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第7回湿原再生小委員会 議事要旨

第7回(平成23年1月19日)

  • 釧路湿原

第7回湿原再生小委員会 議事要旨

第5期 旧川復元小委員会の委員長及び委員長代理の選出

 第5期湿原再生小委員会の委員長として新庄(興)委員から新庄(久)委員が推薦され、会場からの拍手により第4期に引き続き新庄(久)委員が委員長に選任された。
 また、委員長代理として新庄委員長から神田委員が推薦され、会場からの拍手により第4期に引き続き神田委員が委員長代理に選任された。

議事1:幌呂地区現地植生回復試験について

 事務局より、幌呂地区現地植生回復試験について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ 幌呂地区の地下水位は、広里地区の農地1と類似した水位変動幅であるという説明があった。しかし、広里地区の農地1は掘り下げ試験地の水位変動で、幌呂地区は植生回復試験地そのものの地下水位変動ではなく、異なるものである。一緒にして考えると、間違った結果になる恐れがある。

(委員長)
■ どのように考えれば良いのか。

(委員)
■ 地盤を掘り下げることにより、水位変動はさらに大きくなると予測される。したがって、広里地区の農地1 と同じにはならないと考えられる。

(委員長)
■ 広里地区のどの区域に近くなると予測されるのか。

(委員)
■ 幌呂地区の地盤を掘り下げることにより、広里地区の農地2 の水位変動に近くなるのではないか。

(委員)
■ A区域の中に古い排水路があると思うが、排水路からの距離など、試験地の条件はどのようになっているのか教えてもらいたい。

(事務局)
■ 排水路からの距離に関する情報は手元に無いが、排水路の水位変動の影響を受けない場所に試験地を設置している。

(委員)
■ 試験地A、B、Cは、掘り下げ深度以外は同じ条件なのか。試験地の向きは、どちらかが上流、あるいは、どちらかが排水路に近いといった条件の違いは無いと考えて良いか。

(事務局)
■ 資料4ページの試験地平面図の左手が北である。

(委員)
■ 幌呂地区の試験地で確認された植物としてイヌスギナなどが示されている。一般的な湿原の植物はまだ出ていないようだが、そのような認識で良いか。

(委員)
■ 幌呂地区では、イヌスギナは見られるが、本来の湿原の植物はあまり見られない。湿原植生らしからぬ植生ということになる。
■ 広里地区とは随分状況が異なる。広里は、ヨシの播種は行ったものの、掘り下げた後は自然に任せている。自然に任せた場合は、通常、周辺から植物が侵入してくる。
■ 広里地区の事例では、深度40センチメートルまで掘り下げると植生はほとんど回復していない。幌呂地区の掘り下げ深度は30センチメートル~50センチメートルに設定されており、植生回復を期待することが出来ない深さ設定になっているように見える。

(委員)
■ 掘削深度と地下水位が混同されている。
■ 掘削深度で議論すると、場所により状況が異なるため、地表面と地下水面の高さ関係に着目してデータを見直した方が、植生を考える上では良いのではないか。掘削深度に着目するのではなく、地下水位が地表面より高くなるのか、あるいは地表面付近となるのか、地表面と地下水面の関係と、植物の対応関係を見た方が良いと思う。

(委員長)
■ 掘削深度ではなく、地下水面が地表面より上に出るかどうか、あるいは近づくかどうかが、植生の回復を考える上では重要な要素になる、という意見である。
■ これから行おうとしていることは、A区域を掘り下げ、地表面を地下水面に近づけようとする取り組みである。どの程度掘り下げれば、植生の回復を期待することが出来るのか、その点についてもご意見をいただきたい。

(委員)
■ 農業用排水路で囲まれた区域の地盤高をどの程度掘り下げれば良いのか検討しているのだと思う。この地域の地下水の供給源は小さいと思う。そのような場所において、地盤の掘り下げを行って、植生の回復を期待することが出来るのか。
■ 掘り下げることにより、地下水面が上がるとされているが、本当に地下水面が上がるのか疑問である。将来の地下水位のことを考えて議論していくことが必要だと思う。

(委員)
■ 地下水位を上げるのが一番良いと思うが、西側の農地の水位も上がってしまうため、それは出来ない。農地に影響を及ぼさないことを前提条件とするならば、埋めても農地に影響を及ぼさない使用されていない排水路を埋め戻した場合のシミュレーションを行い、検討を行えば良いと思う。
■ 地表面と地下水面を近づけるには、排水路の埋め戻しと地盤の掘り下げしか方法が無いのではないか。

