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WEB広報誌 かいはつグラフ2013.8 インタビュー

インタビュー

室蘭追直地域マリンビジョン協議会会長である若佐誠氏と、同協議会事務局である室蘭市の農水産課長伊賀康祐氏にお話を伺いました。

※写真左が若佐会長、右が伊賀課長

※写真左が若佐会長、右が伊賀課長

-----本年4月に追直漁港沖合人工島(Mランド)が供用開始されました。供用からまだ間もないのですが、地域ではMランドの完成によって何か変わったことはありましたか?
(若佐会長)
 供用開始からまだ日が浅いながらも、ホタテの養殖用稚貝の育成施設の一部が、Mランド水域内に移されたことにより、早くも漁業の操業環境が改善しています。
 養殖用の稚貝の出荷は、追直漁港で水揚げされてから道東主体の出荷先の海域に放たれるまでの間、輸送を含め生きたまま迅速に行われる必要があります。このためには、出荷元と出荷先両方の海域がともに静穏な日程である必要があり、これまでは、そのような天候次第の日程調整に苦労しました。
 しかし、Mランドによって、出荷元である追直地区に通年で静穏な海域が登場したことから、出荷先地域の海域状況次第でいつでも出荷可能な環境が生まれました。このため、地区の漁師さんたちは、出荷の見通しが立てやすくなり、計画的に網の清掃や修繕等の作業を行うことができるようになっています。
 試験的にカニ籠施設の一部もMランドに移しているようですが、こちらも外海が荒れていても市場のニーズに応じて柔軟に水揚げできると関係者から好評です。
 さらに、2階建て構造のMランドでは、1階部分の荷揚げ場所で、水産物が海鳥の糞害にさらされることを防ぐだけでなく、漁師さんたちも雨風に当たらずに作業でを行うことができるようになり、作業環境がとても快適になったそうです。
(伊賀課長)
 追直漁港周辺地区では、既に道立栽培水産試験場も開設されてマツカワの増殖研究が強化されている中、今年、念願のMランドが供用開始されたことで、漁業振興の土台は整いました。次は、追直漁港が室蘭市のまちづくり全体にどのようにつながっていくか、特に、市民が室蘭の漁業にどのようにふれあっていくかが課題です。
若佐会長
(若佐会長)
 市民と漁業のふれあいということから紹介すると、7月にMランドの完成を記念して「追直漁港ふれあいまつり」を開催し、多数の市民の参加を得ることができました。
 さらに、今年の10月には、秋のイベント「室蘭さかなの港町同窓会」の開催を予定しています。鮭のくじ引きである「鮭の棒引き」は、参加券を買い求めるために早朝から人が並ぶほどの人気プログラムです。そのほかにも追直の地元水産物を楽しめる企画が盛りだくさんであり、例年札幌方面 若佐会長
からも多くの観光客の方が訪れてくれます。
 第20回目の開催となる今回は、Mランドにもサテライト会場の設置を検討していますが、忙しい漁業の合間を縫って、何より漁協がイベントの運営に一生懸命です。道内に水産関係のイベントが数ある中、漁師さんたちが主体的に活躍してくれる点は、室蘭追直地区の誇りだと思いますし、この土壌を構築してきた室蘭市の調整能力を評価しています。
(伊賀課長)
 白鳥大橋のように、洋上を渡る長大橋の始点と終点が一つのまちの中に完結するようなインフラは全国的に希であり、このようなインフラ整備が実現できた室蘭は、恵まれています。地域が、恵まれたインフラを自らまちづくりに活かしていくことが、我々の課題です。
 このため、追直漁港での水産施設整備の構想づくりにおいては、漁業に直接関係しない方々も含め、地域の様々な立場の人たちによる協議の場を設けてきました。マリンビジョン協議会もその一つです。
 行政は、事務局として運営のお手伝 いをしてきたにすぎませんが、このような協議の場を通じて、市民の中で幅広く追直地区の将来イメージを共有できたことが、今日、盛況な地域を挙げたイベント等の成果につながっていると思います。
 Mランドの完成で、洋上側から室蘭の景色を眺めることができるようになりました。これまで以上に多くの方々にいらしていただきたいですね。
-----イベント等を通じた市民と漁業の交流によって何が期待されますか?
(若佐会長)
 私たちの先輩が地域を挙げて描いてきた絵が今実現しつつあることへの感動が、現在の私たちの活動のエネルギーですが、イベントを通じた地元水産品のブランド化には水産関係者も期待しています。
 例えば、高級魚のマツカワカレイやクロソイに加え、知る人ぞ知る逸品に室蘭のタコがあります。過去に漁協の婦人部が研究の末、タコを材料にしたかき揚げのレシピを作り上げたことから、私が理事長を務める登別室蘭青年会議所では、このタコのかき揚げを製品化してイベントに出店するほか、市内の小売店での販売に取り組み始めたところです。
 室蘭では、既にカレーラーメンや室蘭やきとりが市民の中に定着していますが、タコのかき揚げでは、市が初動の段階から相談に乗ってくれる頼れる存在です。
伊賀課長
(伊賀課長)
 室蘭は、もともと、太平洋の中でも噴火湾と湾外の両方の魚種を漁獲できる有望な漁業地域です。まだまだ地元では捌ききれないので、地元のお店で目にすることは希ですが、当地ではマグロの水揚げもありますし、実は高級品であるアンコウが通年で水揚げされています。
 しかし、これまで鉄のマチというイメージから、豊富な水産資源を持ちながら地元の漁業にスポットが当てられる機会は少なく、水産関係者には知られていても、市民ですら地元の豊富な水 伊賀課長
産資源に気づいてこなかったのではないでしょうか。Mランドの登場は、地元の水産品と市民をつなぐマッチングの場を生んでくれました。
 例えば、イベントでは4000杯もの地元産毛ガニの即売会があっという間に売り切れになる。購入者の市民に伺うと、本州の知人や親戚に送るんだという方がたくさんいらっしゃいます。イベントを通じて、市民が室蘭のセールスマンになってくださいます。
 また、Mランドで洋上側からの自分のまちの景観を楽しみながら、そこで水揚げされる水産物を積極的に仕入れ、さらには飲食店関係者であれば、それを自らの店で提供する。そういう水産物の地産地消も促進できれば何よりです。
------Mランドを中心とした活動に関する今後の抱負をお聞かせください。
(若佐会長)
 マリンビジョン協議会としては、北海道開発局による「北海道マリンビジョン21」の見直しを受けて、7月上旬に勉強会を開催しました。
 現在のところ、Mランドに対しては、漁師さんたちも施設を漁業のみのために独占するという意識はなく、市民の来訪にウェルカムです。
 だからこそ、Mランドを、まちづくり全体の中で末永く活用していくためにも、今後も勉強を重ね、特にMランドの安全な市民利用に向けたルールづくりにも目を向けていきたいと考えています。我々自身も、イベントの運営は、漁港としての機能を害さない範囲での利用のために知恵を絞るよい経験です。
 協議会としては、漁業環境の向上に一定の成果が上がった次のステップとして、地元漁業と市民のふれあいの場としての今後のMランドの使い方を漁協と一緒に考えていきたいですし、多くの方々と手を携えてまちづくりについて考えていくのは、苦労もありますが、非常に楽しいものです。

お問合せ先

開発監理部 広報室

  • 電話番号:011-709-2311
  • ファクシミリ:011-709-8995

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