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第3回協議会 議事要旨

第3回(平成16年3月26日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第3回協議会 議事要旨

小委員会開催報告について

事務局より平成16年2月に開催した各小委員会の開催概要について説明があり、次に各小委員長から小委員会で出された主な意見について補足説明が行われた。

(旧川復元小委員長)
協議会の場では、全体構想を検討するという雰囲気になっていないので、小委員会で全体構想についての意見を出してはどうか。
再生事業を進めるにあたっては、地域住民の理解が大事である。また、小中、高、大学も含めた総合的な学習の実施など環境教育の推進が必要である。
湿原再生にあたっては、流域全体で考えていかなければならない。

(水循環小委員長)
地下水位、水質等に関するモニタリングは、漠然と行うのではなく、何のために、何が分かるのかという目的を明確にするようにしなければならない。
湿原の植生変化に関しては、地下水の変動が非常に大きな影響を与えるので、単に地下水位でまとめるのではなく、変動がどのぐらいあったかということを明確にしなければならない。

(湿原再生小委員長)
ハンノキ林の成長の仕組みに注目するとともに、今まで萌芽だけに着目していたが、更に実生などについても注目し、つくられた排水路などの影響についての解明等を求めて様々な実験をこれから実施していく。つまり、広里地区では湿原の再生に関わる様々な実験、それから解析の場として取り組んではどうか。

下幌呂地区の湿原移行帯という表現については、それが何なのか、更に詳細に検討していく必要がある。

下幌呂地区は、隣接する農地に再生事業が影響を及ぼすことが考えられるので、その関係について明らかにしておく必要がある。更に、下流の湿原域に作用があると同時に、上流にも影響があると思われるので、それについても明らかにすることが求められる。この事業を行うに当たっては、目的と意義と、それからゴールを明らかにすることが求められるのではないか。

なぜ再生することが必要なのかということを常に確かめながら、同時に住民が内容について確認しつつ進めていく必要がある。

実施にあたっては情報の共有化、内容の交換が必要であり、流域全体を把握する必要がある。

小委員会は、単に事業主体者の内容をチェックするという立場だけではなく、事業主体者とともに事業の目的や意義、事業のゴール、周辺地域の人々との関係、影響などを常にモニタリングしつつ、事業の展開を見守る、あるいは検討するという立場でいくべきではないか。

(森林再生小委員長)
流域の水源地を扱うということで、流域全体の問題としてとらえていく必要がある。
現地で森林を見ながら、その森林をどのような形で今後も育てていくのかということを議論していきたい。
協議会全体で共通のデータベースを持つ必要がある。
苗木をつくるための種はできるだけ地域から採っていくべき。
森林所有者が自らの森林の状態・周囲への影響を知ることで、自らの土地利用政策を見直すような形の方向性が重要。
明らかに問題となっている場所は即実行すべきで、委員会の事後承諾で構わないのでは。

(再生普及小委員長)
既往のワーキンググループでの検討事項を当小委員会が引き継ぐということを確認した。
4番目の新たなワーキンググループとして「10の提言」行動計画作成ワーキンググループをつくる。これらのワーキンググループに新たに参加を希望する小委員会メンバーを、3月末まで募ることにした。

(土砂流入小委員長(事務局代読))
土砂流入のメカニズムについて狭義的な視点からの理解が必要であり、粗粒土砂の流出防止についても検討していくべきである。

失われた自然のバランスを取り戻すことの手助けとなる対策を見極める必要があるなど、発生源も含めた流域の全体像をよく知ることが必要である。

どこまでが自然の状態で発する土砂で、どこからが流域開発の影響なのか、原因が分かった段階で沈砂池や水辺林などの具体的な対策を考えても遅くはない。

湿原へ流入する土砂の量や質は、洪水規模によっても複雑に変化するものであり、また近年大きな洪水が頻繁に発生している状況を考えると、土砂制御の目標値や対策の設定に当たっては、この委員会でも早急に議論していかなければならない課題と考えているが、土砂の問題は非常に複雑であり、この自然現象を短期間にとらえることは非常に難しいと考える。

各分野の専門家、事業の実施者の方など、それぞれの立場での意見、アイデアを出していただきながら、土砂発生の原因や湿原流入土砂量を把握し、具体的施策を早期に策定すべき。

