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第9回水循環小委員会 議事要旨

第9回(平成23年3月28日)

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第9回水循環小委員会 議事要旨

第5期水循環小委員会委員長及び委員長代理の選出

 第5期水循環小委員会の委員長として井上(京)委員から藤間委員が推薦され、会場からの「異議なし」という発言と拍手により、第4期に引き続き藤間委員が委員長に選任された。
 また、委員長代理として藤間委員長から梅田委員が推薦され、会場からの「異議なし」という発言と拍手により、梅田委員が委員長代理に選任された。

議事1:水循環検討会の成果について

 事務局より、水循環検討会の成果について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
資料18ページの「釧路湿原を対象とした計算手法」では、「釧路川流域を対象とした計算手法」によって得た結果を入力して計算したのか、それとも改めて実測値を入力して計算したのか。

(事務局)
「釧路川流域を対象とした計算手法」によって得た結果を入力している。詳しくは技術資料27ページの四角で囲まれた部分を参照して頂きたい。

(委員)
シュミレーションの精度を上げるためには、実測値を入力した方がよいのではないか。

(事務局)
区域を区切って計算する場合は、水位や流量が分かっている範囲を対象とするのがよい。

(委員長)
技術資料27ページの四角で囲まれた計算領域の辺の上に実測値が存在すれば、計算領域の中のシュミレーションの精度は高くなるだろう。
しかしながら、こういった計算手法というものは、どうしても単純な正方形や長方形の形をとらざるを得ず、計算領域の辺上に観測点があまり乗らない。その点を踏まえて、計算値を入力するようにしている。
計算では割愛したが、計算領域の辺上に観測点がある限りは、そちらを採用するようにしている。

(委員)
資料25ページの、釧路川流域全体の大まかな水の流れ、あるいは釧路湿原の水の出入り(以下、水収支)については、今回のシュミレーションでよく再現できたと思う。
しかし、資料26ページの釧路湿原域での地下水の動きに関しては再現できていない。資料では「達成された」とあるが、地下水位の50センチメートルの誤差というものは使い物になるものではない。
水位変動についても再現できていないということから、何らかの別の方法を考案する必要があると思われる。
資料29、30ページでは「計算格子を細かくすることでシュミレーションの精度を上げることができた」とあるが、雨が降ったときに湿原の地下水位が反応していないなどの致命的な欠陥も見受けられる。
ひとつのモデルを小さいものから大きいものまで適用するのは難しいと考えられる。
問題のある箇所については局所的にモニタリングを行うなど、別のアプローチを考える必要がある。

(委員)
シュミレーションの結果は概ね妥当であると思う。
湿原の特殊な水の動き、地形、植生などは広い範囲で一括にシュミレーションするのは難しいと思う。
過去のデータから必要なものを決めること、これからも継続的にデータを収集することが重要であると考えられる。

(委員長)
計算格子を細かくすればそれだけ精度は高まるが、資料27ページにあるように、計算格子に用いる膨大な実測値が必要になる。それだけ細かいことを広大な湿原に対して行うことは難しいと思われる。
計算格子に用いる膨大な実測値が得られなければ、このシュミレーションの精度の向上は望めない。
水循環検討会においても、代替案は出ていない。

(委員)
釧路川流域の物質収支を前提とした水収支は再現できていると思う。
地下水の再現ができていない理由として、上部細礫層と下部細礫層は考慮されているのに、最上部層が考慮されていないことが原因として挙げられるのではないか。

(委員)
物質循環を求めるときに使用する、水の量については再現できていると思う。
資料5ページの目標(3)、「湿原や湖沼、河川に流入する水質が良好に保たれるように、栄養塩や汚濁物質の負荷を抑制する」に取り掛かることができるのではないか。
しかし、湿原内部の細かな再現精度には問題がある。例えば、資料23ページの右側中段のグラフでは、実測値では遊水池の特性がよく出たグラフとなっているが、計算値ではそうなっていない。特性を再現できないシュミレーションモデルであるということである。
局所的な問題点については、それぞれにシュミレーションモデルを作るか、シュミレーションを止めてモニタリングなど個別の検討に切り替えてはどうか。

(委員)
資料5ページの目標(3)の「湿原」の後ろに(域)と付け加えるべきである。
降水の後に、すぐ応答があるのは地表流や資料17ページでいう最上部層である。
資料23ページの右側中段のグラフで、実測値を再現できていないのは、最上部層を考慮していないからではないか。最上部層のシュミレーションを行えば再現できるのではないか。

