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令和6年11月27日局長記者会見

記者会見内容

令和6年11月27日局長記者会見の内容

1 今冬の大雪・暴風雪に関する取組について

2 災害対応に関する取組について
  ・ TEC-FORCEの活動状況(能登半島~ドローンの活用)
  ・ 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震において、全国から北海道へのTEC-FORCE応援体制(受援計
    画)が決まりました

3 港湾整備による道内港湾におけるクルーズ船寄港回数の増加とその効果
  ~コロナ前の水準、函館港では寄港実績が過去最多に~

4 道東自動車道(阿寒IC~釧路西IC)の開通とこれまでのネットワーク効果

会見日時・場所

令和6年11月27日(水曜日) 11時00分~11時45分
札幌第1合同庁舎15階 特別会議室

配布資料

説明動画

1.視界不良時(吹雪等)における映像鮮明化技術の実際の映像
2.令和6年9月20日からの能登半島大雨における現地調査(北海道開発局TEC-FORCEドローン隊撮影)
3.令和6年9月20日からの能登半島大雨における被災状況3Dモデル(北海道開発局TEC-FORCEドローン隊作
 成)

冒頭:挨拶

冒頭:挨拶
 本日はお忙しいところ、お越しいただきましてありがとうございます。また日頃より、北海道開発行政についてご理解いただきましてありがとうございます。
 今日、お話ししたいのは4点です。
 詳細は後ほどご説明しますが、1点目は、これから本格的な冬のシーズンを迎えるにあたり、今年の大雪、暴風雪への対応についてご説明をさせていただきます。具体的には、近年雪の降り方が明らかに変わってきていますので、それをデータでお示しした上で、我々道路管理者が取り組んでいる事例として、早期の通行止め、早期の交通開放、あるいは新しい映像鮮明化技術について話題提供いたします。それから、今冬から初めて、通行止めの解除前に解除の予告情報を道路情報板等で発信する取組を行います。最後に、利用者の皆様方にご協力いただきたいことと併せてお話しさせていただきます。
 2点目は、昨日の夜もまた北陸で地震がありましたが、能登半島で9月の大雨があった際に、北海道開発局が令和4年に編成したドローン隊を、現地にTEC-FORCEの一員として派遣しておりますので、その活動状況を動画も含めて、説明いたします。
 また、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生した場合は、全国から応援隊の方が来られることから、本年11月に受援計画を策定しましたので、ご説明します。
 3点目は、新型コロナウイルス蔓延に伴って、非常に落ち込んでいたクルーズ船の寄港回数が、コロナ前を超えて、過去10年で最高となったというデータがまとまりましたので、ご説明します。
 4点目は、先週、釧路開発建設部から、12月22日に高規格道路が釧路まで繋がるという記者発表をさせていただきましたが、これまでの道東方面への高規格道路のネットワークの広がりも含めて、ネットワーク効果について、災害時のリダンダンシー、物流、観光、安全性の4つの点からお話をいたします。

