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令和4年1月18日局長記者会見

記者会見内容

局長
令和4年1月18日局長記者会見の内容  

  1. カーボンニュートラル(ゼロカーボン)に向けた取組について
  2. インフラDX/i-Constructionの推進について
  3. クリエイティブオフィスキューとの包括連携について
  4. 釧路川治水100 年記念フォーラムの開催について ほか

会見日時・場所

令和4年1月18日(火曜日) 10時30分~11時13分
札幌第1合同庁舎15階 特別会議室

配布資料

説明動画

  1. 一般的な幹線道路の除雪の様子
  2. スタック車両救助の様子
  3. 通行止め区間手前における旋回誘導の様子 
  4. 北海道インフラゼロカーボン試行工事で想定される取組事例
  5. i-Snowの取組(映像鮮明化)紹介

冒頭:挨拶

 新年、明けましておめでとうございます。北海道開発局長の橋本です。
 私たち北海道開発局は、国民の皆様が納めている税金を使わせていただいて仕事をしている立場ですので、その仕事の内容についても少しでも分かりやすく伝えていく必要があると感じていますし、職員に対しても「社会との接点」を意識して仕事を進めるよう伝えているところです。
 本日の会見、自分自身もそれらを意識しながら進めてまいりたいと思います。ご質問等があれば遠慮なく聞いていただければと思います。よろしくお願い致します。

冒頭:年末から昨日までの豪雪対応(速報)

局長
 年末から昨日までの豪雪による道路状況については、本当に大変なご迷惑をお掛けしています。北海道開発局は6,800キロメートルの国道を、北海道は道道を、自治体は各市町村道を維持管理しており、この豪雪に対して各道路管理者がそれぞれ全力で対応を行っているところです。
 図は今年の積雪に関するデータです。累積で見ると平年とそれほど変化はないのですが、12月半ばと1月11日の2回、跳ね上がるように降雪量が増えています。
 JR北海道のホームページに1月12日の北広島駅構内の写真が掲載されていまして、ちょうどホームの高さまで雪が積もっていました。ホームの高さは1メートル20センチぐらいだったかと思いますが、一日で降った雪の量が分かりやすい写真かと思います。
 動画で、一般的な幹線道路の除雪の模様をご覧いただきます。通常は、グレーダーと呼ばれる重機がまず中央分離帯側の一車線目の雪を外側に寄せ、後続の二台目のグレーダーが二車線目の雪と併せて更に路側に寄せます。これを別の除雪機械がダンプに積み込み、郊外に運搬することで初めて2車線が確保されることとなります。昨日来、国道12号の除雪が大きく滞っていることが報道されていますが、昨今の労働力不足でダンプの運転手にも深刻な人手不足があり、雪が残ったまま1車線の状態が続いてしまっている箇所がまだ多く残っています。ご迷惑をお掛けしています。
 他方、除雪に携わっている建設業者の方の懸命の頑張りも知っていただきたく、動画でご紹介させていただきます。現場は玉川組さんという会社が担当している道路で、スタックして動けなくなった大型トレーラーを真夜中に重機で引っ張り出しているところです。昨年度は関越道や北陸道の豪雪で1キロメートルを超える渋滞が発生しましたが、その要因が大型車両のスタックという場合も少なくありません。スタックしないような装備で通行していただくのが一番ですが、スタックしてしまった場合は、このように何とか先頭まで辿り着いて対応を採る場合もあります。
 次の動画は、積雪で通行止めとなった区間の手前で、向かってくる車両にUターンをお願いしている様子です。先に進むと動けなくなって命を落としてしまう場合もあり、そうさせないために視界の悪い猛吹雪の中で頑張っていただいている場面です。
 こうした対応に対してはツイッター上でも取り上げていただき、温かいツイートが励みになりましたので、お礼かたがたご紹介させていただきます。これは通行止めの区間、人工透析の方を乗せた救急車両を稚内開発建設部の道路パトロール車で病院まで先導している写真で、豊富町がリツイートしてくださいました。こちらは室蘭市の白鳥大橋の超高所にあるケーブルの雪氷を落としている場面をリツイートしてくださったものです。
 極端な降雪の中で、引き続きご迷惑をお掛けすることも多いとは思いますが、少しでも交通を確保できるよう努力を続けますので、ご理解のほどよろしくお願い致します。

