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■ 第5回平取ダム環境調査検討委員会
(委員) 渡辺委員、越塚委員、齋藤委員、坂本委員、高橋委員、中井委員、中林委員、藤巻委員、眞山委員 (事務局) 浦上室蘭開発建設部次長、川村沙流川ダム建設事業所長 ほか
議事内容
1.平成16年度調査報告について 2.確認された重要な種について 3.追加調査について
・出水後の影響について、各専門家の意見を聞きながら、必要となる項目はモニタリングを継続していく。 ・環境レポートについては、雛型となるようなものはないが一部の先例を参考に作成していく。
主な意見
・同じ流量でも濁質の負荷量が約100倍になっている。濁質の沈降性も悪く、流出特性が変わってしまっている。 ・崩壊斜面等の早期の復旧が必要であり、長期的な濁質の変化をしっかり捉えていく必要がある。また、今後ダムの運用方法が見直されるようなら、これらのデータをダム運用に生かして欲しい。 ・出水前後の変化については、個体数を捉えなければ分からない。確認種の目録だけの整理では分からない。 ・生態系の調査で、林相毎のデータを取っているはずだが、そのデータが生かされていない。 ・重要な種のサクラマスの当歳魚の出現が1~2個体しか見られないことから、この水系ではほとんどいなくなったと考えられる。少なくとも、去年と今年の2年間は、産卵がほとんど行われていない。来年も同様と考えられる。 ・今の状況が長く続くとすれば、このデータで何を評価するのか。ダム事業の影響予測を、出水の前後でどの時点に基本を置いて考えるのか難しい。 ・ダム事業の影響を考えることが本委員会の目的だったが、自然の出水という、それ以外の影響を考えなければならなくなった。 ・追跡調査を実施して、サクラマスがいつ戻ってくるのかを見ていく必要がある。 ・調査結果に、オオサクラソウ、エゾハナシノブが上げられている。日高町でエゾオオサクラソウを確認しているので、この流域にも生育しているかも知れないと考えている。また、日高地方はミヤマハナシノブが目立っており、額平川の上流で確認しているので、これも生育しているかも知れない。この2種には留意して調査をしてほしい。 ・崩壊地の早期復元ということについて、種子吹付けに外来種や本州産の種を用いている例が多い。北海道、できれば日高地方の植物で修復してほしい。 ・生態系の猛禽類の調査の結果を、重要な種の調査結果に反映させるべきである。 ・クマタカの繁殖率が落ちていることについて、出水によって斜面の崩落や枝が折れるといった影響が出ていると思うが、隔年繁殖の影響とも考えられる。今後の繁殖状況を調査していくべきである。 ・生態系の回復という観点での資料としてとりまとめてもらいたい。 ・景観に関しては、新しい視点場についての取り扱い、付替道路の橋等の取り扱い、シークエンス景観という捉え方、こういった考え方が重要である。土捨場の復元、工事中の仮囲い等に対しての配慮が必要である。 ・事業の目的とは違うかも知れないが、本調査は昨年の被災から復元していく状況をモニタリングしていく資料として用いられる可能性があるので、留意しながら実施していただきたい。 ・文献調査は、記載されている情報が信頼できるかどうか、特に「町史」などは、執筆者に注意して文献の選別を行う必要がある。調査対象範囲で生息しているはずがないマルタ、シシャモ、マハゼといった種が文献調査による確認種に入ってくると評価できないので、文献情報についての選別が必要である。文献については注意して、ものによっては掲載しない等を考えるべきである。 ・崩壊地の復旧状況を図面に整理し、それと水質等を比べながら整理してほしい。 ・景観についても、地形や地域の特質にあわせた目標とすべき景観像がないと、評価が難しい。 ・現在、環境省でオジロワシとオオワシの保護増殖事業について検討している状況がある。特にオオワシについては国内では繁殖していないことから、ねぐら等が保護対象となる。どのような保護増殖に向けた保全を行うか検討中だが、定量的な調査が必要である。今後、春、夏の調査をやるのだから、その中で検討できないか。 ・追加調査はいくらでも実施すれば良いと思う。ただ、ダムの計画の見直しを行う時期に来ているのではないか。もし、そのような考えがあれば、早く公表し、一般住民との確執を避けるよう努力すべきである。
※ 当資料は、第5回委員会において各委員から指摘を受け修正を加えており、当日配布されたものと一部違っていますので、ご了承ください。