(委員)
■ A区域内部の明渠を埋め戻すことにより、A区域と湿原との境界部分の地下水位を上げれば良いのではないか。
■ 農地の際まで水位を上げることは難しいと思う。湿原に近い部分だけ、地下水位上昇による植生回復を目指すということで良いと思う。

(委員)
■ A区域、B区域、D区域の間に排水路がある。湿原植生の回復のためには、この排水路を埋め戻すことが一番良いと思う。埋め戻すことが難しければ、所々土嚢などで締め切って排水されないようにすれば良いと思う。
■ 排水路を埋め戻すことにより農地へ影響が及ぶのか、確認した方がいい。

(委員)
■ A区域と西側農地との境界にある幌呂1号排水路の現状をご存知か。この幌呂1号排水路に向かって、A区域やB区域から水が逆流している。A区域、B区域、D区域の間の排水路を埋め戻すことにより、幌呂1号排水路に今以上の水が流入し、この排水路の水位が上昇すると想定される。幌呂1号排水路の水位が上昇すれば、農地は冠水する。

(委員)
■ 農地側の明渠はそのままにし、湿原側で水が漏れない対策を行うことが考えられる。湿原側で水位を上げる影響が農地に及ばない方法が望ましい。そのようなことを目指す再生事業にしたいと思う。

(委員長)
■ 農地の冠水を引き起こさずに、A区域、B区域、D区域の間の排水路の流れを止めることにより、A区域とB区域の湿原植生を回復することは出来ないか。このような面積、場所を対象として、技術的にそのようなことが可能なのかお聞きしたい。

(委員)
■ 排水路の水はつながっているため、下流で水位を上げると上流側の水位も上がる。どこかで水の連続性を断ち、ある部分だけ水位を高い状態で保つことが出来れば、その方法が良いと思う。しかし、水の連続性を断っているため、水位を保つための水は流れてこない。
■ 農地に影響が生じないのであれば、排水路を堰きとめて水位を保つのが良いと思う。

(委員長)
■ A区域、B区域、D区域の間の排水路の流れを止め、排水路の水位を上げたときに、農地の水位が上昇することをコントロールすることは可能かご意見をいただきたい。

(事務局)
■ 地形の高低差と、幌呂1号排水路からの流入地点を踏まえれば、何らかのヒントは得られると思う。例えば、流入地点の下流側で何か行うと上流側への水位上昇の影響が懸念されるが、流入地点の上流側で行えば問題は生じないことも考えられる。

(委員)
■ ここ15年くらい、50mm程度の雨が降ると、幌呂1 号橋(幌呂川最下流の橋)から上流1,500mくらいまで水位が上がる。鶴居芦別川でも、同様の降水量で芦別橋が冠水する。雪裡川の水位も上昇するため、雪裡川と鶴居芦別川の合流点、幌呂川と雪裡川の合流点なども全て冠水する。つまり、下流側で止めても、上流側で止めても、どこかで止めれば水位は必ず上がる。
■ 調査しているエリアが小さいのではないか。幌呂川と雪裡川の合流点はすでに水位上昇しているため、どこかで止めれば、上流側の水位は必ず上がる。このエリアだけの発想では、他の区域に甚大な被害を与える可能性がある。

(委員)
■ 水の供給源を解明することは難しいと思うが、ある程度の仮定の下で、二次元のモデルにより、どこを埋めるとどの範囲の水位がどの程度上がるのかシミュレーションを行い、その上で農地に問題が生じない排水路の埋め戻し範囲を判断すれば良いのではないか。

(委員長)
■ 植生回復の方法として、地盤を掘り下げる方法は考えられるが、それだけでは湿原植生の回復は難しいと考えられる。
■ できれば、掘り下げると同時に、地下水位を回復させるために、現在使用されていない排水路を止めたい。農地に影響が及ばない範囲を見極めるため、シミュレーションを行ってはどうかという提案があった。

(委員)
■ 平均水位を地表面付近とすることは、平均水位まで地表面を掘り下げることにより可能で、比較的戻しやすい。しかし、水位変動を消し去ることが出来ない。そのため、水位上昇を図る案を提案させていただいた。

