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第3回旧川復元小委員会 議事要旨

第3回(平成16年10月20日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第3回旧川復元小委員会 議事要旨

既往の経緯

 事務局より既往の経緯、全体構想案、実施計画案の説明が行われた。

(委員)
魚類は隠れ場所として日陰を好む。河畔林を復元するときには、日の当たり方をよく考える必要がある。全体にずっとあればいいわけではない。そのため資料には、河岸のどちらに木が多い方がいいか知る上で、方位が書いてあるとよい。
サケ科魚類は、落下昆虫を多くのエサとしているが、ヤナギばかりでは虫の種類が十分ではないので、混交の仕方も検討する必要がある。

(委員)
魚類は1年中落下昆虫に頼っているわけではないので、林ばかりでなく、水生昆虫の種類・生息環境についても調べる必要がある。

(委員長)
現地を見て感じたことは、川の蛇行部の外側の氾濫原にはヤチダモ、ハルニレ、ケヤマハンノキが、また内側にはヤナギが多かった。地盤に砂が多いところ、あるいは何回も氾濫を繰り返して土壌がかなり肥沃になっているところ、などで立地に合った木が自然に生えてくるという感じがした。
そのため、河畔林の保全・再生を考える際には、単に稚樹を植えればいいわけではなく、それが定着して生えるかどうかは土壌の方も気をつけてやらないといけない。そうしないと、全く目的としないものが、逆に何年かたつと入れ代わってしまうというようなことにもなるかと思う。

(委員)
いまの直線河道を埋め戻して旧川に水を流すことで、川の平面形は昔の形に戻る。川は蛇行しながら自然に左右へ氾濫し、上流から運ばれた土砂は自然堤防としてたまり、変化に富んだ水深が自然に出てくると思う。また高くなっている直線河道右岸部も戻す。そこに自然に選ばれて生えるべき植物が生えてくるのではないかと思う。

(委員長)
周辺には河畔林が成立しているので、自分にとって適当な立地に種が落ちて、それが定着してくれば、そこにまた林が形成されるということになると思う。積み上げているところが自然堤防に比べると随分高くなっていて湿原の氾濫源という状態では全然ない。苗を持ってきてわざわざ植えるより、もとの平らな状態に戻してやる方が大事だと思う。

(委員長)
直線にしたところの両岸は、ヤナギでびっしり埋まっているが、ほかの蛇行河川はヤナギと、ハルニレ、ヤチダモ林が交互に繰り返して出てきている。それは砂地のところにはヤナギが生えてきており、栄養のたくさん含まれたようなものが氾濫して、自然堤防として高くなったようなところには、ハルニレ、ヤチダモが出てくるというようなことになっている。
ヤチダモなどが生えているところは地盤が随分やわらかくて削れているので蛇行も進むだろう。直線河道の両側はヤナギが優先し、それが自然堤防の役割や、強固な堤防の役割を果たしているので、黙っていると、いつまでもこの状態が続くのではないかという感じを強く持った。

(委員)
五十石の堤防計画は、すぐ工事するのか。

(委員)
改修計画上、堤防計画はあるが実施してはいない。先に農地防災事業が着手しているという状態である。

(委員)
蛇行河川の復元で問題となるのは、農地に水が溢れるかどうかなので、五十石の堤防を整備すれば、旧川復元を全部一遍に考えられるのか。

(委員)
地権者は、水位が現状より上がることが余りよくないという感じなのである。水位を上げることは堤防でカバーしたところでもポテンシャルが違う。よって、水位上昇の影響範囲が上流に及ばないように、復元区間は下流部に限定している。

(委員)
右岸側の盛土を撤去して全部あふれさせたら、水位は下がるのではないのか。さらに直線部を全部埋めれば自由に氾濫するようになるから、湿地などになるのではないのか。

(委員)
今草地をつくっている上流側(東側)に堤防を造ると、農地が冠水することはなくなるが、対岸の西側は冠水しやすくなる。西側の方へ土砂が入ることが大問題になるのか。大問題になるのであれば、高さをどうするのか検討を行えばよい。

(委員)
直線部分を使わないことの代替措置が、右側の盛土を撤去してあふれさせること。当該地点の水位は上がるが、その影響区間は五十石まではいかないと思う。今そのような形で考えている。右岸盛土の撤去と旧川復元はセットでやらなければいけない。

