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第4回湿原再生小委員会 議事要旨

第4回 (平成20年3月3日)

  • 釧路高原

第4回湿原再生小委員会 議事要旨

第3期湿原再生小委員会の委員長および委員長代理の選出

 第3期水循環小委員会の委員長および委員長代理として、第2期に委員の互選で選任された新庄委員を委員長に、神田委員を委員長代理に推薦する案が事務局より示され、会場からの「異議なし」という発言により第2期に引き続き新庄委員が委員長に、神田委員が委員長代理に選任された。

議事 1:幌呂地区の変遷と現状

 事務局より、幌呂地区の変遷と現状について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
これまでの湿原再生小委員会での取り組みについて、地区に分けて説明が行われた。
幌呂地区の土地利用について振り返って頂いた。主に1967年から今日までの幌呂地区の土地利用が明確になったと思う。
質問、コメント、追加説明等があればお願いしたい。(発言なし)

議事 2:幌呂地区で生じた現象と課題

 事務局より、幌呂地区で生じた現象と課題について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
対象とする幌呂地区において、1940年代から現在までどのようなことが起こったのか報告して頂いた。
ここは、農地として利用しようとした土地なので、農地開発前と比較して現在の冠水範囲が減少しているのは、その取り組みが成功したことを示す結果ということかもしれない。
資料11ページでは、湿原の地下水位は変動幅が非常に小さく、そこの植生はヨシやスゲ、ハンノキの低木に限られるという結果が示された。それ以外のところでは水位の変動幅が大きく、植生にも変化が生じていることが把握された。
資料12ページから13ページでは、農地をつくるための明渠などによって、湿原域のハンノキ林や景観に変化が現れてきたということが示された。
幌呂地区で生じた現象について、どのように取り組んでいくかが今後の課題になる、という報告を頂いた。

(委員)
幌呂川が切り替えられて、雪裡川に合流したのはいつ頃なのか教えてもらいたい。

(事務局)
1972年から1974年の3ヵ年と思われる。

(委員)
冠水頻度のシミュレーションで、冠水頻度が期間の少ない方へシフトして行っていることは分かったが、流域開発前後それぞれの冠水面積の合計が合わないのはなぜか教えてもらいたい。

(事務局)
冠水頻度1日未満という項目があるが、ここには全く冠水していない範囲の面積が含まれていないため、冠水面積の合計が合わなくなっている。冠水面積が合わない部分は、図の中で色が塗られていない冠水しない範囲に含まれている。

(委員)
資料11ページに地下水位のデータが示されているが、湿原内部の地下水位を見ると、常に地表から20センチ上に水位が分布している。湿原の中というよりは、川の中ではないのか。データを確認してもらいたい。
この湿原の地下水位と対比して農地部分の地下水位が低いということを示しているが、このデータは明渠沿いの水位データであり、陸地内部のデータでは無いと思う。資料11ページのように対比すると明らかに農地が乾燥しているように見えるが、明渠沿いではなく、内部のデータを測定して示した方が良いと思う。

(委員長)
水位の比較をする場合は、河川沿いや明渠沿いの水位ではなく、河川から外れた湿原内部と農地そのものの水位の比較を行う必要があるという意見である。

(事務局)
資料17ページに地下水位観測結果を示している。現地を見た感覚では、現況で排水路網が整備された区域では、周囲が排水路に囲まれているため、どこでも排水路の影響が生じていると考えられる。
Cの区域は、内部のデータが不足している状況である。データが不足している箇所については、今後検討を進めながら必要に応じてデータを取得するなど、工夫していきたいと考えている。

(委員)
この地域は現在も乾燥化が進行しつつあるのか、教えてもらいたい。
過去に掘削された排水路の流れの有無と、旧幌呂川が排水路として作用しているかどうか、教えてもらいたい。広里地区では、流路が切り替えられた後の旧雪裡川が排水路として作用していることが確認された。

(事務局)
植生の変化という観点では、乾燥化は進行していると推測される。湿原全体のハンノキ林の面積を見ると、湿原の周辺部ではハンノキ林が拡がってきており、幌呂地区も例外では無いと考えている。
ただし、物理環境はここ20年程度の間大きな変化は生じていないと考えている。現在は土地の利用も行われていないし、新たな排水路整備が行われたということも無い。
現地に行って確認したところ、現在の旧幌呂川の流れはあまりなく、排水路ほどでは無いが水位も低い。水の量が非常に少ない状況である。このような現地状況を踏まえた感覚では、旧幌呂川が周辺の地下水位を下げている可能性はある。