(事務局)
■ 例えば1号支川排水路の埋め戻しのパターンを複数設定し、農地側に影響を与えないような地下水位上昇の方法を検討する。

(委員長)
■ シミュレーションを行い、農地への影響が少ない地下水位上昇の方法を検討することにしたい。

(委員)
■ 1号支川排水路の影響で周辺地下水位が低下している。この排水路を埋め戻すことにより、地下水位は地表面付近に回復すると考えられる。排水路両岸の小高くなった箇所を削り、その土で排水路を埋め戻すことにより、比較的うまく湿原に戻るのではないか。
■ 農地との境界にある幌呂1号排水路については、水位を操作することを諦め、バッファーゾーンにすることが考えられる。この排水路周辺を無理に湿原に戻すことは考えない方が良い。
■ 1号支線排水路と幌呂1号排水路の間の排水路を埋め戻す案も話し合われていたようだが、農地への影響が考えられるためそれは行わない方が良い。1号支線排水路の一部を埋め戻すだけでも、かなり効果はあると思う。

(委員)
■ 先ほどの事務局の説明では、資料15ページに示された農地に対する配慮にしか聞こえなかった。そこだけではなく、幌呂1号橋(幌呂川最下流の橋)から上流1,500mくらいまで水位が上がるため、その周辺の農地についても配慮が必要である。その農地への配慮はどのように考えているのか確認したい。

(事務局)
■ シミュレーションにより、農地に影響を与えないような排水路埋め戻しの高さ等を検討する。周辺で経済活動を行っている農地に影響を与えない方法を検討する。

(委員長)
■ 1号支線排水路周辺の地下水位上昇を図りながら、幌呂1号排水路周辺の地盤の掘り下げを行うことにより、湿原植生の回復を期待する。
■ 一方、1号支線排水路の水位を上げると、上流側まで水位が上がるため、上流の農地についても影響検討の配慮の対象とし、それを前提条件とした検討を行うこととする。

(委員)
■ A区域及びB区域から、道路下の横断管を通じて幌呂1号排水路に水が流入している。その横断管を塞がなければ、湿原側の水位を下げることになるため、横断管を塞ぐ実験も行ってはどうか。

(委員)
■ 幌呂地区と広里地区の植生を比較するより、幌呂地区の掘削前の植生及びリファレンスサイトの植生と比較した方が良いと思う。
■ B区域も放棄農地であり、オオアワダチソウやクサヨシの生育も見られる。A区域のリファレンスサイトとしては、B区域よりC区域等の湿原植生をリファレンスサイトとした方が良いのではないか。
■ A区域とB区域の違いは、中に明渠があるかどうかの違いであったと思う。明渠の埋め戻しがA区域をB区域に近づける手法になると思う。

(委員長)
■ A区域とB区域の植生は相当違う。B区域には明渠があるが、ヨシ、ホザキシモツケ、ハンノキ等が生育している。これに対しA区域は、かつての牧草地であり、オオアワダチソウやクサヨシ等が生育し、ヨシ、ホザキシモツケ等の生育はほとんど見られない区域である。

(委員)
■ A区域は客土した影響がある区域ということか。

(委員長)
■ 客土ではなく置土のようであるが、その影響が出ている。

(委員)
■ A、B、C、Dというランクを付けたため、今のようなリファレンスサイトの設定になったと思うが、B区域よりC区域やD区域の方が湿原本来の植生であるため、C・D区域を目指す方が良いかもしれない。

(委員)
■ B区域の植生を十分把握していないが、B区域も過去に農地化しようとした区域であるため、A区域の目標として必ずしもふさわしいとは思わない。A区域よりはB区域の方が良い、という程度だと思う。
■ D区域には高層湿原も含まれるため、C区域がA区域の目標として妥当なのではないか。ただし、C区域でもハンノキが増加しているため、この地域本来の湿原の姿とは少し異なると思う。理想を言えば、もっと湿潤なヨシを中心とした湿原植生が目標になると思うが、現時点のA区域及びB区域の目標としてはC区域で良いのではないか。
■ 幌呂地区の植生回復試験地で出現した種は、湿原植生とは言い難い。ツルスゲなどは良いが、オオアワダチソウなどが生育するようになるのは良くない。表土を剥いで裸地にすると、外来種の侵入が旺盛になるおそれがある。オオアワダチソウが生育するような環境になると、再生とは言えなくなる。
■ 地下水位を相対的に近づけ、度々冠水するような状態にしなければ、湿原植生には戻らないのではないか。地表面だけを地下水面の少し上程度に戻しただけでは、外来種が侵入してくるおそれがある。茅沼地区のように、近くに河川があり、度々氾濫するようになれば状況は変わると思うが、幌呂地区は度々氾濫するような場所ではない。

