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第6回旧川復元小委員会 議事要旨

第6回(平成17年8月3日)

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第6回旧川復元小委員会 議事要旨

茅沼地区旧川復元実施計画(案)について

 事務局より茅沼地区旧川復元実施計画(案)における実施計画(案)の修正及び「モニタリングによる検証」についての説明が行われた。

(委員)
P33の衛星写真による現況河道の河床形態比較(参考図)の旧川下流合流部の河道形状が他の図と違っているが、間違いであるならば修正したほうが良い。
「仔魚」は卵黄を吸収した段階までの状態で、放流時期は「稚魚」と呼ばれている。「サケなどの親魚の遡上や仔魚の降海期」の表現で、「仔魚」は「稚魚」に訂正したほうがよい。

(委員)
事業の実施内容で、今回復元対象区間を明示しているが、この区間を対象とする説明を本文にも記載した方がよい。
特に直線河道の1/3を旧川復元の対象区間としたのは、上流の農地への配慮だと思うが、残りの区間の将来的な方向性や方針にも触れておいたほうが分かりやすい。

(事務局)
どこで何を実施するかについて、本文に説明を加える。
農地の水位上昇に関しては、別途資料で示していかなければいけないと考えている。
実施計画では事業の実施に関する事項を記載していくものであり、残りの区間の将来的な方針をこの実施計画で触れるべきではないと考えている。

(委員長)
余り将来のことまで実施計画に記載すると制約が起きて問題があると思う。
当初は直線河道全体の復元を計画していたが、水位上昇の影響などを検討しながら、最終的には貴重種であるイヌイトモの保全を目的に対象区間を決めた経緯がある。今後、上流区間の旧川復元は考えていないということなので、この実施計画では施工区間を明記しているという理解で良いのではないか。

(委員)
基本的には実施計画を着実に進めていただきたい。
久著呂、塘路線の上流域はほとんど毎年のように氾濫を起こし、栄養を含んだ泥水が堆積することによって、かなりのハンノキが繁殖している。
旧川には相当種の希少昆虫が生息している他、ギンブナも多く生息している。このような豊かな生態系が保たれている旧川が流水域に変わることによって、動植物の生息環境が変わるだろうと思う。しかし、水位が上昇することによって止水域が形成されれば、そこでホタルの生息が可能となるなど、新たな生態系の形成が期待される。
旧川沿いの河畔林は、ヤナギ、ハルニレ、ヤチダモ、ケヤマハンノキ、あるいはオニグルミなど植種も多いが、水位が上昇することによって、ヨシ、スゲに変化していくとになると思う。
このように、一部乾燥化に適した動植物については、今後かなり推移していくと感じるが、割り切っていかなければ、なかなか事は進まないと思う。
イヌイトモやイトウなど、貴重種は人工的に移動させることは必要だと思うが、工事により手が加えられた残された旧川に何かを持って来るより、自然に任せておいた方が良いと感じる。

(委員長)
対象区間の旧川が止水域から流水域になることで、環境が変化するが、その上流に旧川の一部が止水域のまま残るので、そこに止水域の生態系が保全されることになる。よって、生物の多様性という面では損なわれるものは少ないが、ギンブナは工事によって行き場を失うことになるので、生物への配慮は施工計画で慎重に検討する必要がある。

(委員)
第7回協議会で指摘された農地への影響に関して、実施計画に表記する予定はあるのか。

(事務局)
周辺農地への影響に関する制約条件や対処方法等について、別途、参考資料を添付していくことを考えている。

(委員長)
一昨日、標茶町で、主に農家の方々を対象に、実施計画に対する意見を伺った。基本的には上流農家への影響はないことを前提に実施計画は立てられている点について、理解が得られていると思う。

(委員)
自然環境への配慮事項は大きく分けて2つあると思う。工事による一時的な影響に対する配慮と、復元そのものによる環境変化に関する配慮があると思われるので、分けて表記したほうがいいと思う。
例えば、ネムロコウホネは流水環境では生息できないので、旧川復元後は止水環境への移植が必要という考え方だと思う。一方で、ヨシの場合は工事の影響を一時的に受けるものは移植し、工事後は元に戻すという考え方では。復元で恒常的に生息環境が変化する場合は、(普通種の)ヨシは移植の必要はないと思う。

(事務局)
指摘頂いた事項が明確になるよう事務局で検討していきたいと思う。

(委員)
モニタリングの評価項目で、魚に関しては物理環境のみが評価項目になっているが、魚の生息密度や、種組成を入れたほうがよい。また、植生に関しても、ヨシ群落の現況及び過去の面積、予測数値などが入っていた方が、モニタリングの評価と対応しやすいと思う。

