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第8回湿原再生小委員会 議事要旨

第8回(平成23年4月27日)

  • 釧路湿原

第8回湿原再生小委員会 議事要旨

植生回復試験地

 事務局より、植生回復試験地の説明が行われた。

(委員長)
試験地のとなりにあるマウンドは試験地を掘った時の残土を盛ったもので、ホザキシモツケの植栽試験を行っている。

3号明渠排水路

(委員長)
3号明渠排水路を埋めてしまうと、農地に影響が生じることになる。
使われていない小規模な明渠排水路を埋めることを考えている。

1号支線排水路

 事務局より、平成23年4月23日から24日の出水時の状況について説明が行われた。

(委員長)
1号支線排水路は緩やかに南側へ流れている。

(委員)
事業区域を湿原にしようとすれば、地下水位を上げるしかない。しかし、そうすると農地に影響があるから、それをどうするかという問題がある。

(委員長)
そのあたりの調整が今後のトライアルになるだろう。

A区域のオオアワダチソウ群落

 A区域のオオアワダチソウ群落を視察した。

(委員長)
置土はまんべんなく行ったようだが、その下の泥炭の質が微妙に違うらしく、時間が経つと地表面が不陸したり、植生も多様に変化してきている。

(委員)
オオアワダチソウ群落では、地下水位を上げるだけでは上手くいかないだろう。

(委員長)
地表面を下げながら、小規模な明渠を埋めて、地下水位を上げることを考えている。

(委員)
施肥、養分が気になる。窒素・リンのテストはやっているか。
もし、窒素・リンが施肥から来ているのであれば、表土を剥げば除去できる。

(委員長)
剥いだ表土とその下の窒素・リンを測定して比較すれば良い。もし、表土にだけ窒素・リンが入っていれば、表土だけ剥いでしまえば除去できる。

(委員)
表土を剥ぐ、というのは問題のある地点だけ剥ぐということか。

(委員長)
全体を剥ぐという提案である。しかし、オオアワダチソウ群落のような場所では強く剥ぐことで地下水位を相対的に上げる。そうすればオオアワダチソウなどは生育できない。

(委員)
そこで必ず出てくる問題が、在来の希少植物の問題である。

(委員長)
表面を剥ぐときに、そこにある在来の希少植物をどうするかということは議論したい。

(委員)
計画に穴が開かないように、その部分はケアしていかなければならない。
植生図を書いて、ここは剥ぐ、ここは剥がないといった計画を練るべきである。

(委員長)
現存植生図を作る。そして、潜在自然植生図を作って比較すべきである。

(委員)
おそらく、一律に表土を剥ぐことはできないと思う。

A区域の道路側溝

 剥いだ表土を置く予定の道路側溝を視察した。

(委員)
道路側溝を埋められないのか。

(事務局)
側溝は道路維持のためのものであるから、埋められない。

(委員)
泥炭は軽いので、圧密のためには用いられないのではないか。

(委員)
泥炭をどれだけ積めばどれだけ圧密が期待できるのか、トライアルすべきである。

(委員)
泥炭は空気に触れると途端に収縮が始まるという特徴がある。

(委員長)
道路側溝の横は、剥いだ泥炭の置き場として考えて、圧密も期待しておく。

B区域のヨシ群落

 委員長より、B地区のヨシ群落について説明が行われた。

(委員)
ここに立つと、「湿原の真ん中に居る」という感じを受ける。

(委員長)
このように回復してほしいと期待している。
さらに奥に行くと、ホザキシモツケが広がっている。

(委員長)
A区域の表土を剥げば、B区域の様に植生は回復するのではないかと予測している。加えて、植生回復を早めるためには、明渠を埋めるのがよいのではないか、という提案がある。

(委員)
裸地化したときに懸念されるのが、外来種の侵入である。

(委員長)
上にヨシの根を刻んだ物を入れるとか、ホザキシモツケを植えるとかしなければならないと思う。

(事務局)
外来種の侵入を防ぐには、地表面と地下水位の差がどれくらいあればよいのか。

(委員)
おそらく、地表面より-10~-20センチメートル程度だと思う。
私の研究データでは、地表面より-5センチメートルであれば確実に排除できる。

(委員長)
外来種を確実に排除するには地表面より平均で-5センチメートル~-10センチメートル、想定としては-10センチメートル~-20センチメートルくらいを期待できるようにしたい。

