不可能を可能に-日勝峠災害復旧、1年余りで完了

崩壊した道路の写真
4つの台風の襲来により壊滅的な被害が発生した

一日も早く復旧を-災害直後直ちに始動

平成28年8月。北海道は4つの台風に襲われ、台風に伴う豪雨は道内各地に大きな被害をもたらしました。中でも国道274号の日勝峠は道路や橋が広範囲にわたって崩壊しました。一日も早く復旧を。北海道開発局は、災害発生後直ちに建設関係企業者と連携し災害復旧工事に向けた調査を清水町側と日高町側でスタートさせました。

大規模災害の復旧の第一歩は被害状況の把握から始まります。北海道開発局では、復旧作業にあたる室蘭及び帯広開発建設部に対し、全道の開発建設部から多くの職員を派遣し対応にあたりました。

しかし、被害状況の把握は容易ではありませんでした。道路が寸断されているため、自動車は使えません。自転車を担いで道なき道を越え、橋のない川をゴムボートで渡っていきました。

自転車を担いで崩壊した道路を進む様子の写真
「道なき道」を踏破し、被災状況の調査を進めた

現地調査は1カ月ほどで完了し、本格的な復旧工事がスタートします。しかしプロジェクトに課せられた期限はわずか1年余り。ミッション達成のためには、北海道開発局と建設関係企業者の連携、そして最新技術の駆使が不可欠でした。

綿密な工程調整と最先端の技術を駆使

復旧工事は日勝峠を境として、清水町側と日高町側で進められました。日高町側は、橋や擁壁などの構造物被害が多く、清水町側は道路が崩壊している区間が多いため、盛り土工事が中心となりました。

狭いスペースで同時並行して多数の工事が展開されるため、両側ではそれぞれ受注企業で構成する連絡協議会を立ち上げ、絶え間ない工程調整と進捗の確認などを実施。また、復旧工事の最大の難所・清水町側7合目の現場では、最先端のICT (情報通信技術) を取り入れ、ドローンを活用した三次元測量を行うなど効率的な作業を進め、大幅な工期短縮を実現しました。

復旧工事の写真
ICT活用で大幅な工期短縮を実現した清水町側7合目現場

北海道開発局と500社以上におよぶ建設関係企業の一体となった復旧作業により、日勝峠は、平成29年10月28日午後1時に開通しました。不可能と思われるミッションを可能にした官民の「名もなき戦士たち」。彼らは今日も、道民の暮らしと経済を支える社会基盤を黙々と整備しています。

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