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第3回水循環小委員会 議事要旨

第3回(平成17年1月26日)

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第3回水循環小委員会 議事要旨

小委員長選出について

 協議会設置要綱第10条第3項に基づき、小委員会委員の互選により藤間聡委員(室蘭工業大学工学部教授)が水循環小委員会の委員長、中津川誠委員(独立行政法人北海道開発土木研究所環境研究室長)が委員長代理に選出され、承認された。

これまでの調査・検討経緯と今後の計画及び平成16年度の調査・検討成果の報告について

 これまでの調査・検討経緯と今後の計画及び平成16年度の調査・検討成果の報告についての説明が事務局より行われた。

(委員)
釧路湿原周辺の文化財や貝塚の分布データを提供してほしい。貝塚の分布やその高さを調べると、湿地が段階的に水位低下してきた状況が読み取れるはずである。

(事務局)
文化庁などに確認して調べてみる。

(委員長)
次回までに資料を整理して報告して欲しい。

(委員)
文化財などについて釧路市博物館や教育大学の研究者に確認してみてはどうか。また、岩保木水門開削時に貝類生息していた痕跡が確認されているので、一度掘削してみてもいいのではないか。

(委員)
水質の流出負荷の検討は、農地、林地からの面源負荷流出する物質の原単位や、量を算出しているようだか、畜舎排水などの点源負荷の流出は問題にならないと考えて検討していないのか。

(事務局)
裸地等の流出負荷が大きな値を示しているため、これについて分析を行うことを考えている。指摘のように、特定の点源排出もありうることを念頭におき考えていきたい。実施に当たっては、農業担当者と連携していきたいと考えている。

(委員)
裸地や農地は面源でポイントが決まらないような流れ方で流出する。畜舎系のふん尿はポイントで流出していくようなものであり、今はあまり問題にならないと考えていいのか。問題であれば、その対策を考えなければならない。

(事務局)
家畜ふん尿対策が現在行われているが、どの程度問題があるのかは自治体などが把握していると思っている。具体的に対策が進んだときの効果についても把握し、今後の検討の課題にしたいと思う。

(委員)
16年度調査検討の中に流出負荷量の検証があり、それが発生源別の原単位、流出負荷量検討、流域レベルの現況負荷の把握にフィードバックするような調査内容になっているが、流域の点源の問題を解明しないと問題は解決しないと思う。農地は面源として捉えるのではなく、人為的な影響として把握を行うのが正しいと思う。人為的に肥料を投入し、窒素やリンが出てくるので、投下量に対して、水域への流出量を解明できればいいと思う。単に面源としてとらえてしまうと、全体的に漠然とした推移でしか把握できないので、精緻な調査が必要と考える。

(事務局)
流出負荷については、農地、林地、裸地等の発生源別で概ね比率が把握でき、点源についても裸地等の負荷が大きいことが分かっているので引き続き、検討を進めていきたい。農地からの負荷の流出は、水環境だけではなく土砂流出という観点からも、現在検討を進めている。これらの検討はH16年以降も今後も引き続き検討を行っていきたい。

(事務局)
面的データは公共性があり例えば河川のポイントで測れるが、個別データは純然たる科学技術の追求という意味では非常に価値があるが、個人を特定するような情報につながることになり、それを公表すると最後は犯人捜しみたいになる恐れがある。

(委員)
原単位法でも点源負荷量の算出はできる。犯人探しという意味ではなく、流域に流出する負荷量が何によって起こっているかを科学的に解明することが前提であり、そのことなしには問題解決は進まない。清流ルネッサンスでは、流域フレームの中での地域の原単位は把握されていると思うので、そのデータを活用すれば解明することができると思う。

(委員)
解析方法を変える必要はないと考えた。全体の負荷の中で点源部分、面源部分がどの程度あるのかを明確にすればよい。特に久著呂川は畜舎排水が問題になっていると思う。点源でどの程度の負荷があるのか調べられなければ原単位を使用することも考えられる。

(委員長)
今回は中間報告である。委員からの指摘事項については、当小委員会で検討結果を説明できるように、準備をお願いしたい。

(委員)
湿原周辺の湖沼は、湿地生態系の多様性、あるいは今後の再生プログラムを考えていく上で非常に重要なものであると思うので、湖沼のボーリング調査をも考慮していただきたい。

(事務局)
湖の中のボーリング調査は、重要な意味を持つものだと捉えているが実施については今後検討したい。

水循環小委員会の今後の進め方について

 水循環小委員会の今後の進め方についての説明が委員長より行われた。委員の方が、気象、水文、地下水、植生、地質など多岐にわたる分野について、共通の知識、知見を持つことで、明確な委員会全体としての意見が出せるよう、勉強会の開催が提案され了承された。

