講演1 「北海道における水素の可能性」
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北海道大学大学院工学研究院教授 近久 武美 氏

北海道大学大学院工学研究院教授
一つは、石炭や天然ガスを水蒸気と反応させて水素を製造し輸送する。その際に発生するCO2はCCS技術により地面の中に埋めてしまう。もう一つは再生可能エネルギーで作った電気で、例えば風がたくさん吹いて電気が余っている時間帯に水素を製造しておく。それを液体水素、あるいは有機ハイドライドという物質に変換する。いずれの方法になるのかわかりませんが、そのような技術で生成した水素をステーションに送り、燃料電池自動車に供給する。場合によっては、都市ガスのラインに水素を混ぜて各家庭に送り、コージェネレーション装置で発電する一方、その排熱で暖房や給湯をする。このような形で、水素を利用していく社会になるのではないかとイメージします。
北海道で年間に使っている電気エネルギーを、太陽電池30%、風力70%で賄おうとすると、どれだけの面積や長さが必要かという試算をしました。太陽電池を直径9kmの面積に並べる一方、直径65m級の風車を150m間隔で8列、計90kmくらい並べると、これで北海道の必要な年間の電気量が賄えるのです。この面積に関して皆さんに言いたいことは、「我々は食料生産でどれだけ畑の面積を使っていますか」と聞くと、「そんなに使っているのか?」と言う人はいません。それに比べてもっともっと少ない面積で、自然エネルギーは十分供給できるポテンシャルがあることをここで強調したいのです。面積的には問題ないのです。
ただし、自然エネルギーはコストが多少高くなります。しかし、我々が払ったお金は、今は大部分が海外に燃料代として出ています。それが自分たちの自然エネルギーインフラ作りでお金が循環するのであれば、雇用も増えてくるわけです。したがって、このように考えるとコスト的にも問題ないと言えるわけです。
北海道は、食料や自然エネルギーで豊かになれるのです。ただし、その際のメカニズムをしっかり考えないといけません。すなわち、儲かる話は概して道外資本に良いところを取られてしまうわけです。したがって、道外資本に対抗できるように我々道民から広くお金を集め、お金を循環させるシステム作りが必要だと思います。水素社会を形成する初期段階は行政の資金投入によるリードが必要です。行政の役割は非常に大きいでしょう。
道外資本に対抗し、北海道が食料とエネルギーで豊かになるために、市民ファンドの形成を政策的にリードするような考え方が必要だと思います。
ただし、自然エネルギーはコストが多少高くなります。しかし、我々が払ったお金は、今は大部分が海外に燃料代として出ています。それが自分たちの自然エネルギーインフラ作りでお金が循環するのであれば、雇用も増えてくるわけです。したがって、このように考えるとコスト的にも問題ないと言えるわけです。
北海道は、食料や自然エネルギーで豊かになれるのです。ただし、その際のメカニズムをしっかり考えないといけません。すなわち、儲かる話は概して道外資本に良いところを取られてしまうわけです。したがって、道外資本に対抗できるように我々道民から広くお金を集め、お金を循環させるシステム作りが必要だと思います。水素社会を形成する初期段階は行政の資金投入によるリードが必要です。行政の役割は非常に大きいでしょう。
道外資本に対抗し、北海道が食料とエネルギーで豊かになるために、市民ファンドの形成を政策的にリードするような考え方が必要だと思います。