(委員)
全体のシュミレーションが終了した後、うまく再現できなかった点については局所的なモデルを作成し、それでも得られなかった値には、全体のシュミレーションモデルを一部適用してはどうか。

(委員長)
確かに、細部までひとつのシュミレーションモデルでやってしまう点に問題があった。
ただし、地表流と地下水流を同時に計算することのできる本シュミレーションモデルは、これまで多大な成果が挙がっており、直ちに破棄するべきではない。
井上(京)委員や新庄委員が言ったように、別の角度からの解析方法を探っていくべきである。

(委員)
シュミレーションモデルを構築する前に、本モデルを再現できること、できないことを整理していた。
実際にシュミレーションを行ってみて、再現できない部分については、なぜできないのかが見えてきた。
これから細部の解析について検討を行う必要がある。
委員長が言ったように、本シュミレーションモデルは今後も活用すべきであると思われる。

(委員)
本シュミレーションモデルは水収支の再現性は高いということから、流域内の営農実態と組み合わせることで、湿原に対する栄養塩負荷の把握ができる可能性がある。

(委員)
資料13ページの模式図でいうと、上部細礫層と下部礫層の地下水が全く独立に動いているのであれば、同時にシュミレーションする理由が不明である。
環境の面でいうと、深層部よりも最上部層や地表流を重要視して検討することが重要ではないか。

(委員)
最上部層のシュミレーションモデルを作るべきである。

(委員)
植生などに関連して重要なのは、最上部層の水の動きである。
資料27ページにおいて、50センチメートル刻みで泥炭層を区切っているが、泥炭層は数センチメートルの差で透水係数が変わってしまうものなので、細かい部分にこのシュミレーションモデルを適用するべきでない。
資料30ページには800mまで計算したと書かれているが、深層部については全く無意味ではないか。もっと表層部を細かく分割して計算すべきである。

(委員長)
中部泥層を境に上層と下層に分けるのは、釧路川流域全体の水収支を計算する場合だけである。
細かい部分の計算に関しては、最上部層と上部細礫層だけで解析して計算したのであって、下部礫層は解析に入れていなかったのではないか。

(事務局)
下部礫層はモデルには入れてあるが、計算は上部細礫層だけである。

(委員長)
釧路川流域全体の水収支では下部礫層も計算に入れているが、釧路湿原を対象とした場合は中部泥層により水が遮断されているので、計算には入れていないということか。

(事務局)
計算格子を割り当てているが、細かい分割は表層部に当てているというのが正しい表現である。

(委員長)
技術資料27ページの深度領域という項目では上部細礫層だけが赤い線で囲まれているが、これはどういう意味か?

(事務局)
計算は上部細礫層までであるが、計算の処置のためにそれ以下も計算格子に含めているという意味である。

(委員長)
実際には計算には加味していないのか。

(事務局)
計算領域を選定するときに、実際には丘陵部も入ってしまっている。ここでの800mの意味は丘陵部の地表からモデルの底面まで800mという意味である。
したがって、湿原域から800m下まで計算に入れているという意味ではない。

(委員長)
これまでの解析手法では、これ以上の解析は困難である。
これから他の解析手法を考案する時間を、検討会に頂きたい。

(委員)
資料5ページの目標(1)では「1980年以前の地下水位」を望ましい水位と設定されているが、資料6ページに書かれているように1980年以前の資料が無いため、目標として設定するのは難しいのではないか。
現状を踏まえて、望ましい地下水位を目指すべきでないか。

(委員)
「1980年」という数字は「湿原再生のための望ましい地下水位」を目指すための参考資料として認識している。

(委員長)
協議会の中で1980年以前を目標としているので、小委員会の中で変更するのは難しい。

(委員)
協議会に対して、「1980年以前という目標は一つの見方として捉えたい」と、委員長から提言してほしい。

(委員長)
確かに、1980年以前の資料が殆んど無いと分かったのは、協議会で「1980年以前の地下水位」を目標にした以降である。
1980年以前の資料が殆んど無いと分かったので、水循環小委員会としては、「1980年以前の地下水位」を具体的な目標として掲げられない、というのは協議会に申し上げておく。
今日は、水循環検討会の行った検討を議論し、様々な問題点が分かった。今後、水循環検討会で、今日挙がった問題点についてさらなる検討をしていきたい。

(委員)
資料5ページの目標(1)を変更するということか。

(委員長)
変更するということではないが、1980年以前の資料は殆んどないことから、1980年以前の地下水位を推察はできるものの、確定することはできない。目標(1)は「1980年以前に戻す」ということであるから、それも推察に過ぎず、目標とすることができない。