(委員)
旧幌呂川の排水路としての機能については、資料10ページの氾濫計算結果から整理することができるのではないか。
昔と比較し、旧幌呂川の流量がどの程度低下したのか分かれば、水位がどの程度低下したのかイメージしやすい。

(事務局)
幌呂流量観測所のデータと集水面積を整理し、例えば、旧幌呂川に流量を与える場合は幌呂流量観測所と旧幌呂川残流域の流域面積比で与えている。

(委員)
旧幌呂川での観測は行っていないということか。

(事務局)
旧幌呂川については、流量データは無い。

(委員)
別の機会で良いので、旧幌呂川にどの程度の流量を与えたのか教えてもらいたい。

(委員)
幌呂地区は南北に広く、結構ややこしい。下幌呂、中幌呂、上幌呂とある。
もう少し現場を知りたいので、拡大した大きな地図を示して頂きたい。

(事務局)
幌呂地区の位置関係が分かる地図を準備し、委員の方々に郵送したい。

(委員長)
先日、昔と現在の航空写真を引き伸ばして床に広げたものがあった。あのような写真を直接見ると分かるかもしれない。
ハンノキ林の面積が増加したことが示されている。ハンノキの樹齢を計測し、過去20年間とそれ以前の生長量を比較して変化の有無を調査する必要がある。ハンノキ林の面積が増加したと言っても、自然の状態での生長の様子なのか、最近急激に生長したために生じた現象なのか、解析する必要があると感じた。

議事 3:幌呂地区の湿原再生目標の設定

 事務局より、幌呂地区の湿原再生目標の設定について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
幌呂地区のこれからの再生のターゲットについて説明して頂いた。同時に、幌呂地区に隣接する農地における農地防災事業と再生事業とのバランスについても説明して頂いた。
幌呂地区では、湿原域の池塘の回復が可能な水位まで回復するということが一つのターゲットになる。もう一つは、リファレンスサイトを設け、各エリアをリファレンスサイトにどのように近づけていくかが再生の目標になると考えている。
同時に、湿原再生区域を回復しつつ、農業用地の改善をどのようにバランスをとって行っていくのか、その仕組みについて説明して頂いた。そのうちのひとつとして、沈砂池の設置や排水路の再編成を考えているという説明を頂いた。

(委員)
ここは非常に難しい場所だと思う。農地防災事業と湿原再生事業を隣りあわせで行うというのはおかしなことだと思うが、その意味も含めてなぜこの場所を選んだのか教えてもらいたい。
ハンノキ林の拡大と乾燥化が問題となっているが、これは他のエリアでも起こっていることである。

(事務局)
ハンノキ林を何とかしようという思想ではない。農家の方々のご協力により、現在は産業利用されていない湿原周辺の未利用地を湿原再生区域の中に入れて、具体的に植生を再生していくことが可能な区域という観点で幌呂地区が選ばれたものだと理解している。
ポイントとなるのは、一度植生が変化してしまった箇所において、「湿原再生」に取り組んでいくということだと思っている。
ただし、ご指摘のとおり、農地と隣接しているので、地域産業と自然再生のバランスが難しい区域だと認識している。地域の農家の方々、各農業部門と緻密に連携しながら進めていくことが重要だと考えている。

(委員)
幌呂地区は、農業と自然再生が共存できるのかということチェック、またはテストしてみようとしている場であると考えて良いのか。

(事務局)
一度改変された区域の植生を戻すという考えである。これは、全体構想の中でも施策の一つとして位置づけられている。
その施策に取り組む中で、幌呂地区は農地と隣接している地区なので、特に地域産業と自然再生のバランスが重要になってくる地区だと考えている。
農地に影響が無いようにすることを前提条件として施策を考えることが必要であるが、目標は植生の再生である。

(委員長)
幌呂地区がターゲットになる前の議論であるが、当時の委員会のメンバーの方々から、1947年と現在の航空写真を比較すると赤沼周辺の池塘が減少しており、それは水位が低下したためではないかという指摘があった。
赤沼周辺の地下水は、旧幌呂川およびオンネナイ川の方から供給されていたと推測された。しかし、現在はその水の供給が滞っているため、温根内地区の地下水位が低下し、池塘が減少したのではないかという指摘があった。
赤沼の上流にあたる地区において検討する必要があるかもしれないというご指摘もあった。