実施に当たっては、試行錯誤的な取り組みとして試験施行等を実施する。その効果を検証しながら事業を実施すべき。

全体構想作成の進め方について

 事務局より全体構想作成の進め方について説明が行われた。

(オブザーバー)
地元の関係者として関係自治体の行政機関でもいいが、必ずメンバーの中に入れてほしい。専門家だけで素案をつくるのは問題がある。

(委員)
実際に自然再生事業を実施する場合、様々な弊害等についての問い合わせ先は地元自治体になると思うので、自治体の参加を呼びかけたり、メンバーの枠を設けたりする必要がある。

(オブザーバー)
我々農業者の生活がかかっている中で、釧路川の上下流の開発と環境という相反する部分の調整をどう行っていくのか。公の場で我々農業者の意向を汲んでいただきながら形にしていくのは難しいので、実情を理解している担当する町村をメンバーに是非加えてもらいたい。

(委員)
作業ベースの話をこのような大きな会議でやるのは無理だと思う。例えばネットワーク上の会議室や、メーリングリストなどを活用する方法も考えられる。

(会長)
作業自体はできるだけ能率的に進めていきたい。但し、全体が固まる前に、地元自治体の方には皆出ていただく機会をつくり、地域の意見を反映させていく。

全体構想(素案)について

 全体構想(素案)について事務局より説明が行われた。その後、8テーブルに分かれて、「釧路湿原の自然再生(保全・再生)はなぜ、どこまで必要なのか。」、「釧路湿原の自然再生に関してもっとも重要な具体的行動は何か。」についてブレーンストーミング・セッション方式により討議が行われた。テーマ毎の各グループからの発言は次の通り。
テーマ1「釧路湿原の自然再生〔保全・再生〕はなぜ、どこまで必要なのか。」
(委員:グループ1【藤間/長澤/高橋(忠)/中村(太)/(財)日本野鳥の会 鶴居/伊藤サンクチュアリ/釧路造園建設業協会/北海道教育庁 釧路教育局/標茶町】敬称略)
•現在の釧路湿原の質的な変化は、自然の時間の流れをはるかに超えてスピードが早い。私たちはこのスピードをできるだけ自然そのものの時間の流れに戻す努力が再生の動機となるべきだ。
•無用なところまで手を入れすぎてしまった部分をとりあえず元に戻そうとすること。
•議論百出で時間切れです。

(委員:グループ2【百瀬/新庄/井上(京)/ボランティアネットワークチャレンジ隊/釧路湿原国立公園ボランティアレンジャーの会/鶴居村/標茶町商工会】敬称略)
•流域に住む人々の視点が欠けている。
•湿原をなぜ保全する必要があるのか→社会的価値観の変化、経済活動の拡大などの経過を記載すべき。
•再生に加え、自然と人・生活との共生の観点を加えるべき。

(委員:グループ3【佐藤(繁)/松本/山田/井上(典)/下久著呂地区農業用排水維持管理組合/釧路生物談話会/北海道 釧路土木現業所/弟子屈町森林組合】敬称略)
•地元の生活者の視点から、土砂流出等については、昔から同じ問題があった。大きな事業を実施したから自然が再生するとは思えない。
•現在の生活とのバランスを考えた自然の保全・再生が必要である。
•生物多様性の保護は、地域の生活環境につながる。
•地域の固有資源として経済的財産としても自然再生を検討する必要がある。
•保全を重視すべき。 再生は無理ではないか。
•完全に再生させるのは無理ではないか? 問題となる要因を低減させるのでとどめる。
•土地利用の管理を流域で一体的に行い、自然の保全と再生を行う必要がある。

(委員:グループ4【蛭田/植村/宇野/金子/特定非営利活動法人 トラストサルン釧路/南標茶地区排水路維持管理組合/財団法人 日本生態系協会/弟子屈町/標茶町森林組合】敬称略)
•流域全体の発想を
•市街地に関する議論がない。
•海岸線付近を含めて。
•利用域と保全域のバランス。
•現在の調査区(サイト)は北にかたよっているのでは。
•利用空間としての“里湿地”の重要性
•人為的に利用している場所を野生生物が利用しているとの認識

