積雪寒冷地の土木技術を支えて-寒地土木研究所と建設機械工作所

寒地土木研究所の写真
寒冷地仕様の土木技術を開発してきた寒地土木研究所

北海道の社会経済を支えるインフラ整備の重要性は、道内にあるさまざまな施設を使ったり見たりすることで実感できます。でも、忘れてはならないことがあります。それは研究と技術開発です。これらの積み重ねがあって初めて技術は実用化されます。

北海道は積雪寒冷地という特殊な環境下にあり、本州などからの技術の多くは「寒冷地仕様」への改良が必要であり、独自の技術開発も欠かせません。戦後の北海道開発事業の円滑な推進を支えてきた二つの機関をご紹介します。

「北海道発」の寒冷地技術を創造

昭和26年の北海道開発局発足と合わせて、札幌市平岸地区に北海道開発局土木試験所が設置されます。寒冷地技術開発の土木技術研究機関としては全国唯一。発足以来一貫して、高品質で北海道の厳しい風土にも耐えうる土木技術開発を進めてきました。北海道開発局が実施する河川や道路、港湾、水産、農業などの事業は、工事実施の際、さまざまな課題が生じます。課題の解決に研究成果を着実に活かすとともに、海外の開発事業にも活用されてきました。

同試験場は、昭和63年に開発土木研究所に改称・改組された以降、平成13年の中央省庁再編に伴い特定独立行政法人となり、27年には国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所として現在に至っています。15のチームがそれぞれの得意分野の研究開発を進め、他の行政の研究機関や大学、民間企業などとの共同研究を積極的に推進することでさまざまな「北海道発」の寒冷地技術を生み出しています。

除雪機械開発の先導役

もう一つの機関は「建設機械工作所」です。開発土木研究所と同様に昭和26年に開発局の附属機関として発足しました。建設用機械の整備などを担ってきましたが、昭和40年代半ば以降は、維持・除雪用機械の整備とともに、除雪機械の開発を進め、除雪機械に関しては国内では唯一の積雪寒冷地の総合機械センターとして先導的な役割を果たしてきました。

建設機械工作所は平成13年の中央省庁再編に伴い、北海道開発局事業振興部の防災・技術センターに防災業務を引き継ぎ廃止となりました。組織としてはなくなりましたが、建設機械工作所が開発してきた数多くの除雪機械の技術は今も全道各地の除雪現場で活用されています。

満開の千島桜がお出迎え

桜の写真

寒地土木研究所構内を流れる精進川沿いには、約200本の千島桜が植樹されています。この桜は昭和59年、当時の職員が「住民の皆さんに楽しんで欲しい」という思いで浜中町霧多布の苗木を植樹したのがはじまりです。例年5月初旬には一斉に開花します。いつもは研究関係者の方が行き来する構内も、この時は一般開放されます。隠れた花見スポットとして有名で、日中はもちろん、ライトアップされた桜もまさに絶景です。