1 今冬の大雪・暴風雪に関する取組について

1 今冬の大雪・暴風雪に関する取組について
 1点目です。これは今回作成した資料で、データは気象庁のアメダスを用いており、観測地点が全道120箇所ですので179の自治体全てを網羅しているわけではありませんが、過去10年間でいわゆる観測史上初と言われる降雪量を観測した地点がどのエリアにどれくらいあったかということを図に示したものです。120箇所のうち64箇所において、過去10年間において観測史上初を記録しています。この観測史上初というのは、アメダスには3時間、6時間、12時間、24時間、それから72時間というデータがありますので、それを10年分見て、その中で今までの記録を更新した箇所のことです。ご覧のとおり、偏った分布ではありませんので、やはり全道各地で雪の降り方が非常に変わってきていることがご理解いただけると思います。
 北海道に住んでいる方であれば、去年の12月の留萌の大雪や2年前の2月の札幌の大雪は、おそらく一番記憶に残っているのではないかと思い、図で示しているところです。
 これらを受けて、どのような体制で除雪を行っていくのかということについてです。まず、当局における道路の除雪延長は6,853キロあり、153の除雪基地で1,074台の除雪機械で除雪体制を組んでいます。朝方、皆さんが通勤する時間に間に合うように、交通量の少ない夜間を中心に除雪作業を実施しています。
 さきほど雪の降り方が非常に変わってきているとお話しましたが、除雪作業については、オペレーターの方の高齢化や担い手不足等の問題がありますので、映像鮮明化技術という新しい技術を除雪機械につけて、ITの力を借りながら若い人でも運転をできるようにするという支援に取り組んでいます。効果は、車両、標識、信号が非常に見えやすくなり、これまでは悪天候で除雪作業に取りかかることができなかったような状況でも、少し前倒しで除雪作業に取りかかれることになりますので、少しでも早く道路を解放するための支援ができるのではないかと考えています。
 動画をご覧いただきます。こちらが映像鮮明化処理をする前、こちらが処理した後になります。これを運転手さんが活用しながら除雪作業を行うことになります。
 次は、大雪と吹雪への対応です。年間の累積の降雪量はさほど変わっていませんが、近年は降り方が非常に激しくなり、時間あたりの降雪量が多くなっていますので、現地の道路管理の対応は非常に厳しい状況です。
 初動が遅れてスタックするとか通行止めが長くなることを避けるためには、数年に1度の猛吹雪等が想定される場合には早い段階で躊躇なく通行止めを行う一方で、集中的な除雪を行って、早期の交通解放を行うことを目標にしたいと考えています。特に峠区間で勾配がきつく、大型車等がスタックした場合に影響が大きいところについては、予防的通行規制区間26区間を指定して、事前に準備をし、通行止めを実施したいと考えています。
 平成26年に災害対策基本法が改正になりました。例えば放置車両とかスタックした車両がある場合、救急車などの緊急車両が通れなくなることがありました。当時の道路管理者は、そのような支障となる車があっても移動することができませんでした。このため、災害対策基本法が改正され、道路管理者が区間を指定した場合、道路管理者自ら車を持ち主の許可なく動かすことができるようになり、必要に応じて実施していくことを考えています。これまで北海道では実施した例はありませんが、手段としては考えているということです。
 また、時々あるケースですが、通行止めとなっていますが、どうしても救急車が通る必要があるという場合に、例えば雪崩の時などは、2次災害の恐れがあるため救急車の先導も困難ですが、吹雪の場合には除雪車などが先導することにより救急車を安全に通すことができますので、自治体からの要請に基づいて、ケースバイケースで柔軟に対応していきたいと考えています。
1 今冬の大雪・暴風雪に関する取組について
 次は、防災情報の活用とお願いです。道路情報板は全道に1,200箇所程度あります。これまでは、吹雪で通行止めになった際と通行止めが解除になった際の2段階での情報提供でした。しかし、解除までの間の状況が分かりづらいというご意見もありましたので、12月からは、何時に解除しますという予告を、解除前30分から1時間前を目安に、道路情報板、X(旧Twitter)、通行止め情報メール配信サービスにて、利用者にお知らせしたいと考えています。特に北海道の場合は、さきほど申したとおり気象状況が非常に厳しいということ、広域分散型の地域構成となっているため通行止めになると迂回路が非常に長いという問題がありますので、昨今円滑な物流などが課題となっていますが、そうした課題に対して、少しでもお役に立てるのではないかと思っています。
 もう1つは、NTT東日本との情報共有に関する連携協定についてです。我々道路管理者は、道路の路面状況や道路附属物について、日々パトロールを行っています。一方、NTT東日本も、電柱、電線、ケーブルなど様々な管理システムを持っており、点検等を行っています。互いに通常業務を行う中で、相手方の施設に対しても、もし異常があればお互い連絡しましょうという協定を結ぼうというものです。これはNTT東日本とは初めての取組ですが、同じような取組については北海道コカ・コーラボトリング(株)、(株)セコマ、それから(株)ヤマト運輸と協定を結んでおり、道路の異常について情報提供を頂いているところです。
 最後にお願いになります。1点目は、大雪や暴風雪の警報が出た場合には、極力、不要不急の外出はお控え願いたいということです。2点目は、通行止め箇所に、車両で並んで解除を待たれる方がいらっしゃいますが、その間に雪が積もってしまって開通時に再度除雪を行うこととなり、通行規制時間が長くなりかねませんので、極力、道の駅などの施設でお待ちいただきたいと考えています。
 これに加え、毎年お願いしていることですが、夜間の除雪の支障になりますので、極力、路上駐車等はご遠慮願いたいと思います。また、極力、自宅の雪を道路に出さないようお願いします。

