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第18回協議会 議事要旨

第18回(平成25年2月19日)

  • 釧路湿原自然再生協議会

第18回協議会 議事要旨

はじめに

 開会に先立ち、釧路湿原自然再生協議会初代会長であり、釧路湿原をはじめ国内外の湿原研究と保全活動にご尽力された、辻井達一先生(1月15日永眠)のご冥福を祈り、出席者全員で黙祷を捧げた。
 

第6期(前期)釧路湿原自然再生協議会の運営について

1)第6期(前期)協議会構成員の公募結果報告
 事務局から第6期(前期)協議会構成員の公募結果について報告が行われ、協議会委員相互で公募結果を確認した。

2)第6期協議会の会長および会長代理の選出
 委員の互選により、会長に中村太士委員、会長代理に高橋忠一委員が選任された。

3)設置要綱の改正(案)について
  事務局から協議会設置要綱の改正(案)及び協議会基金運用細則(案)について説明が行われ了承された。設置要綱第12条の改正に伴い、運営事務局に加わる委員として、さっぽろ自然調査館の渡辺修委員が推薦され承認された。 また、基金運用細則の第5条に定める監事について、委員の互選により新庄久志委員と神田房行委員が選任された。

議事1 :第5期(後期)協議会の収支報告

 事務局から第5期(後期)協議会の収支報告が行われ、協議会委員相互で収支内容を確認した。

議事2 :第17回協議会以降の小委員会開催報告

 事務局、または小委員会の委員長から各小委員会の議論内容および挙げられた意見について報告が行われた後、内容について協議が行われた。

【第11回~第12回湿原再生小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第15回旧川復元小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第16回土砂流入小委員会 議論内容報告 事務局より】

(会長)
・ 土砂流入対策の5年の振り返りで、効果量が目標の4割に対して実際は3%や4%と少なかったのはなぜか。

(事務局)
・ 5年目の施策の振り返りは、評価年を平成21年としており、事業着手が平成19年のため整備量が少ないからである。

(会長)
・ 年数を重ねれば数値は改善するという予想になるか。

(事務局)
・ 最新の整備状況で評価すれば数値はもっと大きくなる。

(委員)
・ 資料の20、21ページの図で、1号支川排水路の全窒素・全リンの値が高いという結果が示されているが、この水は結局どこへ流れていくのか。

(事務局)
・ 旧幌呂川に合流し、湿原に流れていく。

(委員)
・ 栄養分の高い水が湿原に流入していることになるが、流入前に再生区域で溢れさせて栄養分を捕捉することは出来ないか。

(事務局)
・ 検討の過程ではそういう意見も出されたが、小委員会の議論の流れとしては、栄養分の高い水は再生区域には流入させず、再生区域が湿原の環境に近くなるような整備を進めていくこととなった。

(委員)
・ 湿原再生の目的は、湿原のハンノキを増やさないことや、土砂流入を軽減させることではなかったか。

(委員)
・ 再生区域では現在、地表面の切り下げ等により地下水位を上げてやり、湿原植生を復元する取り組みを行おうとしている。それで出来あがった湿原植生により、窒素やリンを自然の力で除去できないかというのが将来の期待である。
・ 現在のところ、窒素やリンを留める具体的な手法は検討できていないが、実際には1号排水路の出先の所に随分とスゲや流木が絡まっていて、そこで自然に溢れて拡散しているので、高濃度の窒素やリンが直接湿原に流入しているとは考えていない。もっとも、そのデータは正確に取っていないため次の段階としての検討課題になる。

(会長)
・ 栄養分に関しては生産量を抑えることが重要で、いったん水に溶けた栄養分を綺麗にするのは難しく、氾濫させられる条件も限られてくると思うが、氾濫により栄養分濃度がどのくらい変わるのかチェックしてもらえたらと思う。

(委員)
・ 旧川復元の次の段階として、具体的にいつからどの川で実施するのか教えて欲しい。

(事務局)
・ 時期等については未定である。旧川復元による効果や農地等への影響について検討する必要があり、来年度からそれらの検討に着手し、小委員会の議論に諮り決めていきたい。

(委員)
・ 旧川復元の要件として、農地に対して影響を及ぼさないことでよいか。

(事務局)
・ 自然再生の考え方として、地元の産業になるべく影響を与えないように対応を進めており、旧川復元についても、農地だけでなく、他の産業にも影響が無いよう検討していきたい。

(委員)
・ 過去において、釧路湿原への影響を考慮せずに上流の土地利用をしてきたことはあったが、これから上流の土地利用をする際には、釧路湿原の生態系への影響も考慮してやっていこうということが、この協議会の始まりだった。
・ 私たちがこれからやらなければならないことは、湿原への負荷をどれだけ軽減させながら土地利用も維持していくのかを考える事であり、上流を維持しつつ、釧路湿原の生態系への影響も軽減させる為にはどうしたら良いかについて知恵を出し合うことである。