(委員:グループ5【針生/齋藤(新)/仲川/釧路市商工会議所/釧路自然保護協会/釧路湿原国立公園連絡協議会/北海道 釧路支庁/鶴居村農業協同組合】敬称略)
•重要な機能(洪水調整・気候安定)を守るため。釧路湿原はここにしかないもの=地域の財産。
•釧路湿原は下流にある。湿原を守ることが集水域全体の自然を守ることになる。
•自然と人間の調和を図ることが大事(自然と生活)。
•広域的に共通の意識を持てる象徴的な取り組み。
•人間が壊した自然(森林の皆伐)。その責任をとるのが当然。
•防風林の例を見るとかなり回復が可能。

(委員:グループ6【大山/梅田/中津川/(株)北都/北海道中小企業家同友会釧路支部/釧路川水質保全協議会/釧路市/環境省 東北海道地区自然保護事務所/釧路町森林組合】敬称略)
•自然再生の概念には「創造」も含まれるべき。かっこの(自然・再生)は必要ないのでは?
•湿原の「風景」を再生するというのがキーワード。それが20年くらい前のレベルということではないか?それによって個々の対応(目標)が出てくる。
•再生をいつまで(を目途に)実現するかの検討も必要。

(委員:グループ7【内島/福田/神田/くしろネイチャーゲームの会/さっぽろ自然調査館/日本製紙株式会社/林野庁/標茶町農業協同組合】敬称略)
•(このテーマでの話は困難)とりあえず河川蛇行化を例に話をしました。
•河川管理・農業政策が転換されてきていることが発端
•国内農業・林業は大事。地元に負担を強いるだけでは地域がだめになる。
•判断がついた(農地としてはムリ)ところは明渠埋め戻すなどで復元するのはいいのでは
•強引に戻した気になるのは人間のごう慢に過ぎないのでは。

(委員:グループ8【橋本(正)/森/(財)日本鳥類保護連盟釧路支部/特定非営利活動法人 釧路湿原やちの会/釧路湿原塾/国土交通省 北海道開発局 釧路開発建設部/こどもエコクラブくしろ/カムイ・エンジニアリング株式会社/釧路町/鶴居村森林組合】敬称略)
•心にうるおいを与えるために自然を残す。
•観光をはじめとする地域経済の活性化のため。
•持続可能な程度な再生。
テーマ2「釧路湿原の自然再生に関してもっとも重要な具体的行動は何か。」
(委員:グループ1【藤間/長澤/高橋(忠)/中村(太)/(財)日本野鳥の会 鶴居/伊藤サンクチュアリ/釧路造園建設業協会/北海道教育庁 釧路教育局/標茶町】敬称略)
•現在湿原周辺で生活をしている人々と湿原とがうまく折り合って生きていくための具他的計画を考えること。特に農業と自然との関係を上手に保つ必要がある。
•やはり、そこに生活している人と湿原の将来を心配している人とが同じ場所で本気で共通認識を得られるまで話しあうこと。

(委員:グループ2【百瀬/新庄/井上(京)/ボランティアネットワークチャレンジ隊/釧路湿原国立公園ボランティアレンジャーの会/鶴居村/標茶町商工会】敬称略)
•共通認識の構築
•合意形成(協議会の場だけではダメ!)→住民の合意を得る手法を探る→合意を得たものから取り組む
•あと戻りができる規模で小規模な実験的事業から着手
•湿原と共生できる折り合いの場を見つける(住民生活と自然再生が互いに負荷をかけない手法の模索)

(委員:グループ3【佐藤(繁)/松本/山田/井上(典)/下久著呂地区農業用排水維持管理組合/釧路生物談話会/北海道 釧路土木現業所/弟子屈町森林組合】敬称略)
•再生しようとすることが良いことだという認識を住民に理解を得るには、どうすればよいか、そのためのシステム作りが必要である。
•地元にすれば農村整備事業と自然再生事業が整合性や関連性を持たない側面があるため。地域の農業従事者が自然再生事業に関与しにくい。(農業従事者による土地利用と管理その他)その事業法制度の枠組みを変更してゆく必要があるのではないか。
•農業を通じた自然の管理が必要ではないか?
•自然的な工法を多くの地域で活かしてほしい
•全事業者がまとまって流域の土地利用の再編を考えていく必要がある。この上で構想していく必要がある。