2 災害対応に関する取組について

TEC-FORCEの活動状況(能登半島~ドローンの活用)

 TEC-FORCEの活動状況(能登半島~ドローンの活用)
 2点目の災害対応に関する情報提供をご説明します。
 能登半島につきましては、正月の地震、9月20日からの大雨、それから昨日の地震で被災された方にはまずお見舞いを申し上げる次第であります。
 9月20日からの大雨で大規模な被災を受けて、私どもの方からドローン隊を今年の10月3日から10日でのべ200人の隊員が現地に行きました。ドローンを使って現地の測量をして、現地の被災状況や今後の復旧の対応策を考えてまいりましたので、動画を見ていただければと思います。
 場所は、能登半島の先端部分になります。4Kで画像の精度が良く映っています。被災状況の確認のため北陸地方整備局に提供しております。今の画像は現地の被災状況の確認ですが、今後、被災規模や対策をどのように行うかの検討材料になりますので、先ほどの現場の画像から3Dモデルを作成し、元々ある画像をGoogle Earthから持ってきますと被害箇所を確認でき、崩壊土砂量、被災延長、被災面積も計測できます。単純比較はできませんが、通常であれば、現地の踏査で歩いて測量し、被災面積や土砂量を出すのに2、3か月かかるところですが、ドローンで測量し、かつそこから量も出すことができますので、2、3日に短縮できますし、機械的に自動で計算できますので、安全性と効率性という意味でドローンの効果があると思っております。
 この動画では、3次元に動かして、延長や土砂量を出すことになります。例えば①の部分は、約4,300立方メートルが崩れたのではないかと思われますし、②の部分は面積が約6,600平方メートルと出ますので、被災状況、被災規模を踏まえて今後の対応策には効果的に使えるのではないかと思っております。

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震において、全国から北海道へのTEC-FORCE応援体制(受援計画)が決まりました

 2点目は日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の受援計画についてです。
 まず中央防災会議という、内閣総理大臣を長とする日本の防災の一番根底の部分を作る会議がありますが、その中で昨年の5月に、中央防災会議の幹事会がありまして、救助・救急、消火等、医療・物資調達、燃料、電力・ガス等につきまして、72時間を目処に全国から資機材を配置する計画があります。この中で、国土交通省につきましては、日本海溝・千島海溝で被災を受ける北海道と東北にTEC-FORCEを1,580人派遣することが決められております。この他にも、警察や消防をどれくらい投入するかも計画に入っております。
 次に国土交通省本省において、日本海溝・千島海溝地震があった際の計画を作りまして、全国の各地方整備局から北海道に日本海溝地震であれば約5割の800人、千島海溝地震であれば約7割の1,120人を派遣することが今年の3月に決まりました。
 これを受け、北海道開発局では、今月の11月に受援計画を策定しました。
 具体的に受援計画とは、資料にありますように例えば日本海溝地震の被災4つのエリアの内、釧路開発建設部であれば北陸地方整備局から190人、北海道内の白い部分から80人応援を出すことで、270人の応援体制となります。なお、これはプッシュ型であるため、要請の有無に関わらず行くことになります。同じように、例えば帯広開発建設部であれば、中国地方整備局から170人、北海道から50人となります。本州からは新千歳空港を中心に24時間以内に来ることを目標にしています。
 機械につきましては、フェリーで運んでくるため、被災していない小樽港を経由して、210台の災害対策用機械である照明車やポンプ車が全国各地から約2日間を目処にプッシュ型で来る計画を作りました。
 今後、色々な被災状況がシミュレーションできると思いますので、訓練の中で色々なケースを想定していこうと思っておりますし、関係機関との情報共有も進めていこうと思っております。
 私どもが、道外に応援に行くと、土地勘がないなか、暑さや経験したことがない場所での活動をした経験を踏まえ、来ていただいた方がきちっと活動できるように、冬期の活動マニュアルを作りまして、北海道の冬装備について事前に周知しております。また、機会を見て実際に各地方整備局の方にも冬の北海道を経験していただいて、北海道での活動を体験していただきたいと思っております。これが防災関係の2点目です。

