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第14回旧川復元小委員会 議事要旨

第14回(平成23年12月26日)

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第14回旧川復元小委員会 議事要旨

議事1:茅沼地区の工事完了について

 事務局より、茅沼地区の工事完了について説明が行われた。

(委員長)
■ 茅沼地区の工事完了の報告が行われたが、質問等があればお願いしたい。
■ 特にないようなので、次の議事に移りたい。

議事2:モニタリング調査結果について(前半)

 事務局より、モニタリング調査結果(資料p.5~26)について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ 前回の旧川復元小委員会において、平成22年度の調査結果について説明があった。このサイトにおいて、9箇所で2回の調査を行った結果、確認されたのはアメマス2匹だけだったという説明だった。
■ 今日の資料p.12に調査結果が示されている。平成22年の調査結果を見ると、アメマスが全部で28匹、ヤマメが75匹捕獲されたことになっている。前回の小委員会での報告と、今回の資料、どちらが正しいのか。

(事務局)
■ 前回の旧川復元小委員会資料には、カゴ網と投網の二種類の漁具を用いて調査した結果を示していたと記憶しています。
■ それは、平成21年度の調査の手法、回数、設置時間等、平成21年度と同じ条件で調査した結果を示したものです。他の手法で調査した結果も含めると、アメマス2匹だけではなく、もっと多くの種類、個体数が確認されていました。今回の小委員会資料には、他の手法で調査した結果も含めて、確認された種類、個体数を全て記載しています。

(委員)
■ 昨年は昨年で、単年度の調査結果を見て議論していたので、その旨を書いてほしかった。
■ 今回の資料に、ヤマメが確認されたと記載されている。これは、サクラマスなのか、あるいは、個体サイズから考えてヤマメと判断したものなのか。

(事務局)
■ 調査で確認されたのはヤマメで、サクラマスではありませんでした。

(委員長)
■ 資料p.16に、右岸側への氾濫頻度が旧川復元前の0回から旧川復元後は18回に増加したという結果が示されている。左岸側への氾濫頻度はどのように変化したのか。

(事務局)
■ 左岸側への氾濫頻度は今回整理していなかったので、今後整理したいと思います。

(委員長)
■ 大規模な出水があれば、左岸側へも氾濫すると思うので、今後整理をお願いしたい。

(委員)
■ 右岸残土の撤去、旧川の浚渫を行うにあたり、ネムロコウホネ等の希少植物の移植を行っていたと思う。移植後、元の場所に戻したのか、あるいは確認できなくなったのか、その後の状況を報告してもらいたい。

(事務局)
■ 水生植物移植後、今年も調査を行っています。ネムロコウホネは、平成19年と20年に移植を行いましたが、移植後の個体数は、毎年減少している状況です。イヌイモトは、当初550株くらい移植しましたが、今年の調査では80株くらいまで減少しました。移植先で、ウチダザリガニ等に食べられた可能性も考えられますが、現時点では原因は不明です。
■ 移植は、平成19年から試験的に行いましたが、移植を成功させるのはなかなか難しく、移植より生育箇所を保全する方が良いと考えています。

(委員)
■ やってみて分かった、ということだと思う。湿原再生の難しいところはそういうところであり、我々人間は自然の流れに勝てないということだと思う。
■ 今後、新たな取り組みがあるとすれば、移植等の取り組みをどうするのか、原点に立ち戻って考え直してもらいたい。

(委員長)
■ 生育地の保全が最も有効な保全策だということが改めて確認された。
■ 生育適地を探して移植を行ったようだが、それでも今回のような結果だった。今回の教訓を活かして、今後の再生事業を進めてもらいたい。

(委員)
■ 資料p.22~23に、二次元不定流計算による旧川復元前後の氾濫堆積土砂量の推定結果が示されている。この結果では、計算範囲外に流出する土砂量は無いと考えて良いか。

(事務局)
■ 一番厚い堆積厚が赤色の凡例で、青色は0も含めた凡例となっています。堆積厚0から0.0143センチメートルまで同じ青色で示していますので、氾濫土砂がどこまで流れているのか、この図では表現されていません。恐らく、この図の範囲内でおさまっていると思います。

(委員)
■ 旧川復元前は、右岸に残土があり高くなっていたため、右岸側へは氾濫することができなかった。旧川復元により、右岸側へも氾濫可能になったので、右岸側の湿原にも土砂が堆積した区域があるのではないかと考えた。しかし、この図を見ると、右岸側の湿原にはほとんど堆積していないようだ。

