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第7回協議会 議事要旨

第7回(平成17年6月14日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第7回協議会 議事要旨

小委員会開催報告について

 事務局より平成17年2月から6月に開催された各小委員会の開催概要について説明があり、次に、各小委員会の委員長及び委員長代理から小委員会で出された主な意見について説明が行われた。

(土砂流入小委員会 委員長代理)
発生した土砂を調整地でコントロールするというよりも、むしろ流域全体で抑制する対策が重要である。また、国と道、あるいは河川と農業といった事業主体間の連携が重要である。そのようなことを勘案しながら、更に詳しい検討を進めるべきである。
土砂調整地の位置、容量、形態等については、まだ検討の余地がかなりある。周辺にも影響を及ぼす可能性がある施設になるので、慎重に取り扱うべきである。
農地防災事業に関連して設置した沈砂池については、機能の十分な発揮という点で、まだ検討の余地が残されている。
現実に土砂生産が進行している現状に鑑みて、できるところから適切に対策を行っていく必要がある。また実施計画は、河川、森林、農業などの分野ごとの対策、あるいは分野間の調整も必要であるが、適宜見直すということにして、実施できるところから進めていくべきである。

(森林再生小委員会 委員長)
雷別地区の森林再生の目標としては、もともとあった広葉樹の林を目標として自然再生を行っていく。
達古武地域の森林再生については、最終的に自然林に誘導した場合のモニタリング内容として、どんな生物指標を対象として生態系の変化を把握していくのか検討が必要である。
環境省の達古武地域の実施計画骨子案については、達古武地域におけるカラマツやササ地試験地での推移を見ながら自然林に誘導していくということが了承された。

(湿原再生小委員会 委員長代理)
釧路湿原の面積をどのように考えるのか、どういった範囲を釧路湿原と考えるのかについて、ワーキングを設置して今後更に検討していく。
広里地区のハンノキ伐採試験結果について、現段階では、ヨシの成長あるいはヨシの成長を抑制している要因が明らかではないことから、原因を特定するための詳細な調査が必要である。
幌呂川地区のハンノキ林の拡大について、原因と結果の関係を明らかにする必要がある。ハンノキ林の成立要因について、これまでの情報を共有して、ハンノキの研究者と一緒に議論をして結論を出していく必要がある。
今後さらに詳細に検討し、各地区の役割や再生の目標について検討していく。
雪裡川、幌呂川地区の農地防災事業に関連した、河川沿いの残土を撤去して洪水を氾濫させることで現況の農地の機能を確保する対策については、今後も地域と協議しながら対応を検討していく。
雪裡樋門地区の湛水試験後にハンノキが成長しているので、今後も継続して調査を実施すべきである。今後、安原地区の将来像について議論を交わしながら進めていくこととする。

(水循環小委員会 委員長)
窒素を指標として栄養塩を2割削減するという目標を具体化するためにより詳細な検討を行う必要がある。
釧路湿原の現在の問題点を明らかにして、どのような調査を行えば解明できるのかを明確にして議論をしていく必要がある。
被圧地下水帯から湿原への水の供給量や、地下水と表層の泥炭との相互関係について検討し、河川水系別の水理・地層構造を把握する必要がある。
栄養塩の流出負荷量を把握する上で、降雨時及び融雪期が非常に重要なので、この時期に調査をすべきである。
湿原内の河川の観測点がほとんどないので、これを増加させていくべきである。
降雨があるときとないときの地下水の流れは非常に変化しているので、この差を明確に把握する必要がある。
水物質循環にかかわる勉強会では、梅田委員から、湿原、泥炭地の定義、釧路湿原の地下水の流動特性などについての説明があった。

茅沼地区旧川復元実施計画(案)について

 小委員長より実施計画(案)作成に関する検討経緯および第4回・第5回旧川復元小委員会で出された主な意見について説明が行われた後、事務局より今後のスケジュール、実施計画(案)の内容について説明が行われた。

