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WEB広報誌 かいはつグラフ2013.11 インタビュー

インタビュー

  • インタビュー

南幌町農業協同組合の代表理事組合長である荒明(あらあけ)稔氏にお話を伺いました。

  • 荒明稔氏1

    ※平成21年度に受賞した農業農村工学会上野賞の賞状とたてをバックに----荒明組合長

-----国営農地再編整備事業「中樹林地区」が平成20年度に完了して、中樹林地区に何か変化はありましたか?
(荒明組合長)
 一番大きな変化と言えば、収穫量です。
 もともと中樹林地区は泥炭地であることや、区画が狭く、作業効率が悪いことなどが影響し、生産性が低いことが長年の悩みでした。
 これまで、国営農地再編整備事業だけでなく、道営事業を含め、過去から数回事業を実施してきた経緯があります。南幌町も協力的に事業を進める体制づくりを行ってきました。その甲斐あって、抱えていた様々な問題が改善され、今では、この辺りでも生産性が高い地区のひとつとなっています。
 ほ場の大区画化によって、大型機械を使い効率的に作業を行えるようになったことに加え、地下かんがいシステムの導入によって、簡単な操作で水の管理が的確に行えるようになりました。近年多発している局地的なゲリラ豪雨による湛水(※注1)被害を避けるためにも、今や不可欠なものとなっています。
 また、国営農地再編整備事業の着工と時期を同じくして、町内で農業生産の組織化の機運が高まり、現在では11の農業生産法人があります。農業の法人化も生産性が上がっていることのひとつの要因だと考えています。
 いくつかの農家が集まって法人を立ち上げることで、それぞれに得意な仕事を割り振ることができ、全員が自分に与えられた仕事に専念することで、効率的によい農作物がたくさん収穫できるということにつながっているのではないでしょうか。
 収穫量が上がったこと、これは、農家にとって本当に大きなことです。
 その結果、多くの農家が目標を持って働くようになったような気がします。例えば、「年末にハワイ旅行に行くことを目標に毎年頑張ろう」という法人もいるんですよ。農業経営がきちんと成り立って安定していなければ叶わないことなので、良い傾向だと思っています。
 9月に札幌で全国土地改良大会が行われた際には、全国から約600名強の農業関係者が中樹林地区に視察に来てくれました。そういうことも地元にとって励みになっています。
荒明稔氏2
-----意欲的な地域なので、農産物のブランド化や6次産業化などの取組も積極的に行われているのではないでしょうか。代表的な例をご紹介ください。
(荒明組合長)
 なんぽろピュアライスという、農薬の使用量を最小限に抑えて育てたクリーン米を作っています。
 以前は、稲の種子を消毒する際に農薬を使っていましたが、道外のある地域を視察した時に、農薬を使わずお湯を利用して消毒をしていました。
 農薬の使用量を減らすことができるということは、お米の安全性が高まることはもちろん、環境に与える負担を減らすことができます。「これはいい」と思い、早速取り入れました。なんぽろピュアライスは、農薬の削減に対する取組が評価され、環境に配慮した農業生産活動を意欲的に行っている団体などに贈られる「環境保全型農業推進コンクール農林水産大臣賞」を受賞しています。世界的に食の安全・安心に対する需要は高まっていますから、積極的に取り組んで差別化を図っていかなければ、これからの時代は生き残っていけないと思っています。
 酒加工用の「彗星(すいせい)」という名称のお米も作っています。「彗星」は、道内の酒造メーカーに日本酒に加工してもらっています。
 また、焼酎造りが盛んな熊本県多良木町と南幌町が姉妹都市であるというご縁から、南幌町産の米を使って多良木町の酒造メーカーに焼酎を造ってもらっています。どちらも出荷本数は多くないのですが、毎年楽しみにしてくれている人も多くて、すぐに売り切れてしまいます。
 町内で収穫したキャベツを町内で加工した「キャベツキムチ」は、札幌圏のスーパーでも売られているので、知っている方も多いのではないでしょうか。
 そのほかにも、アイディアが成功につながっている例があります。最近、ピュアホワイトという生で食べられる糖度の高いとうもろこしに人気が集まっています。一定の規格を満たしていないものは出荷できません。その規格外のピュアホワイトをスープに加工して商品化しています。このスープは、最近、人気が急上昇しているようです。規格外というだけで出荷できない農産物が工夫次第で商品になり、みなさんに食べていただけるのですから、うれしい話です。
  • 特産品
-----最後に、地域が目指す将来像や、今後の抱負などをお聞かせください。
(荒明組合長)
 日本の農業における課題のひとつとして、後継者不足問題があると思いますが、この地域ではそれほど心配していません。
 最近の若い人は、大型機械に乗って営農するといったスタイルを求める傾向にありますが、そういうニーズにも対応していますし、子供が後を継がないので離農するというケースがあっても、その後を引き継いでいこうという人がすぐに現れます。
南幌町農業協同組合
 このように比較的安定した潜在能力を持っている地域ではありますが、これからは、国内はもちろん海外にも目を向けていかなければならない時代なので、私達JAとしては、この転換期に対応し得る地域農業の持続的な発展を支える頼りになる存在でありたいと思っています。
 北海道には食料基地としての役割が求められています。この地域は、事業によって農業にとって基本である「生産の基礎」ができあがり、食料基地としての役割を果たしていくことができる地域になりました。この強みを活かして、米だけでなく畑作物や野菜なども生産できる多目的な農業を目指しています。

(※注1)湛水(たんすい):水がたまること

お問合せ先

開発監理部 広報室

電話番号:011-709-2311 ファクシミリ:011-709-8995


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