(事務局)
■ 右岸側へは思ったより広がっていません。

(委員)
■ 現地でのモニタリング調査も実施したようだが、右岸側湿原での土砂堆積状況はどうだったのか。

(事務局)
■ 土砂トラップも右岸湿原の奥の方までは設置していませんので、どこまで氾濫堆積したのか確認できていません。

(委員)
■ 出水時に川の湾曲部の河岸が削られ、その土砂が湿原に入っていくと思う。その土砂について調査しているか。

(事務局)
■ 旧川復元前後で測量を行っています。今年の測量結果を見ると、河岸を大きく削って流れていくような状況は確認されていません。

(委員)
■ JR近隣箇所の湾曲部はどうだったのか。

(事務局)
■ JR近隣箇所でも測量は行っていますが、昨年と比べて今年は変化が見られませんでした。JR近隣箇所については、今後も注視していきます。

(委員)
■ 湿原再生の話がスタートした頃は、湿原上流部の農地からの土砂が湿原へ流入し、湿原を乾燥化させている原因だとされた。これまでの調査で、上流部の農地からの湿原中心部へ、どの程度の土砂が流入していると把握されているのか。

(事務局)
■ 農地自体からの土砂量は調査していませんので、分かりかねます。
■ 農地近傍の調査地点としては、五十石地点があります。今年9月の出水で、この五十石地点を1,630m3の土砂が流下したということしか現在のところ分かっていません。

(委員)
■ 五十石地点の上流側に五十石橋がある。農地防災事業を実施した沼幌、オソベツ、南標茶等とは関係ない上流側の五十石橋を1,800m3の土砂が流下したということか。

(事務局)
■ そのとおりです。上流から流れてきた土砂を五十石橋で調査した結果です。

(委員)
■ 標茶町から五十石橋の間で1,800m3の土砂が出てきたということか。

(事務局)
■ 標茶町からなのか分かりませんが、五十石橋の上流からの土砂量が1,800m3ということです。

(委員)
■ それが五十石地点では、1,630m3に減少している。どこかに氾濫して減少したのか。

(事務局)
■ 五十石橋と五十石地点の土砂量の差分については、詳しい調査を行っていませんが、調査時に高水敷で水がついていた傾向もみられましたので、そういった場所で堆積したのではないかと考えています。

(委員)
■ 農地や草地の更新に行うにあたり、各排水路に沈砂地を設け、土砂を撤去して湿地を守るという取り組みを行っている。
■ 各排水路の沈砂池を調査することによって、農地から流出した土砂なのか、上流から流出した土砂なのかはっきりすると思う。今後モニタリング調査を行うのであれば、そのような観点でも調査した方が良いと思うので、検討してもらいたい。

(委員)
■ 今の土砂の話は、土砂流入小委員会で議論した方が、全体的な話が見えてよろしいと思うがいかがか。

(委員長)
■ 土砂流入の議論を専ら行っているのは土砂流入小委員会であり、そこでの議論もあると思うが、この小委員会でも議論があって良いと思う。

(委員)
■ 資料p.24の、今年9月の出水による土砂の堆積状況を調査した結果を見ると、河岸沿いに自然堤防が出来るように、溢れたところで土砂が堆積した状況が見受けられる。
■ ただし、KP32.6やKP33.0では、復元河道から離れた(4)や(5)の地点でも結構土砂堆積している。氾濫した水の流れとともに土砂が広がり、河道から離れた場所でも土砂堆積した状況が見受けられ、興味深い。
■ 実際、現地を面的に調査するところまでいたっていないのかもしれないが、計算結果と現地調査結果は少し違う傾向を示しているようだ。資料p.22~23を見ると、計算結果も合っているようだが、現地調査結果を積み重ね、計算結果と調査結果が合うようにしていくともっと良いと思う。

(委員長)
■ たしかに、復元河道から離れたKP33.0の(5)を見ると、結構土砂堆積している、直線河道を埋め戻した場所も、水が溜まりやすい場所とそうでない場所があるようなので、モニタリングを行っていけば、土砂の堆積の仕方も分かってくると思う。

