命を守り、経済支える大動脈-進む高規格幹線道路ネットワーク整備

旭川・紋別自動車道の写真
旭川・紋別自動車道遠軽瀬戸瀬インターチェンジ-遠軽インターチェンジ (令和元年12月)

道路のエース・高規格幹線道路

北海道は全国の約2割を占める広大な大地です。本州に比べ、都市間距離が長く、冬期間の豪雪と吹雪、そしてホワイトアウトが頻発する北海道にとって、安全・快適に走行できる道路は、道民に欠かせない存在です。中でも高規格幹線道路 (自動車専用道路) は、安全と快適性から見ると道路の「エース級」。現在、北海道開発局では全道各地で整備を進めています。

令和2年度末の道内供用延長は1,183キロメートルに達しました。道内で初めて開通したのは小樽-札幌間と千歳-北広島間です。札幌オリンピックを翌年に控え、昭和46年に開通しました。その後も札幌市を起点に南北に延び続け、55年には苫小牧市まで、平成2年には旭川市まで伸び、平成23年には夕張インターチェンジ-占冠インターチェンジ間が完成し、道央圏と道東圏が高規格幹線道路で結ばれました。

まだまだ低い供用率

1,000キロメートルを超え、北海道の大動脈となった高規格幹線道路ですが、実は全国に比べると、まだまだ整備水準は低いです。計画路線の総延長に対する供用率は全国が89%に対し、北海道は65%。20ポイント以上の差があります。なぜこんな大きな差があるのか。それは高規格幹線道路を整備する財源の問題があります。

高規格幹線道路には有料と無料の区間がありますが、かつては高速道路会社 (旧道路公団) がお金を借りて (財政投融資) 整備し、通行料金から返済する方法で進めてきました。しかし、採算性の低い区間は整備が遅れたため、その区間は、平成14年に高速道路会社に代わって、北海道開発局など国土交通省が整備できる制度、いわゆる「新直轄方式」で整備することになりました。道内では、本別インターチェンジから釧路方面に伸びる道東道や、道縦貫道の士別剣淵インターチェンジ-名寄インターチェンジ間などです。

最近では余市-共和間や釧路、浦河方面への延伸などが急ピッチで進められ、令和3年度からは、札幌北インターチェンジから札幌市中心部を結ぶ「一般国道5号創成川通」も事業着手となります。高規格幹線道路は豊かで安全な暮らしの実現と北海道の強みである「食」と「観光」が世界に羽ばたくために不可欠の大動脈として、今日も多くの活力を運び続けています。

ダブルネットワークって何 ?-被災地を救う「命の道」

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大規模災害は道路を寸断します。東日本大震災の時、通行不能となった道路は被災地の復旧・復興の大きな支障となりました。1本しかない道路が被災すると、被災者や救援物資の搬送ができません。北海道の太平洋沿岸でも近い将来、大地震と巨大津波の発生が危惧されています。非常時に備えて「もう一本」を確保する考え方が、最近話題の上るダブルネットワーク。「もしもの時に備える」。日常の暮らしと同様、道路にも欠かせない発想ですね。