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第12回協議会 議事要旨

第12回(平成19年7月30日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第12回協議会 議事要旨

議事1:協議会設置要綱の改正(案)について

 特段異議がないことから、事務局案のとおり、協議会設置要綱を改正することとする。

議事2:第11回協議会以降の小委員会開催報告

 事務局から第6回水循環小委員会、第7回森林再生小委員会、第8回再生普及小委員会、第9回土砂流入小委員会、第9回旧川復元小委員会、第9回再生普及小委員会および釧路湿原自然再生シンポジウムの開催状況について報告が行われた。
 その報告に続いて、各小委員会の委員長、あるいは委員長代理から、各小委員会の協議内容および挙げられた意見について報告が行われた。(委員長、委員長代理ともに欠席した小委員会は、事務局が代読した)

【第6回水循環小委員会開催報告 委員長(代読:事務局)】
 会議の冒頭で第三期水循環小委員会の委員長および委員長代理の選出が行われ、藤間委員長および井上委員長代理が選任された。
 その後は藤間委員長の進行で議事が進み、「水循環小委員会での検討の目的」、「これまでの調査・検討成果の概要」、「現状の課題と平成18年度の調査・検討内容」、「平成19年度以降の調査・検討予定」について協議が行われ、次のような意見が挙げられた。

水循環小委員会の目的についての主な意見
  • 今後は、1980年以前の地下水位が湿原の望ましい地下水位であると文章を加筆し、目標を明確化する。
  • 湿原の水循環を再現するため、調査が行われている場所から検討を開始し、それを湿原全体に拡げていく。
  • 湿原の水循環の概略数値を把握するため、流域の水理地質や数値計算の専門家で構成するワーキンググループをつくって進めてはどうか。

これまでの調査・検討成果の概要についての主な意見
  • 地下水位コンター図は、年平均だけではなく、季節ごとのコンター図を作成し、分析を行った方がいい。
  • 降水量と地下水位の相関性に関する分析を行うことで、有意義な結果が得られるのではないか。
  • 流域を見渡して降水量観測が不足している場所がないかチェックし、可能であれば積雪深など湿原に供給されている水量を把握のための観測も加えてもらいたい。

現状の課題と平成18年度の調査・検討内容についての主な意見
  • 地下水位コンター図は、氾濫水なのか地下水なのかを明確に分け、最高水位の分布から氾濫状況、氾濫している位置を表現してはどうか。
  • 最高水位に加え、最低水位のときの地下水位コンター図を作成することで、河川水と地下水の水のやりとりを把握することができる。
  • 最低水位のとき、河川は排水系として機能することになる。今後は、本川だけでなく、支川も含めて河川水位の観測を行っていった方がいい。

平成19年度以降の調査・検討予定についての主な意見
  • 平成21年度までにかたちをつくり上げていきたいという事務局の考えは、大まかな中期計画として理解できる。
  • 色々な対策が進み、水質も改善されてきていると思うが、水質のトレンドを把握しておく必要がある。
  • 流域の水質環境に関する検討はこれからだと思うので、基本的なデータも取っておいてもらいたい。

【第8回再生普及小委員会開催報告 委員長】
 会議の冒頭で第三期再生普及小委員会の委員長および委員長代理の選出が行われ、高橋委員長および新庄委員長代理が選任された。
 その後は高橋委員長の進行で議事が進み、「再生普及行動計画WG」、「釧路川におけるトイレのあり方検討会」、「釧路湿原環境教育 WG 」、「釧路湿原自然再生協議会に寄せられた寄付金の利用方法」について次のような協議が行われた。

再生普及行動計画WGについて
  • ワンダグリンダ・プロジェクトの2006年の報告書を完成させるための審議が行われた。
  • 釧路湿原の自然再生のさまざまな活動についての知名度アンケートの結果が報告された。
  • 2007年度のワンダグリンダ・プロジェクトの募集状況および今後の進め方について意見交換を行った。

釧路川におけるトイレのあり方検討会について
  • 事務局より、これまでの経過報告と審議内容の説明が行われた。
  • 新たなトイレは設置しない、利用者のマナーを向上させる必要がある、といった意見があった。
  • 同検討会は、報告書の提出をもって解散することになった。今後、トイレに関することで具体的な問題点が生じた場合は、再生普及小委員会の議題とすることになった。

