開発計画を着実に推進-北海道の特殊性に配慮した「北海道特例」

釧路外環状道路の写真
特例措置により道内の社会基盤整備が着実に進んだ

北海道総合開発計画を着実に実施するため、北海道開発は予算面で他都府県にはない特別な制度が設けられています。北海道の恵まれた資源や国土空間を活用して我が国全体の発展に貢献する、という思想とともに、本州などに比べ、開発の歴史が浅く、広大な面積を持つ北海道の社会基盤整備を進める際、地元自治体に他都府県並みの負担率を適用させるのは適当ではない、といったことなどが理由です。

代表的な制度は①北海道に関わる公共事業予算をまとめて計上する「一括計上」②直轄・補助事業で国費率をかさ上げ③都府県が補助事業として行っている事業を国直轄で実施-などです。②と③は、いわゆる「北海道特例」と呼ばれています。

「見える化」と自治体負担低減

①の「一括計上」に関しては、昭和25年の北海道開発庁設置の際、開発計画の着実な推進のために、一般公共事業費に相当する北海道開発事業費を、北海道開発庁に一括計上することが閣議決定されました。北海道に関わる公共事業予算が一括計上により「見える化」されることで、安定的な予算確保が可能となります。

②の国費率とは、例えば国がある国道に12億円をかけて橋を整備した場合、県の負担は4億円ですが、北海道は2億4,000万円で済みます。道が実施する事業も国費率がかさ上げされています。

この特例は、河川や道路、港湾、空港、農業、漁港が対象です。自治体負担が少なくなることで、財政の健全化と社会基盤整備促進が実現します。昭和26年度予算では100%国費負担の事業もありましたが、その後引き下げられ、平成5年度には負担率が恒久化されます。それでも、北海道は、本州などと比べ、依然として高い国費負担率を維持しています。

着実な事業推進に不可欠な制度

③については、道が整備する二級河川や地方道のうち、特に必要と認められるものを「指定河川」や「開発道路」として整備してきた歴史があります。また、地方港湾、3種・4種漁港のほか、本州などでは補助国道として県などが整備・管理する国道も、道路法施行令により、北海道開発局が実施しています。国の機関が整備することで、地元負担の軽減と、いち早い事業進捗・完成が実現します。

北海道開発の基本的な意義は、北海道の資源や特性を活かして、北海道自体が活性化するとともに、我が国全体の発展に寄与することにあります。

いわゆる北海道特例は、閣議決定を経て政府全体の目標となる北海道総合開発計画、それを推進する体制と地域との密接な連携、そして、計画を推進するためのさまざまな事業を、地元自治体の負担を軽減しつつ、着実に推進するために必要不可欠な仕組みと言えます。