写真でみる北海道開発のあゆみ

治水

貯水量は札幌ドーム7杯分〜流域の命を守る砂川遊水地〜

▼写真 : 石狩川砂川地区

蛇行する石狩川 (昭和43年頃) (提供: 北海道開発協会)

水害対策実施後 (平成26年)

かつては大雨が降るたびに氾濫を繰り返してきた石狩川では、ショートカット工事によって生まれた蛇行跡を活用して昭和62年から遊水地の建設に着手し、平成7年に完成しました。

大雨などで水位が上昇した際は、遊水地に水を貯めて下流への水量を調節し、洪水を緩和します。

普段は、様々なウォーターレジャーを楽しめる憩いの水辺空間として利用されています。

天然ダムの崩壊と復旧への道〜厚真川水系 砂防事業〜

▼写真 : 日高幌内川地区

被災時の状況 (平成30年9月)

緊急的な砂防工事完了後 (令和元年5月)

平成30年9月6日、北海道胆振東部地震により大規模な河道閉塞が発生した厚真川水系日高幌内川では、翌月から緊急的な砂防工事に着手し、平成31年3月には融雪水を安全に流すための水路工が完成しました。

現在は、緊急的な工事を終えて施設の恒久化等に向けた工事を実施しており、令和5年度の完成を目指しています。

道路

交通の難所「石北峠」の軌跡 (国道39号石北峠)

▼写真 : 北見市 (旧留辺蘂町 (るべしべちょう)) 石北峠防災事業 (雲海橋、石北大橋付近)

整備前 (昭和32年)

整備後 (令和3年6月)

上川管内とオホーツク管内を結ぶ国道39号のうち、上川町と北見市の境にある石北峠では、昭和42年度に完了した1次改築、昭和50〜60年代に実施した2次改築を経て、平成7年度から石北峠防災事業に着手しました。

地震災害による岩盤崩落の危険を有する箇所等について対策を講じ、石北大橋 (延長212メートル) などを整備し、平成13年度に完成しました。

「魔の山道」から「美の山道」へ (国道230号中山峠)

▼写真 : 札幌市南区仙境橋、渓明覆道付近

整備前 (昭和20-30年頃)

整備後 (平成26年)

道央と道南を結ぶ国道230号のうち、札幌市と喜茂別町の境にある中山峠は、当時、最急勾配が12%で道幅が5メートル程度、急カーブが128か所あり、見通しが悪いことから転落事故が後を絶たず、「魔の山道」と恐れられていました。

新ルートの工事は昭和39年度に着工し、昭和44年度には念願の開通となり、冬期の通行も可能となりました。

道央と道東を結ぶ大動脈の頂上「日勝大橋」(国道274号日勝峠)

▼写真 : 清水町日勝大橋

整備中 (昭和60年頃)

整備後 (令和3年6月)

道央と道東を結ぶ国道274号のうち、日高町と清水町の境にある日勝峠は、昭和40年度の開通以降、急勾配・急カーブの解消や防雪対策のための1次改築工事を実施してきており、このうち、日勝峠頂上付近に位置する日勝大橋 (延長185メートル) は、昭和61年に完成しました。

港湾

世界初の大規模な掘込港湾 (苫小牧港)

西港区着手当時 (昭和40年)
(提供:志方写真工芸社)

西港区 (平成26年)

苫小牧港は、苫小牧市街に近接する西港区と、苫小牧東部地域にある東港区から構成されており、本州からの人・物の玄関口となっています。

70年前は広大な砂丘と原野であった未開の地を掘り込み、世界初の大規模な「掘込港湾」となりました。

道央圏の生活を支える世界との玄関口 (石狩湾新港)

工事着手前 (昭和48年)
(提供 : 石狩湾新港管理組合)

石狩湾新港 (令和3年)
(提供 : 石狩湾新港管理組合)

昭和48年、札幌圏を中心とする生産物流の増大や北方圏との経済交流に対応するため、日本海の玄関口となる石狩湾に新たな港が着工されました。

石狩湾新港は、日本海側における物流とエネルギー供給の拠点港として、時代のニーズに対応しながら「進化」を続けています。

空港

北海道と世界を結ぶゲートウェイ〜「新千歳空港」整備の軌跡〜

(旧) 千歳空港ターミナル (昭和53年)
(提供 : 千歳市)

拡張を終えた新千歳空港ターミナル (令和2年)

