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第4回水循環小委員会 議事要旨

第4回(平成17年6月2日)

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第4回水循環小委員会 議事要旨

これまでの調査・検討経緯の概要と今後の検討方針

 これまでの調査・検討経緯の概要と今後の検討方針についての説明が事務局より行われた。

(委員)
栄養塩や汚濁物質に関して当面観測する範囲に久著呂川も含まれるのか確認したい。

(事務局)
久著呂川も引き続き検討していきたいと考えている。

(委員)
水質について、この程度の水質まで改善するといった、具体的目標を設定するための検討を行う必要があると思う。

(事務局)
検討委員会では、窒素を指標として2割削減するという目標を設定していたが、この小委員会でも検討していきたいと考えている。

平成16年度の調査・検討成果および平成17年度の調査・検討計画

 平成16年度の調査・検討成果および平成17年度の調査・検討計画についての説明が事務局より行われた。

(委員)
平成16年度の水理地質に関する調査検討で、深いところから表面、地表部の泥炭層に向かっての水の動きはあるのか確認したい。
被圧水頭が表面の水位より高いのか低いのか。
被圧地下水の側から湿原の方に水の供給がどれくらいあるのかということは余り知られていない。是非、そういう知見を増やしてもらいたい。

(事務局)
D4地点では、深度130mまでボーリングを行っており、深度40m程度の被圧地下水の水頭が地表より2m程度高かったことを調査で確認している。

(委員)
被圧地下水の深度方向の分布がどのようになっているのか把握すべきである。
地下水が被圧し、表層の泥炭地と関係しているかどうかについては、中間深度の被圧水頭が小さいことが分かれば判明する。そういうデータを取るべきである。

(委員)
ボーリング調査では毎朝孔内水位を測るので、孔内水位と掘削した深さの関係図を作成すれば、深さと地質と被圧の程度が分かると思う。

(委員長)
次回の会議で詳細な調査データを示してもらいたい。

(委員)
平成17年度のボーリング調査計画で示されている断面の位置について、このような配置とした考えを聞きたい。

(事務局)
水理地質の断面を増やすため、また、湧水が豊富にある箇所の丘陵地を含めた断面を設定するため、現在のようになっている。

(委員)
地下水モデルができていないとすると、現在計画している調査は、余り確定しない状態で行かざるを得ない。

(委員長)
湧水量、湧水の水温、pH、電気伝導度のデータをどのように使うのか。

(事務局)
湧水と、湿原の中を流れる河川の水質の関連などは水の流れを把握する 1つの指標となるのではないかと考えて調査を行った。

(委員長)
もう少しこの調査が密になれば、水の動き、すなわち、ここで地下水に限れば、地下水の連続性、地下水がどのように流れてここに達しているのか、そういったことを推定できる。

(委員)
水温、pH、電気伝導度の3項目を、これほど多くの地点で測ることの意味を確認したい。
人為的な影響を見るのであれば、土地利用などを調査する必要があり、植生も水質に関係していると思う。

(事務局)
湿原周辺の湧水や表流水の水質については、湿原にどのような水がどのように供給されているのか把握する意味で、非常に重要な調査であると考えている。結果については今後分かりやすく整理し、次回改めて説明したい。

(委員)
データ不足のため詳細不明という記載は削除した方がいい。
今そこに何があるのが分からないが一生懸命調べているということで、結果的にこのデータは要らないかもしれない。分からないということをはっきりさせ、その上で取り組んでいく必要がある。

(委員)
専門用語は説明がないと分からないことが多いので、説明書きを付けてもらいたい。

(委員長)
委員の深い理解を得るためにも、本文中の脚注でもよいので、説明を付け加えた資料づくりを今後してもらいたい。

(委員)
周辺の土地の状況を反映させたいのであれば、四季の水温を調査してその変動幅を見るというような調査が必要である。
水温、pH、電気伝導度のグラフを見ると、冬と夏のデータが混ざっている。表示の仕方を考えてもらいたい。

(委員)
水系別の水理構造を分かりやすくするために、平成17年度の調査終了後、北西の丘陵地にボーリング地点に沿った河川を横断する断面線を設定し、地質断面図を作成してもらいたい。