(委員)
五十石橋から下流について蛇行河川をどうのようにつくっていくかを、将来予測計算を用いて、農地との兼ね合いを考えながら検討しなければいけない。右岸盛土を撤去して氾濫源にしていますのも1つの方法だが、今直線化された河道の中で始まっている蛇行を生かして新しい蛇行がつくれないのかという議論があってもよいのではないか。

(委員)
再蛇行を直線からさせたいのであれば、河道の半分ぐらいの幅にするなど、河道を狭くしてやれば、砂州が少しはついて蛇行しやすいと思う。半分ぐらいの幅にしてやれば、砂州が少しはつくのではないかという気がする。スピードは遅いとは思うが、きっかけがないと、なかなか蛇行はしない。

(委員)
将来予測イメージとして、どこまでの形になれば蛇行したというのか。
今ある旧河道は、3,000年ぐらいの湿原の歴史の中で自然が自ら選んだ形である。それを20年ぐらい前に変えたことは、3,000年というスパンの中では、つい最近のことである。今事業自体を早急に実施しなければならないというときに、それに戻そうと思ったら戻せるのに、違った形になるまで、500年、1,000年待つのかということである。次回は数字も持ってそこの議論を行わなければならないと考えている。

(委員長)
現地を見れば見るほど、直線化した残土を右岸に盛り上げたことが色々な悪さをしている。右岸部のハンノキ林について、この部分を少し拡大して、20年前、それから50年ぐらい前、年代ごとにどのように移り変わってきたかを整理してほしいと思う。

「釧路湿原の旧川復元計画について」、「既往の調査検討結果(平成15年度まで)」

 事務局より「釧路湿原の旧川復元計画について」及び「既往の調査検討結果(平成15年度まで)」の説明が行われた。

(委員)
旧河道の河床材料であるシルトを取り除くとなると、それをどこに持って行くのかというのが問題になる。完全に取り除けないのなら、大量に下流へ出て行くことになるのでは。そうすると、工事によって泥水がいっぱい出るかもしれないが、それは当面この分がなくなる、開いただけは出てくるのは仕方ないということでやればいいのかもしれない。
下流に流出する土砂量が減少するのであれば、それなりの効果があると考えてよいが、旧川を復元することで湿原への土砂流出量は変わるのか。

(事務局)
湿原への土砂流出量は今後調べて、報告する。

(委員)
底泥を掘削した後の処理はどうするのか。

(事務局)
土壌検査を行った結果、環境に害を及ぼすような結果は出ていないので、含水値を下げることや改良剤等を入れて通常の盛土等として有効利用していくことを考えている。

(委員)
現直線河道と旧川との間はどのような植生になっているのか。復元後のシミュレーションで氾濫の頻度が高まるという説明があったが、それによってどんな植生に変わっていくことが期待されるのか。

(事務局)
旧川には、ヤナギ、ハルニレ、ヤチダモなどの河畔林があり、また背後地は帰化種が大部分を占めている。直線河道には、同様にしてヤナギが繁茂し、ハンノキ群落との間には若干ヨシ群落やホザキシモツケ群落、シラカンバ群落がある。
復元後の植生について、旧川沿いの地盤が高いということもあって、植生は今のままだと、余り変化が期待できないようなところもある。湿地の再生をどうやって講じていくか、今後の課題となっている。

(委員長代理)
今後、制約条件を整理して議論を収斂していくべきではないか。これまで相当調査をしているので、その中で言えることである程度議論が絞れていくのではないか。

(オブザーバー)
河道復元計画の中に、標茶町との協動体制での復元を実施するとあるが、どのような協働体制をするのか、具体的な考えがあれば聞きたい。
復元箇所上流の農地に影響を与えない復元計画とするということだが、上流部分に土地利用の制約条件という記述がある。ここは農地防災事業の区域と重なっており、調整が必要である。また、五十石堤防となっているが、実際は無堤防区間である。その辺の関連も含めてどのようなイメージを持ったらいいのか。