(事務局)
過去に魚類調査を実施したが、直線河道の現状全てを把握することは難しく、今後の課題として残っていると思う。旧川とリファレンスサイトも同様に全てこれで評価できるというところまで達していない。将来的には、モニタリングを充分行っていきたいと考えている。

(委員)
生物分野の将来予測は難しいと思う。事前の状態を充分把握しておかないと、モニタリングの結果と比較できないことになる。データが不足しているのであれば、施工前に充分な調査が必要である。

(事務局)
事業実施前に調査を実施する予定である。この調査結果がモニタリング結果と比較できると考えている。

(委員)
細かな魚種を挙げるとたくさんある。魚類の生息環境の評価は、その中の何種類かに限るということでもないので、種組成は入れない方が良いと思う。
下流部は、河岸がえぐられて水草が生えづらい環境と考えられるが、仮に生育している水草があれば調査しておく必要がある。水草は魚類の採餌や隠れ場として重要である。
(モニタリングの評価項目には含める必要はないのではないか)

(委員長)
当初は「イトウが帰ってくるような」という分かりやすい表現を考えていたが、必ずしもイトウが帰ってくるかは判らないこと、またイトウが帰ったことで魚類の生息環境が復元したと評価するのは難しいという意見もあった。魚類は類似度を評価していくことで良いのではないか。

(委員)
工事が進行する過程の中で、モニタリング結果により計画を見直すチェック機能を実施計画の中に記載する必要がある。

(事務局)
モニタリング結果から効果が現れていない場合(ここでは不具合と書いてあるが)には、計画段階まで戻ることを“順応的管理手法”として実施計画に明記している。

(委員)
茅沼地区の旧川復元事業は、今後、環境教育に直結する大事な事業であると思うので、環境教育の現場で使用できるような資料を提供していただきたい。

(委員長)
今までに検討した膨大な資料を基に、環境教育に使えるような資料を整理していただきたい。

(委員長)
旧川の合流部形状、自然環境への配慮事項の指摘、“仔魚”と“稚魚”の使い分け、植生の数値目標を追加するなど、今回頂いた意見は事務局や専門家と相談しながら実施計画を修正していく。修正した結果は委員長に一任していただきましたので、この実施計画(案)は修正も含めて承認を頂いたと考える。

達古武地域森林再生事業実施計画(素案)について

 事務局より達古武地域森林再生事業実施計画(素案)についての説明が行われた。

(委員)
実施計画は事業実施者が定めるものである。例えば河川環境の保全・再生、土砂流入の防止(他の事業主体が取り組まなければならない事項)などを目標や取り組みというような形で実施計画に記載することにより、近い将来取り組まれるという期待感を与え、実現可能なように受け取られては問題である。

(委員)
達古武沼は、釧路湿原を現す一つの環境の縮図であり色々な問題が点在する。全体構想作成時を作成する際には、実現の可能性があるものは全て明記した経緯を踏まえ、第2章については、具体的に書けるものは全て書いていきたいと考えている。第2章は達古武地域の全体構想と位置づけている。

(委員長)
現在、自然再生における様々な課題は、担当する機関がそれぞれ担っているが、実際には、連携して取り組まなければ解決できないこともある。これは再生協議会の特徴でもあり、関係機関が調整を図りながら進めていくことが本来の趣旨だと思う。今後、関係機関の様々な調整が必要になるので、忌憚のない議論を重ねながらより良いものにしていってほしい。

その他

(事務局)
8月1日に開催された標茶町での地域意見交換会では、「素朴な疑問として、わざわざ直線化した河川を、そこまで手を加えて元に戻そうとするのが分からない。」「上流に本当に影響がないのか。」「地域との協働や環境教育について、もう少し詳しい内容を、地域に積極的に説明に来てほしい。」などの質問や意見がありましたので紹介する。

(委員)
8月6日、弟子屈町の川湯エコ・ミュージアムセンターで開催されるパネル展及びミニコンサートが開催されますので紹介する。

(事務局)
今後の予定ですが、次回小委員会は8月末か9月の開催を予定しており、主に施工計画について議論していただければと考えている。また、9月には第8回自然再生協議会の開催を予定しており、当小委員会で議論した結果を踏まえた茅沼地区の旧川復元実施計画案(委員長の承諾を得たもの)を提示したいと考えている。

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