(事務局)
■ 幌呂地区は湿原の外縁部に位置し、農地開発される以前の植生もD区域のような純粋な湿原植生ではなかったと考えている。
■ 仮に戻そうとしても元の姿以上には戻れないだろうと考えている。B区域では排水路が掘削されたが、表土は手付かずの状態であるため、この区域本来の植生が維持されているものと想定し、B区域をリファレンスサイトに設定した。

(委員長)
■ A区域で置土を行う前は、B区域の状態に近かったと想定した、ということである。

議事2:幌呂地区湿原再生について

 事務局より、幌呂地区湿原再生について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ 資料2ページの「台地からなる湿原までの間の湿原移行帯からなる湿原環境の再現」、「高層湿原や赤沼、池塘等、周辺環境を含む地下水、表流水など良好な水環境の回復」という目標が、以前から話し合われていた幌呂地区の目標だったと思う。幌呂地区は広里地区と異なり、隣接する丘陵林からの湧水などがあり、南側には高層湿原があるため、このような目標設定になっていたと認識している。
■ 現在の目標は「湿原面積の回復」、「湿原植生の回復」、「湿原景観の復元」となっており、以前の目標より簡単な目標になっていることが気になる。以前の目標が、幌呂地区の具体的な目標になるのではないか。
■ 実施計画の作成にあたり、目標をどのように整理するのか確認することが必要だと思う。

(委員長)
■ 実施計画の作成を前提としているが、以前の2つの目標を実施計画の目標にすることについて、ご意見があればお聞きしたい。

(事務局)
■ 事業の目標と自然再生全体の目標を分けて考えた経緯がある。事業の目標として「湿原面積の回復」、「湿原植生の回復」、「湿原景観の復元」を挙げ、これを達成することによって「台地からなる湿原までの間の湿原移行帯からなる湿原環境の再現」、「高層湿原や赤沼、池塘等、周辺環境を含む地下水、表流水など良好な水環境の回復」という目標を達成したいと考えていた。

(委員)
■ 下の3つの目標(湿原面積の回復、湿原植生の回復、湿原景観の復元)と、幌呂地区の湿原再生と示されている2つの目標(台地からなる湿原までの間の湿原移行帯からなる湿原環境の再現、高層湿原や赤沼、池塘等、周辺環境を含む地下水、表流水など良好な水環境の回復)の関係がはっきりしない。
■ 旧農地を湿原に回復することが良いことだと思うが、それを行っても2つの目標の達成にはつながらないのではないか。
■ また、ヨシからハンノキへの湿原植生の変容が課題として挙げられており、実際に旧幌呂川周辺ではハンノキ林が拡大している。その課題と今回の事業との関係もはっきりしないため、整理することが必要だと思う。

(委員長)
■ 実施計画を作成する段階で整理しておいた方が良い。

(委員)
■ B区域には外来種も生育しているため、A区域のリファレンスサイトをB区域とすると矛盾しているように感じてしまう。B区域全体をリファレンスサイトに指定するのではなく、B区域の中でも良好な地域を目標とし、段階を経て最終的にD区域のような環境、生態系を目指す、とした方が良いのではないか。

(委員長)
■ 第一段階、第二段階の目標を具体的に示した方が良いという提案である。

(委員)
■ 今の意見に賛成である。B区域の中にも以前の状態を保ち、ホザキシモツケが密生しているような場所もある。そのような場所をA区域の目標にすれば良いと思う。

(委員)
■ 資料14ページに、「釧路湿原の機能を回復する」とあるが、どのような機能を回復するのか分からない。「減退した湿原機能を再生する」という記載も同様で、何が減退したのか分からない。
■ また、「湿原機能の再生は、タンチョウ等の希少な野生生物の生息環境の復元に寄与する」とあるが、このようなことを前面に出すと、例えば、事業実施により栄養塩を除去し水質を浄化する効果があるような誤解を生む。それより、今回の事業に直接関係する湿原面積の回復、湿原植生の回復に関して具体的に示した方が良い。
■ 全体的に表現を整理した方が良いと思う。

