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第10回旧川復元小委員会 議事要旨

第10回(平成20年3月17日)

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第10回旧川復元小委員会 議事要旨

議事1:平成19年度の実施状況

事務局より、平成19年度の実施状況について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
パワーポイント23枚目に移植先の定着状況が示されており、エゾナミキソウについては平成19年 9月の欄に 2株(19株)と示されている。これは、13株移植したものが19株になったということなのか、あるいは、13株移植したもののうち2株しか残らなかったということなのか、説明をお願いしたい。

(事務局)
平成19年6月の時点では移植した13株がそのままのかたちで定着していたが、9月に調査した際は雑草的な植物に覆われて11株は消失していた。
定着していた2株が19株まで増えていたということである。

(委員長)
移植先が雑草の生育しやすい状況となっていて、それに負けたということか。移植先については、もっと裸地化しているような場所を選びなおす必要がある。
私も移植に立ち会ったが、活着するように既存の植物が生育している場所を選定して移植を行った。活着はしたが、他の植物との競争関係で負けてしまったということである。今後、移植する際に注意した方が良い。

(委員長)
水生植物のネムロコウホネの移植にも立ち会った。ネムロコウホネが活着したかどうかについての確認は、これから行う予定ということで良いか。

(事務局)
今年の春以降に確認したいと考えている。

(委員)
移植する場所で土をいじってしまうと、その中にある雑草の種が発芽して雑草が生えてくる。
暑くなる前に雑草の刈り取りを行い、風通しを良くしておく対策も必要だと思う。

(委員長)
他の雑草に覆われることで、余計に暑くなってしまう。雑草の勢いに応じて、移植地での雑草の刈り取りについても検討した方が良い。
雑草がはびこらないような場所を選定することが第一であるが、それにより活着率が悪くなる可能性もあるので、雑草の問題も含めて工夫して頂きたい。

(委員)
工事箇所に生育している植物を仮に移植し、後で元に戻すことを考えているのか。あるいは、移植先で定着させようと考えているのか、確認したい。
移植する際、ヨシ等を表土ごと移すことになっているが、水生植物も含めて、埋土種子を利用する発想はなかったのか、確認したい。

(事務局)
植物の移植は、仮移植ではなく、本移植と考えている。
埋土種子を利用する方法もあると思うが、ヨシの場合は種子から育てるより土ごと移植した方が回復は早いと考えている。

(委員長)
ここは、本来ヨシ群落であったところを掘削して運河をつくった場所で、その掘削残土の上に貴重種が生育している状況である。本来の湿原のヨシ群落の中に生育している植物とは全く異なる。
本来のヨシ・スゲ群落に戻すために、地盤高を下げて水に浸かりやすい状況にしていることから、掘削残土の上に生育している植物をここに移植しても生育することは不可能だと思う。
掘削残土の上に生育している植物は、湿原では本来ありえない植物群落が新たに形成されたものであるが、貴重種も含まれていることから単純に撤去することできない。そこで、少なくとも貴重種だけは新しい生育地を探し、移植を行っているところである。
掘削残土の中の埋土種子は、湿原のものではなく、普通の野原に生育している植物がほとんどである。それは、むしろ湿原に戻すべき植物ではない。
ヨシの根を用いて、ヨシ群落が定着しやすい状況にした方が良いだろうと考えて取り組んでいるところである。ヨシは、種子で増やすより根で増やした方がはるかに早く回復すると見込んでいる。ヨシの根を上手に拡げる、または、筋状に伸ばすなど、できるだけ早くヨシ群落へ回復させる方法を探りながら行っている。

議事2:平成20年度の実施予定

事務局より、平成20年度の実施予定について説明が行われた。

議事3:モニタリング計画

事務局より、モニタリング計画について説明が行われた後、内容について協議が行われた。

(委員長)
59枚目のスライドで、土砂捕捉のための穴に水を入れておくと示されているが、これは何の目的で行うのか。

(事務局)
土砂の堆積厚だけではなく、ここに堆積する土砂の粒度分布を把握するために行うものである。

(委員)
どの程度の粒径の土砂が堆積し、どの程度まで細かい土砂は堆積しないのかを把握するために行うものだと思う。
単純に堆積した土砂と、穴を掘って水を入れたところに堆積した土砂の粒度分布を比較することで、土砂の流入・流出の機構を予測することができると考えたのではないか。

(委員長)
水を入れる穴の大きさは、どの程度の大きさなのか。

(事務局)
概ね空き缶くらいの大きさで、深さは15センチメートル程度である。
穴を掘って水を入れるものとそうでないものの二種類の方法で行う目的は、堆積する土砂の粒径の把握と、データの精度を担保することである。一種類の方法では、データの精度が担保されない。

