高品質な水産物供給を支える漁港の衛生管理対策-厚岸漁港、羅臼漁港

厚岸漁港の写真
総合的な衛生管理対策の拠点となる厚岸漁港

流通の出発点である漁港の衛生管理対策

水産物は、世界の動物性たんぱく質供給量の16%を担う重要な食料資源です。世界の1人当たりの食用魚介類の消費量は過去半世紀で約2倍に増加しました。また、近年では世界各国においてHACCPなどの衛生管理基準が設けられており、さらに国内においてもO-157や産地偽装といった食の安全に対して消費者ニーズが高まっています。そのため、水産物の品質向上を図る漁港の衛生管理対策が進められています。

各漁港で進められている市場の建設においては、危害要因 (食中毒の原因となるおそれのあるもの) を排除するための高度衛生管理対策が講じられています。具体的には防塵ゲートによる入場管理や水産物の低温陳列、魚介類を運搬するフォークリフトの電動化などです。また、漁船から陸揚げする水産物を、直射日光や風雨、カモメなどの鳥害から守るため、屋根付き岸壁を整備するとともに、清浄海水取水施設により汲み上げたきれいな海水で魚介類を洗浄するなどして、高品質な水産物の供給を行なっています。

ブランド維持に欠かせない衛生管理

例えば、秋サケなど北海道内屈指の水揚げ量を誇る羅臼漁港では、地域と連携して整備した施設で海洋深層水を汲み上げ、陸揚げされたサケなどの魚体洗浄に活用しています。海洋深層水は、水深350メートルから汲み上げているため、低温で雑菌などが極端に少なく清浄性に優れています。

また、サンマ漁やカキ養殖などが盛んな厚岸漁港でも令和2年7月、屋根付き岸壁や荷捌き施設等の衛生管理施設が完成し、陸揚げから出荷までの一貫した高度衛生管理ができるようになりました。さらに、低温滅菌清浄海水を供給できる取水施設が整備されたことで、厚岸の特産であるカキは、紫外線滅菌海水の「プール」で48時間滅菌され、多くの家庭の食卓に届けられています。

安全・安心な水産物を安定供給するこうした取組が進むことで、北海道水産物のブランド価値が一層高まっていくことが期待されています。

グルメが絶賛 !―厚岸のカキと羅臼のサケ

がんがん焼の写真
鮭の写真

厚岸漁港と羅臼漁港で水揚げされる海産物の中でも、全国的なブランドとなっているのが、厚岸は「カキ」、羅臼は「サケ」です。厚岸のオススメは「がんがん焼」。カキを「がんがん」に入れたまま蒸し焼きして食べるという、とてもダイナミックでシンプルなレシピ。羅臼のサケは、目利きの漁師が厳選した銀毛鮭「羅皇 (らおう)」がとても貴重です。また、1万匹に1匹といわれる「鮭児 (けいじ)」は、上品な脂のりが特徴で、時には10万円の高値がつくこともあります。

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