観光 体験 ひだから紀行(日高町日高地域)~その1~
ひだから紀行(日高町日高地域)~その1~
日高管内日高町は、日本一離れた飛び地合併の町。旧日高町だった日高地域は、観光に力を入れています。しかし、まだ多くの人が日高の魅力を分かっているとは言えません。「日高の良さを多くの人に知ってもらいたい」という思いから、日高をじっくり堪能し、みなさんにご紹介することにしました。
内容がたくさんあるため、「その1」~「その3」としてご紹介します。それぞれの内容は以下のとおりです。
まずはこれを用意せよ!
まずは、情報収集から始めましょう。ガイドブックやインターネットなど、いろいろな情報源がありますが、おすすめは「ひだからBOOK」と「ひだからMAP」。「日高(ひだか)」と「宝(たから)」を掛け合わせたネーミング。ほ~ら、日高に行ってみたい気がしてきませんか?
右側のピンクの冊子が「ひだからMAP」で、見やすい地図上に日高地域の観光スポットが示されています。無料で道の駅などに置いています。室蘭開発建設部の観光ホームページにもアップされていますよ。左側の青色の冊子は「ひだからBOOK」で、見やすい地図のほか、観光スポットが詳しく紹介され、読み応え十分。1冊105円(税込み)で十分な情報量です。
滝が見たくて・・・
「さて、まずどこに行こうか・・・」と考える間もなく、滝を見にいくことに。
何もナイアガラの滝のようなビッグなのではなく、一筋か二筋くらいの滝で、流れを見ていると日頃の喧噪など忘れ、流れと一緒に疲れも流れていくのではないかという、しぶ~い大人の滝が見たいと思い立ち、「なみだの滝」「サンゴの滝」を見に行くことに。
場所ですが、日高地域富岡にあります。「国立日高青少年自然の家」から北日高岳に向かう登山道と寄り添うように三号の沢という川が流れていて、この川沿いに「なみだの滝」「八田鉱山サンゴの滝」「八田鉱山手掘トンネル」のほか、様々な地層群を見ることができます。
この辺りは、戦前、三号の沢上流には兵器の材料として使われるクロムの鉱山があり、鉱石として採掘されていました。しかし、戦後は需要がなくなり数年のうちに閉山しています。
「サンゴの滝」は、鉱山があったときに人工的に掘られた滝で、1970年に滝の側から六射サンゴの化石が発見されたことから命名されているとのこと。また、「サンゴの滝」のさらに上流には運搬路に使っていた「手掘りトンネル」が遺されています。
事前学習はここまでにしましょう。あとは「ひだからBOOK」を読んでください。
サンゴ渓谷入口は「日高青少年自然の家」よりも少し奥、左側の自然の家に続く道路を曲がらずにまっすぐ進むと右手に「保健保安林さんご渓谷」と書かれた看板が見えます【写真左】。
さらに進むと、「日高の森林ウォークご案内」の看板があり【写真中央】、サンゴの滝までのコースが案内されており、さらには見どころも紹介されています。そして、そこが登山道入口です。まずは、これらの看板を目指しましょう。【写真右は、登山道の様子です。こんな感じの場所を探しましょう】
なみだの滝までは、歩きやすい道のりです。歩いていくと色々な見どころがやってきます。
まずは「砂岩」。道の右手に現れます。この砂岩は、今から約2万年前の海底で、細かい砂が幾重にも重なってできたものです。その頃、この辺りは海の底でした。
「なみだの滝」「サンゴの滝」に着くまでは、このように地質を解説する看板がいたるところに立っています。地質に興味のある人は勿論、そうでない方も、太古の昔から作り上げられた地球の鼓動を感じてはいかがでしょうか。
歩いて10分程度経ったとき、右手に滝が現れました。これが「なみだの滝」です。岩肌に二筋程度の水が流れ、あたかもそれが乙女が流す涙のように・・ ・(これは個人的な見解です)。
ステキなネーミングセンスだと思いませんか?
