計画区域の主な自然特性
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計画区域の主な自然特性
地形・地質
地形は、山地、丘陵、台地及び沖積低地に区分されます。山地は、急斜面で、安山岩やスコリア、軽石などの砂礫が散存する裸地となっています。その外周の丘陵は半径7kmにわたり緩斜面が広がっています。台地(標高160m~10m付近)は札幌-苫小牧低地帯に続いています。標高10mから海岸線までは沖積層からなる低地となっています。表層地質は、樽前山の火山砕屑物、周辺の軽石流堆積物、火山灰、平地部の砂層等によって覆われているため、降水量の殆どが地下に浸透し易すく、脆弱な地質構造になっています。
気象
計画対象区域の気候は、太平洋側西部気候区に属し、年平均気温7℃(苫小牧)と、北海道南部の沿岸域としてはやや低い値となっています。平均年降水量は、苫小牧で1,116.3mm、白老で1,586.4mm、支笏湖畔で1,824.4mmと北海道の中では多い地域ですが、冬期の積雪深は少なく、苫小牧・白老ともに40cm以下となっています。
植生
標高500~600m以上の樽前山山頂部付近が寒帯と高山帯となっており、高山ハイデ及び風衝草原が分布しています。寒帯と高山帯の下部から標高350mにかけて亜寒帯、亜高山帯となっており、沢沿いを中心にミヤマハンノキ-ダケカンバ群等が分布しています。
貴重な植物としては、学術上価値の高い植物群集として「樽前山高山岩礫植物群落」「樽前山ミヤマハンノキ林」、環境庁のすぐれた自然に指定されている「支笏地方ササ群落」があります。
貴重な植物としては、学術上価値の高い植物群集として「樽前山高山岩礫植物群落」「樽前山ミヤマハンノキ林」、環境庁のすぐれた自然に指定されている「支笏地方ササ群落」があります。
動物
魚類
計画対象渓流では、樽前山麓を水源とする豊富な地下水により恵まれた水環境となっているため、多くの魚類が生息しています。なかでも、アメマス、ヤマメ、フクドジョウが広く分布しています。貴重種としては、イバラトミヨ、エゾトミヨ、イトヨが確認されています。
鳥類
計画対象区域では、近くにウトナイ湖があり、渡り鳥の中継地になっていることから、数多くの鳥類が生息しています。貴重種として、オオジシギ、ヨシガモ、カワセミ、クマゲラ、ハイタカ、オシドリ、ハリオアマツバメ、ヤマセミが確認されました。
ほ乳類
計画対象区域の流域に生息する主な哺乳類としては、エゾタヌキ、キタキツネ、イタチ、エゾリス、エゾユキウサギの他、エゾヤチネズミ、エゾアカネズミなどのネズミ類などが生息しています。
は虫類・両生類
爬虫類は、ヘビ類、トカゲ類などが生息しており、カメ類も移入種としてイシガメが確認されています。両生類では、エゾアカガエル、アマガエル等が生息しています。
昆虫
計画対象渓流の流域は、豊かな自然環境のため、多くの昆虫類が生息しています。貴重種としては、ケマダラカミキリ、オオルリオサムシ、キタクロオサムシ、シロオビヒメトカゲ、カラカネイトトンボ、シロスジコガネが生息しています。
景観
計画対象区間には、樽前山、樽前ガロー、インクラの滝などの地形的景観、河川、湖沼、湿地を形成する水と森の景観、農地、市街地、パルプ工場の煙突、レクリエーション施設など自然的、人工的にも多彩に富んだ景観を有しています。環境庁で行われた自然景観資源調査では、自然景観資源として樽前山中央火口丘溶岩円頂丘や口無沼、錦大沼、樽前大沼などの湖沼があげられています。
自然環境保全法
計画対象区域には、条例に基づく自然環境保全指定地として、樽前ガロー地区、糸井環境緑地保護地区があります。また、すぐれた自然地域として樽前湖沼群、身近な自然地域として樽前ガロー、王子山、マッカ沼、トキト沼、錦大沼公園、樽前大沼があります。
自然公園法
支笏湖と樽前山を含む計画対象区域の北西部の大部分が支笏洞爺国立公園に指定されています。
鳥獣保護法
計画対象区域には、鳥獣保護区として王子山鳥獣保護区と錦大沼鳥獣保護区の2箇所が指定され、銃猟禁止区域として樽前大沼銃猟禁止区域が指定されています。
文化財保護法
計画対象区域には、北海道指定天然記念物の樽前山溶岩円頂丘の他、苫小牧市指定文化財として林重右衛門墓碑、錦岡神社円空作樽前権現像及び奉納品7点が指定されています。
森林法
計画対象地区の北西部の大部分は国有林で、保安林に指定されています。その他にも、水源涵養保安林や保健保安林、防風保安林の指定が点在しています。