洋上風力発電の導入-カーボンニュートラルポートの形成

風力発電の写真
瀬棚港に建つ瀬棚町洋上風力発電所

洋上風力発電で北海道に注目集まる

洋上風力発電の構想が北海道で相次いで浮上しています。

石狩湾沖では、エネルギー関連企業や大手商社、外資系企業を含む電気事業者などが相次いで100メガワット規模の洋上風力発電事業の構想を発表、檜山沖でも複数企業の進出計画が表面化しています。一般水域に洋上風力発電所を建設するには、平成31年4月施行の再エネ海域利用法に基づき、促進区域に指定されている必要があります。

令和2年現在、北海道にはまだ促進区域はありませんが、潜在的な風力エネルギーは全国トップクラスとされ、将来の指定を見越し、有望な地域を確保しようと企業が活発に動いています。

カーボンニュートラルポートの形成へ

日本で初めての洋上風力発電所は、瀬棚港内に建てられた瀬棚町洋上風力発電所です。平成16年から稼働しています。港湾区域内は港湾管理者の許可があれば、洋上風力発電所も建設可能です。

石狩湾新港の区域内に計画されている洋上風力発電事業は、風車14基を設置し、最大112メガワットが発電できる発電所を建設するものです。札幌市内にある水力発電の豊平峡発電所の2倍弱の発電能力です。総事業費に約740億円を投じ、令和4年冬頃に運転を開始する予定です。

国土交通省は、国際物流の結節点・産業拠点となる港湾で、水素など次世代エネルギーの輸入や貯蔵、利活用を図るとともに、洋上風力発電を導入し、余剰電力を使って水素生成するなど、温室効果ガスの排出をゼロにする「カーボンニュートラルポート (CNP)」の取り組みを始めました。

港湾・臨海部は、CO2排出量が多い製油所・発電所、鉄鋼、化学工業などの事業所が集積するため、排出量削減効果が大きいとされます。

横浜港・川崎港、名古屋港、神戸港など6地域を対象に、CNPの検討が始まりました。これらの検討結果を踏まえ、CNPの取組を全国に展開する考えです。

新エネの宝庫・北海道-エネルギーも地産地消へ

太陽光発電の写真

北海道には、太陽光や風力、バイオマス、地熱、雪氷冷熱など多様なエネルギーが豊富にあります。利用条件などを考慮した上で算出する導入ポテンシャル量では、風力発電、中小水力発電、太陽光発電が全国1位、地熱発電が全国3位となっています。

また、家畜のふん尿、木材チップなどを利用したバイオマス発電などに取り組むバイオマス産業都市94市町村のうち、北海道からは36市町村が選定 (令和2年12月現在) されています。弟子屈町では地熱、稚内市は風力、上士幌町は畜産バイオマスなど、足下にあるエネルギーを活用する地産地消事業が各地で展開されています。まさに北海道は「多様なエネルギーの宝庫」ですね。