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第6回水循環小委員会 議事要旨

第6回(平成19年2月8日)

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第6回水循環小委員会 議事要旨

第3期水循環小委員会の委員長および委員長代理の選出

 第3期水循環小委員会の委員長として、第2期に委員の互選で選任された藤間委員を推薦する案が事務局より示され、会場からの「異議なし」という発言により第2期に引き続き藤間委員が委員長に選任された。
 また、第3期水循環小委員会の委員長代理として、藤間委員長から井上委員の推薦があり、会場からの「異議なし」という発言により井上委員が委員長代理に選任された。

議事1:水循環小委員会での検討の目的

 事務局より、水循環小委員会での検討の目的について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
「望ましい地下水位の保全」という目標があるが、なにを指標として「望ましい」としているのか確認したい。

(委員長)
協議会としては、1980年以前の自然状態に戻すことを目標にしている。1980年以前の地下水位が「望ましい地下水位」であり、その状態に戻すことが理想だと考えている。

(委員)
1980年以前の状態に戻すために各小委員会で議論してきたが、湿原の水位が要になる。「望ましい地下水位」とはどのような地下水位を指しているのか資料の中で示しておいた方がいい。

(委員長)
本日の資料は、1枚のスライドの情報量があまり多くならないように事務局で考えたものだと思う。今後の説明の中で、「望ましい地下水位」について事務局から説明があると思う。
本日の資料では、巻末に専門用語の語句説明も付けられており、今後の資料集とすることができる。この資料に、事務局からの説明を踏まえて各委員が加筆していくことで、内容が補完されてさらに良い資料になる。

(委員)
これまでの議論の経緯があるので、1980年以前の状態に戻すことが目標であるということを最初に示しておいた方が分かり易い。

(委員長)
1980年以前の地下水位が望ましい地下水位であると文章を加筆することで目標を明確化することができるので、今後そのようにしてもらいたい。

(委員)
目標については、あまり杓子定規に考えず、場所によって目標の考え方を柔軟にする必要がある。
冒頭で説明があった幌呂地区の資料を見ると、1970年代から湿原は影響を受けていることが分かる。湿原の水・物質循環の保全に必要があれば、場合、あるいは場所によっては、1980年よりもっと以前の、湿原として望ましい姿を目指すという考え方の方がいい。
目標の1と2に対し、地下水の数値シミュレーションが最適な手法だと示されている。このモデルは、湿原の集水域も含めて考えており、やってみないと分からないところが多い。シミュレーションの前に、現地調査を行い、現地の状況をしっかり把握することが重要である。

(委員長)
釧路湿原は広く、場所により地質特性、水理特性が変わる。湿原の水循環を再現するため、調査が行われている場所から検討を開始し、それを湿原全体に拡げていくことを考えている。
全体としてどの程度の水が湿原に入り、それがどのように出ていっているのか、概略の数値を把握する必要がある。流域の水理地質や数値計算の専門家を集め、できればワーキンググループをつくって進めていきたいとも考えている。

(委員)
現地調査の結果と合うようにシミュレーションを行っていくことになると思うが、釧路湿原を1つのものとしてシミュレーションを行った場合と、いくつかに分けて行った場合では結果が変わってくる。

(委員長)
流域を1つとして考えることは不可能である。地質構成、河川水、地下水などを1つとして考えると、初期条件、境界条件を設定することができない。
取るべきところのデータを取って、そこを中心として小さな要素をつなげていき、取ったデータと整合する答えが得られるよう、シミュレーションを行い、湿原全体に拡げていくことを考えている。
小さなワーキングをつくるのであれば、旧川復元小委員会や土砂流入小委員会など、他の小委員会で得られた成果も活用して、信頼できる結果を出していく必要がある。それを行っていくことで、また色々なことが分かってくる。

(委員)
色々なことを議論し、出発点をしっかり議論した上で開始すべき。

(委員長)
各委員が3つの目標を十分理解しておくことで、例えばワーキングでの検討成果を、この3つの目標に照らしてこの小委員会でチェックすることができる。
そのため、3つの目標がこれでいいのか、付け加えることは無いのか、本日の小委員会で諮っている次第である。

議事2:これまでの調査・検討成果の概要

 事務局より、これまでの調査・検討成果の概要について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
地下水位コンター図は、年平均だけではなく、季節ごとのコンター図を作成したほうがいい。
地質断面図の縦横比を明記してほしい。あるいは、参考資料として、縦横比をそろえた図を添付してもらえれば、湿原内の構造を理解しやすくなる。

