被災地の日常を一日も早く取り戻せ !-テック・フォース奮戦記

被害状況調査の写真
被害状況を調査する北海道開発局の隊員たち (令和2年7月13日、熊本県芦北町)

大規模災害発生時にいち早く被災地に駆けつけ、技術面で被災市町村を支援する「TEC-FORCE (テック・フォース、緊急災害対策派遣隊)」。平成20年4月に国土交通省が創設し、令和2年4月時点で1万4,386人の職員が登録されています。このうち、北海道開発局には1,608人の隊員がいます。

隊員は、普段はインフラを整備・維持管理する仕事をしていますが、いざ災害が発生すると災害対応のエキスパートとして現地に赴き、早期復旧・復興に向け、災害調査や技術支援などで市町村を支援します。

台風災害、胆振東部地震でも活躍

大規模な災害が発生した時、被災地の市町村は、避難指示や被災者の安否確認、避難所の設営・運営など、さまざまな業務に追われます。一方で、住民の安心・安全確保と日常を回復するために、応急復旧工事や本格的な復旧工事も急を要します。

平成28年の台風災害と平成30年の北海道胆振東部地震では、川の氾濫や橋の流失、土砂崩れが多数発生しました。二次災害防止と一日も早い復旧のためには、技術系職員の存在が不可欠ですが、市町村の職員だけでは限界があります。そこで出動するのがテック・フォース。被災で混乱する市町村にとってはとても心強い存在です。

隊員は、技術系職員を中心に任命し、排水ポンプ車、照明車、危険箇所で無人施工が可能な遠隔操作式バックホウなどの災害対策用機材を活用した被害の拡大の防止、また、被災状況の把握や復旧に関する技術的支援を行います。さらに、二次災害防止のため、土砂災害などの現場では、崩落した斜面の監視などの側面支援も担います。

自然災害が頻発する中、役割は一層重要に

テック・フォースが効率的な作業を進めるため、市町村に派遣されるリエゾン (現地情報連絡員) も重要な存在です。発災直後で混乱する被災地で、市町村と連携しながら、的確に情報を把握整理し、テック・フォースへの橋渡し役を果たします。

また、洪水や地震が発生すると、農地や用水路など農業施設も甚大な被害を受けます。北海道開発局では、農業系の技術者による水土里 (みどり) 災害派遣隊を現地に派遣し、農家の方の一日も早い営農再開を支援します。

開発局のテック・フォースは、北海道胆振東部地震後も、本州などで相次いで発生した豪雨災害でも活動しました。大規模自然災害が頻発する中、テック・フォースの重要性はさらに増しています。

成果報告の写真
平成28年の台風災害では、開発局を中心に1,525人の隊員が活動しました (写真は阿部一男清水町長 (左) に成果報告するテック・フォース隊長、平成28年9月)