(事務局)
調査地点はまだ確定していないが、今後検討したい。

(委員)
今回の結果概要だけではなく、専門家が詳細について知りたいという場合、調査報告書閲覧が可能か確認したい。

(事務局)
今後、データの出し方などについて対応方法を提案させてもらいたい。

(委員長)
例えば、地下水シミュレーションを専門家が行う場合は、もう少し詳しいデータが必要になる。ただし、この委員会の中で専門的な話を集中して行うと、特定の委員だけの話になる。この小委員会の下にワーキングをつくり、専門的な議論をしていくという形が考えられる。

(委員)
この委員会は、問題点が明らかになっていて、その問題を解決するという図式になっていないことが、論点がぼやけてしまう理由だと思う。
モデルをつくることが重要であるならば、精度のよいモデルをつくるためにはどのような調査が必要であるか、事前に藤間先生に相談して進めていくべきである。
ただし、この委員会がモデル作成の会議であるならば、ますます地域から外れた議論になる。噛み合った議論を行うためにも、釧路湿原の現在の問題点を明らかにして、その点についてどのような調査を行えばどのようなことが解明できるのかを明確にし、議論していく必要がある。

(委員長)
私たち学識経験者以上に、地元の住民の方々はこの釧路湿原を十分にご存じである。この委員会を通して、知識、知見を提供してもらい、それらを組み合わせて、本来の目的である水循環系の現状や将来の把握に活かしていきたいと考えている。各委員の方がほぼ同じ哲学を持ち、その上で進めていけば、大きな間違いはないと思う。

釧路湿原の地下水位検討について

 釧路湿原の地下水位検討についての説明が事務局より行われた。

(委員)
釧路泥炭地形成図というのは、河川の跡を示した図で、植生は入れていない。河川の跡も全て読みきれているわけではなく、植生図の精度にも疑問が残る。そのような資料を重ねて議論しようとするのは危険である。

(委員)
私たちの作業の目標は、目標2(湿原本来の望ましい地下水位の保全・復元)になると考えられ、それをサポートする意味で目標1(水・物質循環メカニズムの把握)があるのだと思う。目標の2と1を入れ替えた方がいいと思う。

(委員長)
本来、この委員会で決めること、もしくは把握することは、目標2に示されている湿原本来の望ましい地下水位の保全、復元に資する、見解を出すということなので、目標の1と2を入れ替えた方がいいと思う。

(委員)
今のモデルの議論というのは、釧路湿原の中だけの議論をしているのではなく、上流域の水文状況の変化などを考慮することになる。そのような形で実施できるのか確認したい。

(委員)
最大限できたとしても、自然変化の状態を維持できると考えられる湿原地下水を確保する、というところまでだと思う。そうすると、目標のところは、努力目標としても、湿原再生の望ましい地下水位の保全に資する、ということぐらいになると思う。

(委員)
水循環を取り扱う場合、流域全体の土地利用の変化みたいなものが当然関係してくる。釧路湿原の中で起こった現象というのは、それほどたくさんは無い。地下水の議論というのは、上流を含めた流域での議論がない限り、うまくクリアできないと思う。本当にそこまでできるのか、科学の力で推定することが可能なのか確認したい。

(委員長)
湿原における地下水の状態を知っている方は、やはり把握することはかなり困難だということが分かる。ただし、釧路湿原を保全するためには、今できないことでも努力して、少しでも明らかにしていく、そういう努力が私たちに要求されていると思う。だからやるべきで、第1目標として掲げたい。
資料でも示されているが、釧路湿原の複雑さを見る限り、地下水解析を行っても多分うまくいかないと思う。北海道のある地域で実際非常に精度よくできたことが、ここの湿原では全く通用しない。ただし、今できなくても、前進していかないとならないと考えている。

