地震で景色が一変した胆振東部
平成30年9月6日午前3時7分に発生した北海道胆振東部地震で、厚真町では北海道で初めて最大震度7を観測し、3,000万立方メートルの土砂が崩落するなど各地で甚大な被害が発生しました。震源に近い厚真町、安平町、むかわ町を中心に、多数の住家が全半壊し、1万6,000人以上の住民が避難生活を強いられました。
農地への土砂流入や用水路の破損など農林関係の被害額は1,145億円に上り、苫小牧港では液状化による沈下などが発生、高規格幹線道路の日高自動車道に段差が生じ、一級河川鵡川で堤防に亀裂が入るなど、重要インフラにも広く影響が及びました。
被災自治体と情報を共有し緊急復旧へ
被災状況を早期に把握し、緊急車両の通行ルート確保などインフラの早期復旧につなげるため、北海道開発局は、災害対策用ヘリを出動させ上空から調査。その情報はリアルタイムで被災自治体にも提供されました。
自治体と連携し、救急車や自衛隊などの緊急車両を通行可能にするため、必要最低限の倒木処理や路面の段差解消などを行う「道路啓開」を実施。被災当日から地元建設業者とともに道路通行止め区間の解消、河道に流れ込んだ土砂や流木の撤去などの緊急復旧工事も進められました。
被災地に寄り添う支援も北海道開発局の重要な使命です。被災自治体の支援のため「TEC-FORCE (テック・フォース、緊急災害対策派遣隊)」を派遣し、被害状況の取りまとめや応急対策、また、復旧に向けた技術支援を行いました。最大震度を観測した厚真町は、特に土砂災害が深刻でした。北海道知事からの要請を受け、北海道開発局では、厚真川水系の土砂災害復旧・復興に取り組むことになりました。
大規模な河道閉塞が発生した日高幌内川では緊急的に水路を整備してから、閉塞部を掘り下げる対策を推進したほか、チケッペ川と東和川には、堆積した土砂の流出を止める砂防堰堤などを建設しました。
また、地域産業を支援する一環としては、平成31年4月にオープンした道の駅「あびらD51ステーション」の駐車場整備などにも取り組みました。
国内初のブラックアウト-その原因と対策は
胆振東部地震の発生から18分後、日本で初めての「ブラックアウト」と呼ばれる北海道全域の大規模停電が発生しました。道内電力需要の約半分を担っている苫東厚真火力発電所停止に加え、水力発電所からの送電線の断線、風力発電所も大量に停止したことが原因です。
苦い経験を踏まえ、苫東厚真火力発電所が停止した場合、揚水式の京極発電所がすぐに補てんし、周波数を安定させるよう運用しています。さらに、本州と北海道間で電力を融通できる北本連系線も1.5倍に増強。石狩湾新港LNG火力発電所では平成31年2月に1号機の運転を開始するなど、ブラックアウト対策は着実に進んでいます。