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釧路港国際物流ターミナル整備事業~全国初の飼料用穀物の輸入拠点が完成~

国際バルク戦略港湾・釧路港において、北日本の飼料用穀物の安定的かつ安価な輸入の実現を図るため、平成26年度から整備を進めてきた水深14m岸壁を擁する国際物流ターミナルが平成30年11月に完成しましたので、プロジェクトの概要や岸壁工事の工夫などを紹介します。

※国際バルク戦略港湾とは、我が国の産業や国民生活に欠かせない物資である鉄鉱石、石炭、穀物の安価かつ安定的な輸送を実現するため、バルク貨物(梱包をせず、船に直接積み込む貨物)の輸入拠点として、国土交通省が選定した港湾です。

プロジェクトの概要

  • 釧路港国際物流ターミナルパナマックス船 釧路港国際物流ターミナル

    (パナマックス船とは、パナマ運河を航行可能な巨大船舶です。)

全国乳用牛飼育頭数(平成29年度)
釧路港は、全国約5割の乳牛を飼養する生乳・乳製品の一大産地である東北海道地域を背後圏とし、穀物の主要生産地域である北米に最も近い穀物輸入拠点港です。釧路港第2埠頭周辺には、穀物用サイロ、飼料工場などが集積しており、釧路港では乳牛などのエサとなるトウモロコシ等の飼料原料を年間185万トン(平成29年)取り扱っています。
釧路港をはじめ、我が国の港湾は水深不足のため、パナマックス船などの大型船が満載で入港できる港湾は少なく、積載量を減らしたり、大型船は他港で貨物を卸してから入港するなど、非効率な輸送を余儀なくされていました。こうした非効率な輸送を解消するため、釧路港において大型船の接岸が可能となる水深14m岸壁を擁する国際物流ターミナルを整備しました。
  • 釧路港整備前・整備後
本施設の整備により、穀物の主要生産地域である北米に最も近い釧路港に大型船が最初に寄港し、釧路港で多くの穀物を卸すことで、船が軽くなり船底が上がるため、その後、他港へ穀物を運ぶことが可能となり、大量一括輸送による安定的かつ効率的な海上輸送網の形成が可能になります。
  • 整備前・整備後における海上輸送の比較

水深14m岸壁建設工事における工夫

早期完成のための取組

非効率な輸送を早期に解消するため、大型船が満載で入港することができる水深14m岸壁を短期間で完成させる必要がありました。このため岸壁整備に当たっては、可能な限り工場製作を活用することとし、岸壁本体構造は海上作業期間を短縮できる「ジャケット式桟橋構造」とし、上部工のコンクリート床版にはプレキャスト部材を採用しました。
なお、ジャケット式桟橋構造とは、鋼管で組み立てた立体トラス(ジャケット)を海底地盤に打ち込んだ鋼管杭に被せた構造の桟橋です。(羽織るという意味から「ジャケット」と呼ばれます。)
  • 水深14メートル岸壁ジャケット式桟橋構造のイメージ 水深14m岸壁 ジャケット式桟橋構造イメージ
ジャケット製作状況
ジャケット製作状況
今回の工事で使用したジャケットの大きさは、長さ24.6メートル、幅20.0メートル、高さ14.0メートル、重量167トンで、これを11基使用しました。また、ジャケットの据え付けには、国内最大級の1,800t吊旋回式起重機船を使用しました。
ジャケット式桟橋構造を採用したこと等により、本事業は平成26年の着工から4年で完成することができました。仮に水深14m岸壁を一般的な重力式構造で整備した場合には、地盤改良などが必要になることなどから、今年度の完成にはならず、1年以上完成が遅れたと考えられます。
ジャケット据付工事1
鋼管杭打設状況
ジャケット据付工事2
起重機船によるジャケット据付状況
ジャケット据付工事3
最終ジャケット据付状況
試運転1(内航船)
試運転の様子
試運転2
試運転の様子

災害に強く長期間利用するための工夫(長寿命化・強靱化)

災害やメンテナンスにより、水深14m岸壁で穀物の荷揚げが出来なくなると、北日本の酪農業に大きな影響を与えることになります。例えば、ベルトコンベアの下に設置する床版が劣化し、補修を行う場合は、床版を撤去・再設置するため1年以上の期間が必要であり、この間、穀物の荷揚げが出来なくなります。そこで、床板の劣化に伴う荷役中断リスクを低減するため、ベルトコンベア下の床版に塩害劣化の恐れがない炭素繊維複合材を我が国で初めて本格的に採用し、床板の長寿命化を図りました。
また、岸壁は海水に接し、波しぶきを受けるなど腐食しやすい環境であるため、腐食対策としてジャケットにステンレスによる金属被覆と超厚膜形塗装を採用し長期耐久性を向上させました。
更に、釧路港が地震多発地帯に位置することから、岸壁を耐震強化するとともに、民間企業が設置する荷役機械(アンローダ)は免震構造を採用しました。
  • 災害に強く長期間利用するための工夫 災害に強く長期間利用するための工夫

プロジェクトの効果

飼料工場の建設状況
飼料工場の建設状況
本施設の整備により、我が国に飼料用穀物を運ぶ最大級の大型船であるパナマックス船が釧路港に満載で入港できるようになり、釧路港をファーストポートとする輸入穀物の海上輸送網の形成が可能になります。これにより、釧路港及び釧路港の後に入港する北日本の各港で荷卸しされる穀物の海上輸送コストの削減が実現します。
また、新ターミナルの背後で、既に穀物を貯蔵するサイロの増設や新たな飼料工場等の建設が開始されるなど、本プロジェクトにより、総投資額約116億円の民間投資が誘発されており、東北海道の経済活性化や酪農業の更なる発展が期待されます。
平成31年4月9日には、北米から船長229メートル、載重量約8万トンの大型船が入港し、水深14m岸壁で歓迎セレモニーが行われました。
  • 上空からの第1航入港の様子 第1航入港の様子
  • 水深14メートル岸壁での歓迎セレモニーの様子 水深14m岸壁での歓迎セレモニー

国際バルク戦略港湾~釧路港ができるまで~(動画)

  • 国際バルク戦略港湾釧路港ができるまで(動画)

お問合せ先

開発監理部 広報室

  • 電話番号:011-709-2311(内線5818)
  • ファクシミリ:011-709-8995

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