(委員)
流域全体として考えるということか確認したい。

(委員長)
流域全体として考えていくこととしたい。

釧路湿原の栄養塩類負荷に関する検討について

 釧路湿原の栄養塩類負荷に関する検討についての説明が事務局より行われた。

(委員)
計算上、降雨時あるいは融雪期の流出負荷量全体に対する流出負荷の割合がどの程度なのか教えてもらいたい。

(事務局)
ほとんどが降雨時に流出しているような状況である。

(委員)
今までも湿原に氾濫原があり、そこにたくさんの流出水が氾濫している。一番問題なのは、氾濫したときに、富栄養化物質が氾濫原に散らばっていくということだと思う。20年前、30年以上前と比べて、多量の栄養塩類が氾濫原に出ていっていると思う。
今の2割削減という目標は、昭和50年と比較した結果から設定しているが、農業センサスのデータなどが無いとすると、ここで使っている昭和50年のデータは晴天時のデータなのではないかと思う。最も大量に氾濫原に流出していく量を計算する場合、降雨時と融雪期のデータがないと、多分ほとんど意味のないデータになる。
湿原から見ると、恐らく晴天時よりも降雨時と融雪期の方が大きな意味を持っていて、それをどうするかという議論をしないと、負荷量削減の対策の意味がなくなってしまうと思う。
湿原の中での有機物の生産の速度と相関があるのではないかと考えられるので、今後のテーマにしてもらいたい。

(委員長)
降雨時に、どのような流出負荷量となっているかデータで見出すことができれば、今後まとめて示してもらいたい。

(事務局)
水質の調査は、モデル流域において、降雨時に観測を行う計画であったが、去年は出水が無く観測できなかった。今年も観測の準備はしている。
目標の設定については、2割の窒素削減量が本当に可能なのかなど、いろいろと助言をいただきたいと考えている。

(委員)
2割削減という目標を設定した際、なぜ昭和50年と比較したのか、その根拠を確認したい。
昭和50年は、オイルショックの年である。大農業生産地として機能するために、農業者は大きなトラクターなどを使って生産に意欲を燃やしていたが、その矢先のオイルショックということで、生産現場も非常に混迷していた。そういうところも考慮していたのか確認したい。

(事務局)
データが整っており、また昭和50年代からハンノキ林が拡大していることから、それより前の昭和50年当時と比較して目標を設定した。

(委員)
汚濁物質を抑えるためには、発生源で抑えるのが一番効果的だし、一番大事なところだというのはよく分かるが、湿原環境に及ぼす影響という面で、不足しているところがあると思う。それは、川と湿原の相互作用である。
洪水のときには湿原の上流部で川が氾濫して湿原に流入し、湿原の下流部では川に戻ってきている、そういう動きがある。現在は、川自体が直線化され、洪水が真っすぐ湿原に入ってくるというような状況になっている。そういうインターアクションを、今回のこの調査の中でどのように把握していくか明確にしておく必要がある。
湿原の地下水位観測地点はたくさんあるが、湿原内の河川の観測点というのはほとんどない。かつて釧路川の支流として動脈であった川が上流部でショートカットされて枯れ川になっており、そういうところへのバックの影響もあると考えられるので、そういうことも把握しておく必要がある。

(事務局)
湿原内の河川の状況を把握したいと考えており、今後検討していきたい。川と湿原の相互作用などについて、ご意見をお聞きしながら、検討していきたい。

(委員長)
河川と湿原との相互関係というのは、湿原を河川が涵養しているのかどうか、伏流水との関係はどのようになっているのか、それは極めて重要なことなので調査項目を増やすなど検討してもらいたい。

(委員)
泥炭地の地下水といっても、湿原対応、植生対応をしようと思ったら、極めて表面の水を扱うことになり、地表水と同じことになる。あまり地下水というものにとらわれず、表面水として考えるといいと思う。
雨が降って水がたくさんあるときと雨が降らず水が無いときを比較すると、流れ方が変わってくる。この差違を押さえる必要があり、そのためにも、湿原内の枯れ川、河川跡も調査していく必要があるでしょう。

(委員)
直線化して、蛇行した自然の河川に結びつけたところでは、下流域で氾濫して、細粒の土砂が5~6倍のスピードで堆積している。その土砂には確かに栄養塩が含まれていて、土壌に含まれている栄養塩負荷は高い。
それをどの時代に戻せば、そういう困った現象が起きなくなるかということについては、実はあまりよく分かっていない。
昭和50年代の水質が、今現在の水質基準から見ても、ある程度健全な湿原の生態系を保つための水質条件であったということを裏付ける必要があると思う。
それを目指す対策として、いろいろなことに着手すべき時期で、細かな数字の議論をするよりも、いろんな地域で具体的なアクションを起こすことの方が、より意義があると思う。つまり、病気になっている人間を、いつまでも放っておかないということである。

