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第2回水循環小委員会 議事要旨

第2回(平成16年6月29日)

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第2回水循環小委員会 議事要旨

平成15年度の調査・検討成果について

 水循環系の保全に向けた取り組み、平成15年度の調査・検討成果の説明が事務局より行われた。

(委員)
窒素の負荷削減目標を2割としているが、流域全体の土地利用を見ると、実際に人間が削減できそうな箇所は流域全体の4分の1程度の面積であり、目標としては高い気がするが、全体的にどれくらいの効果を考えているのか。

(事務局)
「裸地等」には、崖や河道など面源として現れないところからの負荷の流出が含まれており、ここからの流出が全体の半数以上を占める負荷量になっている。どこからの負荷を抑えるのかが今後の課題の1つであり、効果的な施策を考えていきたい。

(委員)
裸地から栄養塩が出てくるというプロセスは理解できない。このことをしっかり押さえた上で議論を進めた方がよい。

(委員)
日本の湖沼ではあまり窒素制限というのは聞いたことがない。水収支や物質収支については今後、調査を行っていくと思うが、今の段階で先入観を持たないで、詳細に調査した上で結論づけた方がよい。
底泥からの栄養塩の供給や溶出などについては非常に関係してくると思うが、流入負荷量と底泥の作用を含めてトータルで何が一番関係しているかを検討した方がよい。

(委員)
指摘された点は、今年度の課題として測定する予定である。

(委員)
達古武沼のアオコが90年代に発生したことについて、窒素や微量な栄養分の発生源の予測は、どのようになっているのか。

(委員)
過去10年程度で達古武沼の主要な栄養塩のレベルが上昇してきていることは、観測値として出ている。問題は供給源の場所とアオコの発生がリンクしているのか否かである。

(委員)
短期目標である右岸堤の影響評価について、地下水コンターを見ると右岸堤のところで水位が下がっているが、これが右岸堤によるとした場合どう考えていくのか。工学的に右岸堤を維持したまま、ある程度地下水位に影響がないような工法を考えていけるのか。

(委員)
地下水コンターは、単純にいままで不連続であったところをつないで書いたもので、おそらく堤防の脇の排水路に引っ張られているという絵である。我々としては願わくは、地下水の挙動をシミュレーション等の科学的な予測を行い、右岸堤の影響を解明したいと考えているが、あくまでも工学的アプローチで地下水位の動態を解明して、早目に落としどころを見つけたいということ。

(委員)
地下水については、全体の面に対して工学的に物理量を解明するのはかなり難しいのではないか。泥炭地の水は、ダブル構造でホールディングしている水と流れている水に分かれ、また場所により透水性が非常に違う。河川泥炭地は旧河跡が全てにあり、もぐり水路のようになっている。それを受けた面では、農業的な表現をすると、田越潅漑水田のように小さなブロックから小さなブロックへと水が流れるような面が不理則に幾つもあり、流れている。単に地下水位を図化して、その中の流れを求めようというのはかなり無理である。(詳細な内部構造の解析や調査が必要である。)
地下水位を計測する際一緒に透水係数を測り、また昔の河川跡図から、水が面的に小さい田越潅漑水田状態で流れる構造を地下水位図に入れるとコンターラインが生きてくると思う。
不連続箇所はそのまま表現した方が実態に近く、後の推定や解析に役立つだろう。

(委員長)
河川流量、河川水位、地下水位、水質などおのおのの目的によって観測されてきたものを、この委員会で有機的に結びつけなければ全体の情報が得られないということで、この地下水コンターは、その一例として出されたと考えられる。
また、工学的な動態の解明から、ハンノキの進出と何か相関が見つけ出せないかというのが、この提案の趣旨と思われる。

(委員)
右岸堤の問題については、水循環上の問題、もしくはハンノキも含めた湿原生態系への影響で考えた場合、どのような影響が現在あり、対策の実施である程度クリアできるという目標(ターゲット、ゴール)を具体化しなければならない。
ハンノキについては、河川水位変動だけで議論しない方がよい。少なくとも平均水位に対する変動幅という議論で進むことが必要。
(資料の17ページの棒グラフの色分け表現)負荷の流出を高水時と低水時で分けているのは、素直に基底流出分と中間・表面流出分という形で分けた方よいと思う。
資料の26ページのクロロフィルは、色のばらつきが流入と流出、左右、上下、どのように見ればよいのか。クロロフィルa濃度が高いところは、流出の方向に高くなっていくのか。