(委員)
■ 私が予想したよりはるかに良い結果となっている。魚種を見ると、回遊性のウグイ、川底に生息するドジョウやスネヤツメ、水草帯に生息するトゲウオ等が確認されている。確認されている種類も個体数も多いということは、多様な環境になってきていることを示しており、この結果を見て驚いている。
■ 私が直線河道を調査したとき、全体的に流れが速いという印象を持った、蛇行復元したことにより、多様な環境が形成されつつあると考えて良いと思う。

(委員)
■ 蛇行復元した河道の周辺は牧草地となっているが、当初の計画では、ヨシに回復すると予測されている。最終的には、ヨシを回復させるという考えで良いか。

(事務局)
■ ヨシが回復すると期待していますが、回復まで何十年もかかると考えています。

(委員)
■ 今後も牧草地として利用される予定はあるのか。

(事務局)
■ 現在、牧草地として利用されていない区域は、将来ヨシに回復していくと考えています。

(委員長)
■ ここは、かって放牧が行われていた。旧川復元により、特に右岸側で氾濫頻度が増加しているので、この調子でいけばヨシに回復していくと考えている。
■ 左岸側も、氾濫頻度が増加していけば、牧草地だった箇所も今後ヨシに回復していくと期待しているが、現時点ではまだ回復にいたっていないようである。

(委員)
■ 資料p.20を見ると、五十石地点の土砂量が1,630m3で、茅沼地点では240m3に減少している。旧川復元区間で土砂がトラップされており、旧川復元による効果であることが分かる。
■ しかし、二本松橋では2,660m3に増加している。茅沼地区から二本松橋までの原始の蛇行河川なので、氾濫による土砂補捉により、二本松橋はもっと土砂が減少しているのが普通なのではないか。二本松橋ではこんなに増加しているのはなぜか。

(事務局)
■ 茅沼地区から二本松橋の間で、ヌマオロ川など他の支川が流入していますので、それら支川からの土砂流入が影響していると考えています。ただし、それら支川では調査を行っていませんので、確定的なことは現時点では分かりません。
■ 茅沼地区で旧川復元しなければ、二本松橋の土砂量はもっと多かったと推測されます。

(委員)
■ 今回、旧川復元した区間にも、特定外来生物のオオハンゴンソウが繁茂している区域があると思う。環境省でもオオハンゴンソウの分布調査や防除作業を行っているが、旧川復元のモニタリング調査でも、オオハンゴンソウ分布の変化状況をモニタリングしていただければと思う。

(委員)
■ 土砂の調査については、上流からどの程度の土砂が流れてきて、どの程度の土砂が下流へ流下しているのか、もう少し広い範囲で調査した方が良いと思う。
■ 小川でも、上流部で河岸が削られて土砂が出てきている。畑から土砂が出ているかというと、調査した結果、畑からは出ていなかった。上流の小川から出てきているということがはっきりしているので、もっと調査範囲を広げて、どこからどのように土砂が出てきているのか把握する必要があると思う。

(事務局)
■ もっと上流まで川の中を調査した方が良いということでしょうか。

(委員)
■ 上流も下流も調査した方が良い。それにより、土砂の原因がはっきりする。

(委員長)
■ 前回の委員会で議論になったが、畑から土砂が出ていると思ったら、そうではなく、山から出ていることが分かった。

(委員)
■ 私たちは目の前でそのことを見ている。

(事務局)
■ 大きな洪水が発生した後、もしくは、数年に1回は川の横断測量を行っています。その結果を整理することによって、河岸から出ているのかどうか分かると思います。
■ 農地や山からどの程度の土砂が出ているのかについては、資料が無いので、今後の課題になると考えています。

(委員)
■ その資料が無ければ、原因が明らかにならない。

(委員長)
■ この小委員会では行っていないが、流域全体を対象とした調査を、定点を設けて行っていたと思う。そういうデータを総合して検討すれば、いま委員から指摘があったようなことも分かってくると思う。

(委員)
■ そういうデータがあるのであれば、この小委員会の参考資料として出してもらっても良いと思う。

(委員長)
■ 部局はいろいろあると思うが、そういったデータがあるのであれば、オープンにしてもらうことで原因究明にもつながると思う。
■ 土砂流入小委員会でそのような検討を行っているのではないか。

(委員)
■ 私は土砂流入小委員会にも出席しているが、そのような資料は出てきていない。

(委員)
■ ここで調査しているのは浮遊砂だと思う。上流の崩壊地から出て、下流に流れてくる土砂は粒径が大きい。浮遊砂の出口は牧草地、というのが一般的な考えだと思うので、調査しやすく分かりやすいのではないか。私たちの研究では、浮遊砂が多く出てくるのは農地という結果だった。

