技術者の誇りと夢をかけて-白鳥大橋秘話

白鳥大橋の写真
ライトアップされた白鳥大橋

構想から約40年の年月

海のあるまちの夜景って、きれいですよね。道内では函館市や小樽市が有名ですが、室蘭市も有名な夜景スポットです。室蘭の夜景をより美しいものに見せているまちのシンボル、それが白鳥大橋です。白鳥大橋は日本初の積雪寒冷地に建設された吊り橋で、長さは1,380メートル。平成10年6月13日に開通しました。

建設構想が初めて持ち上がったのは、昭和30年代。馬蹄形である室蘭のまちの形が地域の発展に支障になっているとの問題意識から、胆振管内の自治体や経済団体、企業などが国に要望を続け、昭和56年に事業化となりました。構想から開通まで約40年の年月が流れました。白鳥大橋が開通すると、交通混雑の緩和や北海道縦貫自動車道との連結が図られるようになり、市民や来訪者の利便性は一気に向上しました。

特殊な技術が彩る橋の魅力

白鳥大橋は、建設コストなどに配慮して、主塔、主塔間に張り渡されたケーブル、ケーブルにつり下げられた道路 (補剛桁) などで構成する吊り橋となりました。

吊り橋のケーブルは、車両が走行する補剛桁を支えていますが、白鳥大橋のケーブルは直径5.2ミリメートルのピアノ線127本を6角形に束ね、それをさらに52本束ねて直径47センチメートルにもなっています。

このケーブルをさびなどから保護するため、普通はケーブルの外側をワイヤーでぐるぐる巻きにして塗装しますが、白鳥大橋では、世界で初めて、断面がS字で巻き付けたときに相互にかみ合うワイヤーと特殊塗料による「S字ワイヤラッピング方式」を採用しました。この工法により、厳寒の冬でも塗装の割れを防ぎ、防水効果を飛躍的に高めることができました。

2本の主塔の高さは140メートルで、その高さはさっぽろテレビ塔と同じぐらいです。主塔は強風に耐えられる設計になっていて、補修作業をするときには主塔ゴンドラを使って作業をしています。

優れた技術力が結集している白鳥大橋ですが、近年では観光資源として活用する動きも出始めています。令和2年には、国土交通省の「インフラツーリズム魅力倍増プロジェクト」のモデル地区に北海道内で初めて選定されました。今後は白鳥大橋を国内外へPRしていきます。

「主塔に上りたい ?!」-気分はまさに「白鳥」

白鳥大橋の主塔頂上から見下ろした写真

白鳥大橋の主塔頂上は一見の価値ありです。地元の観光団体などの主催で主塔を見学する観光コースが開かれることもあるので、一般の方でも機会があれば主塔に登ることができます。頂上は想像を絶するような強風と、真下を見ると震え上がるような高さ…。しかし何にも視界を邪魔されない景色は雄大で、気分はまさに「白鳥」です。