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稚内港湾事務所が平成30年度人事院総裁賞を受賞~我が国最北の地方港湾宗谷港での低潮線巡視業務~

平成30年度(第31回)人事院総裁賞授与一同記念写真
平成30年度(第31回)人事院総裁賞授与一同

(後列右から2人目が稚内港湾事務所冨澤所長)

北海道開発局稚内開発建設部稚内港湾事務所は、我が国最北の地方港湾である宗谷港の港湾区域内に位置する低潮線の保全を目的とする巡視業務を実施しています。このたび、排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economic Zone)等を確保するために厳しい自然環境下での着実な巡視業務の遂行が評価され、平成30年度の人事院総裁賞(職域部門)を受賞しました。

「人事院総裁賞」(昭和63年(1988年)創設)は、多年にわたる不断の努力や国民生活の向上への顕著な功績等により、公務の信頼を高めることに寄与したと認められる職員(一般職の公務員)または職域を顕彰するもので、北海道開発局では、平成5年度に受賞した網走開発建設部鹿ノ子ダム管理所以来、25年ぶり2例目の受賞です。

低潮線とは

我が国は四方を海に囲まれた海洋国家です。国土面積が約38万平方キロメートル(世界第61位)であるのに対して、領海と、我が国における漁業や天然ガス・メタンハイドレート等の海洋エネルギー資源の開発などを独占的に行うことができるEEZを合わせた「管轄水域」は、約448万平方キロメートル(世界第6位)と広く、国土面積の約12倍となっています。
管轄水域の境界は、沿岸から200海里(約370キロメートル)の範囲となっており、この境界を決める基準となる沿岸の線が、干潮時における陸地と水面の境界線である「低潮線」です。
低潮線の変状はEEZ等に大きな影響を及ぼすため、その保全は極めて重要であり、保全すべき重要な海域として「低潮線保全区域」が全国で185箇所指定され、そのうち48箇所が北海道にあります。
  • 低潮線と排他的経済水域等との関係(イメージ)

受賞までの道のり

顕彰の理由

職務の内容・重要性~EEZ等の確実な確保に貢献
宗谷港低潮線保全区域図
宗谷海峡を隔ててロシア・サハリンと対峙する位置にある我が国最北の地方港湾・宗谷港は、その港湾区域内に3箇所の低潮線保全区域を有しています。国土の狭い我が国にとって、EEZ等は貴重な海洋エネルギー・鉱物資源の開発や水産資源の利用を排他的に行うことができる重要な場であり、EEZ等を確実に確保していくためには、低潮線の保全が極めて重要となります。
宗谷港周辺は、冬期に氷点下の気温、強風、吹雪や波浪等の厳しい自然環境に見舞われますが、稚内港湾事務所では、一年を通じて、平成23年(2011年)度から予備調査も含めて8年間、EEZ等の基礎となる低潮線の人為的損壊行為や自然浸食による形状変化を海上及び陸上から巡視しています。
厳しい自然環境下にある国境に面した低潮線保全に関わる職務は、国民の共有財産であるEEZの確保に寄与しています。
  • 我が国の領海等概念図及び宗谷港の位置

    (領海等概念図は海上保安庁HPより)

職務の特殊性・勤務環境~厳しい自然環境下における職務の遂行
港湾業務艇りんどう
港湾業務艇「りんどう」
宗谷港港湾区域内にある低潮線保全区域の人為的損壊行為や自然浸食による形状変化に関する巡視に当たっては、宗谷港から約30キロメートル離れた稚内港から、稚内港湾事務所所有の港湾業務艇「りんどう」を回航して年4回(6、9、12、3月)海上巡視を実施し、近接位置から低潮線の状況確認を行っているほか、荒天後の高波浪や強風などで港湾業務艇の運行が困難な時には、陸上からの巡視を行っています。
宗谷港周辺は、冬期には日平均気温が氷点下となることに加え、年間を通して非常に風が強い地域で、12月の日平均風速は毎秒9メートルを超えるなど、冬期において特に風が強まる傾向にあります。一般的に風速が毎秒1メートル速まると体感温度は1℃低下すると言われており、稚内港湾事務所職員は、冬期間においてはとりわけ厳しい自然環境下において巡視に当たっています。低温や強風に加え、吹雪や波浪が伴う気象・海象条件下においては、作業環境は更に厳しさを増し、肉体的にも精神的にも苦労を伴う職務となっています。
  • 海上巡視の様子
  • ”” 陸上巡視の様子
このように、稚内港湾事務所職員は、肉体的・精神的に厳しい勤務環境の中で、国境に近接した位置にある低潮線の保全に関わる職務を、地道ではありますが着実に執行することによって、我が国国民の共通の財産であるEEZ等の確保に貢献し、公務の信頼の確保と向上に寄与していることが評価され、このたび受賞の運びとなりました。
  • 宗谷岬の年間日平均・日最低気温
  • 宗谷岬の年間日平均風速