(委員長)
■ 旧川復元の目標の一つが土砂の補捉なので、土砂についてもっと詳しい調査が出来るのであれば、あるいは、すでにデータがあるのであれば、検討したいと思う。

(委員)
■ 土砂がどこから出てきているのか重要な話だと思う。釧路湿原全体を対象に土砂がどのように湿原に入っているのか考えると、釧路川本川の他に久著呂川やツルハシナイ川等の支川からも入ってきて湿原に堆積し、湿原に堆積しない土砂は海まで流れていく。
■ 釧路川本川は釧路開発建設部、久著呂川では中流部の土砂生産減で北海道が床止めを行い、下流部では釧路開発建設部が土砂調整地の工事を行っている。
■ 流域全体の土砂については、土砂流入小委員会で議論を深めてもらうのが良いのではないか。旧川復元小委員会では、旧川復元を行うことによりどれだけ土砂軽減の効果が発揮されるのか検討している。ここでは、旧川復元による効果について結論を出すという方が良いのではないか。
■ 大きな支川からどの程度の土砂が湿原に流入しているのか、土砂流入小委員会で推定結果が示されたことがあるので、大まかな状況は把握されていると思う。
■ 農地から出てきた土砂、山から出てきた土砂、沢から出てきた土砂と、目的もはっきりしないうちから詳細に調査を行うのは困難だと思う。対策が必要になれば、対策を立案するためにも、原因を把握する必要が生じる。そのような段階にいたる前から流域全体の細かいところまで把握するのは難しいと思う。

(委員)
■ 私たちは、町と協議し、町に土砂を止めてもらう対策を行ってもらった。その結果、1年間、沈砂池から土砂を上げる必要が無くなった。そのようなことがはっきりしているので、発言している。土砂の原因は農地だと言うが、農地ではない。

(委員)
■ 事務局に質問したい。この小委員会で出された質問等を他の小委員会に付託することは可能なのか。

(事務局)
■ 小委員会として他の小委員会に出すのは可能だと思いますが、今日の事務局は旧川復元小委員会の事務局ですので…。

(委員)
■ 旧川復元小委員会は、旧川復元によりどれだけ効果があるのか把握することが目的だと考えている。土砂流入の原因について、土砂流入小委員会でも検討し、旧川復元小委員会でも検討するというのは、並行して行っている別の小委員会で似たような議論を行うと、混乱する部分が出て来るのではないかと…。

(委員)
■ 土砂の問題は、土砂流入小委員会でも議論し、旧川復元小委員会でも議論することが必要だ考えている。
■ 地元の農家の意見を踏まえて、釧路湿原の再生をどのようにするのかというのがこれまでの経緯であり、全てリンクしている。

(委員長)
■ 本日は、土砂流入小委員会の委員長も来られる予定だったが、天候不良で来られなくなった。土砂の話もリンクする予定だったが、今のところ十分リンクしていないので、これから出来るだけリンクした議論が出来るようにしていきたい。
■ 興味ある方は両方の小委員会に出席していただき、議論を深めていただきたいと思う。
■ 地域住民の方の理解というのは、この小委員会でも重要なテーマの一つのなので、今のような話もしてみたいと思っている。

議事2:モニタリング調査結果について(後半)

 事務局より、モニタリング調査結果のうち、地域住民と連携した調査等(資料 p.27~32)について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ 釣り人や釣具店への聞き取り調査結果が示されていたが、釣りの場所、季節、サイズ等の具体的なデータを集める予定はあるのか。

(事務局)
■ どのような目的で行うものでしょうか。

(委員)
■ 生息地、生息環境の情報になる。聞き取り調査を行うのであれば、「アメマス狙い」、「釣れている」ということだけではなく、どこでどの程度釣れているのか聞き取った方が効果的だと思うので、そのことを提案する。

(事務局)
■ 可能な限り、そのような聞き取りを行います。

(委員長)
■ 釣り人の会があったと思うが、データは取っていないかもしれない。かなりマニアックな釣り人がいて、私も数名知っている。そのような人に聞くのが一番早いのではないか。