(委員)
今の委員長の話では、幌呂地区は湿原中心部との関わりの中で選定された経緯だということになるが、幌呂地区ではかなり狭いエリアの話をしている。
例えば、幌呂川や雪裡川からの土砂流入の問題が湿原全体に影響を及ぼしているという側面もあると思う。そこまで広げると個別の議論ができなくなるということは分かるが、全体の議論を捨てて先に細かな部分ばかり攻めていくのはいかがなものか。
湿原再生小委員会で議論するのが相応しくなければ別の小委員会でも構わないが、湿原全体でハンノキ林が拡大しているという問題と切り離して、幌呂地区の植生回復だけを目的とすると、「木を見て森を見ず」ということになるのではないかと感じた。

(委員長)
全体のプランに対するコメントを頂いた。湿原再生小委員会だけではなく、他の小委員会にも投げかけて、幌呂地区だけではなく、全体として議論していくべきだとのご助言である。

(事務局)
今のご指摘は、他の小委員会でも頂いているご指摘である。
平成13年に頂いた「釧路湿原の河川環境保全に関する提言」では、湿原再生や土砂の問題など、どこで実施できるのか、また、どこで実施すべきなのか、具体的な箇所が位置付けられ、優先度も記載されている。
我々は、その提言の中で位置づけられている箇所の中から、優先度の高い箇所から個別に検討を行っているところである。その精神は全体構想にも引き継がれていると考えている。
全体構想策定後、全体の話に触れる機会が無く、今回も全体に対する思想はどのようになっているか説明を行わなかったが、提言や全体構想で位置づけられている個別の箇所について検討を行っているという状況である。
頂いたご指摘は非常に重要だと思うので、今後全体の話について何度も触れながら説明に努めていきたい。

(委員長)
全体構想をつくった際、プライオリティを決めた。しかし、ターゲットに対する取り組みを進めながら、全体のバランスについて再度見直しを行う必要がある。
今回は、プライオリティの高いプロジェクトについての説明であったが、もちろん全体の話もこれから行っていく。

(委員)
水が無いことが植生の劣化に影響している。排水路を通じた水の流出をとめるのはもちろんだが、別の場所から水を持ってくることは可能なのか。現実的に、水を持ってこないで目標を達成することができそうなのか、その見通しがあれば教えてもらいたい。

(事務局)
今後の施策を検討していく上で考えていくべき事項だと思っている。
湿原中心部の地下水位は高く、その高い状態が続いている中で排水路によって地下水位が下げられているという解釈を行うこともできる。排水路を埋め戻すことで、湿原中心部の地下水位に回復していくと考えることもできる。
ただし、本当に地下水位が回復するのか、施策を考えるときにシミュレーションや必要な検討を行って解明していきたいと考えている。

(委員長)
先日、別の湿原モニタリングの研究会があり、そこで非常に興味深い報告があった。
これまで、湿原へ流れ込む湧水は上から流れ込む地表水が大半なのではないかと考えられてきたが、伏流水が占める割合も大きいという結果が報告された。同位体分析の結果によると、鶴居丘陵や阿寒の丘陵地で浸透した水が60年程度経過した後に湿原内の河川の河床から噴出しており、その量がある地域の河川流量の約40%を占めていたという報告があった。
湿原の中に供給される水のことについては、別の角度でも考える必要があるということだと思う。

(委員)
ワンランク上の湿原を目標としていくという説明があったが、幌呂地区は農地と隣接しており、道路や排水路で区切られている場所である。農地と湿地の間のバッファゾーンとしての発想を持たなくても大丈夫なのか。
例えば、大雨のときに農地側へ浸水することもあると思う。その場合、数メートルもの堤防をつくるという話にはならないと思うが、どのような考えを持っているのか。

(委員長)
A、B、C地区それぞれに目標があり、各エリアを線で区分しているが、農地と隣接する区域ではお互いに緩衝されるような場所がある。
緩衝される場所への配慮も必要だという意見だと思う。

(事務局)
幌呂地区については、緩衝帯というものを常に意識している。緩衝帯なので、ヨシ群落だけではなく、非湿原植物も生育していると思う。緩衝帯として目指す場合、何を指標とすべきか難しい部分もあると考えていた。
丘陵地から湿原中心部までの間で変化がある。今回示した考え方は、変化している植生や物理条件を、今より一段階湿原の外側へ押し戻してやろうという思想である。ワンランク上の湿原を、目標として設定したいと考えている。
緩衝帯としての機能についての分析まではできていないというのが今の実態であるが、思想としては緩衝帯としての機能を念頭に置いて考えている。

(事務局)
農地防災事業でできることとしては、幌呂1号排水路を整備することによって今農地側と再生区域とをつないでいる管をなくすことが出来る。また、今ある小排水路よりも敷高を上げることによって、現況の平水位よりもやや高い状態に平水位が保たれる。そうすると農地側の洪水位も上がるが、冠水する農地は置き土してかさ上げする。これら湿原再生区域の水位低下の軽減に配慮して計画している。

