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観光 体験 胆振歴史紀行~縄文文化編~

胆振歴史紀行~縄文文化編~

 ※これは平成23年(2011年)10月掲載の情報です。

「北海道には歴史があまりない」などと良く言われますが、洞爺湖有珠山ジオパークなどの太古からの地球の動きを知ることができるスポットをはじめ、縄文遺跡などの先史時代やアイヌの人々の歴史を知ることができるスポットもたくさんあります。そして、江戸後期から明治時代以降の北海道開拓の歴史を知ることができる場所もたくさんあります。
中でも、縄文遺跡については、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」として、世界遺産に登録しようという動きがあるほど、「今が熱い!!」のです。

今回、訪問したのは、
です。では、胆振地方にある縄文文化スポットをご堪能ください。

入江・高砂貝塚館

JR洞爺駅から東に1キロメートルに「入江貝塚」「高砂貝塚」「入江・高砂貝塚館」があります。二つの貝塚は国指定史跡で、縄文時代早期から晩期、擦文文化期、近世アイヌ文化期の集落遺跡を見ることができます。ちなみに「擦文文化期」とは、北海道に見られる特有の時代で、縄文時代から続く時代で、使われた土器は刷毛目(はけめ:土器に木べらで違う種類の土を塗る)模様で、狩猟が主で雑穀農耕も行っていたようです。鉄器も使われるようになり、その後にアイヌ文化期に続いていきます。

「入江貝塚」は、「入江・高砂貝塚公園」として整備されており、縄文時代前期(5000年前)から後期(3500年前)の貝殻や動物の骨のほか、竪穴住居跡と人骨28体が発掘されています。「高砂貝塚」は、縄文時代晩期の墓地から発掘された人骨に、道南アイヌの特徴が見られるなど重要な遺跡とされているそうです。

さて、まずは「入江・高砂貝塚館」を見学します。同館には、入江・高砂貝塚からの出土品や縄文人が使っていた道具など200点が展示されています。当館は、4月1日~11月30日まで開館、休館日は月曜日と祝日の翌日、12月1日~3月31日です。開館時間は9:00~17:00で、12:00から13:00は休館です
入館料は、大人150円、小中校生100円。団体(15名以上)は各50円割引となります。

行き方は、虻田市街の国道37号山側に「入江・高砂貝塚0.3キロメートル」と看板が出ています。でもちょっと小さいので見逃してしまうかも。その看板のところから山側に伸びる道路をまっすぐ進みます。
  • 看板
踏切を渡り、ちょっとした坂を登ると、そこが「入江・高砂貝塚館」です。JR洞爺駅からタクシーで約2分、徒歩でも約15分程度で行くことができます。
  • 入江・高砂貝塚館
展示室は吹き抜け。中央には竪穴住居をイメージした造りになっており、体験学習なども行われます。その周囲には、土器や土偶、動物の骨などが展示されています。壁には色々なパネルが掛けられています。
  • 館内写真
  • 館内写真
展示室で、ひときわ目を引くのが、入江貝塚の断面を剥ぎ取って展示している標本。入江貝塚は、1500年かけて作り上げられたものなので、貝層の厚さは最も厚いところで2.8mもあります。この層を見ると、有珠山が噴火したときと思われる火山灰、縄文人が使った土器や石器などの道具類、縄文人が食べた動物の骨や貝などが見られ、縄文人がどのような生活をしていたのか想像がつきます。
  • 入江貝塚の断面
入江貝塚、高砂貝塚から出土した土器なども展示していますが、中でも全国でここだけに展示されているのがイノシシの骨で作られた装飾具。また、貝塚から発見されたお墓から出土した装飾具などもあります。そして、そのお墓がどのような状態だったのか、当時の人がどのような状況にあったのかも興味深いです。
  • 館内写真
  • 館内写真
1階には展示室のほか、体験コーナーもあります。シカの角を触って持つことができます。
また、縄文土器の模様をつけることができます。縄文人のように縄で模様をつけて、あなたも縄文人になれます。
  • 館内写真
2階には、続縄文、擦文、近世アイヌ期の土器が展示されています。骨格器や土器の作り方の説明書きもあります。
  • 館内写真

入江貝塚~入江・高砂貝塚公園~

「入江貝塚」は、旧国道230号沿い(現在は町道「板谷川大通り線」。2000年の有珠山噴火により旧国道230号は道路が寸断されてしまいました)の小高い台地の上にあります。現在は、「入江高砂貝塚公園」として整備されており、公園内は復元された住居のほか、遺跡からの出土品についての解説板などもあり、縄文時代を肌で感じながら、学ぶことができます。