(委員)
地下水位コンター図が示されているが、これは浅層地下水で湿原の植生に関係してくることから、水位の変動幅でも示してもらいたい。

(事務局)
地下水位については、継続的に観測したデータがある。色々な示し方があるなかで、湿原の地下水位を概略把握するために、今回は年平均の図を示した。今後、いまのご意見を踏まえて検討を行い、色々な図を作成していきたいと考えているので、図の示し方についてもアドバイスいただきたい。
地質断面図の横軸のスケールは、今後しっかりと示していく。
今後、見せるためのデータではなく、取得した生データも準備していきたいと考えている。

(委員)
地質構造図を見ると、透水層の上を難透水層が覆っているように見えるが、そのように理解していいのか確認したい。

(事務局)
いまの段階では、一概に全てがそうであるとは言えない。ボーリング地点間の距離が離れているところもあり、詳細について十分把握できておらず、一部推測も含まれている。

(委員)
資料で「地下水位」と示されているが、これは「不圧地下水位」のことを指していると理解していいのか確認したい。

(事務局)
不圧地下水位である。

(委員)
地質層序であるが、資料5ページの上のスライドでは上から古い順に示しているが、その下のスライドでは上から新しい順に示されている。シミュレーションを行う上では、沖積層、洪積層、基盤岩の分布が把握されていればいいので、今後は沖積層、洪積層、基盤と一貫した示し方をした方が理解しやすい。
降雨量と降水量を区別しているのか確認したい。

(事務局)
全て、雪も含む降水量と理解していただきたい。今後、表現を統一する。

(委員)
いま指摘があったように、層序表では基盤岩が下にあった方が理解しやすい。
パワーポイントの枠にとらわれずに、総合的な層序表も付けてもらえれば分かりやすくなる。

(委員)
さきほど、湿原域で観測している地下水位は浅層地下水位であるという話しがあった。湿原内で被圧地下水位の観測が行われているのか、また、今後行う予定があるのか確認したい。

(事務局)
現状では、被圧と思われるものは確認されていない。
被圧地下水位の観測まで手が回っていない状況であるが、把握する必要があると認識しているので、そういった調査も検討していきたいと考えている。

(委員)
被圧地下水位を観測するためには深井戸を掘削する必要があるので費用も労力も要すが、是非行ってもらいたい。
降水量の多・少と、地下水位コンター図の関係を示した図があるが、このコンターの精度はどの程度あるのか確認したい。
降水量の多い年の方が少ない年より地下水位が低い場所も見られるが、コンター線の引き方次第で判断が難しいところがあり、ここまで言えるのか疑問である。

(事務局)
いまあるデータを分析した結果を今回示したが、地下水位分布の細かい要因までは分析できていない状況である。引き続き地下水位観測を継続し、分析を行っていきたいと考えている。

(委員)
今年の冬は雪が少なく、暖かい。これから雪融けの季節を迎えるが、融ける雪が少ない、湿原に流れ込む水が少ないという状況になる。湿原の地下水位観測を継続することで、今年の異常気象が何年先に湿原の地下水位に影響を及ぼすのか把握することができる状況になっている。
今年のような激的な変動が、湿原にどのような影響を及ぼすのか把握することを平成19年度の目的の1つに加えてもらいたい。

(委員)
日本全国の降水量の変化を見ると、年による変動は大きくなっているが、平均するとあまり変動していないことが分かっている。北海道の他の地区でも同様の統計を行ったが、やはり同様の傾向であった。
釧路でも降水量のデータをとりまとめ、降水量の全体の傾向を見ながら地下水位の分析を行ってはどうか。

(委員長)
降水量と地下水位の変動状況について、相関性に関する分析を行うことで有意義な結果が得られるのではないかという意見である。

(委員)
水理地質の縦横断図を見ると、かなり詳細が把握されてきたようであるが、現実の水の流動状況については未解明な点が多いようである。
資料では地下水数値シミュレーションが最適であると示されているが、シミュレーションは条件設定により結果が変わるので、実測値が得られている範囲で行った方がいい。
被圧地下水が湿原の水環境にどのように関与しているのか不明な点が多いが、意外に無視できないという意見もある。

(委員長)
単にシミュレーションを行うということではなく、大局的な見方をすることで正しい結果が得られる場合が多々ある。そういう見方をするようにしてもらいたい。

(委員)
いずれシミュレーションを行うことを考えると、インプットとしての降水量のデータが重要になるが、湿原の中など、観測点が抜けているところがあると思う。
流域を見渡し、降水量観測が不足している場所がないかチェックするとともに、可能であれば、積雪深など湿原に供給されている水量を把握するための観測も加えてもらいたい。

(委員長)
小委員会資料がかなり正確になってきたこともあり、各委員の知識、知見が明確に示されるようになってきた。その知識、知見を活用して、望ましい地下水位を把握できるようにしていきたいと考えている。

