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第4回旧川復元小委員会 議事要旨

第4回(平成17年2月23日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第4回旧川復元小委員会 議事要旨

小委員長選出について

 協議会設置要綱第10条第3項に基づき、小委員会委員の互選により神田房行委員(北海道教育大学副学長(釧路校担当))が旧川復元小委員会の委員長、中村太士委員(北海道大学大学院農学研究科教授)が委員長代理に選出され、承認された。

平成16年度調査検討中間報告

 事務局より平成16年度調査検討中間報告の説明が行われた。

(委員)
蛇行のシミュレーションについて、計算ではほとんど蛇行しなかった理由として、新水路の川幅が元の川の 2倍から 3倍程度と広く、河岸の付近のせん断力が小さく侵食しなかったことがある。また、設定流量について地球規模の海面変化や気候変化を考えると違ってくるのかもしれない。せん断力の算定や侵食量については引き続き検討していきたい。

(委員)
シミュレーションモデルについて、侵食モデルとはどのような場合に使われるのか。また、設定流量について、ハイドログラフのピークの部分では洪水氾濫していると思うが、どの程度の流量で現直線河道から氾濫するのか。

(委員)
河岸の材料が粘着性があることを考えて、ただ水が流れているだけで、ジワジワと侵食してくる量について算出しているモデルであり、危険側に考えたということになる。

(事務局)
直線河道からは200m³/s 程度で氾濫することになる。平均年最大流量は270m³/s 程度なので、現状では直線部の氾濫頻度は 1年に 1回か 2回溢れる程度と考えられる。

(委員長)
今回のシミュレーションには、河岸が天然のヤナギで保護されていることが考慮されていないが、実際はそれによりもっと崩れにくい構造になっていると思う。

(委員)
年最大流量以上はほとんど溢れてしまうので、大きい流量で計算しているが、実際は小さい流量で計算することと変わらないのかもしれない。

(委員)
湿原内では安息角は殆ど直角と見なしてよいのではないか。

(委員)
安息角を直角で考えると、河床が掘れても崩れてこないということになる。

(事務局)
現地調査した地点の平均をとっているが、実際より小さい値となっているところもあり、危険側で考えるようにした。

(委員)
落下性昆虫の利用度は、魚種によって変わる。水面に落ちた昆虫全てを、全ての魚類が利用するわけではない。

(委員)
今回の調査結果によると、旧河道部では昆虫の落下量が結構多い。蛇行させれば、魚類の餌環境は良くなることが読み取れる。
魚の多様性は、落下昆虫の量とはすぐには結びつかない。川底の環境、河岸植生の状態によって、いろいろな魚が棲めるようになる。

(委員)
旧川の水量が増えるため、川幅を広げることになると思うが、河岸を掘削して広げる時は、新たな土砂流出をおこさないよう流量と侵食の関係や、河岸の対策を検討しておく必要がある。

(事務局)
旧川の河道は、直線河道に切り替える前のもともとの状態への復元を目指している。昔の河岸なので法面の安定は期待できると思う。一部、法面の勾配を緩くしたり、河岸の保護をする必要があると考えている。
今の段階では、どこの部分がどのような強度を持つのか分からないので、水を流した時の法面の状況を見ながら、工法を検討していくことになると思う。

(委員)
直線河道の中で始まっている蛇行を、ちょっと人間が手をかすことで蛇行を進める方法もとれるのではないだろうか。
旧河道を底ざらいしてしまうと、生物を移動させても現在の生態系は失われることになる。また復活するかもしれないが、それは曲がった川の河川改修のイメージがする。

(事務局)
現在の直線河道は、河川工学上、蛇行ではなく単列砂州ができている状況にあると判断している。
受動的再生と言う意味では、流入部に少し手を加えることで今残っている旧川を利用した自然再生と言えるのではないかと考えている。

(委員)
直線河道の砂州は、いずれは洪水によりフラッシュされる。砂州の形を利用して蛇行を維持するためには、複雑な工事が増えることになり、現在残っている川を使う方が自然であると考えている。

