酪農王国を支える国際バルク戦略港湾-釧路港国際物流ターミナル

国際物流ターミナルの写真
パナマックス船が接岸する国際物流ターミナル

道東地域は全国でもトップクラスの牛乳生産地です。乳牛が美味しい牛乳を出すために欠かせないのが「ご飯」。その「ご飯」は牧草と、とうもろこしなどの飼料穀物の2つがあります。このうち飼料の大分部は北米から船で輸入されますが、大量の飼料を安定的かつ低コストで輸入するためには、大型貨物船による輸送が欠かせません。

国土交通省は、バルク貨物 (梱包せず直接積み込む貨物) の輸入拠点として、釧路港を「国際バルク戦略港湾」に選定。北海道開発局では、平成26年度からパナマ運河を航行可能な巨大船舶 (パナマックス船) に対応する水深14メートル岸壁を備えた国際物流ターミナル整備を進め、30年に完成しました。

1年以上の工期短縮を実現

整備以前、パナマックス船は貨物満載では港の水深が浅く入港できなかったため、積載量を減らしたり他港で貨物を下ろしたりして入港するなど、非効率な輸送を余儀なくされていました。

新しい岸壁は、既存の水深12メートル岸壁の沖合に整備しますが、工事による利用船舶への影響を最小限とするため海上作業期間短縮できる「ジャケット式桟橋構造 (海底地盤に打ち込んだ鋼管杭に、鋼管を三角形につなぎ合わせた立体トラスを被せる桟橋)」とし、上部工のコンクリート床版には、あらかじめ工場で製作したプレキャスト部材を使用しました。これらの技術活用により、1年以上の工期短縮が実現しました。

強靱化と長寿命化もしっかりと対応

また、災害時やメンテナンスの際に岸壁が利用できなくなるのを避けるため、強靱化と長寿命化も図りました。穀物をサイロに送るベルトコンベヤーの下の床版が劣化すると、補修中は長期間荷揚げができなくなるため、塩害劣化しない炭素繊維複合材を用いました。さらに地震多発地帯であることを考えて、岸壁の耐震化などを図りました。

大水深岸壁を整備することで効率な輸送が実現しました。国際物流ターミナルに荷揚げされる飼料は、乳牛を育み、生産された牛乳は、再び釧路港に集まり、RORO船で本州方面に出荷されます。釧路港は北海道の「食」を支える重要な港として、今日も多くの船舶の玄関口として機能しています。

「みなとオアシス」に登録

釧路フィッシャーマンズワーフの写真

「みなと」を核とした住民参加による地域活性化の取り組みが行われている施設を国土交通省が登録する「みなとオアシス」制度。令和元年5月に「釧路みなとオアシス」が登録されました。代表施設は「釧路フィッシャーマンズワーフMOO&EGG」。コロナ禍により観光客が減少していますが、再び「オアシス」として賑わう日を関係者は心待ちにしています。

関連動画