世界とともに歩む北海道の開発

JICA研修の写真
令和元年度JICA研修での集団討議の様子

世界各国で活用される北海道開発の経験

わずか100年余りの間に人口や経済規模が大幅に拡大した北海道開発の経験を開発途上国に役立ててもらうため、北海道開発局の国際業務の一つとして、平成4年度からJICA研修の受入れを開始し、令和3年度で30年になりました。

これまでの研修に参加した各国の行政職員は、帰国後に地域開発を担当する部署を新設したり、地域開発計画の策定などで北海道開発の知見を活用しています。例えば、タジキスタンでは、経済貿易省に地域開発部を設置し、工業未発達地域に対する開発法と6地域のプログラム、山岳地域の開発のための法律を策定しています。また、ネパールでは、カルナリ地域を重点開発地域に位置付け、北海道開発庁と北海道開発局の機能を参考としたカルナリ委員会を設置して地域開発に当たっています。

令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、大半の研修員は来日できず、WEB遠隔研修になりました。他方で、WEB研修の利点を活かし、過去の研修員から報告を行いました。報告は、過去の研修員が研修成果を活用した自国の事例紹介を行い、現在の研修員が研修成果を活用する上で参考となる具体的な内容であり、北海道開発を参考にした各国の取組が更に他国の参考として活かされています。

世界水準の価値創造空間の形成に向けて

北海道の開拓は、開拓使顧問団に代表されるように、開拓の経験豊かな米国等西洋の技術を活用して進められました。戦後も世界銀行の融資による根釧パイロットファーム事業や米国のテネシー川総合開発をモデルとした石狩川水系総合開発事業等を実施しました。フィンランドで先駆的に行われていた産業クラスターは、道内経済界が主体となり全国に先駆けて実施し、この動きに合わせ、北海道開発局は産業クラスターに関する開発計画調査を立ち上げ、産官連携で取組の推進に寄与しました。

現在実施しているソフト施策としては、米国に倣った「シーニックバイウェイ北海道」、ドイツを参考にした「わが村は美しく北海道運動」等があります。このように、北海道の開発は常に世界とのつながりの中で歴史を刻んできたと言えます。「世界の北海道」をキャッチフレーズに、北海道開発局の挑戦はこれからも続きます。

国際貢献の実績が評価され―団体・個人2度のJICA表彰

集合写真

JICA研修を通じた長年にわたる地域開発分野の人材育成への多大な貢献が認められ、北海道開発局は平成19年に緒方貞子JICA理事長 (当時) から第4回JICA理事長表彰を受けました。

また、北海道開発局で初代国際室長を務め、退官後に研究者となってからも中央アジア諸国の地域開発政策への支援を行った小磯修二氏が、個人として令和2年に第16回JICA理事長賞を受賞しています。