釧路湿原環境教育WGについて
  • 今後の環境教育の進め方については、その体制を含めて第9回再生普及小委員会までに再生普及行動計画WGで検討することになった。

釧路湿原自然再生協議会に寄せられた寄付金の利用方法についての意見
  • 環境教育テキスト、釧路湿原の自然再生を啓蒙するための展示パネルの作成費用として利用することが考えられる。
  • 寄付金による活動ということの明示により、理解が得られやすいのではないか。

【第9回再生普及小委員会開催報告 委員長】
 ワンダグリンダ・プロジェクト2006報告書について報告が行われた後、「釧路湿原環境教育WG」について協議が行われ、次のようなことが決まった。

釧路湿原環境教育WGについて
  • 釧路湿原環境教育WGを新たに立ち上げることにした。
  • 以前の環境教育WGの活動目標は、小学校・中学校の環境教育の教材、人材バンクリストを作成することで、これが完成した段階で活動を休止していた。釧路湿原環境教育 WG の設置をもって、従前の環境教育WGは解散した。

【第9回土砂流入小委員会開催報告 委員長(代読:事務局)】
 会議の冒頭で第三期土砂流入小委員会の委員長および委員長代理の選出が行われ、清水委員長および長澤委員長代理が選任された。
 その後は清水委員長の進行で議事が進み、「河道の安定化対策実施に向けた検討の結果」、「今後の予定」について協議が行われ、次のような意見が挙げられた。

河道の安定化対策実施に向けた検討の結果についての主な意見
  • 落差工の石の配置は、千鳥に並べた方が流速の早い部分と遅い部分ができて魚類にとっていいと思う。
  • 魚が落差工の切欠き部やスリット部を通るのか細かくモニタリングを行うことが必要である。魚の専門家の意見を十分聴くべき。
  • 支川合流部では、減勢する床止工を設置すべきではないか。
  • 下流部の排水不良農地における排水不良の原因は、久著呂川下流域の河床の上昇が大きな原因ではないか。河床上昇の原因は、上流から流れてくる土砂の影響だと考えている。
  • 本川の河床が上流からの土砂により上昇したために、支川の水がはけない状況になっている。
  • 上流から流れてくる土砂の対応を考えてもらいたい。
  • 河川全体にわたる抜本的な対策を実施することは難しいと思う。ただし、現状で排水不良が生じており、将来にわたって問題が解消されない場合は、改めて協議したい。
  • この際一同に会して、細かい問題を含めて解決できるようなことを各機関は考えてもらいたい。
  • 専門家や現地の経験豊かな方の意見を十分に聴いて設計してもらいたい。

今後の予定について
  • 本日の意見を反映し、平成19年度から落差工の工事を実施する。工事実施後もモニタリングを実施する予定である。

【第9回旧川復元小委員会開催報告 委員長】
 会議の冒頭で第三期旧川復元小委員会の委員長および委員長代理の選出が行われ、神田委員長および中村委員長代理が選任された。
 その後は神田委員長の進行で議事が進み、「施工年次計画」、「移植・移動予定」について協議が行われ、次のような意見が挙げられた。

移植・移動予定についての主な意見
  • 右岸残土撤去箇所にヨシ群落を再生しなければならないが、現在あるヨシの面積は非常に少ないので、ヨシの面積を広げるような事をしなければならないと思う。
  • ヨシの移植に関しては、実験区を設けて、どの程度ヨシの根を薄く伸ばしても活着・再生するかという事を確かめながらやっていく必要がある。
  • 残土を撤去して裸地にした場合は、牧草に限らず帰化植物はかなりの勢いで入ってくると予測される。ヨシが負けないよう、水を含んだような土壌条件を作り出すという事が大事だと思う。
  • ヨシを種から再生させようとすると、根が50センチメートルになるまでには相当な年数がかかる。根を使うことが有効な方法である。根さえ上手く移植してしまえば地上部はあまり気にしなくても良い。また根を移植すれば、次の年から直ぐ生えてくる。
  • 予めヨシを栽培しておけば、多くの根が使えるようになると思う。そうすれば、およそ5年の内にヨシ群落を広げることが出来ると思う。
  • 緻密に生態系に配慮していて非常に素晴らしいプランだと思う。ヤチウグイは環境変化に敏感で、止水域から流水域に移動するのは非常に難しいが、十分配慮して放流しようとしているので、うまくいくのではないか。
  • これだけの工事をするので環境が一部壊れるという面もあるが、長い目で見れば蛇行復元のメリットは十分にある。

