国土交通省北海道開発局 帯広開発建設部

十勝川は過去に何度も洪水を繰り返し、流域に多大な被害を及ぼして来ました。十勝ダムはこのような状況を防いで、安全を守るために造られました。

フィルダムとは土や岩石を積み上げて作るダムを指します。これには土と岩石の割合によって種類が分かれ、岩石が50%以上のものを「ロックフィルダム」、土が50%以上のものを「アースフィルダム」と呼びます。底面積が広く、水圧や重さが分散されるため、地盤条件のよくない場所にもつくることができます。 十勝ダムは北海道のロックフィルダムの中で、堤体積では3番目の規模を誇ります。

◆十勝ダムデータ

 位置  上川郡新得町字屈足トムラウシ
 集水面積  592平方キロメートル
 型式  中央コア型ロックフィルダム
 堤高  84.3メートル
 堤頂長  443メートル
 堤体積  3,715,000立方メートル
 堤頂標高  EL 343メートル
 湛水面積  4.2平方キロメートル
 湛水延長  9.5キロメートル
 

川の流量を調節し、洪水からくらしを守ります。
大雨が降った際、上流にダムがなければ大量の雨水が下流に流れ込み、洪水が起こってしまいます。十勝ダムでは、上流に降った雨水を貯留し、川の水の流れる量を適切に調節することで、洪水を未然に防いでいるのです。 

十勝ダムの建設された地点の計画の最大流入量は毎秒1,800m3で、ダム湖に毎秒1,450m3を貯留し、下流に最大で毎秒350m3の水を流します。これにより、下流の河川施設（堤防等）の規模も小さくすることができるのです。

豊かな水量を利用し、クリーンなエネルギーを作ります。

水力発電のしくみ 十勝川の豊富な水量を利用した発電も十勝ダムの大切な役割のひとつ。ダム直下の発電所では有効落差49.5m、94m3/sの水を使い、最大出力40,000kWの発電を行っています。

十勝ダムは流域で繰り返されてきた洪水被害を軽減し、安全な暮らしを守るために計画された、建設省の直轄事業です。昭和48年から11年の歳月を費やして建設され、昭和59年に竣工しました。

昭和42年 4月 予備調査開始
昭和45年 4月 実施計画調査開始
昭和47年 7月 ダムタイプ決定（ロックフィルダム）
昭和48年 4月 建築工事着工
昭和48年 9月 民有地補償妥結
昭和49年 9月 本体工事契約、堤体基礎掘削開始、仮排水路工事開始
昭和51年 6月 仮排水路転流
昭和51年 10月 定礎式
昭和53年 7月 コア盛立開始
昭和57年 8月 堤体盛立完了
昭和58年 11月 道々付替道路供用開始
昭和59年 10月 竣工式
昭和60年 4月 管理所移行
平成20年 4月 管理支所移行

24時間、365日休むことなく洪水からダム下流の安全を見守っています。
十勝ダムでは、24時間、365日休むことなく洪水からダム下流の安全を見守るために、関係機関とも連携をはかりながら、洪水時にもスムーズに対応できる体制を整えています。

大雨等によってダム放流を行う場合は、事前に関係機関や住民、河川利用者に警報や通知を行います。

雨量観測所
一定時間毎に雨量のデータを計測し、そのデータを管理支所へ電送することにより洪水などにあらかじめ備えています。
水位観測所
一定時間毎にダム湖や河川の水位を測定し、管理支所へデータを伝送します。
警報局
ダムの水を放流する前にサイレンを鳴らし、河川の水位が増加し危険になることを周囲に知らせます。
河川巡視
放流警報を行っているときに川に人がいないかなど異常がないか見回ります。

十勝ダムでは、大雨等の非常時にダムの機能を十分に果たすことが出来るように日頃からダムの施設等の点検や調査を行っています。

管理施設巡視
貯水池やその周辺、ダムが管理している施設等に異常がないか見回りをしています。
流木除去
貯水池内に流れ込んできた流木等は放流の時に支障を来す恐れがあるので、除去します。
水質調査
貯水池の水質・水温・汚れの程度を調べ、異常がないかを確認します。
自然環境調査
ダムの周辺にどのような生き物が生息しているかを調査します。