(委員)
■ 平成23年6月に行われた釣り人への聞き取り調査結果が示されている。なぜ6月に聞き取り調査を行ったのか、私には理解できない。6月はサクラマスが多く見られ、サクラマスの密漁者がたくさんいる時期である。そこで聞けば、アメマス狙いだと言うのは当たり前である。そういう状況も知らずに調査しているのではないか。
■ 魚類の生息環境のモニタリング調査結果について、前回も発言したが、もう少し細かいデータを出してもらいたい。例えば、調査地点の水位の変動、日時、場所、調査方法等である。先ほど、異なる方法で調査しているという説明もあったが、それをデータとして出すのはおかしという気がしないでもない。
■ 旧川復元後、良い環境になってきているということは分かる。自然の力で、復元したとところで少しずつ流倒木が増え、河岸が削られ、重機で平面に削ったところが少しずつ変化していることは分かる。良い形になってきている。ただ、調査方法をもう少し細かく公表していただけるとありがたいと思う。

(事務局)
■ 調査した場所、時間、水位等について示すことはできます。

(委員)
■ 植物とは違い、魚や底生動物は動くので、環境や状況により見られる種が変わる。環境や状況により変わるものを、一概に増えた、減ったと議論することは出来ないと思う。調査を行うとき、条件を設定し、資料としても示してほしい。

(委員)
■ 異なる調査方法ではまずいという指摘だが、色々な魚を捕獲する場合、色々な方法で調査を行う必要がある。水量が多い河川であることも考慮する必要がある。私が調査に入るとき、限られた調査人数、道具で調査を行うと、本当にデータが取れない。
■ 今回の調査では、かなり良いデータが取れていると思う。比較できるデータを示している。これは非常に良いこと。同じ方法、同じ時間帯、同じ努力量でデータを取っているので、これはこれで、すごく良いデータだと思う。これに関するデータを全て出すことになると膨大になるので、この小委員会で議論していくのは難しいと思う。そのようなデータについては、個人的にやり取りされてはいかがか。

(委員)
■ データがほしいわけではなく、本当に魚類の生息環境が回復しているのか知りたい。そのためのモニタリング調査結果だと思う。モニタリング調査結果としてこの小委員会に出す資料としては、まだ物足りない。もう少し細かいデータがあっても良いと思う。
■ しっかり調査されていると思うが、調査したときの状況がもう少し詳しく分かった方が良いのではないか。聞き取り調査も、調査時期によって結果は変わる。魚等の動くものを調査する場合は条件を一つにされていると思うので、その条件を見せていただきたいという気持ちはある。

(事務局)
■ 調査の条件を資料に追加することは可能だと思います。

(委員)
■ あまり膨大になると小委員会で持て余してしまう。出来るだけ詳しいデータを示してほしいということだったので、それなりのデータのまとめ方をしていただければと思う。

(委員)
■ 湿原景観の復元は、旧川復元の目標の一つになっている。景観は、人が見て評価するもので、景観の復元を目的に行った場合は、良くした景観を誰かに見てもらうことになると思う。湿原の河川を見る機会はあまり無いので、これまで見たことが無い人が見ると、非常に良いと感じると思う。実際に現地を見ると、河岸の線形や植生など、非常に良いと思う。
■ このような効果を、地域の中でどのように提供できるのか、その仕組みを考える必要があるのではないか。開発局の本来の仕事ではないかもしれないが、やれる範囲はどこなのか、環境省では見てもらうことも目的の一つとしてあるのではないかと感じている。
■ カヌー利用についても話があったが、その利用者に、一度失ったものを回復した河川であることを知ってもらうことも大事だと思う。旧川復元により地域も潤っていく仕組みが出来れば、旧川復元した河川を維持管理していく仕組みにつながると思う。

(委員)
■ 私は、再生普及小委員会の事務局を行っている。今年は特に、自然再生の現場に地元の人や関係者に来てもらって、しっかり見てもらうという取り組みを進めている。例えば、森林再生小委員会と連携した事例がある。再生普及小委員会が主体となってPR活動や人集めを行い、森林再生小委員会で取り組んでいる現場に案内し、専門的なことは森林再生小委員会の委員に説明してもらう、といったことを行っている。
■ 小委員会同士が連携して、地元の人などに現場を見てもらうということは出来ると思う。
■ 再生普及小委員会では、自然再生に参加するということを主として取り組んでいる。ただし、工事に地元の人が参加するのは難しい。モニタリング調査に参加していただき、見てもらうというのが市民参加の一つの柱になると考えている。各小委員会と連携して進めていきたいと考えている。

