「北彩都」に旭川シビックコア庁舎―中核市にふさわしい拠点施設に集約

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中央のアトリウムがランドマーク

中心市街地の空洞化が社会問題に

中央部のアトリウムが特徴的な旭川地方合同庁舎。都心再生の大規模なまちづくり「北彩都あさひかわ」のシビックコア地区に平成20年秋、誕生しました。

シビックコアとは、官庁・民間施設を都市計画に盛り込んで地域の特色や創意工夫を生かして一体的、総合的に整備するまちづくりの仕組みです。制度が創設された平成5年以前には、郊外型商業施設の立地による市街地の無秩序な拡大と中心市街地の空洞化が問題となっていました。中心市街地活性化法などのまちづくり三法が平成10年から制定されるなど環境も整い、旭川地区の整備計画は平成10年に国の承認を得ました。

旭川地方合同庁舎は鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1地上6階、延べ床面積はⅠ期 (東館) が13,686平方メートル、Ⅱ期 (西館) は10,472平方メートル。北海道開発局営繕部が平成13年9月に東館に着工、平成20年10月に西館が竣工しました。完成時は、旭川開発建設部、旭川地方気象台、旭川地方法務局、旭川労働基準監督署など、それまで分散していた10の行政機能が集約されました。

設計デザインは黒川紀章建築都市設計事務所。道内外の様々な企業が施工に携わりました。

コスト削減や事後評価にも配慮

この庁舎は、環境負荷低減に配慮し、かつ、バリアフリー化に対応した庁舎です。厳しい積雪寒冷といった気候風土に適した外断熱工法を採用するとともに、建物躯体の耐久性を向上させ、太陽光発電や外気を利用した空調、昼光センサーによる照明の自動制御など、様々な取組を実施しています。

建設コストに対する社会の厳しい眼に配慮して、当時の建設省は平成6年から建設コスト削減の行動指針を策定しました。

まだ性能規定に移行する前でしたが、シビックコア庁舎はコスト削減に取り組む先駆けにもなりました。完成後の事後評価では、各官署の既存建物を改築・増改修する案と比べ、10億円強の便益が試算されました。

都心のルネッサンス事業-川のまちの課題を解決

アトリウムの写真

「北彩都あさひかわ」は、忠別川と鉄道によって南北に分断された「川のまち」旭川市の長年の懸案を、鉄道高架や土地区画整理、幹線道路整備によって解決する、都心のルネッサンス (再生・復活) 事業です。河川空間などの自然と調和した「川 (ランドスケープ) からのまちづくり」、その20年を超える長期的な取り組みは高く評価され、土木学会デザイン賞最優秀賞、都市景観大賞国土交通大臣賞などを受賞しています。