幌呂1号排水路沈砂池

 事務局より、国営総合農地防災事業「鶴居第2地区」について説明が行われた。

(委員長)
土砂の浚渫は地元住民が行っているのか。

(事務局)
地元住民にお願いすることになっている。

(委員)
幌呂1号排水路は南側と北側、どちらに流れるように設計されているのか。

(事務局)
南側へ流れる設計になっている。しかし、勾配があまりないので、部分的に北側へ流れている所もある。

(委員)
土砂の除去率はどのくらいか。

(事務局)
75%程度である。

(委員)
それでは、結構頻繁に浚渫を行うのか。

(事務局)
現在のところ、1年に1回程度である。

旧幌呂川

 幌呂1号支線排水路を渡り、旧幌呂川を視察した。

(委員長)
以前、議論した時に、幌呂川に流れている水を旧幌呂川に戻してみてはどうか、という意見があった。

(委員)
将来的には戻してみてもよいと思う。

全体眺望箇所

 湿原再生区域全体を見渡せる位置から眺望し、現状の景観を視察した。

意見交換会(下幌呂コミュニティセンター)

 下幌呂コミュニティセンターにおいて、意見交換会が行われた。

(委員)
湿原再生区域全景を見渡した時にとても良い景観だと思った。この景観を皆さんの喜ぶ形にしたい。

(委員)
今日の視察を通して状況がよくわかった。
できること、できないことをもう一度整理して、できることの中から水位を上げる方法を、というのが現実なやり方だと思う。

(委員)
景観としては、まず湿原の縁にハンノキがあって、高茎湿性草原があって、低層湿原があるというような連続性を持たせることができると思う。
もっと湿原が西側に寄るようにしたい。
植物の専門家は、どの植物がどのくらいあるということで、その場所の状況がわかるが、現況の植生をタイプ分けして地図化する、リファランスサイトとの近さを数値化するなど、もっと分かりやすくすることが必要である。

(委員)
現在の植生で水位を上げたらどうなるか、というようなことも含めて、もっと精密なデータが欲しい。

(事務局)
現在は、水位をコントロールするという考え方ではなく、地表面をコントロールして地下水位と近づけるという考え方でやっている。

(委員)
表土は剥いでも、根茎は残ると思う。

(委員)
今までは全体的に掘り下げることで地下水位に近づけるという考え方であったが、視察してみて、そんなに掘らなくてもA区域の相対的な地下水位を上げつつ、農地の地下水位は上げないという方法を考えられると思った。

(委員)
栄養分の問題ももちろんあるとは思うが、結局は地表面の高さと地下水位のバランスである。
そんなに掘り下げなくても希望の地下水位が得られるという場所もあるかもしれない。植生の問題もある

(事務局)
裸地化したときに問題となるのは、例えば外来種が繁茂してしまうとか、在来種を取り去ってしまうとか、そこが問題なのでしょうか。

(委員)
取り扱いに注意が必要な希少植物が生えている箇所については、掘り下げるよりも水位をコントロールするという方が望ましいと思う。

(委員)
排水路を堰上げして水位を上げるということ、表土除去を行うということは、有効な方法の一つだと思う。可能な方法は色々使ってみると良いと思う。
A区域は、低層湿地を目指すのではなくて、もう少し乾燥した二次草原を作ればよいと思う。
それが自然の遷移の中でハンノキ林に変わっていくようであれば、コントロールをして適正な景観を作っていければよいのではないかと思う。
例えば、植生図を作って、オオアワダチソウの生えている地域は地表を剥いで、在来種が多い場所は避けるなどしてはどうか。全面的に裸地化するのは問題があるかと思う。
複数の方法を組み合わせてやったらよいと思う。
地表面を剥ぐにしても根拠が必要だと思う。

(事務局)
排水路を埋めるというのは、対象区域周辺の農地に影響を与えないで、使われていない排水路を埋めるということでよいか。

(委員)
農地に影響があるといけない。
1号支線排水路も含めた、排水路の堰上げということである。

(事務局)
1号支線排水路は大きめの排水路だが、それもコントロールするということか。

(委員)
それを行わないと、低層湿原から高茎湿性草原へ遷移していくといったような連続性を作れない。

(事務局)
埋めるということではなく、水位のコントロールを考えたほうはよいということか。

(委員)
その通りである。1号支線排水呂は今後、キーとなると思われる。1号支線排水路のある区間だけを堰上げするとか、色々な方法を検討していただきたい。

(事務局)
前提条件として、周辺の農地に影響を与えない中で、という考えでよいか。

(委員)
その通りである。だから、幌呂1号排水路の方は水位を上げてはいけない。

(委員)
大雨が降ったときにどうするか、ということも検討していただきたい。
東側の植生を西側に移行させたい。そして湿原再生区域を含めて連続性を持たせたい。

(委員長)
ここは表土を剥ぐ、ここは堰上げをするなど、再生の手法として複数の方法を組み合わせて行う。
技術的な問題として、農地に影響を与えないで、明渠などの水位をコントロールする方法を検討する。

バス車内において

(事務局)
「できること、できないことを整理する」、「複数の方法を組み合わせる」などの意見を受けましたので、事務局としてはこれらを整理して、議論のたたき台となるような実施計画を示したいと考えている。

(委員)
委員それぞれが、意見をA4用紙1枚程度にまとめて提出してはどうか。

(事務局)
アンケートを行い、委員の意見をまとめることとします。

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