議事3:現状の課題と平成18年度の調査・検討内容

 事務局より、現状の課題と平成18年度の調査・検討内容について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
資料15ページの上のスライドで示されている地下水位変動を見ると、降雨から1日以上遅れてピークが出ていることから、これは不圧地下水というよりも河川氾濫水の水位変動そのものである。
最高水位での湿原内の水位分布を検討することで、大雨後、あるいは、融雪時に湿原でどのように水が氾濫しているのか面的に把握することができる。最高水位のコンター図を図示してもらいたい。
釧路湿原は低層湿原であることから、川の水と雨水が湿原を涵養している。河川水がどこまで影響を及ぼしているのか把握するためのデータになる。
最高水位となったときは表流水になる。釧路川の左右岸堤は、表流水の流れの縁を切っていると思われるので、コンター線を引く際は堤防の内外をつながない方がいい。

(委員)
水質を測定し、平常時と洪水時の地下水と河川水の水質を比較することで、河川の氾濫水なのか、溜まっていた雨水が押し出されてきたものなのか把握することができる。

(委員長)
最初に、氾濫水なのか地下水なのかを明確に分け、その上で最高水位の分布から氾濫状況、氾濫している位置を図面に表現していく方法がいいと思う。

(委員)
最高水位に加え、最低水位のときの地下水位コンター図を作成することで、河川水と地下水の水のやりとりを把握することができる。例えば、水位が低いときに河川水位より地下水位の方が低いような場合は、河川水が地下水を供給しているということを把握することができる。

(委員)
最低水位のとき、河川は排水系として機能することになる。本川だけでなく、支川も含め、湿原内の河川水位を観測してもらいたい。
そうすることで、平常時、洪水時それぞれの河川水と地下水の関係を把握することができるようになる。
氾濫だけでなく、バックウォーターとしてとどまる水もある。湿原内の河川水位を観測することで、川と湿原の相互作用を把握することができるようになる。

(事務局)
調査の必要性は理解している。来年度の予算状況を踏まえ、検討したい。

(委員)
釧路湿原の場合は、河川が近くにあるか無いかが水位変動に大きく影響していると考えられるが、局所的に難透水層が形成されていることで降雨の応答が変わってくる場合がある。地質にも着目して検討してもらいたい。
資料に「湧水は被圧地下水が地表面と交わる箇所で生じている」という記載があるが、湧水は被圧、不圧に関係なく地下水位が地表面と交わるところで生じる。実際に湿原縁辺部で生じている湧水が全て被圧地下水ということなのかもしれないが、誤解を与える表現になっているのではないか。

(事務局)
本日の資料は現象の1つを示したもので、これが全てということではない。表現、書き方については、今後注意したい。

(委員長)
本日の資料は、委員に理解しやすいように示されたものだと思う。この湧水に関する記載の正否については、少し時間をいただき、次回か次々回の小委員会で事務局から報告してもらいたい。

(委員)
費用の問題はあると思うが、できるだけ各委員から出された意見にそって調査を実施してもらいたい。

議事4:平成19年度以降の調査・検討予定

 事務局より、平成19年度以降の調査・検討予定について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
平成21年度までに大体のかたちをつくり上げていきたいという事務局の考えが示された。平成19年度以降の計画は、状況に応じて自然に修正されていくもので、ここに示されているのは大まかな中期計画だと理解することができる。各委員もそのように理解してもらいたいと考えている。

(委員)
水循環小委員会の目標の3つ目に家畜ふん尿対策などについて示されている。家畜ふん尿対策はかなり進んできているが、畜舎から出てくる洗浄水が降雨のときに河川に流れ込むことも予測される。その場合、湿原に対する負荷にもなるし、河川水を飲料水として利用している市民の健康にも影響が及ぶ恐れがある。このことについて声をあげていく場所が必要だと思うので、取扱いについて検討してもらいたい。

(委員長)
事務局と話し合って考えていきたい。

(委員)
水質のデータは一朝一夕に取れるものではない。いま色々な対策が進み、水質も改善されてきていると思うが、水質のトレンドを把握しておく必要がある。
本日の報告では湿原の地下水位に焦点があてられていたが、流域の水質環境に関する検討はこれからだと思うので、基本的なデータも取っておいてもらいたい。

(委員長)
モニタリングはしっかりとした考え方に基づいて継続していく必要がある。いまのご意見を踏まえ、事務局と話しあっていきたいと考えている。
本日の小委員会では、今後この小委員会を進めていく上で考える必要がある重要な意見をたくさんいただいた。
本日いただいた意見をもとに、本日の資料を早急に修正してもらいたい。そして、修正が完了次第、修正版として各委員に資料を配布してもらいたい。それを各委員に読んでもらい、意見を伺うとともに、事務局として補足すべきところがあれば補足し、この資料集を訂正してもらいたい。

その他

 事務局より、第11回協議会で議論された協議会主催のシンポジウムの開催案内が行われた。

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