(委員)
・ 農地から土砂が流入しているか、1年間かけて調査した結果、農地から土砂はほとんど出ていなく、上流の小川や崖から流れ出た土砂が私たちの沈砂池に溜まっている。自分たちは農業で生計を立てており、そのことを考えた自然再生事業としてほしい。

(会長)
・ その点については、この協議会共通の理解として自然再生を議論したいと思っている。土砂のデータについては各小委員会で議論していただきたい。

(委員)
・ ハンノキを切る経費はどこから出て、いつまで継続するのか。具体的な費用対効果が提示されてない。費用対効果が出ているのであれば、協議会でも提示していただきたい。

(会長)
・ 広里地区についてはまだ事業がはじまっていない。試験段階なので、費用対効果という形では出ていないと思うが、この点について、環境省から説明をお願いしたい。

(委員)
・ これまでに実施したハンノキの伐採については試験であり、広里に限らず、環境省が主体のものは環境省の予算で実施している。そのような試験を繰り返し、事業として大規模に実施する場合には、各事業主体の予算で実施することになる。

(委員)
・ 誤解がないようにしたい。事業化したら必ずハンノキを伐採するというわけではない。
・ 現在は、ハンノキが湿原の中でどのような実態にあるのかデータを集めている段階である。今後もデータを集め、今後どのように対応すべきか検討したいと考えている。手法の一つとして伐採も考えられるが、それは単なる手法の一つである。

【第12回森林再生小委員会 議論内容報告 事務局より】
【第19回~第20回再生普及小委員会 議論内容報告 高橋委員長より】

(会長)
・ ガイドマップには大変期待している。再生事業が農業に付加価値をもたらすような、そのような取り組みができれば素晴らしいと思う。

議事3 :達古武湖自然再生事業実施計画(案)について

 新庄委員長より達古武湖自然再生事業実施計画(案)に関する小委員会での検討経緯等について報告が行われた後、事務局より達古武湖自然再生事業実施計画(案)の説明が行われた。 内容について協議された結果、会議で出された意見を踏まえて策定に向けた手続きを進めていくことが確認された。
 
(委員)
・ タイトルが「達古武湖自然再生事業実施計画(案)」となっているが、5年以上前に、私も関わって「達古武地域自然再生事業実施計画」を策定している。「地域」と「湖」で一字違うだけであり、位置付けが非常にわかりづらい。また、計画書の途中で、両者が連携すると記載されていたが、一字違うだけで連携というのはおかしい。「達古武地域自然再生事業実施計画」は、森林再生・湿原再生・水循環・土砂流入等の各小委員会で検討・議論していただき、了承された計画である。両者がどういう関係にあるのかを、明記すべきだと思う。
・ 5章の1、p.30に課題としてヒシ、ウチダザリガニ、栄養塩類の負荷と記載されているが、ヒシの増加は湿原のハンノキと同様に富栄養化の影響が非常に強いと思う。事業の対策の一番がヒシの刈り取りになっているが、ヒシは原因ではなく結果だと思う。どういう対策を実施するかに合わせて課題を作るのではなく、現状にどのような課題があるかを提示すべきである。富栄養化が問題で、流域の森林の減少、裸地、畜産・農業利用等が課題だと思う。それに付随して、ヒシ・アオコ・外来種等の問題があると思う。
・ ヒシの刈り取りはいつまでやるのか。一回の実験で効果があったとしても、毎年刈り取りを行う必要があるならば、受動的再生とは言えないと思う。もっと根本的な対策を実施することにより刈り取りの必要が無くなる、といった枠組みを決めていく必要がある。そうしなければ、いつまでもお金をかけて刈り取りをしていると指摘されても仕方がないと思う。短期的、緊急的にやる対策と、中長期的にやる対策の整理をすべきである。

(事務局)
・ 「達古武湖」と「達古武地域」の連携については、再考してもう少し具体的に記載することにする。
・ 水生植物減少の原因は、ヒシの繁茂が問題だと考えられる。最初に水生植物の減少という問題があり、それに対して取り組んできた経緯から、このような順序になっていることをご理解いただきたい。栄養塩対策は行う。
・ ヒシ刈り取りの継続期間については、5年間と考えている。この5年間で、南部湿地において、栄養塩除去を行い、これの効果は大きいと考えられる。またヒシについては2年連続で刈り取るとその後の発生が大きく抑えられることがわかっている。ただし、周りから侵入してくる場合もあるため、どのようにすることが効果的なのか、栄養塩等の環境要因との折り合いもどこでつけるかを考えて、水生植物を復活させ、5年後の計画を立案していきたいと考えている。今なら、まだ水生植物を復活させることが可能なため、そのことを強調した。