この台地には3つの大きな貝塚がありました。ここには最も大きい貝塚があり、大きさは約50×40m、貝層の厚さは最大で約2.8mありました。貝塚が作られた時期は縄文時代前期(約5,000年前)から後期(約3,000年前)で、1663年の有珠山噴火で降り積もった火山灰で現代までそのまま残っていたのです。貝塚からは貝や動物の骨のほか、人骨19体見つかっています。貝塚は、ただのゴミ捨て場ではなく、食べ物や使った道具・人などを「葬る場所」のようです。

公園の入口です。入口は、旧国道から反対側にある写真の入口と、旧国道沿いにある入口があります(こちらは階段で昇る)。周りは住宅街で、近くに駐車場がないので、入江・高砂貝塚館から歩いて向かいました。
  • 公園の入口
土葺きの縦穴住居があります。木の葉っぱではなく、屋根に使う材料として土を使っています。縦穴住居で屋根に使われる材料としては、茅葺き、土葺きのほか、獣皮葺きというのもあるそうです。
  • 土葺きの縦穴住居
骨組みだけの縦穴住居もあります。どの様に組まれているかがすぐ分かります。
  • 骨組みだけの縦穴住居
公園には、厚さ2m長さ15mにわたり貝塚の層を剥ぎ取って、その断面を展示しています。解説パネルもあるので、貝塚のことが良く分かります。
  • 貝塚
貝塚とは言いながら、貝類は少なく海獣や魚の骨がたくさん積もっているとのこと。灰や焼け土も多く、貝塚断面は黒っぽいため、入江貝塚は「黒い貝塚」とも呼ばれています。
  • 貝塚
公園の全景。左に貝塚の断面展示しているトンネルがあり、中央は復元された土葺きの縦穴住居。パッと見たら土が盛ってあるだけに見えます。右は木で組まれて骨組みが一目で分かるようになっている縦穴住居。
  • 公園の全景

高砂貝塚

「高砂貝塚」は、「入江高砂貝塚館」を挟んで「入江貝塚」の反対側にあります。貝塚館から国道とは反対側の道を左に出て突き当たりが高砂貝塚です。高砂貝塚では、縄文時代後期(3500年前)に作られた貝塚と、縄文時代晩期(2500年前)に作れられたお墓28基が発見されています。お墓から発見された抜歯人骨は道内初の事例だそうです。また、お墓の周りからはストーンサークルが発見されています。
ここが高砂貝塚。現地は辺り一面野原で、ここが太古の昔に縄文人が生活を営んでいたのかどうか、よく分かりません。しかし、解説板が立っているので、ここが貝塚であったことが分かります。
  • 高砂貝塚

北黄金貝塚公園

伊達市北黄金には、7000年前の縄文早期から3000年前の中期にかけて形成された、縄文貝塚遺跡があります。総面積は、30万平方メートルに及び、そのうち約9万平方メートルが2000年に国史跡に指定されています。この規模は、史跡指定された縄文貝塚遺跡の中では、国内最大規模。地球の寒冷化・温暖化による海岸線の変化によって貝塚が徐々に移動し、区域内からは5ヵ所の貝塚が発見されています。また、湧水を中心として石皿や擦石が大量に敷き詰められた「水場遺構」、約6000年前の墳墓から人骨なども発見されています。
貝塚周辺は「縄文の丘」として公園化され、入り口付近には出土品や貝塚の断面、墓地などの復元模型などを展示する「北黄金貝塚情報センター」が設けられ、他にも復元された竪穴住居や貝塚もあります。また、センターでは、石斧づくりなどの縄文人体験ができる学習メニューもあります。

開園期間は、4月1日~11月30日(期間内無休)、開館時間9時~17時、入館料は無料です。


車以外での行き方ですが、JR黄金駅から道南バスで「北黄金貝塚公園前」で下車・徒歩5分、JR伊達紋別駅から道南バス「室蘭港行き」で約20分・「北黄金貝塚公園前」で下車・徒歩5分です。