(委員長)
■ 私も、ヨシの移植会やハンノキ調査を地元の人たちと一緒に行っているが、普段は絶対に立ち入ることが出来ない場所なので、現場に入るのが大変である。市民が勝手に入っていけるような場所ではないので、小委員会が企画して人集めもしないとうまくいかない。
■ すでに行われていると思うが、国土交通省と環境省が連携して、もっと頻度多く行っていただけると良いと思う。参加された方は、ほとんどの人が「参加して良かった」という感想を持つようだ。

(委員)
■ 地域経済と関わりについて、専門家の意見をお聞きしたい。
■ 例えば、旧川復元を行った河道沿いに木道を整備し、観光客が歩けるようにすることが考えられる。見るだけではなく、歩けるようにすることにより、非常に楽しく感じ、また来たいと思うのではないか。効果の程度は分からないが、それにより地域経済に還元されるようなことがあれば良いと思う。

(委員)
■ 国立公園としては、保護すること、自然を壊さない範囲で利用してもらうという二つの目的がある。
■ 個人的な意見だが、釧路川には河岸を歩けるような場所があまり無いので、自然再生の現場を見てもらうために、歩ける場所を整備するというのは一つの方法だと思う。
■ 自然を再生することだけではなく、地域の産業と連携し、自然再生と地域産業発展の両立を図ることが、今後取り組んでいかなければならない柱の一つだと思う。
■ 再生普及小委員会でも色々検討し、試行錯誤している。少しずつその取り組みを進め、地元の人に、釧路湿原があって良かった、自然再生事業を行って良かったと思ってもらえるようにしたいと考えている。

(委員)
■ 私も、先日開催された再生普及小委員会に参加した。今まではサービスとして行っていた側面があるが、これからは一歩進めて、規模は小さくとも産業として成り立たせることができないか検討している。
■ 自然再生の現場を体験するツアーなどもあり得ると思う。

(委員)
■ 観光事業者として発言したい。このエリアの観光という意味では、助かっている。2年くらい前から、茅沼からスガワラまで下る約5.5キロメートルのカヌーコースを設定し、営業している。観光客からは好評を得ている。
■ 観光客には、自然再生事業を行っている河川であることを説明している。本州、あるいは海外からの観光客が多いので、説明すると非常に興味を持っていただける。以前は、釧路開建治水課からカヌーの利用に関する地図をいただき、それを観光客に渡して説明をしていた。今後もプロモーションしていただけると有難い。
■ ただ、一点言いたいのは、ピンクのテープが多すぎること。測量の跡だと思うが、樹木にかけてあるのもあるし、杭を打っている場合もある。観光客に「あれは何?」と聞かれることもある。出来れば、無い方が良い。

(委員)
■ カヌーで利用していただき、非常にうれしかった。ピンクのテープは、モニタリングのポイントだと思う。今すぐに全地点で行うことは難しいが、調査地点をGPSで管理したり、目立たない工夫をしていきたい。

(委員)
■ 私も調査に入るが、やたらとピンクテープを巻きたくなる。調査が終わっても付けたままになっている場合もある。調査が終わったら撤去することは出来ると思う。
■ ただし、非常に大事なテープもある。そのテープが無くなると対象とする木が分からなくなってしまうこともある。
■ 調査している各主体で工夫してもらえればと思う。

議事3:5年目の施策の振り返りについて

 事務局より、5年目の施策の振り返りについて説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員)
■ モニタリング調査の期間設定が必要だと思う。いつまでモニタリングを続けるのか。
■ 茅沼地区の旧川復元が提案されたのは、たしか平成15年だったと思う。すでに、10年近く経過している。茅沼地区以外にも、旧川復元予定箇所として4箇所程度挙げられていたと思う。次の旧川復元箇所と並行して、あるいは、茅沼地区のモニタリングは期間を定め、次の箇所のモニタリングを行っていく、ということが必要だと思う。

(委員長)
■ 資料p.32のモニタリング計画では、4年後までの計画が示されていた。それ以降の予定はどのように考えているのか。先の見通しなどがあれば事務局から説明してもらいたい。

(事務局)
■ 色々、委員会から提案していただきたいと考えています。例えば、土砂は、何回か洪水が発生し、実施計画書と比較できるようになればそれで良いと思います。ただし、長くかかる植生や景観は、数年後にモニタリングしていく必要があると考えています。
■ 次の箇所をどうするかについても、委員会においてご指導していただければと思っています。