3 港湾整備による道内港湾におけるクルーズ船寄港回数の増加とその効果

3 港湾整備による道内港湾におけるクルーズ船寄港回数の増加とその効果
 続きまして、3点目をご説明します。
 これは、年末までまだ1か月残しておりますが、道内のクルーズ船の寄港回数の傾向が見えましたので、その情報提供です。
 まず、クルーズ船の寄港回数の推移です。コロナの時には全くゼロになったわけですけれども、それまでは2019年が130回となっており、コロナ後に順調に回復してきて、今年12月末で131回を見込んでおります。内訳を見ますと、一番多いのは函館港で、次に小樽港、釧路港という順になっているところです。次に、この上位3港のクルーズ船乗客数を調べましたところ、グラフのとおりとなっています。今年の乗客数は昨年に比べますと5割増しということで、その要因を色々調べてみますと、もちろん回数が増えたというのもあるのですが、1つには船が大型化したということがあります。
 グラフには記載しておりませんが、例えば2023年と2024年を比較しますと、2023年は寄港回数121回のうち47回が5万トン以上の大型船が来ていましたが、2024年は131回のうち5万トン以上の大型船が72回来ています。このように上位3港で見ましても、回数が増えたというのもありますが、大型船によって1回当たりの乗客数が増えたということもあり、今年は過去最高の15万5千人になる見込みとなっています。
 2つ目は、海外港湾発のクルーズ船ツアーの回数がどうなっているかということで見ますと、傾向としては、コロナの影響で2020年から2022年の3か年間ゼロということと、その後ぐっと伸びていることがありますが、国・地域別に見てみますと、韓国がコロナ後に増えているということ、それからアメリカが増えているという特徴があります。これも、港湾管理者等にお聞きすると、まず韓国については、冬の北海道に対する魅力があって、クリスマスツアーなども組まれていることが1つ要因となっています。アメリカにつきましては、ポジショニングクルーズという、通常であればクルーズ船ツアーは出発した港へ戻ってくるのですけども、同じ港ではなくて、クルーズ船をアメリカの港から日本の港などへ片道移動する際のツアーにも利用されており、この北米発のクルーズは非常に増えていると聞いております。
 3つ目は、最近のクルーズ船の対応岸壁の整備ということで、函館港では、これまで、大型のクルーズ船については、港町ふ頭を利用していたところですが、そこから約4.8キロの朝市がある函館駅のところにある若松ふ頭に岸壁を整備した結果、市街地近くに大型クルーズ船が入港可能となりました。また、小樽港につきましても、これまで大型のクルーズ船が、勝納ふ頭を利用していたところですが、そこから約2.5キロの小樽駅に近い第3ふ頭に岸壁を整備した結果、大型のクルーズ船が入港可能となりました。こういったことも含めて乗客数が非常に増えています。
 今後、我々としましても、こういった機運を生かしながら地域と一緒になって、さらにクルーズ船の寄港が増えるように取り組んでいきたいと考えております。