(旧川復元小委員会 委員長)
これまでに、旧川復元小委員会は、「釧路湿原の河川環境保全に関する検討委員会」の中で6回、「釧路湿原自然再生協議会」の中で5回開催され、事業の目標と実施内容、事業実施による影響と効果などについて議論してきた経緯がある。さらに、試験掘削工事の結果を踏まえ、様々な配慮事項や工事で発生する濁水の処理方法について検討してきた。
平成17年2月に行われた第4回旧川復元小委員会では、現在の直線河道を放置した場合のシミュレーションを 500年、1000年オーダーで行い、自然な蛇行河川にはならないという結果を得たことから、現在残されている旧川に水を流すという方法が最もいいのではないかという議論が行われた。
第5回旧川復元小委員会では、実施計画案について討議し、事業実際に際しては可能な限り自然環境に配慮する必要がある、旧川復元による効果などを分かりやすく表現することが必要であるといった意見が出された。
旧川復元実施計画は、9月作成を目標に作業を進めており、協議会及び本小委員会でさらに議論していく予定である。

(委員)
去年は水かさが高く、タンチョウの卵が水に浸かって孵化しなかった。現直線河道と蛇行河道の間に営巣地がどのぐらいあるのか、調査しているのか確認したい。

(事務局)
タンチョウの調査については、専門家を交えて調査を行っている。

(委員)
現在までの20年では、復元区間の中での営巣例はない。問題はむしろ直線河道の右岸側の方で、こちらのヨシ原には営巣例があり、ここでよくタンチョウが繁殖、巣をつくる。事業実施後、この環境がどうなるのか。

(委員)
「魚類などの生息環境の復元」とあるが、直線河道と旧川の魚類相の現状をどの程度把握しているのか確認したい。また、エゾトミヨ等という記述があるが、指標種について検討しているのか確認したい。
「河畔林を考慮した生物の生育・生息環境の復元を図る」とあるが、旧川の周辺は牧草地が多く、ハルニレ、ヤチダモ林は非常に少ないように感じる。この目標を達成するまでのプランを確認したい。

(事務局)
魚類については、平成12年度に調査を行っており、直線区で11種、蛇行区で12種確認している。
今のところは、指標種を挙げて目標にしているということではなく、湿原本来の魚類相の回復を目指している。

(会長)
専門家もいるので、リストを見て指標種を選定してもらうなど、助言をいただければもっといいと思う。

(委員)
検討委員会時代に、かなり詳しい調査結果が出されているが、全てを公開してしまうと、貴重種の確認位置を特定してしまう。公開はリストだけになると思う。
河畔林は、旧川の方は相当攪乱されており、自然林ではない。リファレンスサイトに近い方では、かなり良好なハルニレ・ヤチダモ等が生育しているので、将来的にはそういった状態に復帰してくれればいいと思う。
旧川復元予定地は、現状は牧草地で、湿原植生あるいは河畔林などが再生する状況ではない。社会環境の関係もあるので一概には言えないが、植生をどこまで回復することができるのかということが課題となる。

(委員)
事業後のモニタリングが非常に重要になってくると思う。物理環境については詳細に計画されているが、生物環境のモニタリングをもっと重要視してもらいたい。

(委員)
久著呂川では農地防災事業の完成にも関わらず、久著呂川が溢れると、冠水により立ち入ることができない地区もある。南標茶地区でそういったことが起きないかどうか確認したい。

(事務局)
茅沼地区の上流では、河川水位を上げないことで、農地の地下水にも影響が出ないように事業を実施するということで検討を進めている。右岸側のオソベツ川の方についても影響は出ないように検討している。

(委員)
久著呂川では河川の増水による影響が出ている。影響が出た場合どのように対処するのか確認したい。

(事務局)
影響が出ることを想定していないが、久著呂川については、農業の方とも現況の河川水位をどうすれば下げることができるか検討している。茅沼地区での検討では、影響が出ないという結論になっている。
茅沼地区と久著呂川では要因が違うと思うので一概には比較できないが、現状の農地の機能が以前より悪化しているところについては、農業と検討を行っているところである。