また、付近に看板があり、「さんご渓谷の入口からここまでが2万5千年前のニニウ層です。礫岩と砂岩が交互に重なった地層です。」と地質学的なフォローも忘れません。さすが。
「なみだの滝」をみて、「サンゴの滝はどんな感じなんだろう?」とわくわくしつつ、出発。道の右手に看板がありました。「この辺りに来ると、オオルリやアカゲラの野鳥の声も澄み切っています」とのこと。
「・・・・・。」
オオルリやアカゲラの鳴き声が分からない・・・。事前にどんな鳴き声か調べておくと良いでしょう。また、看板によると、この先は「銅山の沢」と呼ばれ、ニッケルがあるらしく、また、渓流には蛍石が見えたという話しもあります。さらにこの渓谷の西側にあるスキー場の下には「木石の沢」や「炭山の沢」もあるとのことで、色々な鉱物が存在するとのことです。
砂岩が見える地層もありました。解説看板によると「砂岩泥岩互層」とのこと。これは中生代白亜紀の堆積岩で、空知-エゾ帯の蝦夷群に属するとのこと。「ハンマーで地層を叩いて耳を澄ますと、数千万年前の石の物語が聞ける」と看板には書いてあります。本当でしょうか?叩いてみると、確かに石の物語が聞けました。(心の耳で)
看板から50m林道から入っていくと滝がありました。
「んっ?」
水が流れていません。どうしたことでしょう。
実は、2010年に上流部で地滑りがあり、川の流れが変わってしまったとのこと。でもご安心を。2011年4月に人力で対策工事を行い、川の流れを再び元に戻したとのこと。今は水が流れているので、水の流れていない「サンゴの滝」はとても貴重です。
もともと「サンゴの滝」は「八曽出(やそで)の滝」と呼ばれ、奥には鉱山や造材飯場がありました。「八曽出の滝」の名の由来は、滝を作った当時は八田鉱山の八、工事技術者の曾木(そぎ)さんの曾、所長の出垣(でがき)さんの「出」をとって名付けたとのこと。の滝です。
ここからさらに奥に進むと「手掘りトンネル」というものがあるのですが、沢沿いに進むのは大変とのこと。林道を「サンゴの滝」に向かう道の分岐点まで戻り、林道をさらに進むと、「サンゴの滝」上に行ける道があるとのことです。この情報を知ったのは、後日のことで、このときは知らなかったので、「手堀りトンネル」は断念してしまいました。残念。あとは、「ひだからBOOK」をしっかり読んでください。(と、ここでも宣伝)
近くにある看板には、滝から奥は、白亜紀の古い地層が謎を秘めていて珪質頁岩(けいしつけつがん)や蛇紋岩の竜宮隧道(りゅうぐうずいどう)や、坑道跡の密集する高天ヶ原のような樹海が夢のように続くので、あとはゆっくり想像してほしいとのことです。
こんな書き方をしたら、危険を冒して高天ヶ原に行ってしまう人がでてくるかもしれません。(心配・・・。)全体的に、この道のりまでの看板は、文学的才能の豊かな人が作ったのだと思われます。表現が豊かです。
下の画像は、「サンゴの滝」から上流の方を眺めた光景。
モヒカンヒルズ展望台
「サンゴの滝」を見て戻ってきて約2時間。次に向かったのは・・・。
沙流川周辺には、オートキャンプ場、カヌー発着場、国立日高少年自然の家など自然を楽しめる施設があり、周辺一帯を「沙流川ふれあいゾーン」と呼んでいます。
その「沙流川ふれあいゾーン」の端に「モヒカンヒルズ展望台」があります。はて、モヒカンと言うからには、一部だけ木々があって、ほかは木がないのでしょうか?
確かめるため、沙流川沿いの道をひたすら展望台に向けて進みます。
雑草を刈り取ったような細い道を進んでいきます【写真左】。
さらにどんどん進んでいくと、木製の階段があります【写真右】。こういう階段が2回姿を現します。どんどん登ってください。