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特別講演  「これからの北海道を考える」

北海道大学名誉教授(前北海道大学総長)佐伯 浩 氏

佐伯 浩 氏
佐伯 浩 氏

北海道大学名誉教授(前北海道大学総長)

 温暖化によって海水温が上がるということは、異常気象の発生がますます増えていくことを意味します。最近は、集中豪雨が増え、台風も大型化してきています。常時の気温が少しずつ上がることも問題ですが、もっと注意すべきことは我々の生存に関わることが度々発生することです。 特に北海道は、農業・水産業・林業が盛んなので温暖化に対して十分配慮しないと、次の世紀まで北海道の産業がもたなくなってしまうことに注意すべきです。

 北海道経済は、一次産業が異常気象でだめになると、ますます大きな影響を受けます。環境問題と同時に北海道経済の自立も大事です。その中で、特に注目すべきことは、北海道の輸入品目で最も多いのが鉱物性燃料であることです。域外収支のマイナス1兆5,000億円のうち約71%が、エネルギーの輸入によるものです。ちなみに全国平均は約34%です。これは北海道が、冬の寒さや広い土地を移動する際の車の燃料など、特にエネルギーを必要とする地域だからです。
 今日の議題である水素エネルギー社会が実現し、水素が広範囲に使えるようになり、更にそれが北海道の持つ再生可能エネルギーで賄えるようになると、この鉱物性燃料の輸入をかなり減らせる可能性があります。我々が今エネルギーの仕組みを変えることは、北海道経済の面からも非常に大事です。

 北海道が持続可能な社会を作り、発展を遂げていくには、地球規模の環境問題を解決すべきであること。これは北海道が農業や水産業への依存が大きいことからも当然です。もう一つは、北海道の観光です。北海道に来る観光客は、夏の冷涼な気候や冬は東南アジア等にはない雪を見に来ます。もちろん北海道の広々とした自然、生物の多様性、野生動物がたくさん住んでいることなども観光に影響しています。このように地球規模の環境問題は、北海道の観光に非常に深く影響を与えています。

 北海道を更に良くするためには、冬季の冷熱、寒さ、雪、氷、凍土などの利活用を一層進めることと、水素エネルギー社会に関連する再生可能エネルギーの積極的な開発と利用が重要です。これらにより北海道の自然を維持し、かつ、経済的にも今までより豊かな状況になっていくと思います。

 再生可能エネルギーと水素社会を結びつけることによりクリーンな社会ができます。水素社会は、エネルギー面からも環境面からも理想的ですが、再生可能エネルギーの欠点と、水素の長距離移送、コンパクト輸送等の課題を解決する必要があります。

 また、2014年12月から水素を燃料とする燃料電池自動車が売り出され、来年度中には100か所の水素ステーションができるということで、水素社会に一歩踏み込んだことになりますが、その水素はどこで作られたかが非常に問題です。CO2を出さないように作られた水素であれば良いのですが、当面大量に供給するために石油資源を利用するとか、鉄鋼などを作る過程で出てくる副生水素を取り出すのであれば、純粋にCO2が出ていないかと言うと、必ずしもそうではないと思います。

 日本は世界各国と比べると課題が先に出てくる「課題先進国」と言われています。日本が、他の国ではまだ明らかになっていない課題を意識することは、日本の将来や日本の社会システムを変えることになり、それが世界標準になれば良いと思います。

 そういう意味で燃料電池自動車の発売は、産業や研究の動機付けとなって、社会も大きく変わり、持続可能な社会が約束されることになればと思います。

お問合せ先

開発監理部 開発連携推進課

  • 電話番号:011-709-2311(内線5455・5419)
  • ファクシミリ:011-746-1032

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