(委員)
現状の旧川の植物・生物が仮に人工的にできた生態系であれ、地域は重要視するのか、蛇行再生のために、新たな公共事業が発生するという危惧は分からなくないが、どうしても保守的になりがちである。これは科学論ではなく価値観の問題ではないか。今回のシミュレーション結果から直線河道で蛇行が再生するとは言えないが、沖積低地における蛇行河川の復元には、旧川を利用した蛇行復元は、ここならできる。それを支持したい。
施工方法について、生物に関する情報をきちんと把握し、保全対策を検討する必要がある。

(委員長)
イヌイトモの生息環境の保全については過去に検討された経緯がある。その他の生物についても、生物の専門家が工事現場を見て回るなど必要ではないか。工事が具体化してくるときは、細かい指示等も含めて考える必要がある。

(委員)
仮締切の区間は、魚を捕獲し易いように、長い距離を取らない方がよい。また、細かく区切ると、重機で周辺が傷めつけられる心配もある。仮締切内の魚は捕獲して本流に放流すれば、後は適正に移動すると思うので心配ないと思う。

(委員)
旧川復元について、ある方向性が決まった場合には、その方向にずっと進んでいくことが必要で、ただそのとき、できるだけ犠牲を少なくすることを考えていかなければいけない。旧川にはギンブナやいろいろな水生昆虫が生息していたが、流水環境になれば、新たな生息域を探して移動すると思う。

(委員)
工事によって環境に影響が出ないようチェックをしていくことをしないと、事業はうまく遂行できないので、この機会に検討してもらいたい。

(委員長)
自然再生が新たな自然破壊になってはならないよう、この場で施工計画(施工方法)についても大いに議論する必要がある。
直線河道にしたことの弊害を蛇行に戻して無くすことを考えて可能性を探るのが委員会の役割である。現直線河道では、我々が考えている蛇行河川の機能を再生できないのではないかと思う。
直線河道の右岸盛土が、がっちりした堤防状態となり、右岸側の湿原を乾燥化させている。右岸側の土地利用計画がないので、右岸盛土を撤去して湿原に戻すのが筋だと思う。撤去するところが裸地化して、一時的に湿原が痛んだ状態になると思うが、自然の復元力によって、条件を整えれば何十年かで元の湿原が再生されると思う。

(委員)
旧河道を利用はすることは河川環境の復元にとって良いことだと思うが、現況の断面のまま水を流し自然に河道を復元していくなど、旧河道を掘削しない工夫ができないのか。

(事務局)
これまでの議論で、河積を確保しないで水を流した場合(1way案)では、河川の水位が上昇し、上流の農地利用に支障が出る恐れがあること、また、旧河道に堆積した土砂が湿原へ流入し下流の漁業資源や湿原そのものに影響を与える恐れがあることから、旧川は昔の川幅程度に掘削すべきということになっている。

(委員長)
土砂が自然環境への影響を考えれば、自然に河岸が侵食されるのを待つ方法も考えられるが、上下流の人間活動への支障も考え、断面を確保しようと言うことだったと思う。

茅沼地区旧川復元実施計画書骨子(案)について

 事務局より茅沼地区旧川復元実施計画書骨子(案)の説明が行われた。

(委員)
蛇行復元の評価は、断面形状や氾濫パターンなどの物理環境を元に戻すことが最初にあって、その上で本来生息していた生物が復元するということがあると思う。また景観は価値観の問題があるので、目的の1番目にあげるのは違和感がある。

(委員)
ハンノキ林自体が湿原の植生であり、ハンノキを衰退させるような地下水位上昇を望めない以上、いまハンノキの伐採による湿原植生の再生は、実施計画から削除すべきである。
浚渫残土をシードバンクとして、在来種を活用することを考えた方がよい。
リファレンスサイトなどの生物調査の結果や、注目する種とその保全対策等をホームページなどで確認できるようにするなど、検討が不十分と誤解を受けないように実施計画を策定する必要がある。

(委員長)
これまでの委員会でも多くのデータが示されてきているが、インターネットなどで見るようにしておいた方がいいと思う。

(委員)
河川環境の保全再生の項目に関して、茅沼地区は勾配が非常に緩いので深い淵と緩い流れができると思う。
魚類の生息生育環境の復元とあるが、魚の棲みやすさに配慮し、倒木等を置いてはどうか。

(委員長)
蛇行河川の復元計画は他にもまだあると思うが、この実施計画は茅沼地区に限定される。茅沼地区の旧川復元が成功し、他の河川に活かされていけば良いと思う。

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