(会長)
事業というのは一遍にやるわけではないし、これからもかなり時間がかかると思う。その間、影響が出そうな場合は、途中で十分に考える時間があると思う。

(委員)
五十石橋地点の水位は、あるいはオソベツ川との合流地点では水位がどのように変化するのか確認したい。

(事務局)
五十石橋地点では、平水時の水位の影響が出ないように事業を進める方針であり、オソベツ川合流点の水位変化も生じないと想定している。

(委員)
今日の説明により、バッファーゾーンを広くとることが事業の大きな目的の1つであると認識した。湿原への流入負荷を軽減するためにバッファーゾーンを広くしようということであれば、直線河道の上流部から右岸残土を撤去しないと、より広いバッファーゾーンはできないと思う。
旧川復元可能河川として5河川が挙げられている。茅沼地区については用地の問題はあまり無いが、雪裡川や幌呂川は、そこで生活をしている人がたくさんいる。ここで、旧川復元が可能であると協議会で意見を出しても、地元ではなかなか受け入れられないと思う。

(事務局)
氾濫原を大きくとった方がいいということに関しては、基本的には直線河道の右岸側全体を氾濫原と考えて検討を行っている。
茅沼地区以外の旧川復元事業については、社会条件を勘案し、十分調整した上で実施について検討していく方針である。

(委員)
新釧路川の直線河道の方が、釧路湿原にとって致命的なものだと思う。釧路湿原を重要視するのであれば、ここもできる限りの検討を行うべきだと思う。

(事務局)
新釧路川は、計画規模の洪水を安全に海まで流すという治水上の大きな目的を持っている。自然再生事業の実施に当たっては、地域の産業、治水などにも配慮して実施していくことにしている。

(委員)
一部を凝視することも大切であるが、全体の中で釧路湿原はどうあるべきかという大きな考えの中で議論した方がいいと思う。

(委員)
「多様な環境を復元・修復する」とあるが、旧川復元後は、恐らく淵と瀬はなくなると思う。何を目指すのかもっとはっきりさせるべきである。

(会長)
植生のことも含め、今後具体的な計画案が提示されることになると思う。タンチョウについては、できるだけ満足できる環境を整えるということになると思う。

(委員)
植生についての目指す姿はヨシ・スゲ湿原である。現在はハンノキが入ってきているが、右岸残土を撤去して氾濫を増やせば、ヨシ・スゲに変わってくると思う。

(委員)
蛇行を復元した後は、そのまま自然の流れに任すことと思うが、治水という観点から、蛇行を復元したときの状態で固定するのか、本当に自然に任せるのか、その計画の考えについて確認したい。

(事務局)
上流の農地に影響を与えない等の条件を考慮しながら、以前の断面を復元するために、堆積したと思われるものを掘削して、その状態で水を流そうと考えている。

(委員)
河川管理の観点から、復元した蛇行の形状を固定化する維持管理を計画しているのか、復元後は自然に任せるのか、今の段階の考えを確認したい。

(事務局)
もともとあった河道に復元するという考えなので、現在の湿原河川を見ても、河岸が侵食されていく危険性はないと考えている。ただし、新しく河岸になる部分や洗掘が懸念される場所に対しては、河岸を守る対策を検討している。

(委員)
河川本来の流れを再現しようとしていると思うが、100年単位で考えると、河道は相当変わると思う。河川管理上、復元直後の河道を固定するための工事を続けていくことを考えているのか確認したい。

(会長)
川が自然に流れて固定すればいいが、堆砂が起きて極端なことになれば、それを除去し、川の流れを維持できるようにするのは当然のことだと思う。

(委員)
具体的に言えば、蛇行化して曲がったところが水の勢いでまた崩れていく。それをとめるために、護岸工事などを行うのか。

(事務局)
明治から現在までの河道の変遷をみると、100年経ってもほとんど変わっていない結果となっている。通水してみないと分からないが、この地域はもともと河道の変遷が少なかったということも言えると思う。基本的には自然に任せる考えであるが、河岸が予想よりも削れた場合は、委員会などに諮りながら対策を考えていく。

(委員)
今回の自然再生事業は、順応的管理と受動的再生というのが大きな目的だということを明確にしなければ、何のために検討しているのかということになる。また、釧路川流域全部をとらえてこそ初めて自然再生という言葉を使えると思う。