(委員)
■ 「外来種を排除する」と記載されている。湿原内部のC区域やD区域にもオオアワダチソウやオニアザミが侵入してきている状況であり、それがA区域から供給されているかのような誤解をする恐れがある。
■ 風散布で広がる種であるため、供給源はA区域ではなくもっと遠くにある可能性も考えられる。問題は供給源ではなく、外来種が定着できる環境がそこにあることが問題である。A区域が外来種の供給源になっているため対策が必要、といったセンセーショナルな表現は避けた方が良い。

(委員)
■ 湿原への影響を緩和させる緩衝帯という表現も、誤解を生む表現だと思う。物理的に緩衝帯を設けることで、飛散してくる外来種の種子を防ごうとしていると誤解される恐れがあるので、表現を考えた方が良いと思う。
■ また、「湿生草原への再生」という表現があるが、湿原とどのように違うのかについても整理が必要である。
■ 緩衝帯の一つとして、盛土を行い、水を通しづらくする案が示されていたが、緩衝帯というより遮水帯ではないか。

(委員)
■ 湿生草原という表現は一般的に馴染みがないかもしれない。湿生草原はヨシ、スゲ等の草本群落を指し、ハンノキは湿原植生であるが湿生草原ではないため、使い分ける必要がある。
■ B区域はほとんどハンノキ林であるため、A区域のリファレンスサイトをB区域にするとハンノキ林になるとイメージされるかもしれないが、水位が安定したからといってハンノキ林になるわけではない。
■ 幌呂地区でハンノキ林が広がったのは、河川氾濫に伴う土砂堆積や富栄養化が重要な要因になっていると考えられる。
■ 一度成立した湿生草原は、ハンノキ林にはなりづらい。ヨシが繁茂すると、ハンノキの種子が飛んできても樹林化しない。広里地区で調査を行っているが、ハンノキ林化するきっかけは、火災等のインパクトのようである。このようなインパクトが無いと、その他の条件がそろってもハンノキ林にはならない。
■ いずれにしても、湿生草原はヨシ、スゲ等の草本群落を指しているとはっきり使い分けることが必要である。

(委員長)
■ 本日の委員会での助言を踏まえ、実施計画の作成に向けて詳細な検討を行っていくこととしたい。

議事3:5年目の施策の振り返りについて

 事務局より、5年目の施策の振り返りについて説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ 全体構想に示された評価基準は、事業を実施した結果に対する評価基準であるため、幌呂地区と広里地区については、現時点で評価を行うことは出来ないということになると思う。
■ ただし、現状と目標については、記述できると思う。全体構想では示されていないが、目標については数値で明確に示していくことが必要だと思う。数値で示すことにより、一般の方にも分かりやすくなる。幌呂地区、広里地区ともに、地下水位や湿原植生の分布面積等の数値をここに示すようにしてもらいたい。

(委員)
■ 幌呂地区は、頑張れば次年度実施計画を作成できそうだが、広里地区はどのようになっているのか。広里地区の今後の予定を教えてもらいたい。

(事務局)
■ 広里地区では、旧農地において地盤掘り下げ試験を実施し、植生回復に関するモニタリングを行ったが、水位変動等の問題があり、湿原植生は思うように回復しなかった。
■ 広里地区においても、旧雪裡川隣接区域と反対側に営農中の農地があるため、農地に影響が無い範囲で再生区域の水位変動を小さくし、かつ、水位を上げる方法を検討している。その考え方や方法がまとまった段階で、湿原再生小委員会で議論していただきたいと考えている。
■ 広里地区におけるハンノキ林の拡大要因については、明らかになりつつある。広里地区については、火災による影響が原因となっている可能性がある。まだ仮説であるため、仮説の検証を行うための準備を進めているところである。

(委員長)
■ 広里地区については、これまでの調査データの整理が終わった段階で実施計画の議論に進む予定ということである。
■ 幌呂地区と広里地区については、実施計画が提案されることを皆さんが期待していると思う。実施計画を作成する前に、湿原再生小委員会で実施計画を検討している現地の視察、調査を行う必要があると思う。

その他

 事務局より、今後の予定について説明が行われた。

■ 幌呂地区については、今回ご指導いただいた内容について、専門の委員のご意見をききながら検討していきたい。合わせて実施計画のたたき台を次回の小委員会で示したい。
試験区についても引き続きモニタリングを行い、結果を次回の委員会で報告させていただきたい。

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