住民の命と暮らしを守る-流域治水で激甚化する水害を防ぐ

水害の写真
氾濫により水没した南富良野町幾寅地区 (平成28年8月)

地球温暖化が水害被害を加速

「地球温暖化」。皆さんもよく聞いたことのある言葉ですね。大気中に含まれる二酸化炭素などの「温室効果ガス」が大気中に放出され、地球全体の平均気温が上昇していく現象のことです。

温暖化に伴う影響の一つが気候変動です。最近、全国各地で台風と豪雨による水害が多発しています。主な原因と考えられているのが温暖化です。海水温の上昇によって台風が大型化したり、短時間で大雨の降る回数が増えています。台風は大量の雨を降らせます。想定を超える雨は川の水を劇的に増加させ、洪水被害が発生します。

北海道開発局や北海道庁が整備する堤防やダムなどの治水施設は、洪水対策に最も有効ですが、最近の豪雨は、想定した雨量を大きく上回るケースもあります。そこで治水施設の整備に加え、流域の行政機関や住民の方が一緒になって水害に立ち向かう「流域治水」という考え方が登場しました。

未来を見据えた「流域治水」の発想

流域治水は三つの対策で構成されています。治水施設整備による氾濫防止、危険な個所に家を建てないなど住まい方やまちづくりの工夫、洪水時の確実な避難です。石狩川や十勝川など一級水系ごとに、対策を具体的に進める「流域治水プロジェクト」が流域の市町村を始めとする幅広い関係者と協議し令和3年3月に策定されました。

実はこの「流域治水」という考え方、これまでとは全く異なる発想です。従来は、過去の水害の際の雨量や流量を前提に「これぐらいの治水施設を整備すれば被害を防ぐことができる」と想定した上で、河川整備計画を策定して事業を進めてきました。

しかし、流域治水は、過去の実績だけではなく、現在温暖化が進み、雨の量が増えていることにも対策を講じようという、将来を見据えてあらゆる関係者が協働して取り組む治水対策です。気候変動は現在進行中で、今後も台風などによる豪雨被害が頻発することが想定されます。何よりも大切な命、そして大切な我が家などの財産や地域社会を守るため、皆さんと一緒に進めていく、それが流域治水です。

金山ダム、頑張った-洪水被害を未然に防止

金山ダムの写真

平成28年8月の台風災害では、空知川が氾濫し、南富良野町幾寅の市街地が水没しました。でもこの時、下流にある金山ダムは頑張りました。札幌ドーム約35杯分に当たる約1億5,450万立方メートルの水を貯め、下流の富良野市の水位を大幅に下げました。仮に金山ダムがなければ、洪水被害が発生するとされる「氾濫危険水位」を上回り、甚大な被害が発生した可能性があります。いつもは釣りやキャンプなどのレジャー客で賑わう金山ダムですが、いざという時は、皆さんの命と暮らしを守るため、全力で立ち上がるのですね。感謝 !!

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