その他について
  • 河川復元で形状が復元されても、水生生物が復元されなければ意味が無いと思う。釧路湿原の場合には、イトウなどのサケ科の魚類が産卵できるのが本来の自然生態系だろうと考えている。
  • この再生事業の延長線上として、本釧路川(以前の旧釧路川)を再生することも今後考えてもらいたい。

議事3:雷別地区自然再生事業実施計画(案)

 委員長代理から第7回森林再生小委員会の開催報告が行われた。その報告に続いて、事務局から雷別地区自然再生事業実施計画(案)について説明が行われ、内容について協議が行われた。

【第7回森林再生小委員会開催報告 委員長代理】
 会議の冒頭で第三期森林再生小委員会の委員長および委員長代理の選出が行われ、中村委員長および金子委員長代理が選任された。
 その後は中村委員長の進行で議事が進み、「雷別地区での森林再生」、「雷別地区自然再生事業実施計画(案)」、「平成18年度環境省達古武地域森林再生事業」について協議が行われ、次のような意見が挙げられた。

雷別地区での森林再生についての主な意見
  • 雷別地区における森林再生については、試行実験区における地掻き後のササの回復状況を見ていく必要がある。
  • 立地に応じた植栽木の選定について考慮してもらいたい。

雷別地区自然再生事業実施計画(案)についての主な意見
  • 雷別地区自然再生事業実施計画(案)については、シカの被食を受けた場合の対策について、天然更新が期待できる母樹が多く存在しているデータを実施計画書に記載する等の意見が出された。
  • 雷別地区自然再生事業実施計画(案)については、本小委員会での協議内容を踏まえて実施者が修正し、それを委員長が確認した上で第12回協議会に提出することが了承された。

平成18年度環境省達古武地域森林再生事業についての主な意見
 平成18年度達古武地域森林再生事業については、シカの被食状況、嗜好性等について意見が出された。

(会長)
293林班の立ち枯れの原因は、土壌凍結による水分通導機能障害だと示されている。
こういう現象が頻繁に生じるのであれば、いくら植樹しても無駄だと思う。
293林班の立ち枯れは、たまたまこの年の土壌凍結がひどくて生じたということか。

(事務局)
平成11年度の冬は雪が少なく、冷え込んだため、土壌凍結が進行した。

(会長)
頻繁に生じる現象ではないという理解でよいか。

(事務局)
たまたま平成11年度に低温で雪が少ないという条件が重なり、被害が拡大した。

(会長)
風向きや周囲の土地利用状況等により、 293林班ではひどい土壌凍結が生じやすいという条件があるのか。

(事務局)
雷別地区のほかに、仁々志別でも同じような時期に同じような原因で立ち枯れが発生した。特に、70年生の高齢級のトドマツに被害が集中した。
樹木の生理的、土地的、気候的な要因が重なって発生したと考えられる。

(会長)
天然更新区域、人工植栽区域のほかに保全区域とあるが、ここでは何を行うのか。

(事務局)
すでに稚樹の発生が見られる区域で、推移を見守ることにしている区域である。

(委員)
地掻きは、ササの群落を取り除くために行うものだと思うが、このような取り組みが他の地域でも行われている。そこでは、ある一定の範囲に家畜を放牧し、地面を掘り起こさせ、一定の期間で移動するということを繰り返している。これにより、埋土種子の発芽を促進しようとしている。
この方法であれば、埋土種子があれば発芽を促すことが可能で、家畜によるエゾシカ対策にもなる。
雷別地区では、埋土種子の調査を行っているのか確認したい。また、家畜を利用した方法をどこかの地域で試してみてはどうか。

(事務局)
今までに埋土種子の調査を行ったことは無い
家畜を利用しての地掻きについては、今のところ考えていない。国有林の地掻きは、重機を使用して行うことが一般的で、その方法についての知見も持っていることから、その方法を活用して行っていきたいと考えている。

(委員)
釧路湿原の保全については、流域全体で考えることになると思う。
流域の中にササ群落はたくさんある。これに対応するために、地域住民がどのように参画していくのか、ということもこれから求められる。
これまで国有林で行ってきた手法に加えて、釧路湿原の流域に適した重機を使わない新たな手法を適用できれば、他の地区のサンプルになる。色々な手法を試してみてはどうか。