話題1 カーボンニュートラル(ゼロカーボン)に向けた取組について

 まずは北海道全体で取り組んでいる「ゼロカーボン北海道」に向け、北海道開発局の行っている公共調達分野でも新たな取組を開始したいと思っています。恐らく全国で初めての取組になるかと思います。
 昨年、政府がカーボンニュートラルに関する方針を打ち出し、北海道の鈴木知事もいち早く「ゼロカーボン北海道」と銘打って取り組んでおられます。省庁レベルでもいろいろな取組を連携しており、北海道経済産業局、北海道運輸局、北海道地方環境事務所等とタスクフォースを作って議論を重ねています。現時点での北海道開発局の取組についての資料も添付しております。
 こうした中で、昨年末に鈴木北海道知事とお話した際、建設業においてもゼロカーボンに向けた取組を率先して行えないかという話題になり、北海道さん・札幌市さんとも調整させていただきながら整理した取組が、このインフラゼロカーボン試行工事です。
 カーボンニュートラルの政府目標の達成に向けては、どの業態も取組を避けられません。だとすれば、後から追いかけながらキャッチアップすることで疲弊するよりも、率先してそこに踏み込んで行くことが、結果として総量としての負担が少なく効果的であると考えます。
 まずは意識を持っていただくことから始めたく、工事の発注時に求める施工計画書というものの中に、カーボンニュートラルに資するものを書き加えていただきます。燃費基準達成型の重機を使用してCO2を削減するとか、従来は発電機を使用していたものをソーラーパネルにするなど。ゼロカーボンに向けた取組の効果は大・中・小、様々あると思いますが、まずはハードルを低く設けつつ、小さな一歩を建設業界みんなで踏み出すことで大きな効果を期待する枠組です。
 国が発注する工事を受注する業者さん、北海道が発注する工事の受注業者さん、市町村の受注業者さん、経営規模を比較するとやはり違いがあります。特に自治体の工事を受注している業者にとってはこうした取組でもハードルが高い部分があるのではと危惧も致しましたが、逆に北海道さんや札幌市さんも積極的にご賛同いただきました。
 図にフローを示しています。施工計画書に何らかの取組を記載して工事を実施していただければ、インセンティブとして工事成績に加点するというシンプルなかたちです。工事成績はその後の受注機会の増減にもつながっていく大事な点数になり、業者さんにとっては大きなものになりますので、失礼ながら現在はカーボンニュートラルのことを考えている事業者さんはまだまだ少ないと思われる中、この取組により恐らくほとんどの業者さんが「カーボンニュートラルって何か?」を考えてくださることになるのではないかと思っています。もちろん、「ちょっと拙速なんじゃないか」とか「こんなやり方もあるんじゃないか」といったご意見もあるかと思いますので、建設業団体からいろいろな声をいただきながら改善していきたいと思っています。
 このようなゼロカーボン北海道実現に向けた具体的な取組事例として、河畔林の有効利用を促進する「木材バンク」というものを作ってみましたので、ご紹介します。川があれば、潤沢な水分故に河畔林も育ちます。河畔林には風情もあって自然に優しいイメージがありますが、濁流等でひとたびヤナギが折れて流れれば、例えば橋脚に引っかかって河道を塞ぎ、氾濫の要因にもなり得ます。河畔林は川の安全に対しては優しくないので、適宜伐採しています。伐採した木は、普通であれば単なる産業廃棄物になってしまいますが、この木を使いたいというニーズもありまして、そういった方々により積極的に活用していただくため「木材バンク」というものを北海道さんと一緒に作りました。ホームページに「いつ、どこに、このくらいの量の木が出そう」という情報を掲載します。これに対して「ぜひ使いたい」という業者、事業者さんから手が挙がれば引き取っていただきます。単に捨てるだけのものを、CO2に優しいかたちで利用いただくというものを試行していきたいと思っています。
 河畔林の有効利用については、「ヤナギの有効利用研究会」も立ち上げています。細かいご説明は割愛致しますが、例えば、菌床を製造しておいしいキノコができるなど、ヤナギにはいろいろな使い道があるようで、昨年5月に研究会を立ち上げてヤナギの活用について模索しているところです。