(委員:グループ4【蛭田/植村/宇野/金子/特定非営利活動法人 トラストサルン釧路/南標茶地区排水路維持管理組合/財団法人 日本生態系協会/弟子屈町/標茶町森林組合】敬称略)
•個別の自然状態の把握はできてきたので、今後、自然現象の関係の解明が重要
•人工物、人為的影響の調査と評価が必要(例えば伐採地、作業道など)
•遊水地のある沢筋、作業道など浸食を受け、土砂流出の原因となっている場所を特定し、植生の回復など具体的な保全策が必要。
•環境教育などソフト面が重要。地域住民、子供たちが釧路湿原の価値を認め、大切に思う気持ちを育てる。指導者や自然ガイドなどの人材育成も重要。
•情報を提供するだけでなく、双方向の取り組みが重要。例えば、子供たちと調査し、ともに情報を作っていくことなど。

(委員:グループ5【針生/齋藤(新)/仲川/釧路市商工会議所/釧路自然保護協会/釧路湿原国立公園連絡協議会/北海道 釧路支庁/鶴居村農業協同組合】敬称略)
•林をつくる~河畔林、農道林、広葉樹を
•流域の人の理解を得ることが重要。納得してもらう。
•釧路川流域委員会との連携
•教育・普及・啓発活動(CEPA) これを担う専門機関の設置も検討を
•上流も含めて子供達に対する学校教育(何千年もかかる事業)
•行政と教育の縦割りによる問題もある。
•子供達による植林活動を(川に柳)。実際に体験することが効果的

(委員:グループ6【大山/梅田/中津川/(株)北都/北海道中小企業家同友会釧路支部/釧路川水質保全協議会/釧路市/環境省 東北海道地区自然保護事務所/釧路町森林組合】敬称略)
•地域の理解を得ることが重要で、そのためには住民との生活との折合いが付くことが必要で、そのためには「水循環」の再生こそ重要ではないか?
•地域の理解を得るために、農水産業の生産価値(品質価値)を高めるために、環境再生を行わなければならないというインセンティブが生まれるようにする必要がある。
•湿原全体の環境を保全するためには受益者である下流域の人間も汗をかく必要(コスト負担も含め)があるのではないか?
•問題点が一目でわかる地図をベースとして用意するべきである。

(委員:グループ7【内島/福田/神田/くしろネイチャーゲームの会/さっぽろ自然調査館/日本製紙株式会社/林野庁/標茶町農業協同組合】敬称略)
•どこで(産業と)線引きするのかが大事。きちんとゾーニングを。
•今あるところは残すのが第一。残っている自然の保全が大事。
•人工工作物はつくらないのが基本。

(委員:グループ8【橋本(正)/森/(財)日本鳥類保護連盟釧路支部/特定非営利活動法人 釧路湿原やちの会/釧路湿原塾/国土交通省 北海道開発局 釧路開発建設部/こどもエコクラブくしろ/カムイ・エンジニアリング株式会社/釧路町/鶴居村森林組合】敬称略)
•次世代を担う小・中・高校生に、いつでも、だれでも楽しく参加できる自然とふれあう事業→要継続
•開発行為の検証→いいこと、悪いこと
•地域の人たちと、膝をつき合わせた深い議論を再生事業では必要。
•再生事業は地域住民の目に見える形で実施すること。

(会長)
各テーブルで積極的な議論を行ったので、その結果、かなりの項目の意見が挙げられた。これをひとつにまとめるのは不可能なので、共通点の抽出をすると次のような点が考えられる。
•環境教育が必要である。
•少し広い意味で流域圏全体として考えるべきで、例えば、流域委員会との連携を検討していかなければならない。
•周辺地域は農業的利用が多いところなので、産業としての農業と、自然あるいは自然再生事業との整合性が非常に重要である。
•手を入れ過ぎてしまった部分を、とりあえず元に戻すべき。実験的に試行し、様子を見ながら、あるいは小規模な実験的事業から着手すべきでは。

その他

(事務局)
 昨年6月に開催されたミニシンポジウムや11月からは月1回程度開催してきてきた意見交換会では、釧路湿原の保全と地域との関わりについて意見交換を行ってきた。今後も、自然再生事業を進めるに当っては、意見交換会等を開催するなど地域の意見を聞く機会を考えていきたい。

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