(委員)
単純に水の流れに沿った形でプランクトンの主分布が決まっているわけではない。この地域では、夏場、アンモニア濃度が高いので、地形の問題と植物プランクトンの増殖に関係する原因がここにあるだろうと予想できる。他地域でも地形とそのほかの要因が、この分布をあらわしていると考えられる。

(委員)
クロロフィルについて、航空写真を使ってどのようにインデックス化を行ったのか。本当にクロロフィルだけを測っているのか証明がほしい。クロロフィルについて同期観測できたので、実際に水質の測定値とインデックスの散布図を作成し、相関係数を算出すればわかる。

(委員)
短期目標、中期目標の年数は、概ね何年ぐらいの目標なのか。

(事務局)
例えば短期は5年以内、中期は10年程度と思っている。

(委員)
水環境系の設定は、マップを作成してゾーニングをすることなのか、特定箇所の対策をプランニングするということなのか。または、シナリオを書いてアイディアを合意するということなのか、説明願いたい。

(事務局)
検討している部分であり意見をいただきたい。10年程度の間に、蓄積されるデータを踏まえつつ機構を解明し、設定ができればと考えている。

(委員長)
同様に考えている。短期は5年以内、中期は10年程度で、10年くらいで集めた知見・知識というものをこの湿原の自然再生に提案する、プランニングするという格好でと考えている。

平成16年度以降の調査・検討方針について

 課題と今後の方針、水循環に関する検討の役割、平成16年度の調査・検討計画の説明が事務局より行われた。

(委員)
水循環に関する調査は、何に向かっていく調査なのか理解しきれていないが、今回ハンノキの分布図と地下水の変動を対応づけたのは今後の落としどころになるのかと。ただし、ハンノキが成長する原因としては、水が集まりやすいとか、その水に栄養分が供給されるなどの構造が予想されるので、そのような状況調査、既存のデータの整理が必要かと思う。
河川水位のデータは長い間蓄積してきており、傾向、経年変化を整理して、地下水への影響を整理してみてはどうか。

(委員長)
地下水とハンノキについて、もう少し明確な知見、傾向が得られるようにするには、この委員会がどう作業すればいいのか。ワーキンググループをつくるべきか。委員の方の専門分野にたった意見をいただくには、委員会の2時間は短すぎる。事務局が提案したレベルで終わってしまうので、もう少し有効に委員会として何か考え方を示せないか。

(委員)
ハンノキに関しては、地下水位変動と非常に関係があるという話になっているが、それはある程度の結果にすぎないと思う。

(委員)
支川が湿原へ流入するハンノキが拡大している部分については、特に川の栄養塩や土砂の運搬、水位変動など、支流からの負荷の流入に関連して分布が広がってきたという状況証拠はある。統計解析では、変動幅を大きく持つものをうまく説明できれば、それが効いているということになる。
右岸堤や広里地区は、土砂流入や栄養塩負荷の議論ではなく、水位変動もしくは人為的な堤防、排水路、土地利用などが全体的に影響している可能性がある。
今回の水位データと、空中写真データとを比較すれば、状況証拠的に何が影響しているのかある程度判断できる可能性がある。
しかし分からないのは、芽生えの部分で、ハンノキの種子から実生ができるプロセスが実際には分かっていないというのが今の研究の現状である。
湿原再生小委員会と合同でハンノキ、地下水マップなどを出しながら議論するなどの考え方が必要である。

(委員長)
地質踏査の目的が明確ではない。例えば、15年度調査成果により不明な要因が残ったので、周辺を改めて重点的に行うという文章であれば分かりやすい。平成16年度は湿原内のボーリング調査と、湿原外縁の地質踏査を行うという表現にする。

(事務局)
釧路湿原全体の水理、地質、構造という部分で、地質踏査の果たす役割というのは大きいと考えており、実施するものである。

(委員)
達古武沼の生態系は急速に悪化が進んでいる。今年は、原因を客観的なデータに基づいて解明していきたいと思う。その原因を受けて、湖沼再生の具体的な目標を設定した上で、対応策の検討も行いたい。対策を実施する上では、関係機関とチームを組んで、連携を強化していくということが重要だと思う。この小委員会でも対策の検討を議題としていただきたいと思っている。

(委員)
湿原内の湧水(地下水)でリンが高濃度であると説明があったが、釧路域は、土質的にリンは土地に吸着されて、水としては出にくいはずだが、高濃度にある原因は何か。リンの循環を詳細に調査する必要があるのでは。

(委員)
右岸堤の南側のハンノキが生えてきたところでリンの濃度が高い、という結論が北大橘先生の調査であったと思う。地下水の水質も測るなど検討し、整理してみる必要があると思う。

全体構想との関わりについて

 全体構想との関わりについて事務局より説明が行われた。

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