伊達市北黄金地区の国道37号を走っていると、山側に「史跡北黄金貝塚公園」の看板があります、そこを曲がり、すぐ右に曲ってちょっと進むと駐車場があり、画像のような看板があります。
  • 史跡北黄金貝塚公園の看板
こちらは「北黄金貝塚情報センター」。ちょうど児童を対象とした体験学習が行われていました。
  • 北黄金貝塚情報センター
センターを入ると、遺跡から発掘された出土品等が展示されています。
  • 北黄金貝塚情報センター
  • 北黄金貝塚情報センター
  • 北黄金貝塚情報センター
  • 北黄金貝塚情報センター
貝塚からは縄文人の墓が発見され、これまでに14体の人骨が発掘されており、当センターでは埋葬状況、発掘状況が再現されています。
  • 縄文人の墓
情報センターを出て、公園内を散策。敷地内には竪穴住居が再現されています。当遺跡では、1996年に住居跡が発見されており、その跡に竪穴式住居を復元しています。およそ4000年前のもので、当時のムラは5軒程度、20~30人程度だったと考えられています。
  • 竪穴住居
竪穴式住居の内部と入口。内部は自由に見ることができ、サケが燻されていました。また、入口は日が入るように南向きです。
  • 竪穴式住居の内部
復元住居の前には石がたくさん置かれたスペースがありました。湧き水のあったこの場所からは、多くの調理用石器が出土しています。これらの石器の殆どは壊れており、使われなくなった石器をここに集め、供養したと考えられています。また、綺麗な刻み模様の入った石などが出土しており、この場所で石を供養する儀式が行われていたと考えられています。
  • 復元住居の前
  • 復元住居の前
貝塚からは貝や魚の骨の他、人骨も発掘されており、当時の縄文人は「貝塚は全ての生き物の墓地」と考えていたということが判明しています。
  • 貝塚
  • 貝塚

室蘭市民俗資料館(とんてん館)

国道37号と、白鳥大橋へと続く高架橋が交差する場所、室蘭方面から進むと右手に、陣屋町へと続く道があります。国道からその道に入り、100mほど進んで左折すると、そこに印象的な建物が視界に入ってきます。正倉院で有名な校倉造りを模した「室蘭市民俗資料館」の建物です。

こちらが外観。当資料館は無料で、開館時間は10:00~16:00まで(入館時間は15:30まで)。休館は毎週月曜日、祝日の日の翌日、年末年始(ただし夏・冬・春休み中は無休)のほか、1月20日から3月19日までは整理休館となっています。

ちなみに、別称を「とんてん館」と言うそうです。これは、室蘭の産業の根幹である製鉄における鉄を打つ音「とんてんかん」と、屯田兵の「とんでんへい」の音を掛け合わせ、「かん」の音を「館」としているのだそうです。
  • 室蘭市民俗資料館
1階には、明治期からの日常生活用具などを納めた収蔵庫があり、収蔵と展示を一体化した陳列方法をとっています。約8,000点があるそうですが、今回の目的はここではありません。

2階は、常設展示室があり、室蘭の歴史を体系的に紹介しています。縄文遺跡関係では、室蘭にあるエトモ、ポンナイ遺跡から出土した土器群などが展示されています



2階展示室入り口。民俗資料館には、特に続縄文時代の資料が豊富とのこと。雰囲気が出ています。
  • 2階展示室入り口
このように室蘭の遺跡から発掘された土器や石器などを展示しています。
  • 土器や石器
  • 土器や石器
こちらは1970年頃にエトモ遺跡から発掘された続縄文時代の熟年男性の頭蓋骨から復元したもの。法医学の観点から当時の科学の総力をあげて試みられたそうです。う~ん、この鋭い眼光で獲物を逃さなさそうです。
  • エトモ遺跡

登別市郷土資料館

「登別市郷土資料館」は、白石城主・片倉家の居城をモデルに建てられています。
幌別市街のJR幌別駅から北へと向かう道道327号「弁景幌別線」を北に向かって進み、高速道路の下を通ると、まもなくするとお城のような建物が見えてきます。これが資料館です。川上総合公園に隣接しているほか、近くには幌別ダムがあります。

「資料館」は、登別市指定の文化財や縄文時代の遺跡からの出土品、郷土史や文化を伝える資料を展示しています。隣接する「登別市文化伝承館」は、工芸品づくりや郷土芸能の講習会などを時季に応じて開催しており、自由に参加することができます。
  • 登別市郷土資料館
1階は、明治・大正・昭和の生活必需品や登別の産業に関する資料が展示されています。産業に関する資料では、幌別鉱山で使われた機械・道具を展示しています。生活用具なども展示されています。そして、今回のお目当ての縄文関係の資料も展示されています。



これは、4万年前のクッタラ火山の噴火により焼け焦げたトドマツ。道路工事の際に、立ったままの状態で発見されたもので、大変貴重なものらしいです。
  • 焼け焦げたトドマツ
遺跡出土品や化石群も展示されています。
  • 遺跡出土品
1階には、縄文関係の資料の他、明治・大正・昭和時代の生活必需品や、温泉や鉱山などの登別産業の特色に関する資料が展示されています。
2階には、登別開拓の礎となった片倉家に関する資料が展示されています。
3階には、「アイヌ神謡集」で知られている知里幸惠を始めとする知里家やアイヌの人たちに関する資料を展示しています。
時間があれば、是非ご覧ください。