(会長)
今の提案については、森林再生小委員会で検討してもらいたい。

(委員)
非常に重要な提案だと思うが、今の提案は、流域の森林の現状もきちっと把握し、その上で色々な手法を試してみてはどうかという提案か。

(委員)
そうである。

(会長)
自然再生は、長期の景観計画についても考えて行う必要があるのではないか。森林はまさにそうで、景観計画も含めて考えていいと思う。

(委員)
何らかの人為的な影響でササの密度が増えているというような場所を対象として、再生に取り組んでいけばいいと思う。
過度に人が手を入れて行うことはしないという考え方でいいか。

(会長)
その考え方でいいと思う。

(事務局)
シカ害の防止という点で住民の方の協力を得ていく可能性がある。
ふれあいセンターで、住民の方に自然再生に参加してもらいたいと考えて、「雷別どんぐりクラブ」という住民参加の仕組みをつくった。現在のところ、11名が登録されている。
今後、苗木をつくる、種を拾う、シカの食害を邪魔するための囲いをつくる、といった活動に住民の方に参加してもらいたいと考えている。
そのような実験のひとつとして、天然更新を促進するための仕組みを考えていく可能性はある。

(会長)
雷別地区では、土壌凍結が重要な環境要素となっている。
透明なパイプにメチレンブルー溶液を入れて地面に刺し込んでおくと、凍結した箇所は脱色して白っぽくなる。非常に簡単で安価な方法である。
このようなパイプを条件の異なる場所に設置することで、場所ごとの凍結深を把握することができる。雷別地区で試してみてはどうか。

(事務局)
専門家に相談して試してみたい。

(委員)
土壌凍結深度計は市販されているので、試してみればいいと思う。
トドマツは、土壌凍結に限らず寒さに弱い。樹幹も、温度が下がると破裂することがある。広葉樹の森林を再生することで、数十年に一回の冷害も防ぐことができるという考えで広葉樹を選定したという理解でいいか。

(事務局)
ご指摘のとおり、トドマツは寒さに弱い。広葉樹は寒さに強いので、広葉樹を選択した。

(委員)
前回の小委員会で、どんな場所にどんな樹種を植えるのか記述すべきという意見があったが、その意見が反映されていないのではないか。
実施計画案p.12に再生の目標が示されているが、天然林試験地などがどこにあるかも分からないので、何を目標にしているのか分かりづらい。

(事務局)
標茶町の町の近くに天然林固定試験地があり、そこでの調査の結果である。
また、293林班の近くにもわずかな面積であるが天然林が残っているので、そこでの調査の結果も加えている。

(委員)
林班の中ではないということか。

(事務局)
林班のすぐそばである。

(委員)
ミズナラ、カシワと、ハルニレ、ヤチダモは全く立地が違う植物で、天然林施業を行う場合も別に考えられていると思うが、実施計画(案)では 4種類の樹種を並列に挙げて広葉樹として扱っている。
植栽を行うときは向き、不向きを考慮する必要がある。実施計画に植栽に関する計画を盛り込まないのか。

(事務局)
今回は、沢沿いを除いた台地に近い状況の場所を植栽地として選定しており、立地に応じた細かい樹種選定を行う必要はないと考えている。
4つの樹種を中心に植栽し、天然の力で残った樹木を育てていく考えである。

(委員)
それではハルニレ、ヤチダモは難しい。特にハルニレは、尾根筋だと難しいと思う。
どのような樹種がどのような場所に生育しているのか、現地で確認する必要がある。
沢筋の調査結果をモデルにして尾根筋の再生を行うという考えは、おかしいと思う。

(事務局)
完全に尾根筋というわけではなく、そういった箇所を含んだ台地状の場所だと理解してもらいたい。

(委員)
とりあえず4種類の樹木を植栽し、残った木を育てていこうという考えか。

(事務局)
そのように理解してもらいたい。

(委員)
母樹から20mの範囲内を天然更新の範囲としているが、母樹の定義を確認したい。

また、3本の母樹が20mの範囲内にあることを条件としているが、母樹の樹種は関係ないのか。

(事務局)
胸高直径14センチメートル 以上の樹木を母樹としており、樹種は特に定めていない。
20mの範囲内に母樹が3本以上ある範囲で地掻きを行い、天然更新を図るという計画にしている。

(委員)
実施計画案p.15に樹幹の投影図があり、樹幹が無い場所に人工植栽を行うことになっている。この図に記載されているオヒョウやハルニレは母樹に当たらないのか。母樹がたくさんあるところは天然更新を行うことになるのではないか。

(事務局)
この図は天然林での調査結果で、樹群を形成しているところと樹木が無いところがあるということを示すための図である。
樹群が形成されているところで集中的に植栽を行うことを考えている。