(委員長)
■ 私の立場から言えば、出来るだけたくさん行ってほしいと思っているが、調査を行うにも費用がかかるので、5年に1回、あるいは、10年に1回など効果的な年数、間隔を提案していく必要があると思う。
■ 今回は、4年後までの計画が示されており、2年後、あるいは、3年後に調査を行う予定となっている。他の事業もあるので、その後は、恐らく5年に1回程度の頻度で調査していくことになるのではないかと思う。
■ 河川水辺の国勢調査でも、定点で定期的に調査が行われているので、その調査と連携して行えば、数年後に調査するということは確実に行われていくと思う。

(事務局)
■ 今回は4年後までの計画を示しましたが、各専門の委員に相談しながら、次回の小委員会では長期的な計画も示していきたいと考えています。併せて、次の河川をどのようにするのか、委員長等と相談しながら次回の小委員会で示していきたいと考えています。

(委員長)
■ よろしくお願いしたい。

(委員)
■ モニタリングについて、今後考えていきたいことがあるので、提案したい。
■ 「本施策において達成すべき目標」を見ると、形の復元ではなく河川生態系を保全する、河川生態系を代表する野生生物を保全する、生物の移動阻害を解消するために河川の上流から下流に至る連続性を保つ、という目標が示されている。
■ このような目標に対して、我々研究者は、答えを出せなければいけない。どうすれば、この問題をクリアにできるのか、指し示さなければいけない。議論をたくさん行うのは良いが、代替案を出さなければいけない。
■ 目標を達成する手法として、特に(4)に着目したい。魚道の設置やダムのスリット化などによって、移動の阻害を解消するとある。やはり、ウライの影響を緩和する必要がある。これは非常にデリケートで重要な問題なので、今後この小委員会で考えていくことを提案したい。この小委員会には、環境省、地元自治体、さけます増殖事業協会、開発局が参加している。この人たちが考えなければ解決しないことである。
■ 上流域での回遊性魚類等の生態系を回復していこうと取り組んでいるが、現状、下流のウライの問題がある。ただし、ウライを悪者にしてほしく無い。同じデーブルで、この問題の改善策について一緒に考えてもらいたいと思い、今回はじめて、さけます増殖事業協会の方に来ていただいた。

(委員)
■ 非常にデリケートな問題だと思う。自然再生の取り組みを行っている中で一つ言えることは、一定の期間、サケ、カラフトマス、アメマス、イトウ等の遡上する魚をウライで止めているということについては、問題があるということ。
■ 私は過激な方で、治水課の担当者に「岩保木水門を開けてほしい」といったことを色々行っている。しかし、商売で行っていることなので、あのウライを撤去しろとは言えない。
■ 何らかの方法を皆で考え、何らかの形で解決案をつくっていかなければいけないと思う。ほっといてはいけない問題だと考えている。

(委員長)
■ さけます増殖事業協会の方から、何か意見等があればお願いしたい。

(委員)
■ 今回はじめてこの場に呼ばれた。自然を相手に商売させていただいていることもあり、我々が事業展開しているウライのことで呼ばれたのだと思った。
■ サケとカラフトマスをウライで捕獲している。その他、アメマス、ウグイ等の色々な魚が捕獲されるが、目的の魚以外は自然に戻している。ただし、ウライで捕獲し、自然に戻す過程で、少しロスが出る。我々としては、皆さんの意見を聞きながら、改善できることは改善していきたいと考えている。
■ 個人的な意見ではあるが、今回、一つのテーブルにつかせてもらったことがきっかけととなり、改善していくことができれば良いと思っている。

(委員長)
■ この場で対決して、というつもりは全く無い。お互いに知恵を出して、より良い河川環境をつくっていきたいと思っている。
■ この小委員会には、魚類の専門家もいるので、ウライの問題についても今後の検討課題としたい。

(委員)
■ この小委員会には色々な専門家が参加している。事務局は、委員会に限らず、一つ一つ問題があった時点で専門の委員に相談し、判断あるいは提案してもらった方が良いと思う。是非、そのようにしていただくよう、お願いしたい。

(委員長)
■ 以上をもって今回の小委員会を閉会したいと思うが、よろしいか(発言なし)

その他

 事務局より、旧川復元小委員会の委員からの依頼事項について説明が行われた。

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