(委員)
今説明があったことを実施することにより、どれほど湿原再生に寄与するのか。これを実施することによって水位がどの程度上昇するのか、具体的なことを教えてもらわないと、今の説明だけを聞いても、どのような協力体制で行っているのか分からない。

(事務局)
どの程度水位が上昇するのか定量的に申し上げることはできない。農地防災事業で排水路を整備することによって、湿原再生区域の中にある排水路を閉塞することが出来る。また、極力河床を上げることによって、湿原再生区域の水位に影響を与えないように努力したということである。

(委員)
連携を図るということなので、考えておいてほしい。
栄養塩の問題については、どのように対応して行く予定なのか。農地からは栄養塩が流出していく。地下水でつながっているので、栄養塩は入ってくると思う。どのように改善していくのか、教えて頂きたい。

(事務局)
排水路は土水路とする。そして、今ある小排水路を残すが、その部分は現況の植生が残るとともに、流速の小さい余裕河積となり、よどみなど多様な流速が生まれると考えている。また、対岸側の新たに掘削する部分も、今ある植生が早期に回復するヤシ繊維ネットで保護する。
栄養塩吸着効果について定量的に述べることはできないが、植生が繁茂するゆるやかな流れの排水路になることから、栄養塩をある程度吸着できる構造になると期待している。

(委員)
今後、その効果をよく見積もっていただきたい。それにより、調整が図られるということになると思う。

(委員)
湿原再生区域と農地の境界には村道がある。村道そのものの保全も検討の一部に入れていただきたい。

(委員長)
資料の3ページに沈砂池のイメージ図が示されていた。幌呂地区でも沈砂池を設置し、植物による浄化を期待する予定だということも記載されていた。

議事 4:広里地区の湿原再生

 事務局より、広里地区の湿原再生について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
広里地区では、水位の上昇を目的とした河川の堰上げ検討、地盤掘り下げ試験、ハンノキ伐採試験などを通じて、かつて農地であったところを修復するための手法を調査しており、今後さらに明らかにしていきたいという報告を頂いた。

(委員)
調査を始めて5年が経っていると思う。大分具体的な目標像が出てきたと思うが、いつ頃から本格的な再生事業に取り組んでいく予定なのか、教えて頂きたい。

(事務局)
どのようなことを行えば効果が現れるか分かってきている。例えば、堰上げを行う場合はどのようなかたちであれば農家の方と合意できるのか検討し、調整を図りたいと考えているが、具体的な時期については目処が立っていない状況である。
水位の安定に関しても、もう少しモニタリングを継続して手法の検討を進めていきたいと考えている。実施に向けた具体的なスケジュールについてはまだ考えていない。

(委員長)
大分手法も明らかになり、効果も分かってきた。近々に、具体的な修復作業の時期、場所、手順等を検討する時期にきているのではないかというご指摘だと思う。

(委員)
地盤の掘り下げ試験で水位の変動幅が大きくなった理由について、推測している理由などがあれば教えて頂きたい。
資料26ページの図4-3に出現種数の変化が示されているが、何を意味しているのか教えて頂きたい。

(事務局)
出現種数については、種数の変化が生じている理由などをこれから解明していきたいと考えているところであり、現時点では大きな意味を持っていない。
地下水位の変動については、旧雪裡川の影響で生じているということが分かってきた。

(委員)
標準区は旧雪裡川から離れているのか。

(事務局)
標準区は、農地1、2、3と比較すると旧雪裡川から少し離れた位置にある。
標準区は、農地1、2、3と比較すると渇水期、水の多い時期を通して水位の変動が小さいということが分かった。

(委員)
標準区が雪裡川から離れていて、変動の影響を受けにくいのであるならば、試験区で標準区に合わせて水位の変動幅を小さくための対策を行う必要があるのはなぜなのか、理由を教えて頂きたい。

(事務局)
農地3は、農地1、2と比較して植生の回復が図られていない。農地3は、水位変動の大きさが植生の回復等に影響を及ぼしていると考えられることから、水位変動幅を小さくするための対策を行う必要があると考えている。

(委員長)
標準区がターゲットになっている。標準区は水位変動が小さく、豊かに植物が生育していることから、農地 3を標準区のようにしたいということだと思う。

(委員)
農地3で種数が少ないのは、悪いことなのか。旧雪裡川に近いため、水分条件からある特定の植物しか生育しなくなり、種数が少なくなるというのは当たり前のことであり、悪いことではないと思う。