(委員)
・ p.33で、2003年と2004年はウチダザリガニが二百数十匹捕獲されたのに対し、2010年が0匹だったと記載されている。釧路川の本流と、達古武川の達古武湖流入部分、流出部分で多数捕獲されているが、湖の中では全く捕獲されていない。湖の中に全くいなかったとは考えられない。同じ海跡湖であるシラルトロ湖や塘路湖には生息している。
・ p.34で、栄養塩類が多くなっているのは、南部地域の家畜糞尿由来であると記載されている。このような結論に対して、再生協議会・環境省として、水を浄化する対策のために予算を計上する覚悟はあるのか。

(事務局)
・ ウチダザリガニの捕獲数の変化は、ご指摘のとおり極端な結果になっている。これは、ヒシが繁茂した影響により、湖底の溶存酸素濃度が0近くまで低下したため、湖底を歩行するウチダザリガニが生息できない状況となり、捕獲されなくなったと考えている。ヒシの刈り取りにより溶存酸素濃度が高くなると、ウチダザリガニの個体数が増加する可能性も考えられるため、モニタリングを行いながら進めることとしている。
・ 南部地域の家畜糞尿の問題ですが、現在は法律により規制されるようになっているが、以前は野外に貯め置かれたりすることも適法であった。その業者が倒産し、取り除くことができないため、環境省が取り除くことを検討していく。

(委員)
・ ヒシの刈り取り対策については、水生植物の再生を目的とした5年以内の緊急的な対策で、栄養塩類の対策も検討して実施するということをはっきり記載した方が良いと思う。
・ ただし、個人的には、水生植物は水鳥が種子を運んできて、対策を行わなくても再生すると思う。ヒシの刈り取りを実施しなければ水生植物が再生しないという考え方は、個人的には疑問に思っている。

(事務局)
・ 記載内容を検討する。

(委員)
・ ヒシの分布域、制御手法の説明資料で、ネムロコウホネやヒツジグサなどに注目した説明があった。そこを強調することが重要だと思う。
・ ネムロコウホネやヒツジグサなど、本来の水生植物が生育していることに注目し、それを維持、保全して、できれば生育範囲を拡げていきたいということを強調する必要があると思う。

(委員)
・ 埋土種子は、長期間生存することができない。埋土種子が存在しない状態では、自己で再生することが出来なくなる。そこで、一時的にでも、種子生産を可能にすることで失われていく埋土種子を補充するという考え方が成立すると思う。

(会長)
・ 本州の調査事例で、40年くらいで再生産できなくなるというデータが示されたことがあったと思う。いまの矢部委員のコメントは大事だと思う。
・ 「達古武湖自然再生事業実施計画(案)」について、いくつか意見をいただいた。記載内容等については、委員からの意見を踏まえて修正していただきたい。修正を行うこととして、この実施計画(案)をお認めいただくということでよろしいか。(異議なし)

(委員)
・ 達古武湖と釧路川との位置関係がはっきりしない。釧路川と達古武湖の間も含めた地図等を示すことによりわかりやすくなるのではないか。

(事務局)
・ 状況が分かる図を示すことにする。

(会長)
・ それでは、この「達古武湖自然再生事業実施計画(案)」を本協議会として承認し、以降の手続きに入っていくことにする。

議事4 :第2期釧路湿原自然再生普及行動計画の中間評価について

 高橋委員長、事務局より、第2期釧路湿原自然再生普及行動計画の中間評価について報告が行われた。

(会長)
・ 今後、再生普及小委員会と各小委員会との情報交換等が必要になると思うので、協力をお願いする。
・ 特に、「食」に関する取り組みが良いと思った。湿原の恩恵を受けて生まれた「咲くサクッキー」について紹介されたが、このようなものがたくさんあると良い。
・ 湿原再生の現場を見ることも素晴らしい活動だと思うが、食文化につながり、食が生まれる環境を維持していくことでこの再生事業が評価されれば良いと思う。さらに、評価されたことにより、食が付加価値を持つようになれば素晴らしい。

(事務局)
・ おっしゃるとおりだと思うので、検討していきたい。

その他 釧路湿原自然再生協議会の取り組み等に関わるアンケート結果

 事務局より、釧路湿原自然再生協議会の取り組み等に関わるアンケート結果について報告が行われた。
 
(会長)
・ 本質を突いた意見もたくさん出ている。協議会をより良くしていくためにも、委員の皆さんに読んでいただき、各活動や小委員会等で活かしてほしい。
・ 専門的で難しすぎるという意見もあり、何とかいろんな主体が参加できるような協議会、小委員会の形式を考えていきたい。

その他 協議会構成員の功労者について

 中村会長並びに亀山委員が、「釧路湿原における流域土地利用の累積的影響評価と生態学的保全及び復元に関する研究」において、湿原に関する学術的及び湿原保全の見地から優れた業績を上げたことが高く評価され、財団法人尾瀬保護財団より第14回尾瀬賞を受賞された。

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