話題2 インフラDX/i-Constructionの推進について

 先程も少し豪雪の話をさせていただきましたが、平成28年以降「i-Snow」と称して、除雪の省力化や自動化の取組を続けております。昨日もNHKさんのニュースで取り上げていただき、ありがとうございます。
 政策目的としては、労働力が少なくなっている中で、現在は必ず二人乗車している除雪機械をワンマン化できないか。もう一つは、吹雪時の視界、ホワイトアウト時の視界をなんとか確保できないか。
 こちらはロータリー除雪車の自動化の例ですが、最初は一般車両もなく路側の障害物もない国道で、次は一般車も走っていていろいろな路側の障害物もある国道で実験を繰り返し、高度化を進めてきました。令和3年度の取組の概要としては、資料にある6項目に取り組んでいます。
 重点課題はみちびきの不感地帯対策です。車両の自動化には準天頂衛星のみちびきの情報が不可欠で、みちびきの不感地帯があると対応が途端に困難となり、これにどのように対応していくかというテーマです。既にいろいろな技術があり、「車両慣性航法システム」という、加速度計測器を付けながら自分の位置を特定していく技術。「磁気マーカー」は地面に直接、2メートルピッチでガイドを埋め込むものです。こちらは「3D-LiDAR」といって、光を活用して自分の位置等を特定していく技術です。こういった技術を試行錯誤しつつ活用しながら、課題解決に取り組んでまいります。
 こちらは除雪車の映像鮮明化技術で、単に画像を鮮明化する従前の技術に加え、AIを活用して、例えば大型車が接近した場合の近接度合いを基に「安全」「注意」「危険」といった状態も評価する技術です。精度向上は今後のことになりますが、ホワイトアウトで周囲が全く見えない場合にこれらの表示で危険を探知できるよう試行を続けていきたいと思っています。
 こちらは除雪車両の運転支援に関するものです。人手不足の中で「ワンマン化」は非常に重要な課題で、除雪機械、除雪トラック、凍結防止剤の散布車といった車両も、今は二人乗車体制で行っています。これらのワンマン化を試行する取組です。
 こちらは河川管理の取組で、AI/Eye River(アイ・リバー)と呼んでいます。ドローンやCCDカメラといった河川の両岸に設置されているカメラを使いながら、河川の状態・安全を検知するのは勿論、河川空間管理といって、前日との状態変化を感知して不法投棄を発見するような学習についてもAIに行わせることを試行するものです。 

話題3 クリエイティブオフィスキューとの包括連携について

 話はガラッと変わりまして、オフィスキューさんとの包括連携に関しまして。鈴井貴之さんやチームナックスさんなど、オフィスキューさんのタレントさんや作品の人気などは、皆さんご承知のとおりです。
 オフィスキューの伊藤亜由美社長とお話しさせていただくと、人気という結果以前にある、オフィスキューさんの「北海道愛」を感じます。
 こちらはオフィスキューさんのウェブサイトです。「私たちは北海道に根ざし、北海道の人々と共に、北海道から新しいストーリーをつくります。食をはじめとする北海道の魅力に様々な角度から光を当て、地域が秘めたポテンシャルを引き出し」という記述。官民という立場の違いはありますが、これらは私たち北海道開発局が北海道総合開発計画や事業を通じて目指すところとも大きく重なりますし、大きな成功を収めていらっしゃるオフィスキューさんは目標でもあります。
 既にこれまでも連携をさせていただいており、画面は2019年の「そらのレストラン」という映画ですが、これは、オフィスキューさんからご依頼をいただき、北海道開発局も後援をさせていただいた映画です。また、ウポポイの開業から1年経ちましたが、ウポポイの開業時にチームナックスの皆さんに出演いただいて、本当に絶大な貢献をしていただきました。
 また、北海道開発局は昨年70周年を迎えましたが、それを記念して実施している動画コンテストには審査員としてチームナックスの森崎博之さんにも加わっていただいております。聞くところによればこの手のコンテストは、賞金の大きさが応募動機につながるのではなく、審査員が誰かということが一つの求心力になるとのことですが、そういった意味で、森崎さんに加わっていただいたことも多くの応募の誘因になっているのかと思います。
 こうした連携の実績もあり、伊藤社長と何度かお話をさせていただく中で、包括連携協定締結の流れとなりました。お互いそれぞれの立場で、未来の北海道を共に創っていきたいと思っております。

話題4 釧路川治水100年記念フォーラムの開催について  ほか

 釧路川治水100年を記念したフォーラムの開催に関する話題です。現在の釧路川は、元々違うところを流れていたところからの治水事業の歴史です。
 同じく河川の話ですが、かつて千歳川放水路という計画がありました。これは北海道の立体地図で、高さを7倍に強調したものですが、それでも千歳川流域は海と変わらない高さで、真っ平です。この地図のこの流域部分に水を落としてみたことがあるのですが、全く動きません。ここが氾濫した場合の被害がどれほど大きいかということを端的に表すので持参してきました。工学的・水理学的には放水路によって直接太平洋に放流することが一番効率的なのですが、様々な議論を経て千歳川放水路計画は中止となり、六つの遊水地をつくり、既存の堤防を強化する方向に転換しました。1月15日、この千歳川遊水地群の完成式が行われておりますので、お知らせさせていただきます。
 最後になりますが、先ほどは雪の話をさせていただきましたが、去年は記録的な少雨でした。連続干天日数、連続して降雨のない日数という意味ですが、20日以上続いた地点が数多くありました。一番影響が分かりやすいのがたまねぎで、たまねぎは水で生育が左右される野菜です。開発局の農業部門では畑地かんがいと呼ばれる水を供給する施設を整備していますが、その施設の有無でたまねぎの生育が大きく左右され、農業基盤整備の重要性を改めて感じたところです。少し前の話ではありますが、ご紹介させていただきます。
 
