水質関係用語
水質関係用語
mg/l
汚染物質の濃度を示すのに用いる単位で、1ミリグラム/lとは水1リットルに対し物質1ミリグラム含む場合を言い、百万分の1を示します。
BOD(生物化学的酸素要求量) Biochemical Oxygen Demand
水中にある有機物をバクテリアが分解するのに必要な酸素の量をいい、この値により水中にある生物化学的な分解を受ける有機物の量を示します。BODは最も広く使われている汚濁の指標で、水道の原水としては3ミリグラム/l以下であることが望ましいとされています。
COD(化学的酸素要求量) Chemical Oxygen Demand
水中にある酸化されやすい物質によって消費される酸素量をいい、BODが水中の生物活動によって消費される酸素量をいうのに対して、CODは純粋に化学的に消費される酸素量です。この値は水中の有機物量を表すものと考えられています。水質汚濁に係る環境基準ではBODが河川の基準値であるのに対してCODは湖沼、海域に対して適用されています。
DO(溶存酸素) Dissolved Oxygen
水中に溶解している酸素量を言い、有機物による汚染が著しいほど低い濃度を示します。一般に魚介類の生存には5ミリグラム/l以上の溶存酸素が必要とされています。
pH(水素イオン濃度)
水の酸性・アルカリ性を示すものでpHが7のときは中性、これより数値の高い場合はアルカリ性、低い場合は酸性であることを示します。pHの急激な変化は有害物質の混入などの異常があったことを示します。
SS(浮遊物質量) Suspended Solid
水中に浮遊している物質のうちで大きな木片、固形物と溶解性物質を除いた両者の中間の大きさのものをいい、岩石の微粒子、プランクトン、バクテリア等が含まれます。
大腸菌群数
大腸菌群数は、普通人畜の腸管内に生息しているもので、これが水中に存在することは、多くの場合その水が人畜のし尿などで汚染されていることを意味します。
シアン(CN)
シアンにはシアン化物、錯化合物、硫シアン化物などがあります。シアンイオンは非常に毒性が強く、中でも青酸カリがよく知られています。シアンが直接作用すると生体は組織内窒息の状態を起こし普通数秒~数分で中毒症状が現れ、頭痛、めまい、意識障害、けいれん等が起こり、青酸カリでは150~300ミリグラムで死亡します。
カドミウム(Cd)
カドミウムは鉱山排水、亜鉛精錬工場排水中に含まれています。富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病の原因がこのカドミウムによるものとして注目されました。カドミウムが体内に入ると、腎臓をおかし骨をおかすことが知られています。
PCB(ポリ塩化ビフェニール)
有機塩素系の化合物で、用途としてはコンデンサーやトランスの絶縁体、ペンキや印刷インクの添加剤など広く工業用に使われていました。PCBの汚染は、無造作に使われ、捨てられたPCBが川や海の水をよごし、水—プランクトン—小魚—鳥という順に食物連鎖によって濃縮、蓄積されていきます。PCBは天然に存在せず水に溶けないため、一度生体内に入ると分解も行われず、尿にも排出されにくく、全身の脂肪組織に溶け込んでしまいます。中毒症状はカネミ油症事件にみられるように、塩素による皮膚障害と肝臓障害です。
鉛(Pb)
鉱山排水に含まれることが多く工場排水にも含まれる場合があります。大量の鉛が体内に入ると急性中毒を起こし、腹痛、はきけ、下痢、腸閉などが表れ激烈な胃腸炎を起こしショックのため死亡することもあります。
クロム(6価)[Cr(VI)]
6価クロムは毒性が強く、大量に体内に入ると、はきけ、腹痛、けいれん、ショック等を起こし死にいたります。メッキ工場、皮革工場の排水に含まれることが多く6価クロムは浄水過程でも除去が困難ですので、環境基準でも飲料水の基準と同程度のレベルが適当と考えられています。
水銀(Hg)[総水銀(T-Hg)、アルキル水銀(R-Hg)]
水中に含まれているアルキル水銀等の有機水銀と無機水銀の総称です。無機水銀は、一応人体には無害と言われていますが水中では、有機水銀に変わるおそれもあり環境基準では「検出されない」こととされています。水俣病はメチル水銀化合物による慢性中毒症で、魚介類を経由した食物連鎖により住民の体内、特に肝臓、腎臓および脳にメチル水銀が蓄積されて水俣病が発生したと言われています。