(委員)
協働体制については、まだ具体的なものは無いが、今後いろいろな計画の段階から一緒にやっていきたい。
上流の制約条件について、旧川復元区間の入り口付近ではスポット的には河川水位は上がる。ただし、KP35 付近より上流は水位上昇が無く、農地には影響は無い。
上流農地の区間は、いま無堤であるが、農業側の方で地上げ等の施策を取っているので、今後は治水の安全度も上がる。

(委員)
五十石堤防、下流右岸側の計画堤防というのは今後つくる予定はあるのか。

(委員)
五十石堤防については、いつ実施するかは決まっていないが、計画上見込んでいる。また本川右岸側については、現在土地利用がなされていないことから、今後堤防はつくらず、逆に氾濫を許容することで冠水頻度を上げ、自然再生を図ることを考えている。なお、相対的に左岸側の治水安全度は上がる。

(委員長代理)
オソベツ川の旧川復元と茅沼の旧川復元の整合性について、平常時、洪水時でどのように考えていけばよいのか。

(事務局)
オソベツ川に関してはまだ十分な検討がなされていない。今後、直線河道右岸側への氾濫頻度を増やすとき、旧オソベツ川を一体的に考えなければならないということ。

(委員長代理)
オソベツ川の復元も考えているのならば、全体計画としての整合性をより早いうちに持っておいたほうがよい。

(委員長代理)
直線河道の現状の交互砂州形態を、ずっと放置することによって、湿原にあるような蛇行河川へ自然に復元するという意見があるが、委員会としての合意点を持つべきではないか。再び蛇行するにはどのぐらいの時間が必要なのかということをある程度固めていったほうがよいのでは。

(委員)
交互砂州の波長が旧川の蛇行の波長とほぼ同じように出てきておりいずれは戻ると思うが、直線河道ができて20年経っても蛇行し始めるまでは至っていないことから、100年ぐらいじゃ全然戻らないのでは。200年とか300年というオーダーになり、その前に釧路湿原がどうなるか。

(委員長代理)
どのぐらいの時間スケールで変化していくか、粗い計算で構わないので、委員の意見を伺いながら、検討していただきたい。
いろんな問題はあるということを列挙した上で、いま英知を集めた結果から意見をまとめるべきではないか。何もしないという判断をするのか、もしくは積極的に蛇行復元をやっていくのかの分かれ道であり、意見合意の重要なところだと思う。

(委員)
侵食のスピードは、土・水の粘着力だとか河岸植生の根の影響などが関係しており、計算は簡単ではないが、予測は出来る。1000年という数字が出てくるかも知れない。

(委員)
何らかの数字を押さえておくことは必要と考えている。例えば1000年で戻りそうになったときに、もうそのときには湿原は無かったという話になるのか、再生事業のモチベーションとして押さえておきたい。

平成16年度検討の中間報告について

 事務局より平成16年度検討の中間報告の説明が行われた。

(委員)
旧川の掘削試験は周囲の魚を上手く排除する方法を検討する必要がある。ちょっと大きい網になりますが引き網は、 1回に大量にとれるということで効果的であると思う。生き物なので、余りたくさん残すと課題も多くなると思う。

(委員)
旧川の掘削で、右岸側が氾濫してもいいような状態だとしたら、バックフォーや浚渫船などで掘削しなくても、旧川に水を入れてやると、川自らが深い浅いも、自然な形を造るのではないかという気がした。これについて検討したことはあるのか。やはり機械で掘った方がいいのか。

(委員)
もともとは、水だけを入れるという考えもあったが、下流に土砂が流れていくことに配慮して、河道断面をいったん昔の形まで戻してから水を流そうと考えた。

(事務局)
上流農地への影響が、一番配慮することの1つである。具体的には、農地の地下水位を上げないようにする。つまり河川の水位を上げないようにするということになる。掘削しないで水を流した場合、やはり上流側の水位が上がることになると思うので、それが課題の1つに上げられる。下流への土砂の供給と、上流の地下水位の上昇ということである。

(委員)
木が生えているところと生えていないところに着目して見ると、蛇行している部分で、外側の方は木がついていないという感じであった。湿原内の蛇行部の調査結果から湾曲と樹木の関係で特徴的なことがあれば、それを考慮して旧川の復元を図るということもできそうだなと思った。

