考え方(森林の機能)
考え方
森林の機能
- 日本学術会議答申(平成13年11月「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について(答申)」)では、森林の多面的な機能について評価する一方で、森林の水源かん養機能(洪水緩和機能等)の限界について指摘しています。
- 治水上問題となる大雨のときには、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、降った雨のほとんどが河川に流出するような状況となることから、降雨量が大きくなると、低減する効果は大きくは期待できません。
- このように森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが、大洪水においては顕著な効果は期待できません。
- 治水・利水計画は、あくまで森林の存在を前提にした上で策定されており、森林とダムの両方の機能が相まってはじめて目標とする治水・利水安全度が確保されます。
アメリカにおけるダム・堰の撤去
- 平成12年3月に出された「公共事業の個別事業内容・実施状況等に関する予備的調査についての報告書」(衆議院調査局)によると、「米国連邦政府および州政府においてダム建設を全面的に中止・休止したわけでなく、西部の州においては現在も州政府により大型ダムを建設中である」とされています。
- また、世界大ダム会議(ICOLD)が平成11年9月にまとめた資料によると、カリフォルニア州などの水需給の逼迫している地域などで、42ダムが工事中とされています。
- 一方、米国の民間団体(アメリカンリバース等)の調査によると、撤去されたとされる467施設の中で、撤去した施設の高さが分かっているもの(364施設)の9割以上が、高さ15m未満の、我が国では「ダム」と呼ばず「堰」と呼んでいるものであることが分かっています。撤去された施設の多くが、発電、レクレーションを目的としたもので、治水など人命・財産に関わるものは少ないのが実態です。
- これまでに撤去された施設(代表26事例)は、その大半が小規模な取水堰であり、既に使用不能な施設や老朽化などにより、安全面で問題のある施設、維持修繕費がかかりすぎ経済的に成り立たない施設です。