4 道東自動車道(阿寒IC~釧路西IC)の開通とこれまでのネットワーク効果

4 道東自動車道(阿寒IC~釧路西IC)の開通とこれまでのネットワーク効果
 4点目は、道東自動車道についてです。高規格道路は、特に北海道の場合は道路延長が非常に長く、その拠点間を結ぶまでなかなか至らないという経緯があります。
 それからもう1つは、道路延長が長いということもありまして、供用もインター間で行うものですから、供用したところだけで見ると効果が見えないのですが、少し時間軸を長く取って見るとネットワーク効果が見えるのではないかということで、話題提供します。
 まず、変遷です。平成7年から十勝清水ICと池田ICが開通したところから始まります。これ以前としては、平成元年を基準にしました。現在の国道274号の一部が切れていますが、当時ここは不通区間でありまして、40キロくらい迂回していたところ、平成3年に石勝樹海ロードというネットワークができまして、その後、高速道路が、平成7年に十勝清水ICから池田IC間が開通して、十勝の方が最も効果を実感した平成23年には、夕張ICから占冠ICが開通し道央方面まで繋がり、その後、釧路方向に伸びてきまして、阿寒ICまでできたのは平成28年になり、いわゆる釧路外環状道路と今回12月22日に繋がるということです。
 こういう歴史、時間軸で見ますと、例えば平成元年に札幌と帯広が4時間11分かかっていたのが、平成23年には、2時間52分で、1時間強短縮できました。それから、札幌と釧路につきましては、6時間半かかっていたのが、12月22日以降は4時間12分になるということが見えます。
 この効果として4点ほどまとめております。1つは、唯一の交通網ということで、当時、北海道にいらっしゃった方は経験されていると思いますが、平成28年のお盆明け、8月16日から、わずか半月の間に北海道の年間降水量に相当する約1,000ミリの雨が降りました。ご存じの通り、北海道には台風が来ないと言われていましたけれども、台風が3つ上陸し、写真のように橋は洗掘されて10橋が落橋し、交通網が非常に寸断された状況になりました。
 国道は、14か月かかって国道274号が開通しました。JR北海道さんもかなり被災を受けましたが、クリスマス前にはなんとかしたい思いがあったという話を当時聞きましたけれども、12月21日にJRが再開しました。
 ただし、この間は、道東道1本しかない中、NEXCO東日本さんの方が被災してから2日後に、道路の両脇に土嚢を積んだ形で暫定的に供用しました。これにより、帯広のジャガイモやサンマの出荷で唯一の道路として使われました。よくリダンダンシーという言葉を皆さんも聞かれると思いますが、リダンダンシーは、通常では感じることはあまりありませんが、やはり災害が起きた時は、特に北海道のように非常に迂回路が大きいところについては、リダンダンシー効果というのはあったと思います。
 2点目として、物流の工業団地ということで見ますと、音更町は交通の要所ということで、いわゆる釧路方向にも北見方向にも、それから十勝港というところでも、非常に交通の要所となっています。ここにつきましても、インターチェンジの近くに、工業団地ということで非常に誘致しているわけですけれども、道央方面から音更町まで繋がった平成23年に非常にニーズが高まったという話もあります。それからセコマさんの方は、阿寒ICまで繋がった時に道東ブロックの物流センターを作りました。これによって、今まで1泊2日の行程が日帰りにできるようになったということで、ネットワークが繋がってくるとこういったインター周辺の工業団地というのも誘致されてくるという実例です。
 それから3点目が交通量の推移です。時間軸的には図の下段から上段となります。例えば、十勝清水IC~芽室ICを見ていただくと、平成7年の時は1日あたりの交通量が700台でしたが、開通区間の延伸に従い、交通量が増えていき、今の段階では7,200台まで増えましたので、ネットワークの編成に伴って当初から10倍になったことが分かります。
 また、ゴールデンウィークやお盆時に必ず渋滞情報をNEXCO東日本さんが出しますが、もちろん観光名所もあるということもありますが、道東道の一部につきましては、今ではまさに観光シーズンには一番渋滞するほど交通量が増加しております。これもネットワーク効果の1つと思っております。
 それから、最後になりますが、これはネットワーク効果ということよりも、広域分散型の北海道で移動する時の交通安全というのが非常に大きな社会的なテーマになっておりますので、その効果についてです。
 例えば、国道の5年分の年間1キロあたりどれくらいの人身事故が起きているかという数字になります。国道と比較すると高規格道路は約10分の1となっており、死亡事故では、約8分の1となっております。事故類型においては高規格道路では、人が来ませんので、人対車両の事故はなくなります。また、交差点がありませんので、右左折時の事故もなくなります。交差点がないので、追突についてもおそらく一定の割合で減少するものと思われます。このようなことから、結果として、高規格道路の人身事故は約10分の1に、死亡事故は約8分の1になるということです。
 北海道につきましては、何年か前に交通事故死者数はワーストワンと言われておりましたけれども、もちろん自動車の安全対策、それから警察の取り組みというのもあった上で、高規格道路ネットワークの延伸やランブルストリップスという、中央線を越えた時にガタガタガタっと振動するような道路構造対策もやってきた結果として、安全性の向上にも寄与するのではと考えております。

