25日)(P12)より
積雪による建物への被害については、屋根に積もった雪のため揺れによる全壊棟数の増加(被害の拡大)につながる。
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定について」 (中央防災会議事務局)(平成18年1月25日)(P12)より
また、冬期間は、火気使用量が増大するため、火災による焼失棟数が、格段に増加する。
(iv)孤立集落発生の可能性
日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震においては、津波等により、沿岸部を中心に孤立集落が発生する可能性がある。
津波の影響をうける可能性のある北海道(根室支庁~渡島支庁)から、福島県にかけての太平洋沿岸で、孤立する可能性のある漁業集落は、約270であり、全国約1,800 集落の約15%にあたる。また、内陸部の集落(農業集落)も含めると、孤立する可能性のある集落は、約1,590集落であり、全国約18,830集落の約8%にあたる。
・孤立危険性のある漁業集落
日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震においては、津波等により、沿岸部を中心に孤立集落が発生する可能性がある。
津波の影響をうける可能性のある北海道(根室支庁~渡島支庁)から、福島県にかけての太平洋沿岸で、孤立する可能性のある漁業集落は、約270であり、全国約1,800 集落の約15%にあたる。また、内陸部の集落(農業集落)も含めると、孤立する可能性のある集落は、約1,590集落であり、全国約18,830集落の約8%にあたる。
・孤立危険性のある漁業集落
・孤立危険性のある農業集落
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に関する専門調査会報告」(平成18年1月25日)(P24,25)より
(v)経済被害
経済被害についてみると、被害額が最も大きいと予測されるのは、宮城県沖地震で約1.3兆円に達する
経済被害についてみると、被害額が最も大きいと予測されるのは、宮城県沖地震で約1.3兆円に達する
※十勝沖・釧路沖の地震の内訳
- 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定について」(中央防災会議事務局)(平成18年1月25日)(P14、43)より