(委員)
あまりスケールを持って物を計るような話をせず、ベクトルで議論すべきである。ベクトルを示すためのスケールだというふうに考えればいいと思う。

(委員)
成分解析表の原単位を算出した事例で、久著呂川を常呂川、網走川と比べているが、網走川は大変栄養塩濃度の高い河川なので、そこと比較して久著呂川の負荷が低いと評価するのは適切ではない。また、久著呂川では点源負荷が2割も占めているにも関わらず、低いと考えることも適切ではない。
目標の立て方について幾つかのパターンを出してもらい、何か指標を設定して目標をつくる必要がある。

(委員長)
目標設定に関しては、事務局ともう少し詰めて話をする必要がある。私も委員長として協力する。

農業分野における環境保全に対する取り組みについて

 農業分野における環境保全に対する取り組みについての説明が事務局より行われた。

(委員)
このような対策を行うときは、水質がどの程度改善したのか調査で把握するようにしてもらいたい。このような施設をつくることにより、ふん尿がきちんとそこで管理されて、川の水質などがここまで改善するということを示すことができれば、また予算が取れるという仕組みも出てくると思う。

(事務局)
目的が河川や地下水の汚染防止なので、農業試験場とも連携し、検討していきたいと考えている。

「泥炭地の地下水-釧路泥炭地にみる」研究発表について

 第2回目の勉強会として「泥炭地の地下水-釧路泥炭地にみる」と題して梅田委員から話題提供いただいた。

(委員:発表内容抜粋)
湿原と泥炭地は必ずしも一致しない。泥炭地というのは泥炭が堆積したものである。

湿地というのは、水が表面近くまであるのが湿地で、そこに植生があれば湿原である。植物の死体、枯体、これが積み重なったのが泥炭で、泥炭が堆積して排水後も 20センチメートル 以上の厚さになったものを泥炭地と呼んでいる。

高位泥炭、低位泥炭、中間泥炭という呼び方がある。水位よりも低いところで植物が堆積したものが低位泥炭、水位より高いところでミズゴケなどが堆積したものが高位泥炭である。そして、その移り変わりの泥炭を中間泥炭と呼んでいる。

釧路の泥炭地もそうであるが、河川の下流部では泥が頻繁に流入し、それが栄養になって植物が盛んに生えてくる。そのおかげで泥炭が堆積した。ここにもし泥の流入がなければ、植物の生育が不十分となり、泥炭の堆積はなかっただろうと考えられる。

日本では、構成植物で泥炭を分類しており、ヨシやスゲでできたのを低位泥炭、ミズゴケなどでできたものを高位泥炭としている。

釧路泥炭地の河川跡の系統図を見ると、西の方から阿寒川が赤沼のあたりまでずっと入ってきている。それから、雪裡川とか幌呂川が北西から入り、釧路川と久著呂川系が北から入ってきている。

泥炭の種類と地下水位の変動状況を対比すると、特徴がよく現れていることが分かる。

久著呂川の湿原流入部の氾濫時の状況を見ると、ちょうど田越灌漑水田のような構造になっていることが分かる。水が入ってきても、素直に流れているわけではなく、流れも均一ではない。

既往の解析事例を見ると、地下水位が階段状に下がっていることが分かる。これは、日中は植物からの蒸散と水面からの蒸発がとても多いために地下水位が下がり、夜になると下がらなくなる状態を示している。構造は非常に複雑で、いわゆる我々が地質工学とか地盤工学で習っている地下水の流れというものとは違った見方をする必要があるということである。

植物を対象に考えるのであれば、地下水位が 1センチメートル ないし 2センチメートル 異なり、どのように変動するかでそこに適応する植物の種類というのは変わってくるので、十分注意する必要がある。

乾いた泥炭を水の中に入れると、空気が中に残る。それを繰り返すと、泥炭の中に残る空気がだんだん多くなってくる。一度中に空気が入ってしまうと、次に降雨があっても、水は浸透しづらくなる。すなわち、一度泥炭を排水してしまうと性質を変えてしまうことになるので、慎重に行う必要があるということである。

(委員長)
釧路湿原の透水係数、地下水の流動を正確に把握することがかなり難解であるということは、梅田先生は以前からご指摘しておられた。私も実際に解析してみると、地下水流量が合わない。

その他について

 第7回釧路湿原自然再生協議会の開催(平成17年6月14日(火曜日)13:30~釧路パシフィックホテル)について事務局より説明が行われた。

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