当資料館の休館日は月曜、祝祭日の翌日、年末年始。開館時間は、4月~10月は9:00~17;00、11月~3月は9:00~16;00。入館料は大人190円、小中学生60円。

車以外の行き方は、JR室蘭本線「幌別駅」下車、道南バス「郷土資料館行き」に乗車、「終点」で下車、徒歩1分です。

苫小牧市博物館

「苫小牧市博物館」は、「樽前山麓・勇払原野の自然と文化」をテーマに、郷土の自然や考古、歴史、アイヌ文化などに関する資料を収集・保存し、これらを「1.大地の生い立ち」「2.原野の生物たち」「3.原野のあけぼの」「4.アイヌのくらし」「5.開拓のあゆみ」「6.伸びゆく苫小牧」「7.スケートのまち苫小牧」のコーナー毎に展示しています。

当博物館の休館日は月曜日、祝日(こどもの日・文化の日を除く)、年末年始(12月30日~1月6日)。無料開放日は「こどもの日」と「文化の日」。開館時間は9:30~17:00(入館時間は16:15まで)。入館料は大人300円、高校生200円、小中学生は無料です。

場所は、苫小牧市役所の近くにある市民文化公園の一角、国道36号と276号の交差点から港に向かう市道「港通」沿いにあります。車を利用する場合は、市民文化公園南側駐車場を利用します。車以外で行く方法としては、駅前バスターミナルから、錦西光洋線(13)、錦西文化公園線(14)、港町線(23)、フェリー線(24)、勇払線(25)、植苗線(33)に乗車、「文化公園」で下車、徒歩5分です。



博物館の外観は、アイヌのチセをデザインしたもので、壁面には信楽焼のタイルを施すという独特なものです。
  • 苫小牧市博物館
当館の展示物は撮影禁止です。しかし、当館のホームページでは「デジタル資料室」として、展示物の一部を見ることができます。これらの公開されている資料等を基に、展示内容をご紹介しましょう。



まずは、貝塚の剥取模型。樽前山の噴火により何層にも堆積した白く見える火山灰と、縄文人の生活の痕跡が沢山詰まっている黒く見える貝塚層のコントラストを見ることができます。この画像は、博物館HPのデジタル資料室で公開されているものです。
  • 貝塚の剥取模型
新千歳空港近くの美沢1遺跡から発掘された抜歯人骨というのもあります。この抜歯人骨は道内の7遺跡から10体発見されているそうです。抜歯は、成人式などを行う上での重要な儀式だったと考えられています。

 苫小牧東部地区にある静川22遺跡から発掘されたお墓も展示されています。今から1900年くらい前の成人のお墓で、手足を折り曲げた屈葬で埋葬されています。



なんと言っても圧巻は、苫小牧市にある遺跡から出土した土器群を時代別に並べ展示しているコーナー。この画像も博物館HPのデジタル資料室で公開されているものです。このように時代順に並べていくと、土器の変遷が良く分かります。
  • 土器の変遷
隣接する埋蔵文化財調査センターは一般公開していませんが、考古学展示が充実しているとのこと。



今回ご紹介した遺跡や博物館の中で「入江・高砂貝塚」「北黄金貝塚」は、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」として、世界遺産登録に向けた取り組みが行われています。「ただの原始時代の遺跡がどうして世界遺産なの?」と思っていませんか?しかし、縄文文化は、私たちが思っているほど未開ではなく、独自の文化を持ち、世界史上の特色ある価値を持っているのです。今回の体験記ではそうした特色ある文化の一端をご紹介しました。縄文文化については、日々発見があり、より一層、縄文文化への理解が深まっています。みなさんも、縄文文化についてもっと注目してみませんか?
参考文献
  • 新全国歴史散歩シリーズ1 新版北海道の歴史散歩 北海道歴史教育研究会編 山川出版社(1994)
  • 歴史散歩1 北海道の歴史散歩 北海道高等学校日本史教育研究会編 山川出版社(2006)
  • 北海道 新 博物館ガイド 北海道博物館協会編 北海道新聞社(1999)
  • 世界遺産をめざす15遺跡 縄文遺跡ガイド 北海道・北東北 インテリジェント・リンク地域資源研究所編(株)インテリジェント・リンク(2008)

お問合せ先

地域連携課

  • 住所:室蘭市入江町1番地14
  • 電話番号:0143-25-7053

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