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第5回湿原再生小委員会 議事要旨

第5回(平成21年3月18日)

  • 釧路湿原

第5回湿原再生小委員会 議事要旨

第4期湿原再生小委員会の委員長および委員長代理の選出

 第4期湿原再生小委員会の委員長および委員長代理として、第3期に引き続き新庄委員を委員長に、神田委員を委員長代理に推薦する案が事務局より示された。会場からの「異議なし」という発言により第3期に引き続き新庄委員が委員長に、神田委員が委員長代理に選任された。

議事1:幌呂地区の湿原再生目標の概要

 事務局より、幌呂地区の湿原再生目標の概要について説明が行われた。

議事2:幌呂地区 平成20年度の調査結果

 事務局より、幌呂地区の平成20年度の調査結果について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
予測していたとおり、A、B、C区域の地下水位には明瞭な違いが見られた。
A区域は、農地として利用するため、地下水位を下げるための改良を加えた区域であり、その改良の結果が表れていたと理解することができる。土地改良作業は途中で終わったが、B、C区域にも変化が表れていたということだと思う。
現状の地下水位に対応した目標を設定する必要があるが、今回の調査により現状の地下水位を把握することができたということだと思う。

(委員)
幌呂地区の農地改良は開発建設部で実施したものか。例えば、 A区域でどの程度の客土を行い、排水路整備をいつ頃実施したのか、そういった情報は把握されているのか。

(委員)
A区域では、近くの土を多少移動した事実はあるが、他の地区から客土した事実は無い。B、C区域は一切行っていない。

(委員長)
A区域で置土しているように見えるが、それは他地区から客土したものではなく、明渠を掘削した際の土を敷き均した程度だということである。

(委員)
A区域とB区域の地下水位の深度の差が 30センチメートル程度あるが、それは客土の厚さの違いによって生じた差ではないということか。

(委員)
村道に並行して排水路がある。排水路の影響で地下水位が下がっている可能性も考えられる。

(委員長)
現地で掘削している排水路の断面を見ると、泥炭の上に数十センチメートル程度の厚さの腐植土が見られた。

(委員)
A区域では、農地改良時に播種を行ったのか。

(委員)
A区域では播種を行った。B、C区域では行っていない。
過去の草地造成の過程で、3回程度の草地更新を行っている。草地更新では、堆肥を入れ、切り返しを行うので、その過程で部分的に腐植土ができた可能性もある。泥炭の上の腐植土は、そのときのものかもしれない。
昭和53年4月以降、この地区のほ場監督員を行っていた。私の記憶では、客土は一切行っていない。明渠の掘削残土を周辺に均した程度だった記憶している。

(委員)
過去の農地のつくり方により、湿原再生の方法も変わってくると思う。

(委員)
資料では、水位が安定している時期に地下水位観測を行ったと記されているが、年間を通じて大体この程度の水位と考えて良いのか。

(事務局)
今回追加実施した地点では、年間を通じての観測は行っていない。
今回の資料では、18ページにA区域の地下水位観測地点No.5の地下水位変化を示している。この観測結果を見ると、平均的な水位から±20~30センチメートル程度の水位変動を生じている。

(委員長)
その他、地下水位観測結果について質問や意見がなければ、植生調査結果に移りたいと思う。
今回の調査により、幌呂地区の植生が11の群落に区分されている。草地に近いところではオオアワダチソウやヤナギなどが見られるが、中の方ではヨシ、スゲ、一部にはカラフトイソツツジ群落などが見られ、比較的多様な湿原植生を確認することができた。

(委員)
植物確認種リストはA~C区域ごとにあるのか。

(事務局)
A~C区域毎に11群落に分類した表がある。

(委員長)
その他、植生調査結果について質問や意見がなければ、ハンノキ生長量調査結果に移りたいと思う。

(委員)
資料12ページに示されている地下水位は、2008年何月の調査結果か。

(事務局)
2008年10月の調査結果である。

(委員長)
1977年と2003年の航空写真の比較を行った結果、区域1ではハンノキが増えたように見える。区域3のハンノキ低木林は、萌芽林としてゆっくり生長しているように見える。その様子が、区域1~3のハンノキ生長量の比較により分かったということだと思う。
資料13ページを見ると、高木林は、樹齢50年になると生長が頭打ちになり、萌芽を繰り返しているようだ。拡大林は、樹齢50年に向けて生長を続けているように見える。低木林は、30年程度で萌芽が壊れ、再生することを繰り返しているように見える。
資料14ページを見ると、材積(伸長生長量、肥大生長量)が3箇所とも異なる。3箇所それぞれで環境が異なっているものと推測される。

(委員)
一つの区域の調査面積はどの程度か。萌芽している株も含めて調査しているのか。

(事務局)
一つの区域は10m四方で、面積は100m2である。

(委員)
その100m2内のハンノキがほぼ同齢の林であったということだと思う。
もう少し広い面積で調査を実施することで、林が成立した年代の違いなどを把握することができるかもしれない。

(事務局)
状況に応じて、継続調査の実施を検討する。

(委員)
数年前にも、幌呂地区で樹齢調査を実施していた記憶がある。新庄委員長はじめ、ハンノキの生長量調査は数多く実施されていると思うので、過去のデータも含めて整理した方が良いと思う。 3箇所だけだとよく分からない。

(事務局)
過去のデータの蓄積状況を再確認する。

(委員)
今回の調査によりどのようなことが分かったのか、もう少し詳しく解説していただきたい。

(事務局)
もともとハンノキであった区域の生長量と、もともとヨシが生育していたが環境の変化によりハンノキに変容した区域の生長量を比較すると、後者の生長量の方が大きかった。今回は、調査により把握した事実のみの報告である。