(委員)
湿原再生協議会全体の中で、水循環というものは根幹を占める役割をしている。今回のシュミレーション結果等は、協議会の中で大きな意義を示すものであると考える。他の小委員会にも大きな影響を及ぼすものであるから、当小委員会で目標を変更することが果たしてよいものなのか、疑問に思う。

(委員長)
地下水位に関して、今回のシュミレーションが確定に値するものであれば、1980年以前の地下水位をシュミレーションすることで、目標に掲げる事ができたはずであった。しかし、計算の結果、確定に値するものではなかったため、目標として掲げることができない。

(委員)
今回のシュミレーションでは、水収支に関しては高い精度で再現することができた。その結果をもってして、目標として掲げる事ができないか。

(委員)
我々は湿原再生のための望ましい水位を推定することはできても、それが1980年以前であると確定することはできない。したがって、「1980年以前」という数字を説明することができない。

(委員長)
水循環小委員会が正確な地下水位を得ることは、他の小委員会にとっても基本的なデータを得ることである。
他の小委員会にとっても基本的なデータとなるため、水循環小委員会が自信をもって確定させたデータであることが必要となるが、そのためにはもう少し時間が必要である。

議事2:5年目の施策の振り返り

 事務局より、「釧路湿原自然再生5年目の施策の振り返り」について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
資料34ページの中で示されている評価基準というのは、全体構想策定時に決められたものなのか、事務局による提案なのか。

(事務局)
全体構想策定時に決められたものである。「釧路湿原自然再生全体構想」の抜粋版26ページに示されている。

(委員)
評価基準になっているB.「下流部における流砂量や栄養塩負荷量の減少」、また、他の小委員会との連携もこれからである。

(委員長)
「~の減少」という言葉は「対策・方法」までも意味として含まれてしまっている。

(委員)
B.「下流部における流砂量や栄養塩負荷量の減少」という項目だけを見ると、下流部で土砂や栄養塩類が減少していればいいということになる。湿原に土砂や栄養塩類を吸着させる、ということになる。

(委員長)
「~の減少」という言葉を削除することで、明確な目標となるのでないか。

(委員)
「下流部における」という言葉を付けることで、上流部はどうでもいいという表現になってはいないか。

(委員)
「下流部」とは湿原のことである。

(委員)
湿原における流砂量や栄養塩類を減少させようというのが評価基準であろうが、水循環小委員会の議論はそこまでは至っておらず、流砂量の観点で主体となる土砂流入委員会との連携も足りていない。

(委員長)
達成できていないということを、結果に明記することが必要である。
「下流部における流砂量や栄養塩負荷量の減少」という項目は一切扱っていないので、今後の課題として扱うべきである。

(委員)
5年間で得られた結果、実績をもっと記載したほうが良い。

(委員長)
総合評価の中では「知見」としてまとめられてしまっているが、これまでの成果をもっと具体的に記載するべきである。

(委員)
「久著呂川下流部」という表現は正確を喫しているのか。

(事務局)
実際の調査では久著呂川全体を扱っているので、「下流部」と区切らなくてもよいかと思う。

(委員)
湿原全体をしてみると、久著呂川はむしろ上流部にあたると思う。

(委員)
釧路川流域の水収支の把握ができたということを総合結果に明記すべきである。

(委員長)
総合結果が淡々と書かれすぎているので、もっと具体的に成果を書いてほしい。

(委員)
資料34ページの1行目に青字で、単に「水循環(水の移動)の計算により」と書かれているが、シュミレーションモデルを構築して計算したのだから、そういった努力の面も記載してほしい。

(委員長)
湿原というのは上層、下層の帯水層に分かれていて、それらを別々に解析することができる、といったような、新しい知見も得られている。
具体的な実績を含めずに総括してしまうと、水循環小委員会で議論されている内容が見えなくなってしまう。具体的な成果の記述をしてもらいたい。

議事3:全体を通しての意見・質問

(委員)
ホームページ、ブログ、パネル展などのイベントを通じて、釧路湿原自然再生協議会に対する一般市民の関心を深めたい。
一般住民の方々に参加していただくための機会を企画してほしい。
再生普及小委員会では、水循環小委員会をはじめとする小委員会と連携して普及活動に務めていきたい。そのために、水循環小委員会からも協力をお願いしたい。

(委員長)
各小委員会が始まる前に、環境省から簡単な解説を行いたいという申し出があったが、立ち消えとなってしまった。次回からはぜひ、お願いしたいと考えている。

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