航空自衛隊と共用していた千歳空港 (現千歳飛行場) の南東に、民間航空機専用の空港として新千歳空港が計画されました。

昭和63年にA滑走路 (3,000メートル) を供用開始し、新千歳空港としてのスタートを切りました。

近年は、国際線の増加に対応するため、ターミナルの拡張や誘導路の新設など、北海道の空の玄関口として発展を続けています。

公園

四季を通じた自然とのふれあい(滝野すずらん丘陵公園)

公園整備前の札幌市青少年自然の村 (昭和56年頃)

公園内の風景・様子 (平成28年〜令和元年)

平成22年に全面開園した「滝野すずらん丘陵公園」は、北海道において唯一かつ日本最北に位置する国営公園です。

四季を通じて「滝野の森ゾーン」の自然とのふれあいや学び、「こどもの谷」のたくさんの遊具、冬のチューブ滑りなどで賑わい、年間約60万人が来園しています。

農業

スマート農業への足がかり〜農地の大区画化〜

▼写真 : 士別市の農作業風景 (上士別地区では、水田1枚3.4ヘクタール程度への大区画化を実施)

昭和40年代
(提供 : 士別市立博物館)

現在 (平成28年)

かつては手作業で営まれていた農業は、近年、大型の農業機械によるものが主流となっています。

北海道開発局では、大型機械による農作業がより効率的に行えるよう、農地の大区画化等の基盤整備を推進しています。

干ばつ被害を防ぐ「畑地かんがい」

昭和50年頃の干ばつ被害 (幕別町)

令和3年7月の畑地かんがい風景 (芦別市)

北海道開発局では、畑作物や野菜類などの干ばつ被害の防止と収量・品質の確保のため、畑地かんがい (畑への散水) のための水利施設の整備を進めています。

令和3年7月の記録的な少雨においても、整備された地域では施設を最大限に活用し、畑地かんがいが行われました。

酪農王国・北海道のはじまり〜根釧地域の開発〜

▼写真 : 根釧地域の風景

開発前 (昭和30年頃)
(提供:根釧パイロットファーム開拓資料館青野氏)

現在

今から70年ほど前は、そのほとんどが原野だった根釧地域。

昭和30年から始まった『根釧パイロットファーム』事業により、北海道開発局、農地開発機械公団、北海道庁が連携して事業を進め、現在では、国内最大とも言われる酪農地帯となっています。

水産

流氷被害からホタテを守る !〜我が国初のアイスブーム〜

サロマ湖に流入する流氷 (平成元年)
※上側がオホーツク海、下側がサロマ湖

整備された防氷堤 (アイスブーム) (平成28年)

サロマ湖地域は、我が国有数のホタテ養殖業の拠点ですが、かつては湖内に流氷が進入し、養殖施設の被害が起きていました。

このため、オホーツク海とサロマ湖を結ぶ湖口に、我が国で最初の防氷堤 (アイスブーム) を整備しました。

防氷堤 (アイスブーム) が完成した平成10年度以降、養殖施設の被害は発生していません。

機械

冬の生活を守る除雪機械たち

〔上〕 米軍払下げのダンプトラックに除雪装置を装着 (昭和26年頃)
〔下〕 除雪トラック 10トン級6×6 (平成29年)

〔上〕 国産初の自走式ロータリ除雪車WTR型 (昭和31年)
〔下〕 「i-Snow」ロータリ除雪車(令和元年)

長く厳しい冬の北海道の生活と産業活動に欠かせない除雪。昭和初期には、除雪装置を装着したダンプトラック、国産初のロータリ除雪車などが活躍しました。

その後、除雪延長の急増に対応するため除雪専用車両などの開発・導入が進み、最近では、衛星からの位置情報やICTを活用した最新のロータリ除雪車「i-Snow」の技術開発を行い、冬期間の物流・人流を確保しています。

※ 「Information and Communication Technology」の略

営繕

地域の景観形成と防災の拠点 (良質な官庁施設づくり〜帯広第2地方合同庁舎〜)

整備前【合同庁舎化された各官署】
(昭和29年〜48年建設、背景は平成19年撮影)

整備後 (令和元年建設・撮影)

帯広第2地方合同庁舎は、建設地周辺に所在する老朽化・耐震性能不足などの状態にあった国の3官署を同敷地に集約することにより、利用者の皆様の利便性向上とともに、大地震が発生した際に地域の防災拠点となる施設として整備しました。