 駆け足になってしまいましたが、私の方から、準備させていただいた資料については以上になります。よろしくお願いします。

質疑応答

(記者)
 除雪体制のなかでお話のあった映像鮮明化技術についてお聞きします。映像鮮明化装置とは、どういった装置なのか、除雪車にカメラを取り付けることで映像鮮明化技術を活用できるのかの2点を教えてください。

(事務方)
 除雪車にカメラを取り付け、その映像をモニターで見るのですが、カメラとモニターの間にAIやプログラムを施した装置を通して、コントラストをはっきりさせるというような仕組みで除雪トラックに組み込んでいます。

(記者)
 今回80台追加配備というのは、もともとそれらの除雪車にはカメラが付いていなかったところ、新たにカメラを取り付けるというような理解でよろしいですか。

(局長)
 そのとおりです。
 (画面を指しながら説明)例えば、その他に車が接近した場合、マークや注意喚起が出てきます。

(記者)
 追加でもう1点、クルーズ船についてお聞きします。2024年の北海道へのクルーズ船の寄港予定回数が131回ということですが、過去にこれだけ多かった年はないのでしょうか。
 
(事務方)
 2014年の寄港回数が157回となっています。他方で、2015年~2024年の直近10年といった区切りで比較しますと、今年が最高ということになります。また、寄港回数がコロナ禍前の水準に戻ったという点が1つ大きな情報になります。さらに、函館港や小樽港で大型クルーズ船に対応した岸壁整備が進められた結果、大型クルーズ船の寄港が増えるとともに、岸壁が中心市街地近くに整備されているため、非常に多くの旅行者がそのまま市街地に入っていただけています。具体的には、函館港では函館駅の目の前に降りることができ、小樽港では小樽運河の近辺に降りることができるので、周遊・回遊の効果も得ることができました。
質疑応答
(記者)
 クルーズ船についてお聞きします。寄港回数上位3港の合計乗客数が、2024年が過去最高とのことですが、2014年と比較しても2024年が過去最高なのでしょうか。

(事務方)
 そのとおりです。2014年の寄港回数は多かったのですが、まだ大型クルーズ船が多く寄港していた時期ではなかったので、乗客数は少なくなっています。他方で、今年については、大型クルーズ船が多く寄港するようになり、1隻あたりの乗客数が多いので、合計乗客数は今年が最高となっています。
(記者)
 クルーズ船についてお聞きします。港別のクルーズ船寄港推移に記載されている、その他の港とは、どこになるのでしょうか。

(局長)
 たくさんあるのですが、多いものでいくと、室蘭港、稚内港、利尻の沓形(くつがた)港等が主なものになります。

(記者)
 大雪・暴風雪に関する取組についてお聞きします。NTT東日本と協定を結ぶのはいつ頃でしょうか。

(局長)
 現在、日程調整を行っているところであり、年内を予定しています。
(記者)
 TEC-FORCE活動計画(受援計画)についてお聞きします。先ほど説明の中にありましたとおり、受け入れをさらに生かしていくために寒さ対策や訓練のお話がありましたが、体制を決めた上で今後取り組んでいきたいことや、あるいは課題となる部分について教えてください。