(事務局)
水位の変動が農地3にとってどのような影響を及ぼしているのか検証していきたいと考えている。

(委員)
農地3で出現種数が少ないことの理由の一つとして、ここにシカが頻繁に訪れてヌタ場のようになっていることが挙げられる。
湿原植生は、水位が高く大幅な水位変動が無い場所に発達しやすい植物が多い。
標準区の植物群落は、水位変動幅が小さく水位が地表面付近にあるために発達しているということが解析の結果分かった。このため、農地 3の水位変動が大きいままでは標準区に近づかないと考え、水位変動を小さくする努力が必要だということになっていると思う。

(委員長)
ここは実験区であり、かつては農地であった。そこを元の湿原植生に修復するためには、どのような手法があり、どのようなことがポイントとなるか明らかにしたい。そこで標準区を設定し、かつて農地であった場所と標準区を比較したところ、水位の変動が影響しているということが分かってきたということだと思う。また、エゾシカも関係しているかもしれない。
かつて農地であったところを標準区の湿原植生に戻す場合、どのようなことを行うべきなのか明らかにしている途中である。それが分かってきたら、それをどのようにすべきなのかということについては、次の段階で検討したいという説明であった。まだ始まったばかりである。

(委員)
ハンノキ伐採試験において、頻繁に萌芽を切除しているようであるが、何のために切除しているのか。

(事務局)
ハンノキ伐採試験は、ハンノキ林の拡大を抑制する手段として有効な手段なのか確認するために行っている。
伐採した後、生えてきた萌芽を切除した方がより有効だと考えて切除している。

(委員)
実験の意味がよく分からない。
ハンノキ伐採後の回復状況を試験していると思うが、萌芽を切除するのはなぜなのか。生えてくるものは全て切除するということなのか。

(事務局)
ハンノキ伐採試験の目的は、ハンノキ林拡大の抑制である。このため、伐採区については、生えてきたものを全て切除している。

(委員長)
先ほどの説明では、生えてきたハンノキを伐採によりコントロールすることができるのか把握したいため、伐採を継続したところ数年が経過したら萌芽が生えてこなくなったという報告であったと思うが、そうではないのか。

(事務局)
そうではない。伐採した後に生えてくる萌芽を切除し続けた結果、平成19年度については萌芽がほとんど認められなくなったという結果を示したものである。

(委員長)
なぜ伐採を続けるのか、その目的について質問があった。ハンノキの伐採を続ける目的を教えて頂きたい。

(事務局)
伐採区については、ハンノキが無い状態を維持するために伐採を続けている。非伐採区についてはハンノキが生育している状態とし、伐採区についてはハンノキが無い状態にしておくということである。

(委員)
1回伐採しただけでは翌年萌芽が生えてきてハンノキが復活するため、伐採を何年間続けることでハンノキが生えてこなくなるのか把握することが目的ということか。
伐採を5年間続けることでハンノキも萌芽を出さなくなってきたということが平成19年の調査で把握されたということか。

(事務局)
元々の目的は、ハンノキが生育していた場所を、人為的にハンノキが無い状態で維持した場合に、そこにどのような環境が発達するのは把握することであった。
併せて、萌芽を管理し、切り続けることによって、最終的にどの程度切り続ければハンノキが枯れるのか、ハンノキ自体のコントロールの手法についても付随して結果が出た。結果として、平成19年度は萌芽が見られなくなったとお考え頂きたい。

(委員)
農地1、2、3と地盤を掘り下げている。農地3が最も深く、地表面から深度40センチメートルまで掘り下げており、農地3では植生の回復が見られなかったという結果となっているが、深く掘り下げて植物の根も取り除いてしまえば回復しなくなるのは当たり前ではないか。

(委員長)
播種したのではないか。

(委員)
播種した区を設け、播種しない区との比較も行った。
掘り下げる場合、深ければ深いほど出現種数は少なくなる傾向はあると思う。
埋土種子でもかなり再生するだろうという見込みがあったが、実際はなかなか生えてこなかった。シカが集中するようにならなければ、農地3の植生も農地1、2 とそれほど変わらない程度まで生えたのではないかと思うが、検証はできていない。

(委員)
ハンノキの伐採をいつから始めて、萌芽の切除を何年続けたのか教えて頂きたい。

(事務局)
平成15年2月に試験区を設定し、平成15年5月以降モニタリングを続けている。
平成15年に一度伐採を行い、その後毎年一回萌芽の切除を行っている。

その他

 事務局より、第10回旧川復元小委員会の予定について説明が行われた。

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