(委員長)
リファレンスサイトでは、流れに直角の方向に断面をとって植生などを調べていると思います。そこからもう少し流れに沿って植生を調べてみることも必要では。

(委員)
全体構想では、旧川跡が残っていない小さな川も含めて、自然河川を改修した場所を復元再生していくという位置づけが明確になってもいいのではないのか。
小さい川も蛇行に戻していけば、本流の土砂などの負荷も随分減ってくると思う。そういうところを積極的に洗い出して、全体構想の復元対象にしていっていただきたい。

(委員)
旧川復元は前の検討委員会のときから、5箇所はすべて対象にしていて、茅沼だけで終わりということではない。将来的な構想として、当然戻せるものは戻しましょうということだった。土地利用状況など社会的なことを考えると、一番影響が少ない茅沼を優先的に実施するということを考えている。

(委員)
この場では、茅沼地区をテストケースとして試験やテスト工事を行って議論しながら色々な知識を集めて、今後の事業に反映さていくことでは。現場の条件はいろいろと違うところもあると思いますが、残りの全部をまた同じように、この場で検討していくというのは不可能に近い。

(委員長)
この場で行うかどうかは別として、どこかでやっていかなければならない。

(事務局)
「残存する旧河道や河川跡を活用し、」ということで、必ずしも水面が残っているところに限定した記述になっていません。それから、目標のところには、「川のダイナミズムを復元します。」を掲げております。これは、攪乱・更新システムも旧川復元だけではなくて、いろいろやり方があると思いますので、流域内の河川をイメージした記述になっています。

(委員)
今回の場所を初めてカヌーに乗って感じたことは、自然が結構残っているので、そこにはあまり手をつけないで、今のままもう少し様子を見たほうがいいのではないのかと思った。ゆっくり考えて行わなければならないと思う。

(委員)
自然河川が増えるということは、ここを利用する方も増える。違った意味で湿原に対する負荷が増えるというのを杞憂した。その点についても色々配慮しなければいけないと個人的には思った。

(委員)
産業の問題、上流部の水の問題も大きな課題である。あれもこれもと言うと大変だということで、その順序や重要度を検討し、割り切って、ある程度それなりのところにはそれなりのケアをして、それで取り戻すべきもの、守るべきものを守っていくということが必要なのかなと感じた。

(委員)
例えば久著呂川ではこういうところを復元できるとか、結果として釧路川に関わる課題は流域全体の中にある。これを全体(協議会)で論議することは不可能なことであるが、論点として上げることは可能だと思うし、そのような機会もあっていいような気がする。そうすると、今やっていることに対する新しい意見や、いい方向も出てくるかもしれない。

(委員)
一般の人に事業を理解してもらうためには、流速や勾配などの色々な情報を分かりやすく公開する必要がある。
小委員会で議題として取り上げるのであれば、検討が進んでいるところははっきりとこういうことをやっていますという数字的なものを出してほしい。評価方法もこらから実施する方法は示されているが、結果は示されていない。

(委員)
当初から周辺地域の人の理解を深めることは重要で、その難しさは認識されていたが、地域検討会などを実施した中で、事業に反対している人や不安を持っている人への理解が深まり、事態が好転しているのか。色々な機会を通じて、積極的に情報を出していくということは、まだ必要だなというふうに感じている。

(委員)
地域検討会は各会場に応じてトーンが異なるが、標茶会場の場合、今まで余りにも情報が伝わっていなくて、単純に疑問に思ったり、分からないことがあったり、それが不安につながっているという印象を受けた。積極的に様々な情報を色々な機会を通じて出していくことは、まだこれからも必要だというふうに感じている。

全体構想との関わり

 全体構想との関わりについて、事務局より説明を行われた。

(委員)
調査を総合的に一つに捉えて、目的や結果を総合的に調整していくようなところはないのか。

(委員)
以前の検討委員会には調査技術小委員会のように、調査とか技術的なものを統合するようなものがあれば解決していくのではないか。

(委員長代理)
今のところはこの委員会の枠の中でやっていくということであるが、疑問を持ち何かこういう方向がいいと思った人が、ワーキングなりに参加していただいて、協力していただきたい。地域がもっと強く引っ張るべきだと思う。

その他

 今後の予定として、第5回自然再生協議会が11月18日13時30分から国際交流センターで開催されることについて、事務局より説明が行われた。

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