 私が本日、用意させていただいたものは以上になります。ご静聴ありがとうございました。

質疑応答

局長
(記者)
 公共調達におけるカーボンニュートラルの取組については、いつから始めるのでしょうか。
(局長)
 本日から始めると考えていただいて構いません。補正予算の執行も始まっており、既に発注されている工事もありますが、令和4年度末までに終了する工事全てを対象にしたいと考えています。また、既発注の工事の受注者はカーボンニュートラルに対する取組の有無自体を問われていないこととなって条件不利となることから、事後的に確認を行いながら参加していただくかたちを取りたいと思います。
(記者)
 工事成績に1点というのが100点満点だと0.4点ぐらいという話がありましたが、実際のところ、大体何点ぐらいのものでしょうか。
(局長)
 優秀な工事で80点前後といったところでしょうか。局長表彰・開発建設部長表彰という制度を設けておりますが、80点を超えたものがその範囲に入ってくるイメージです。
(記者)
 翌年にも影響するという話がありましたが、翌年のどういうところに影響してくるのでしょうか。
(局長)
 その会社の成績を次の発注機会に反映する項目がありまして、そういったところにわずか0.4点ではありますが、効いてくることになります。
(記者)
 記入例の紹介がありましたが、今後、どのような取組が考えられますか。
(局長)
 例えば、セメントや鉄などの材料なども行く行くは評価対象に入ってくると考えています。1トンの鉄を造るのに2トンのCO2が排出されると言われていますが、鉄鋼業界も脱カーボンに向けて技術を磨かれています。また、輸送など様々な調達プロセスでどれだけCO2削減を図るかなども考えられます。今回の取組は、ソーラーパネルや低排出機械など既に身近にあるもので構わないのでまずは始めてみませんか、というものです。あまり例示してしまうと、創意工夫みたいなものがなくなっていくので、できれば、各会社の創意工夫を期待したいですし、我々発注者の側も、CO2削減の効き目の程に関する知見をしっかり備えて、差別化していくことが必要になります。そこまで待って始めるという選択肢もありますが、早く始めることで後年次の負担も小さくなっていくと思いますので、まずは低いハードルでも良いので取り組んでいただきたいと思っております。
(記者)
 カーボンニュートラルの試行工事に関して、令和4年度末までに終了する工事を対象にするということですが、この試行工事の取組というのは、2050年カーボンニュートラルを目指して、来年度以降もずっと続けるのでしょうか。
(局長)
 おっしゃるとおりで、配布資料の図がPDCAのサイクルになっているのもそういう理由です。2030年までに2013年比で46%のCO2削減というのが政府の目標です。今のやり方では効果は微々たるものかもしれませんが、発注者・受注者が知見を備えて行き、より効き目のある取組を促したり、技術を磨いたりしながら続けていくことになると思います。後年次には、総合評価の重要な評価項目になるかもしれませんし、インセンティブの度合いを強めていくようなことも考えられます。
(記者)
 複数年度にわたり動いているような工事についても、来年度以降も対象になっていくということでよろしかったでしょうか。
(局長)
 まだ全てのものについて定め切れていませんが、対象としています。例えば、令和4年度から5年度末までの工事であれば、令和5年度に評価します。
(記者)
 i-Snowの取組について、オペレーター1名による除雪作業というのは、今のところ実証実験の段階でしょうか。
(局長)
 札幌市さんなどは既に除雪をワンマンで行っており、私どももそれを進めていきたいと思っています。一方、北海道には6,800キロメートルほどの国道を130社ぐらいの業者さんが除雪に携わっていますが、技術の伝承をしていきたいので横で教えたいというような思いのある会社や、郊外で長い距離を一人で作業すると不安で逆にストレスになるという声もあります。一律に強制してやるのも馴染まないのかと思いますので、実情も踏まえながら除雪機械のワンマン化を進化させたいと思います。
(記者)
 本格導入のめど、例えば、5年後、10年後などを教えていただけますか。
(局長)
 それほど掛からないと考えています。技術の伝承やストレス等の要因はあるかもしれませんが、そうも言っていられないくらい人手不足も深刻化していますので、ニーズも確実に広がっていくと考えています。
 

以上 

※ この文章は、読みやすいよう、重複した質疑内容や言葉遣い、明らかな言い直しなどを整理した上、作成しています。(文責:開発監理部広報室)

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