(委員)
勉強会を経てある段階に達したら、現地視察のようなものを開いて、更に具体的な知識として蓄積していってはどうか。

流域の水・物質循環系について

 第1回目の勉強会として「釧路湿原の水循環について」と題して委員から説明が行われた。

(委員)
水循環を考える時に例えば霧が植物などに当たって地面に到達する部分があると思う。そのような効果を評価しているのか。

(委員)
霧は考慮していない。基本的にはアメダスや開発局の雨量計などのデータを使っている。測定可能であれば考えてみたいと思う。

(委員)
今の水量のことは、考えない方がいいと思う。牧草地の水収支については蒸発散量がゼロと出るときがある。海霧のほかに、気温の日較差が厳しいので、露の発生もある。研究に霧の効果も考えれば、解析が進むと思う。

(委員)
地下水水位の低下による乾燥化で、右岸堤防周辺にハンノキが増加してきたという話を聞いたことがあるが、地下水変動が大きいということと、どのような関連があるのか。

(委員)
地下水位が低下してきているのか否かはデータ上からは分からない。地下水が堤内排水路に流入するなどの影響もないとは言えない。仮に影響があるとすれば、地下水保全の方策を考えていかなければならない。

(委員)
中津川委員が分析した水質は、窒素、リンが多く、滞水層20mから60mでの採水と書かれていた。一方、事務局は150mレベルのボーリングを行うと言っていたが、同レベルの評価ができるのか。

(委員)
我々の調査は5、6mのごく浅いところの地下水である。1、2mの差で水質が異なるという結果になっている。供給源であれば何か影響があるのではないかと考えられる。

(委員)
100mから200mレベルの帯水層があった場合、下の方で水質に異常があったときに、上の方の地下水も影響されるのか。

(委員)
下層と上層の地下水は不連続なとらえ方をしないと極めて危険である。泥炭地の植生を議論する場合には、地下水位が問題になっているので、下層の地下水と一緒に考えると混乱が起きるのではないか。

(委員)
地下水位変動が大きいところは、ハンノキ林の拡大と関係しているようだと言っていたが、グランドレベルから、どの程度まで地下水の変動があるところなのか。
ヨシ帯の衰退と地下水位の変動がどの程度影響しているのか気になっている。ハンノキ林が成長する前の過程は、ヨシ帯が何らかの影響で衰退して、ハンノキの芽が吹いて成長することができたという考え方もできるのではないか。ヨシ帯の衰退していくプロセスと、地下水位変動のプロセスが考えられるのではないか。

(委員)
少なくても計算では2mとか1m以上の地下水変動があるところでハンノキ林が拡大している。実測データを整理し、何かの機会に報告したいと思う。

(委員)
ハンノキの持っている生理学的な側面から調査する人は少ないので、そのような調査を行う方に確認のための実験などをしてもらわないと何とも言えない。

(委員)
ハンノキがヨシの藁の中で芽を吹くということはない。殆どの場合は、古い自然堤防の中にあったものが、条件がよくなるから大きくなるというわけだと解釈している。かつて、昭和30年頃は、釧路湿原は度々野火で燃えていたので、表面にある背の高いものは、冬になると火でなくなる。低いものはヨシの下にそのまま生きているので、また伸びてくる。それが周りの条件が色々変わってきており、今は条件がよければ背が高くなるという条件で増えているように見えている。

(委員)
右岸堤防の北側の部分はミズゴケ湿原や、ミズゴケの泥炭堆積層が多い。南側はヨシ帯の堆積層で、同じ泥炭であっても泥炭の密度と水位の変動との関係はないのか。ヨシ湿原が長い間堆積しているので、泥炭の密度が薄いため水位変動が大きいのかということも考えられると思う。

(委員)
なぜ右岸堤防北側は水位変動が少なく南側で変動が大きいのかというと、降水量の変動に追随しやすいことがあると考えている。計算など結果にあらわれているものは、西側で滞水層が浅くて、滞水層は東側に行くに従って深くなっているという傾向がある。地下水が地表に近いところで変動が大きいという結果になっている。

(委員長)
今後、第2回目として当委員会のメンバーで委員に情報を紹介していただこうと考えている。第3回目として、釧路川流域の水理地質構造が非常に重要であることが分かったので私の方で外部から適任な方を探したい。また、ハンノキの繁茂、進出、後退などついての話題提供は他の委員と相談の上、決めさせていただく。

その他について

 第6回釧路湿原自然再生協議会の開催(平成17年2月22日(火曜日)13時30分から釧路パシフィックホテルで開催)について事務局より説明が行われた。

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