(委員)
地下水位が季節によって異なり、雨が降った後などは、地下水が地表面に出て滞留している時期があるのではないか。
地下水位が高くなっている期間の長さとハンノキの生長量が関係しているのではないか。

(委員長)
区域1~3のハンノキの生長量が異なるのは、現状の地下水位だけではなく、季節的な冠水期間の長さが萌芽状況に関係しているのかもしれない。

(委員)
1号支線排水路が掘削されたのはいつ頃か。

(事務局)
1970年から1975年の間に掘削されたものである。

(委員)
1号支線排水路掘削後にハンノキが侵入してきたことになる。
ハンノキの生育面積が拡がったのか、ハンノキが大きくなったために林が拡大したように見えるだけなのか、よく議論になる。
区域1のみの結果であるが、この区域については、1号支線排水路が掘削された後に侵入し拡大したものだと考えることができる。

(委員長)
区域1に生育しているハンノキ全10株中のうち、萌芽していない5株については、排水路掘削後に生長したものと考えて良いのではないか。

(委員)
区域1と区域2は、全体の半分のハンノキが萌芽しており、萌芽の割合は同じである。
サンプル数が少ないようである。この程度の調査は大した労力を必要とせずに実施することができると思う。簡便に実施することができる調査については、もっと広い範囲で調査しても良いのではないか。

(事務局)
予算の範囲内で追加調査を検討したい。

(委員長)
農林水産省と環境省合同で、幌呂地区の南側の地点で15m四方の調査区を設け、その調査区の中のハンノキを全て伐採して樹齢を調査した実績もある。そういった調査結果も参考にして検討を行うことにより、何か分かるかもしれない。

(委員)
区域1の拡大林のハンノキは、樹齢の幅が小さい。この先、継続して調査を実施し、樹齢の幅が表れた後でなければ、伸長・肥大生長を続けていると判断することはできないのではないか。

(委員長)
C、D区域は、冬の凍結期間以外は、歩くとずぶずぶ埋まるようなところである。調査を行う上で難しい面もあると思うが、今後色々な方に協力いただき、データの蓄積を図ることができれば、結果はもっと明確になるのではないか。
本日いただいた意見を、今後のデータの集積等に活かしていきたいと思う。

議事3:平成21年度の予定

(委員)
A区域は、場所によって水深に差があるので、試験掘削を行う場所により地下水位の条件が変わることになる。
10m四方という平面的な大きさの設定に当たっては、専門家の意見を聴いているのか。

(事務局)
専門家の意見を仰いで設定した大きさではない。植生調査等を行う際の一般的な大きさと考えて10m四方とした。

(委員)
広里(環境省)では、どの程度の大きさで試験掘削を行っていたのか。
10m四方という大きさでは小さいと思う。小さいと周囲の植物の影響を受けやすく、縁の部分にはクサヨシなどが残ると思う。
再生事業を行う場合、周りの環境や植生の状況により結果が変わると思う。実際に再生事業を行うことを想定し、実際に近い試験を実施した方が良いのではないか。

(委員)
寒地土木研究所では、サロベツ湿原の農地隣接部で地下水位を上げ、10m四方の方形区を設けてササの除去を行う試験を実施したことがある。その結果、一夏過ぎた頃にもとの湿原植生が生えてきて、ササはなかなか侵入できない状況となった。
ただし、降水量が少なく、地下水位が低下してくると、非湿原性の植物が侵入してくるようになった。
試験区の大きさは、大きければ大きいに越したことはないと思うが、サロベツの事例を踏まえれば、10m四方でも試験は可能だと思う。

(事務局)
広里(環境省)での試験掘削は、5m×25m方形区を設けて勾配を付けて掘削した。

(委員)
表土の厚さと掘削深の関係を考慮し、表土分を剥ぐのか、表土の深さ以上に深く掘削するのか、検討した方が良いと思う。広里の場合は、深く掘削しすぎて植生の回復が遅れたということがあったと思う。
植物の根茎や埋土種子は、本来の地表面のすぐ下にしか無いので、それ以上に深く掘削するとただの水溜りになってしまうのではないか。
地下水位に着目しているようであるが、本来の地表面を出すことについても検討した方が良い。
A区域の中でも、場所により植生や表土の厚さなど条件が異なると思う。条件が異なる地点でも試験を実施してはどうか。

(委員)
試験地の表土厚が30センチメートルだとすると、掘削深50センチメートルでは深すぎるかもしれない。50センチメートル掘削した場合、植物については新たな侵入を評価することになる。新たな侵入は、周囲の植生の生育状況に左右される。
埋土種子の発芽に期待するのか、外からの侵入に期待するのか、分けて検討した方が良いと思う。サロベツでの試験の事例が参考になるのではないか。

(委員)
サロベツの事例では、埋土種子が生えてきた。当初は、外からの侵入はほとんど見られなかった。
サロベツでは試験区の地下水位を上げて試験を行っているが、降水量が少なくなると地下水位が低下するため、2~3年経過すると非湿原性の植物も侵入するようになった。

(事務局)
埋土種子の発芽に期待して試験計画を検討した。
地下水位に着目して試験計画を検討しており、過去の客土の状況などについても、関係者の意見を伺いながら、試験計画をつくっていきたいと考えている。

(委員長)
今回は、試験計画のアウトラインが示された。

(委員)
10m四方の試験区が、表土が厚い地点なのか薄い地点なのかによって、試験の結果は随分変わると思う。

(事務局)
表土厚についても確認しながら試験を実施したいと考えている。

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