(委員)
土砂のモニタリング地点は3地点だけなのか。できればもう少し増やした方が良い。

(事務局)
検討したい。

(委員)
旧川復元が計画されて10年くらい経過した。最初の計画では、現在の計画の倍くらいの区間延長があったが、上流の河跡湖でイヌイトモが発見されたために旧川復元区間が半分に縮小された経緯がある。
イヌイトモについて移植が計画されているが、10年前に河跡湖で発見されたイヌイトモは繁殖しているのか。どのような状態になっているのか、教えて頂きたい。

(事務局)
上流側に生育地があるが、工事対象区間として考えていた箇所にも流れ着いて繁殖している状況だと想定している。

(委員長)
最初に発見されたときは、恐らく日本ではここにしか生育していないと考えられていた。その後いろいろな調査が行われ、今の工事箇所の上流でも何箇所もイヌイトモの生育地が発見されている状況である。
最初の頃と比較すると、量的には随分多くなっている。また、厚岸など様々な場所で発見されている。最初に発見されたときは大騒ぎしたが、いろいろな場所に生育していることが分かってきた。
ただし、イヌイトモが確認されたことで工事を中止した箇所があり、その決定に変更はない。

(委員)
イヌイトモのモニタリングは行っていないのか。また、モニタリング結果は、移植を行う上での知見として利用されているのか。

(委員長)
モニタリングは継続して行っており、今後も継続して行っていく計画になっていたと思う。
旧川復元を行うことで地下水位が上昇する。これにより、イヌイトモの分布がどのように変化するのか、重要なモニタリングのポイントとなる。また、地下水位の上昇によりイヌイトモの生育に支障をきたす場合は、計画の見直しを含め、モニタリングを行っていく予定になっている。
今の工事区間の上流だけではなく、他の場所でもイヌイトモが確認されている。そこでは、自然再生事業とは別の事業でモニタリングを行っている。
最近ウチダザリガニが増加し、水生植物がウチダザリガニに食べられている。このままウチダザリガニが増加し、分布域を拡大していくと、水草にとっても脅威となる可能性がある。
水草だけではなく、水草を食べる動物との関係を踏まえ、両方についてモニタリングなり対策を行っていかないと片手落ちになる。

(委員)
資料の IV ページに第9回旧川復元小委員会の発言概要が掲載されている。この一番下の発言は、質問に対する回答になっているのではないか。

(事務局)
ご指摘のとおり回答のような発言となっているが、前回の小委員会でのオソベツ川に関する委員の意見に対し、別の委員からこのように発言があったため、掲載したものである。委員会の中で、委員同士の議論により解決した事項だと考えている。

(委員長)
オソベツ川については現在の計画には入っていないが、前回の小委員会ではオソベツ川に対してもいろいろな意見があった。

(委員)
オソベツ川の合流点を変更すると、農地防災事業を無にすることになる。この上流側には農地防災事業に係わった農家が20数戸あり、さらにその上流側にも10数戸の農家が湿地を改良して利用しているが、これが全て利用できなくなる。

(事務局)
旧川復元について、平成13年に提言を頂いている。旧川復元は、周辺の土地利用や農家に影響が無い状態で進めることができる茅沼地区で先行して実施し、知見を得ようとしているものである。他の対象河川については、どのように適用できるのか引き続き検討していく。
自然再生事業を進めるにあたり、全体構想の中で地域産業との両立という原則がある。周辺で土地利用されている箇所に影響が無い方法で取り組んでいくことが前提だと考えて取り組みを進めていきたいと考えている。

(委員長)
茅沼地区の旧川復元は、上流の農地に影響を与えない方法で取り組んでいる。オソベツ川は、現在の計画に入っていない。

(委員)
昭和40年代は、オソベツ川中流域はまだ蛇行していた。昭和44年 9月に大雨が降り、洪水で橋が流失して中オソベツが孤立状態となり、酪農を営んでいる方々は大変な苦労をされた。河川の直線化により、地域の方々は本当に助けられた。
中オソベツ付近での川底には細かい砂やシルトが堆積していたが、河川を直線化したことにより拳大の礫が堆積するようになった。土砂がいかに湿原側へ流出しているか分かる。
直線河道の掘削残土がある右岸にはヤナギ、ハンノキ、ハルニレ等の樹木が生育しており、これらは伐採することになる。その林床植物として生育している貴重種を移植することになっているが、キタミフクジュソウ、クロユリなどは移植の方法も考える必要がある。深さ20センチメートル程のところにある球根を取り出し、球根だけを移植しても十分だと思う。人海戦術で行うより、バックホウで掘り起こして移した方が手っ取り早いかもしれない。
7年間の計画なので、気長に進めて頂きたい。直線河道を埋め戻した後、ヨシやスゲを移植する計画となっているが、1アールに1株程度ずつ移植すれば地下茎が伸びてヨシ原になると思う。

(委員長)
全体にわたってご意見、ご質問があったらお願いしたい。(発言なし)

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