(委員)
実際の森林を考えたときのイメージ図だということか。

(事務局)
下の図はイメージ図である。

(会長)
樹冠のなかに樹木の幹が無い箇所というのはどういうところなのか。樹冠が張り出しているということか。

(事務局)
そうである。

(委員)
実際に植栽する場所は全然木が無いのか。

(事務局)
そうである。

(委員)
植栽後は手を入れないというように聞こえたが、ある程度手を入れないと再生しない。
どんな自然林でも、高齢木をある程度間伐しないと、樹木は更新されない。

(事務局)
なるべく天然の力を利用し、樹木間の競争を促しながら森をつくっていきたいと考えているが、全く手を入れないというわけではない。
現地の状況を見て、天然更新した場所については稚樹の生長を促すための刈り払いを行い、人工植栽を行った場所については必要に応じて間伐を行うことを考えている。

(委員)
シラカバは再生が早い。まずシラカバを植栽し、その上でハルニレ等を育成して更新を促していくと早く自然林が形成されると思う。

(会長)
経験に基づく提案は大事なので、今の提案を含めて検討してもらえればいいと思う。

(委員)
今のシラカバの提案は、全くそのとおりだと思う。
埋土種子の調査を行って土壌のポテンシャルを把握し、どのような樹木が生える可能性があるか調べ、放置した場合と手を入れた場合を推定するという手法が考えられる。
その結果を踏まえ、生える可能性がある樹木の生長をサポートするという手法がいいと思う。
そのようにしなければ、目標を達成するまで手を加え続ける必要が生じる。最後まで面倒を見るという覚悟で行うのか、ある程度の自然の推移に任せようとするのか判断が必要になる。
植栽を行い、残った樹木を育成するという話があったが、選ぶ樹種も場所によって変わると思う。
冒頭で話をした家畜を放し飼いにするという手法も、人手が無いところを行っている手法である。
今後どの程度手を加えるのかということも想定しておく必要がある。

(事務局)
植栽に焦点があたっているようであるが、植栽を行う範囲は、全体20haのうち5~6haである。
残りの15ha程度で天然更新を行うことを考えている。そこにシラカバがあればシラカバが生えてくることになると思う。
天然の力を利用し、それをうまくサポートして自然林をつくっていく。そういった範囲が全体の2/3程度を占めている。

(会長)
天然の実験区が偶然ある、というような場所なので、今の提案を両方やってはどうか。
放置する場所、手を加える場所、両方をうまく組み込んでみてはどうか。
どのようにするか、小委員会でも検討してはどうか。

(委員)
釧路湿原の周辺は民地の方が多い。今回国有林で行うことを民地で広げていくことが考えられる。
地掻きを行ったことで樹木が生えてくるかもしれないが、ササが入ってくることも考えられる。ササが入ってこないように下刈りを行うのか。
国有林であれば費用をかけてもデータを取れればいいということになるかもしれないが、民間で行う場合は効果/費用がひとつの判断材料になる。

(会長)
このあたりにはミヤコザサ系のササが生育しており、刈り払いを行った場合の回復力は極めて大きい。
1haあたりどの程度の費用がかかるのか、作業を行う上での原価計算を行っておいた方がいい。民地で行う場合の判断材料になる。

(事務局)
こういった重機を使用してこのような作業を行った場合にどの程度の費用がかかるのかなど、基本的な情報は把握している。
専門家から、「ササの侵入を防ぐためにはなるべく広い範囲で地掻きを行った方がいいが、あまり広い範囲で行うと土砂生産源となるので現地状況を踏まえて検討すべき」という助言を得ている。
雷別地区では、地掻きの幅を5mと設定して行うことにしている。

(会長)
釧路湿原の保全を考える上では、森林が良くなっても土砂が湿原に流入してくるようでは問題である。バランスを考えて行ってもらいたい。
他にご意見はないか。(意見無し)
それでは、雷別地区自然再生事業実施計画(案)については、本日の意見も含めて検討し、計画としてとりまとめてもらいたい。

自然再生専門家会議について(会長から)

(会長)
今年の9月に、自然再生専門家会議のメンバーに釧路湿原を見てもらうことになった。

(委員)
現場を見て知恵を結集していくということが大事だと思う。9月中旬頃に現場を見ていただく予定である。ご協力をお願いしたい。

その他

 事務局から、報道関係者を対象とした現地説明会、釧路湿原国立公園指定20周年記念事業、第13回釧路湿原自然再生協議会の予定について説明が行われた。

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