(委員)
「リファレンスサイトの景観に近づくことにより湿原景観の復元が予測される」とある。新しい湿原はできるかもしれないが、リファレンスサイトに近いような湿原はなかなかできないだろう。「景観の創造」としておいた方がいいと提言する。

釧路湿原自然再生普及行動計画(案)について

 小委員長より釧路湿原自然再生普及行動計画(案)の作成に関する検討経緯について説明が行われた後、事務局より釧路湿原自然再生普及行動計画(案)の内容について説明が行われた。

(再生普及小委員会 委員長)
2003年6月に市民参加・環境教育の推進に関する10の提言をまとめた。その後、釧路湿原自然再生協議会が設立され、再生普及小委員会で10の提言を引き継いだ。
2005年3月に策定された釧路湿原自然再生全体構想に基づき、具体的な行動計画をつくる作業に着手した。作業に当たり、行動計画のワーキンググループを小委員会の内部につくり、6回検討を行って行動計画(素案)を作成した。
今回は、再生普及行動計画(案)と具体的取り組み予定(案)について、協議会の了解を得ることを考えている。

(委員)
色々なことを行っていくことは大変重要で、この形でうまくやっていくことがいいと思う。一方で、こういったソフト対策を行う上で、何が欠けているのか、集中して行うべきことは何かを明確にする必要がある。例えば情報を公開するということに対しては、各機関が持っているデータ、情報を多くの人が共有することが合意形成の第一歩だと思うので、そういった管理が必要である。

(委員)
再生普及小委員会は、いかにたくさんの人を集めるかということが1つの目的でもある。そのため、メリハリを持った、1つのことに集中した形が、なかなかとりづらいという面もある。
募集は毎年行い、5年ごとに見直すという形で、毎年色々な方に少しでも関心を持っていただく、少しでも参加していただくというところからまず始めたい。5年経過した頃に柱を立てていくということができればいいと思っている。期待通りの形にはすぐにはならないかもしれないが、ご指摘の点は参考にさせていただきたい。

(委員)
行動計画としての本分がどこにあるのかが分かりづらかった。現状分析を行い、不足しているところ、弱いところを明確にして、それに対する方向付けがある程度ないと計画として分かりづらくなると思う。

(委員)
方向性としては、原則的には、全体構想の中のどの部分について小委員会で具体的に取り組むかということが前提である。そこを逸脱しないようにしていくことになる。

(委員)
行動計画という名前がついている以上、主体者も問題になると思う。その点については、色々な人に関わってほしいということで明確になっていなくても仕方がないとは思うが、どういう状況にあって、何をしてほしいのかというところは、もう少しはっきりしていた方がいいと思う。

(委員)
協議会の外にいるたくさんの人たちに参加していただくということで、主催者、協力者という名前で呼びかけることになった。つまり、協議会が実施について何かを求めることがあるかもしれないが、これまでの募集状況を見ているとむしろ、応募者が協議会に実施を提案してくる形が多い。
今まで議論されてきた自然再生事業は、学術的な知識に基づいて具体的な計画をつくり上げるという形であるが、行動計画はやりたい人たちが現れるのを待つことになる。5年ごとに見直すことにしているので、その過程で1年ごとの評価、報告が整ってくるので、その時点で今ご指摘があったようなことについて検討したい。
たくさんの人たちがたくさんの立場から釧路湿原に興味を持っていただく、自然再生のどこかに加わっていただくということを考えると、アバウトさというのも時には必要だと思っている。

(会長)
再生普及行動計画(案)は、この協議会が策定するものなので、協議会の了承を得る必要がある。アバウトなところも入っているが、これだけの項目全てにについて主催者を書き上げることはほとんど不可能である。同じ行動計画、行動項目でも、違う人が主催者になり得ることがある。
特に反対がないので、承認されたものとする。協議会で策定したものなので、行動計画をうまく動かすために、色々な分野の方々のご協力をお願いしたいと思う。

その他

事務局より、今後の予定として、年4回程度協議会を開催していくことの説明が行われた。

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