表彰状の授与

平成31年2月14日明治記念館における表彰状授与式の様子
授与式の様子(平成31年2月14日明治記念館)
授与式は、平成31年2月14日に東京都港区の明治記念館において執り行われ、稚内港湾事務所の冨澤所長が出席し、厳粛な空気に包まれる中、一宮人事院総裁より表彰状が授与されました。
授与式後、皇居にて天皇皇后両陛下の御接見を賜り、天皇陛下から「気象条件が非常に厳しいところだと思いますが、健康に気をつけて、今後も職務に取り組まれてくださいと事務所職員の方にもお伝えください。」とのお言葉を賜りました。

今後の抱負~稚内港湾事務所から

表彰状
我が国とって貴重なEEZ等の基線となる低潮線の保全は、非常に重要な任務であり、その任務を稚内港湾事務所が担っていることに、責任の重さを痛感しているところです。
今回、人事院総裁賞を受賞し、地道な仕事ではありますが重要な任務として巡視業務を評価していただいたこと、また、広く国民の皆様に巡視業務を知っていただけたことにより、担当する職員はもとより、事務所全職員の士気がさらに高まり、今後、より一層のやりがいを感じながら業務に従事できると考えております。
稚内港湾事務所の紹介
””
稚内港湾事務所
【名称】国土交通省 北海道開発局 稚内開発建設部 稚内港湾事務所

【所在地】北海道稚内市末広4丁目5番33号

【設置の経緯】
  • 昭和25年(1950年)6月 北海道開発庁設置
  • 昭和26年(1951年)7月  北海道開発庁北海道開発局設置
  • 昭和26年(1951年)12月  稚内港修築事業所設置
  • 昭和47年(1972年)5月  稚内港湾建設事務所に名称変更
  • 平成13年(2001年)1月  国土交通省北海道開発局設置
  • 平成16年(2004年)4月  稚内港湾事務所に名称変更
【主な所掌事務】
稚内港湾事務所は、北海道開発局の下部機関として物流、人流等の円滑化、活性化により日本の最北に位置する宗谷地方の人々の暮らしや産業を支えるため、6港湾(重要港湾稚内港、今回受賞対象となった低潮線保全区域のある地方港湾宗谷港、枝幸(えさし)港、利尻・礼文両島に位置する3港湾(鴛泊(おしどまり)港、沓形(くつがた)港、香深(かふか)港))、我が国最北のジェット化空港である稚内空港、4漁港(東浦漁港、抜海(ばっかい)漁港、仙法志(せんぽうし)漁港、礼文西漁港)の計11港の施設整備や保安・保全等に関する業務を担当しています。
稚内港湾事務所が整備・保全を行っている6港湾
重要港湾稚内港
地方港湾宗谷港
地方港湾えさし港
地方港湾おしどまり港(本港)

利尻島

地方港湾利尻島おしどまり港(鬼脇港区)

利尻島

地方港湾利尻島くつがた港

利尻島

地方港湾かふか港(本港)

礼文島

地方港湾かふか港(ふなどまり分港)

礼文島

お問合せ先

広報室

  • 住所:〒060-8511 札幌市北区北8条西2丁目(札幌第1合同庁舎15階)
  • 電話番号:011-709-2311(内線5227)
  • ファクシミリ:011-709-8995

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