(局長)
 実際は、オペレーションが一番大変だと思います。胆振東部地震の際にも、全国からTEC-FORCE隊員に来ていただきましたが、現地状況の把握は現地の開発建設部に頑張ってもらい、全体を仕切る人間が札幌や東京から来ていただくことになりますが、そこを上手く情報共有しなくてはなりません。また、最適な配置計画を作っていかなければならないので、そのためには様々なシミュレーションが必要となり、まさに訓練が重要だと思います。
 また、来ていただいた隊員がきちんと活動できるようにといったことを考えると、マニュアルといった表現が適しているか分かりませんが、来ていただいた方がしっかりと行動できるようなマニュアルを作って、周知していく必要があると感じています。

(記者)
 マニュアルというのは、今回策定された計画を受けて、今冬に間に合うように作成していくのでしょうか。

(局長)
 冬期のマニュアルについては、既に作成しています。例えば、服装についての記載や、冬において災害対策車は、本州の燃料では動かないので、北海道の燃料を入れていただくことや、TEC-FORCE隊員で来ていただいた方が冬期でも運転できるよう、急ハンドル等の注意喚起を促すような内容になっています。そして、それらのマニュアルは、応援に来ていただく各地方整備局にも配布しています。
 TEC-FORCEでは、基本的に、受け入れ側に過度な負担を与えないようにしており、人や機械、燃料、食料、場所も全て自前で準備するので、冬の移動については、一番混乱するのかなと考えております。そこの部分を注意喚起できるようなものを作っていきたいと思います。

(記者)
 クルーズ船についてお聞きします。今年のクルーズ船乗客数は、コロナ禍前を上回り過去最高とのことですが、12月分も含んでいるのでしょうか。

(局長)
 12月の見込みも含んでおります。

(記者)
 北海道開発局では観光面でも様々取り組まれていると思いますが、今後、クルーズ船の受け入れが増えていくなかで、今後への思いがあれば、一言お願いします。

(局長)
 私が小樽に勤務していた際に、小樽の方が「小樽にクルーズ船が寄港しても乗客は富良野まで行ってしまう。」とお話されていました。これを北海道全体で考えると、おそらく海外の方からしてみると、小樽も富良野も同じ北海道というエリアなので、それは魅力があるに越したことはないということなので、そういった広域的な周遊へも協力していきたいと思います。一方で、寄港する港の管理者の方にとっては、そこで周遊してもらわなければいけないので、第3ふ頭に大型クルーズ船対応岸壁を整備したり、小樽駅前でも様々な再開発が進んだりしていますので、そういったところで一緒に協力していく必要があると思います。半日で移動できる範囲を広報するとか、足を確保したりなど、そういった部分も一緒に取り組んでいければと考えています。

(記者)
 災害情報の共有についてお聞きします。日本郵便(株)等との協定締結は考えているのでしょうか。

(局長)
 決して枠をはめるつもりはなく、各方面で連携を図っていきたいと考えております。


質疑応答
 (記者)
 除雪についてお聞きします。除雪を担うオペレーターの高齢化に伴い、人材の確保等が重要になってくると思いますが、そこの部分、どのようにお考えでしょうか。

(局長)
 構造的に大きい問題だと感じております。担い手については、新しいICTを活用し、省人化を図っていくことが1つあります。また、熟練のオペレーターなどでなくても対応できるといったところを、どのように支援していくのかといった部分の2つで考えていく必要があると思います。
 そして、除雪だけではなく、建設業においては、2040年までに生産性を1.5倍に上げようということで、例えば、施工のオートメーション化、データ連携のオートメーション化、施工管理のオートメーション化の3つの柱で進めています。そういった業界全体としての省人化や効率化を進めていく必要があるかと思います。
※ この文章は、読みやすいよう、重複した質疑内容や言葉遣い、明らかな言い直しなどを整理した上、作成しています。(文責:開発監理部広報室)

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